差別化戦略の推進策としてCIがある。
マーケティングの領域からみれば、CI(コーポレートアイデンティティ)中でまず採り上
げられるべきものは、MI(マインドアイデンティティ)であって、CIそのものではないの
だ。
MIによって経営の原点づくり、社員の行動指針からスタートしなければ意味がないと私は信じている。
MIに並行して、ビヘイビァアイデンティティを打ち出す。高級洋菓子店として知る人ぞ
知る有名店、芦屋に本社を置く「アンリシャルパンティエ」のMIの実例を示す。
(実例〉
アンリの誓い
①私達は、吟味された素材を使い、こだわりのある手づくりの温かさを感じる商品
を提供して、生活文化の満足感を満たし、人と人との潤滑油の役目を果たす新鮮
な商品をつくります。
②私達は、アンリのこだわり商品価値を認め、信頼の上にたって、お客様自身のも
のとして愛し利用してくださる固定ファンづくりを行ないます。
③私達はマニュアルを熟知し、お客様の立場にたって商品の鮮度と斬新さを維持す
る創意工夫に務め思いやりの精神、気くばりに徹した仕事をいたします。
④私達は経営理念の下に自由奔放で豊かな発想ができるクリエイト人材共通の目
的をはっきりもてる信頼される組織人材をつくります。
⑤私達は完全な商品サービスの提供により、お客様との人間関係の確立継続を図り、
「芦屋のアンリシャルパンティエ」のブランドイメージをみがきます。
⑥私達は「昼さがりのお茶をゆっくり飲める」の創業精神の下、新時代の先取り感覚
と伝統的な手づくり本物指向を兼ねた商品を提供し内外ともにおしゃれ感覚をみ
がいた店舗づくりを行ないます。
また、CIと間違われているVI(ビジュアルアイデンティティ)は、内容的にみるとBI
(ブランドアイデンティティ)だけに重点が指向されているのではないかと思われる。ブラン
ドには、商標だけではなく五感に訴える味がはいってくるのが本当だ。
「アジ」の良さがあって、それに光り輝くものがなければならない。
商標を近代センスに変えたからといって、商品の本質が変わるかどうか、日のごまかしで
はないかと思われる点もある。マーケティングの世界は、見た日の虚飾だけでは受け入れら
れない。本質は光と「アジ」ある風味だ。化粧と一緒であれば、化粧は落ちるものである。
販促でもビジュアル的にセンスのあるほうが良いが、今、日につくものは、すばらしいデ
ザイン化だけが先行し、どの看板も大同小異、「アジ」がないのではないか。
東京の某ハンバーガーチェーン店が、差別化を推進するために、CIを導入していると新聞で
① 一五年間使ってきたマークを変える。
②商品の高級化。
というものである。
さらに「当初はVI(ビジュアルアイデンティティ)に着手、マーク、看板などの変更を考
えていた。が、外観だけでなく内容も徹底的に変更、グレードアップする必要の判断」で今
回のCI導入になったという。
私のCI理論からすると、こうしたCI導入は成果が疑わしいと考える。前向きに取り組
むCIの姿勢は多としたいが、まずCIとして着すべきはMIとBIの実施である。
MIとはマインドアイデンティティのことで、経営のポリシーをトップの下で集約し、思
想を統一することがなければ、マークだけを先に変更しても、ドレッシングだけの厚化粧に
終わってしまって、すぐにハゲてしまう恐れがある。
ポリシーの確立に全社一九となってトップの下に研修を重ね、金太郎アメの体質として、
本当のやる気づくりを練り上げて、定着せねば無意味だ。
ついでBI(ビヘイビァアイデンティティ)の実行で、社員がMIに沿って同一使命感で行
動することである。まずBIの確立、その管理の徹底が重要である。
我が社に恥じないMIができ、 一人ひとりがアイデンティティを持ってBI行動が具現さ
れるとき、本当のCIが確立されるものである。
マークを変更するのは、VIの中の一つBI(ブランドアイデンティティ)マークアイデン
ティティに他ならない。
本当のビジュアルとは、外観の色形を変えることに端を発するが、私は目に見えない部分、
例えばサービス、店舗の雰囲気、また心に映る部分、きびきびした態度、言葉、清潔感、音
の部分等々もビジュアルとみたい。
さすれば、CI導入とはこうした面の具体化が、顧客に反映しなければ、活性化は図れな
いと思う。
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