経営展開の中で、企業として成長し発展していく段階があり、成長が限界に達すると、今
度は徐々に衰退へと下向し、成長活動がなくなってくる。
そうした時点で、それは「ライフサイクルを迎えた」と早合点する場合があるが、大きな問
違いであるといわぎるを得ない。成長の山をめざして遮二無二働き、ある程度業界の地歩を
築き、同業者からも認められたという段階で、全社的に安心、安堵の気持ちが芽生えてくる。
互いに持たれ合い、馴れ合いとなり、誰かが何とかやってくれるであろうという、相互依存
意識が企業の活性化を崩してくるからだ。
それは、社歴とかライフサイクルというマーケットの衰退ではなくて、実は我が社の組織
内に安住意識がはびこってきた結果である。病源菌はこれだ。この馴れ合い、安住意識を削
ぐため、大手の有力企業が実行しているのが、事業部制であるといえる。
商品別(地域別)に複数の事業部をつくりその長たる事業部長には、担当する商品(販売地
域)についての製造・購買・販売などの権限を大幅にまかせ、部門損益形態を明確に、どん
ぶり勘定を追放し、独立採算制を実施し、事業部利益責任がはっきり負わされ、成果配分も
明確に行なっていく一方、だめな事業部は縮小・閉鎖を行ない、信賞必罰もはっきり行なわ
れる活力ある運営を行なっていかないといけない。
常に、大企業でもないのに大企業病に冒されないように、活力ある小企業の集まりの組織
にしなくてはならない。
一方、この事業部を発展させて分社化へ持っていこうとするほうが良いと筆者は考えてい
るが、中小。中堅企業が分社―子会社制度の組織にしようとすると、そのトップたるべき人
材が育っていない場合が多い。子会社の″社長クに擬せられる人物がいないということだ。し
たがって、分社制―子会社制は無理で、社長が統制できる事業部制のほうが、利益創出の最
良の方法である。
事業部制を実施して、堅実な成長をみたときに、組織のリストラクチャリング(組織再編成)
としての分社制を考えるべきだ。中小。中堅企業では事業部制に如くものはないと思う。
今や経営には、「ヒト」「モノ」「カネ」だけではなく「マーケティング環境」と「情報コミュニ
ケーション」が必須の条件となってきている。供給過剰の時代になってきているから、なお
さらである。
どのような制度でも欠点、弱点はあるものだ。企業の規模、体質に合った制度を導入して、
この欠点、弱点から遠ざかることが賢明であり、中小。中堅の企業の場合は、まず社内組織
を小さく分けた事業部制として運営すべきである。
一方、大企業の場合では、事業部制が優秀すぎるために、それが運営上の欠点となって、
いわゆるク垣根崩しクが思うようにいかず、壁となって事業の調整もままならないことになっ
てくる場合もある。
各事業部は、我が事業部の製品をつくるのに一所懸命となり、他部門の製品を知ろうとせ
ず、見ようとしない。したがって、新しい技術開発は閉鎖されることになってしまう。
技術開発の基本であるA製品とB製品の一部をドッキングさせてだ製品、あるいはF製品
を生み出すことができない。またB製品とC製品を合体させてσ製品を開発するということ
もはなはだ困難な場合がある。
悪くいえば各事業部が、てんでばらばら、我が部門、我が事業部だけのことで一杯という
わけだ。
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