情報を買う時代になって久しいが、市場調査を外部へ依頼する場合の欠点について述べて
みようc
マーケットリサーチの会社とか、データバンクまた新聞記事の情報とか世の中に情報があ
ふれている。情報を入手したい場合、さして至難ではないが、ここに大きな欠点がある。
まず、各調査機関は、既存の顕在化した原資料を使うことが多く、ベースになるのは政府
機関関係、特殊法人団体のものとかであり、すでにあるデータを加工する例があまりにも多
いことだc
基本的にはこうした基礎データを中心にして加工されるので、各調査機関から上がってく
る調査報告書は当たらずLも遠からずの相似性の強い内容になってくることは否めない。
マーケティング理論の中で、デモグラフィック(人口統計学)的な分類方法というものがあ
ろ〕。
これは、同年収、同生活環境、同地域の人々は同じ商品を使うという発想である。
この考え方は、成熟社会を迎えた今、すでに過去のテーゼであり古くなっているといえる。
市場を今や一律的にみれなくなっている。しかし、実際は通用しなくなっているにも拘らず、
そういわれながらも、今もって使われている面が多い。
このように、よく似た調査結果が、依頼先に報告されてくるので、そこからスタートする
ことにより、よく似た商品の供給過剰をつくり出す一つの基因となっている。
市場調査にお金をかければ、それで良いというものではないことがこれでわかる。依頼主
は、調査の結果を期待しているほどの解答は返ってこず、いつも失望に終わっているのでは
ないかと想像している。
市場調査はあくまで、自社の体質にあったものが求められるような方法で当たらねばいけない。
トップ陣自らが、足で市場を歩くことが原則である。そこの市場の基本的なデータを加工
しながら進めていかないと、労多くして功少なしの結果は火を見るより明らかである。
企画屋さんや商品開発屋さんなど、外部依頼者のデータだけでは、商品過剰の屋上屋を重
ねる企業一群に加わってしまうだけのことである。
たとえば各府県、地方は工業団地造りなどを十五年ほど前からやっている。その狙いは企
業誘致だ。日本全国にこの工業団地―企業誘致の図式が広まり、その供給過剰がきた。
民間の企業は、今や工場を大きくしたり、新設する時代ではなくなっている。地方へ出向
いていって雇用促進と増産の一石二鳥の時代は過去になっている。
人の少ない合理化工場、あるいは人件費の安い海外へ進出しようという時世である。
供給過剰のところへもってきて、需要自体が縮小となり、下手に工場進出した企業は、借
入金の返済と製品販売の苦労でどうすることもできなくなっている。
また、今後の国内市場を考えると、十年前からの長期予測のグラフにもあるようにレジャー
とその関連は需要が上がるとしている。
さすれば、何が必要かといえば道路等のアクセスである。しかし、それに使う金がない。
工業団地とか、港湾とかへ向けてしまったからである。
新潟に黒川町がある。同町は町営の旅館、スキー場とかのスポーツ設備に取り組んでいる。
こうした所へは、工業団地よりも道路とか、リフトとかの、その内需に求められているも
のに投資したほうがいかに効果的かがわかる。
猿真似の工業団地のように、各地でそれぞれ飛び付くようにやっては能がない。いかに自
分の地域にあったものを捜し、加工するかにかかっているのではないか。
各県がやっている一村一品運動も同様である。当初はユニークな発想で注目され、地方特
産品の宣伝販売に寄与したが、今や、いずこも同様な産物を生み出し、これも供給過剰で新
鮮さは薄らいでいる。
だから一村一品をやめて、一村一サービス、一村一物語とか新基軸を発想してみるべきだ。
市場調査の次に、自社の考え方(アイデンティティ)らしい考え方があるかどうかというこ
とだ。
先人の真似は決して悪くはないが、みんなやるから自分達もやる。みんなで渡れば怖くな
い式の市場調査・商品開発であってはならない。
本来、市場調査とは、自社のお客様の声を聴くところからスタートする。顧客になってい
ただいた方の聴こえない不平・不満・不便さを知ることが市場調査だ。
それには、トップ陣は、常に現地。現実。現場。現品に立って、顧客、分析、判断を行な
う。自分の足で現場に立ち、頭を使って考える! ということだ。
今、あちこちに多くの賃貸マンションがブームの様に建てられている。今や専門の調査会
社が存在し、建設予定を伝えれば、今までの周辺の既存マンションのカタログを出し、分析
し、スペースの広さ、価格、車庫の有無、各種コミュニティの情報を打ち出して、いかなる
企画。設計をやればよいのかの提案まで出してくれる。しかし、結果は周辺とよく似た部屋
割りで過剰を起こし、多くの空室を出す。
東京水天宮神社の南側に株式会社セブンユニフォーム本社ビルがある。この南側に成田空
港に向けての東京シティエアターミナルが存在する。
本社ビルの三階以上は、賃貸マンションになっている。この周辺には多くのマンションが
建っているが、このマンションだけは空室になることはなく、常に満室状態になっているの
だc
なぜか…、飛行機会社の乗務員、添乗員、パイロットを対象に、その部屋のグレードが顧
客のニーズにピタリと合致しているからである。安全性、防音性、色彩、デザインにおいて
周辺の物件とは異なるグレードを提供しているのだ。
セブンユニフォームは、日本一高額なグレードの高いユニフォームを提供しているので、
そのデザインが優れているのは当たり前だ。
その上で、立地条件から顧客のニーズをしっかりと掴んでいるのだ。よって待ち客が登録
されており、「空いたら私を…」という顧客が待っているのだ。
新大阪駅近くに九物件を持つSR土地建物(仮称)は、常に満室状態を続ける貸しビル業を
営んでいる。新大阪駅周辺は、大阪支店として希望するテナントが多く、 一〇坪〜二〇坪の
小スペーステナントの希望者が多いので、区割りも柔軟に対応できるように区分してある。
テナントは出入りが多いが、返ってそれが経営的にもメリットになっている。
この貸しビルの特徴は、小スペースに対応するだけでなく、入り回は贅沢なエントランス、
エレベーターまわりになっており、 一階共同スペースは一流ビルの豪華さだ。共同ビルのト
イレ、喫煙室、会議室、屋上施設も常に利用者の満足をくすぐる施設になっている。
この二つの不動産提供者は、初期設備投資を抑えて一日も早い回収を狙ったりせず、空室
になるのをできるだけ避けて、他社物件よりも顧客満足を得られるようにしているのだ。
貸室業は回転主義だという真髄を理解しているのである。
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