総資本を減らせという場合、マーケティングという領域から考えると、在庫量と売掛金と
受取手形の二つのポイントとなる。この三つに対しては、絶対に甘い対応をしてはいけない。
マーケティング面から財務とか商品開発の部門に私が傾倒していった理由は、在庫圧迫の
事例の体験にあった。
在庫量が少ないということは、売れる商品を開発することで、売れる商品は在庫量をとや
かくいうところまでこない。売れない商品が在庫になっている。在庫を減少させるにはセー
ルスマンの努力もさることながら、基本的には売れない商品を仕入れたり製造していること
につきる。
その結果が在庫という形で現れるので、売れる商品をつくろうということになってくるの
は当然である。
売れる商品であれば、その代金回収も早い。また、受取手形のサイトの長いものであれば
お断りもできることになる。財務面の改善とは商品力の強さということに結局、帰ってくる。
財務戦略の強い企業というのは、マーケティングの強い企業ということに結果なってくる。
ハードな「モノ」を売っている企業は常に在庫になる。したがって在庫が少ないということ
は、原価率が低くて粗利益率の高い会社ということになってくる。
今後の経営を考えた場合、絶対的にマーケティングカの強い企業になっていかないといけない。
財務面で強いとか、販売力が優れているとかいってみたところで、マーケティングの強い
企業が生き残り、勝ち残っていくことは必定である。
〈実例〉F社
オイルショック後、輸入商社として、在庫が二〜三カ月に膨張していた。在庫は幹部でも、
最低でもニカ月は必要だと思っていた。そこで、私は「○・五カ月にせよ」といった。絶対に
できないといい、逆にこのコンサルタントは業界に無知ではないかと反発していた。ある幹
部は「TR在庫というものがある」という。船積みされて今船で運ばれている在庫のことで、
アメリカやアフリカの西海岸から運ばれてくる木材は、TR在庫といわれている。これを在
庫とみなせば、とても〇・五カ月どころではできないというわけだ。
しかし、○・五カ月を絶対条件として考えない限り、会社は経営上問題点が多くなって、
危機に陥ると強調した。
二年後に、好収益の会社に転換してくれた。その決算書をみると、末期で○・五カ月の在
庫量になっていた。TR在庫について質問してみたら、その幹部は「売ってから仕入れに行っ
た」という。売ってから買いに行くという方法のタネ明かしは、商品である。「丸太」を現地で
一本一本写真を撮り、それをサンプルとして販売してしまったのである。
できないといってしまえばそれまで、同業者もこれくらいは持つのが業界常識といっても、
世の中は原理原則で動いている。他社より多くの在庫を持ち、他社より多くの売掛金を持ち、
どこより長い手形を受け取っていたのでは、経営は成り立ち得ないのである。
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