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セールスマンの採用

私がコンサルティングを通じて痛感しているのは、どの経営者でも共通して考えているこ

とは、我が社のセールスマンは、他社のセールスマンに比べて個々の力量が劣っていると思

い込み、悩んでいるということだ。

「うちのセールスマンは、売ってこない」

「よく売ってくれるセールスマンがほしい」

というようなことは、必ず中小企業の経営者から聞かされることだ。初めから優秀なセー

ルスマンがほしいというようなク青い鳥″指向とでもいえる夕ないものねだり″

、これは根本的

に誤りであるといわぎるを得ない。

初めから個々の人間に対して、セールスマン向きであるとか、また不向きであるとか結論

付けをしてしまう。これが基本的には間違っていると思う。

一般的にセールスマン向きと思われているのは、外見上明るく陽気な性格で社交性に富ん

でいる。また、活発で行動的、ものおじしないなどというタイプの人というイメージが持た

れている。こうしたタイプは、また裏返すとマイナス要因として、熱しやすく冷めやすいタ

イプが多く、感情の起伏が激しいという面がある。

私の経験をいわせてもらうならば、各企業のトップセールスマンといわれている人達共通

の性向としては、誠実の人、企画的な人、そして静かに燃えるというタイプが多いのだ。こ

のタイプの人は、先に述べた例には反対の人で、実際付き合ってみると決して世間でいうセー

ルスマンタイプではない。

一般論としてある性格が、外交性がセールスマン向きで、内向性がそうでないというよう

なとらえ方は、結論的に間違っていると断言できる。だから世間でいうセールスマンタイプ

的の人と決めつけて、間違った資質を信じ込んで、採用面接をやっていてはク百年河清を倹つ´

(いつまで待っても実現する見込みがない)に等しいといいたい。

生まれつきのセールスマンタイプだとか、不向きだとかは、私の経験ではあり得ないといっ

ても過言ではないし、私の信念もそこにある。

本人自身の希望があるにしても、基本的に使命感があり、仕事が好きであり、人間性とし

ての基本的資質のある人は、全てセールスマン向きだと思う。ということは、セールス能力

とは基本的に後から開発されるべきものであると思っているからだ。

我が社の商品力、企画力、信用力などの経営者の責任範囲にあるべきことを、棚に上げて

置いて、セールスマンに向かって、「売ってこない」「よう売らないのか」という一辺倒の態度

を持っている中小企業の経営者、トップ陣があまりに多いことである。

能力開発という経営者のやるべき責務を忘れて、他力依存型のセールスマンの採用をはじ

めるべきでない。

不良在庫をゴマかしてでも売ってくるセールスマンなどを、トップセールスマンと称する

向きも多く見受けられるが、営業力の発揮とはそのようなことではない。

生産管理ができる、物づくりの上手な人であれば、営業をさせても十分発揮できる可能性

がいくらでもある。また、工場の従業員を、その気にさせモチベーションを上手に引き出し

ている現場長クラスの人なども同様だと思う。

要は交渉力、説得力の問題ということである。

社歴のあるセールスマンが販売力があり、経験の浅い、若いセールスマンの力量が劣って

いるかというとそうではない。まじめにセオリー通りに動いているほうが、結果的には販売

力を発揮するものなのである。

我々は、動かないベテランセールスマンのほうが、販売実績の低い例をよく知っている。

平均六〇点以上の点数のとれる人であれば、誰でもセールスの分野で活躍できる。ただし、

人間としての基本動作のできない人、約束事の守れない人など、ルーズな人間的な面で問題

のある人は、どの分野でも同じようにセールスマンにも向かない。

私は、セールスマンが悪いから、ダメだという見方をしたことはない。悪ければ採用や異

動などで入れ直し、教育・訓練すればよいわけだ。 一人や二人のセールスマンによるトップ

の考え方が間違っているのである。 一人や二人の剣豪がいても、戦には勝利できない。

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