マーケティング活動の中では、販売促進が大勢を占めていると思われている方がけっこう
多いが、そうではない。マーケティングでの最重要のものは商品政策であると著者は信念を持っている。
販売促進活動というのは、字の通りいかにして売上を増大するかの政策であり、このため
に費用を投ずる目的は、当然売上増大のためである。その売上増大のためのトップの発想は、
単価を上げるか、客数を増やすかどちらかである(売上=単価×客数)。
販促の中で宣伝・広告の領域というのは、主に買い上げ顧客数を増やす政策であり、その
方法は五つであるc
①会社のブランドなどのイメージを良くし、ブランドロイヤリティを高める。
② コストパフォーマンスの商品の提供―良くて安いお値打ち品の提供。
③売れるときにいかに数多くスピーディーに販売するか、販売体制、管理力のレベルアップ。
④宣伝・広告の実施。
⑤商品構成の充実―品ぞろえ。
①も宣伝・広告の領域かもしれないが、宣伝・広告のジャンルは五つの中の一つというこ
とである。
世間で広告が目に付くのは、TV、新聞、雑誌その他にみられるように景気の良いとき、
すなわち良く売れる時世に宣伝・広告費が多く使われているということは、節税的な要素が
多いのではないかと思う。
本当に宣伝。広告にお金を使うときは、不景気で「モノ」が売れないときでなくてはならな
い。不景気なときに広告費を削減するのはうなずけない。
この現実をみても、いかに宣伝・広告費の領域が必要上行なわれていないかがわかろう。
経営者も、それが絶対必要かと思っているかどうかも疑問だ。
マーケティングの本質を考えるならば、実行されていることは反対である。宣伝や広告だ
けでは、「モノ」は決して売れないと経営者は薄々は感じている。税金をたくさん納めるぐら
いなら、広告費でも使うかといったことや、他社もやっているからという主体性のない分野なのかもしれない。
①のブランドイメージを良くすることから手がけるのが、常道ではないか。良いイメージ
を付けるには、基本的には「待つ」という姿勢である。そのベースはロコミになると思う。キャ
ンペーンとかイベントとか、「陽」の販促と、その反対の「陰」のものがあるが、パブリシティー
とかは「陰」であり、派手さがなく時間がかかる。
企画や広告の専門家は「陽」のほうをまず提案してくる。集客第一の方針で実際の成功、不
成功は別問題かとみられる。単なる景気付け、賑やかしの感がないでもない。アドバルーン
を上げて、風船やサンプルなど手渡しても、人の動員だけが頭にあるとしか思えないイベン
トもよくみられる。
これは本来の姿ではない。
「陽」と「陰」はまた「動物」と「植物」の関係でもある。動物は一日中餌のある場所を求めて走
り回るが、植物はたまたまそこに落ちた種が根をはる。動くことは不可能で、そこで精一杯
生育する。
経営者は、いたずらに「陽」のやり方を求めず、植物的「待ち」の商法で、自社の固定ファン
とか地域をつくり、時間に耐えていくことである。
大型小売業などでオープンのときに、多くの客を集めるが、人多くしてサービス不在とな
ることが多い。 一時的に集中すると店員は不慣れでまごつき、期待してきた客は逆効果とな
り、「もう三度と来たくない」という印象を残して帰っていく。宣伝すればするほど逆効果で、
恐ろしいことになる。
一人の客を満足させることが、基本的には販促につながる。それが二人、五人となり、固
定客となってくるのだ。 一時に人が集まれば、それが成功ではないのである。知らしめるた
めなのが広告なので、急ぐばかりが能ではない。社内の体制が整ってこそできるものである。
他人の知らないことを求める顧客が多い今の時代に、周知させる広告が通用するのかとい
いたい。成熟の時代には、知られていないことが、広告になるのだ。
販促活動というのは①反復、②季節先取り、③刺激というのが三大原則である。
①反復=は、繰り返し繰り返し継続し、途中で休まない。 一発打上花火は景気付けだけ
で真価ではない。反復連打、これに過ぐるものはない。
②季節先取り=は、テーマ先取りの手を打つことで、他社でやっているから……では、
二番煎じで無意味。
春の対策であれば桜のテーマを二月に使う。満開の頃ではもう遅い。また秋では栗は
九月に打ち出す。
販促は前へ前へ進むことに尽きる。
③刺激=刺激はびっくりにつながる。あっと驚くような、めだたせる手を打つ。意外性
である。めだつことは広告の原則である。めだたないのは、商人マインドからして価
値はあり得ない。
以上の三大原則を的確に企画し、実行するには、専門業者と綿密なプランを立て、長期販
促をめざすべきである。しかし、その間の問題で、販売管理の不徹底があまりにも多いこと
が見られることだ。要するに後始末問題だ。プラン・ドゥー・シー、チェック、コントロー
ルを単なるスローガンとせず着実に繰り返すべきである。反省を重ね、次回やるときは策を
検討・調査し、マネジメントサイクルの循環へと持っていくべきである。効果をとらえにく
い分野だけに、効果をとらえられるようにすべきだし、経営者もそれを要求しなければいけない。
販促反省会では、議事録を作成し、長期継続を図るデータとして活用することも大切である。
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