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経費は抑え込め

平成六年(一九九四)末で日本には税務申告を行なった企業は二三七万社あった。だが、そ

のうちの六〇%の企業が赤字決算と、現状は厳しい。さらに黒字の企業といえども、その売

上高に対する法人申告所得の比率は全企業平均三%にすぎず、小売業では二・五%、卸売業

は下三%である。

高度成長期、好況期のときなら面倒くさい管理をしなくても、年一回の税務申告の際には

利益が出て、節税を考えたものだが、いまや、そのようなことは期待できず、真のプロフェッ

ショナルな経営者が求められている。売上高がこれこれしか期待できないのであれば、その

なかからできるだけ経費を切り詰めていく、キメ細かな管理能力が問われているのである。

売上げ増大という美名のもとに、当然のごとく交際費、宣伝広告費、販促費、営業人件費、

交通費など必要経費を使う。だが経費を使うのはあくまでも手段である。それだけに、効果

の測定が明確でなかったら、やめるべきである。利益を出すためには管理費も必要なことは

わかるが、ムダはないだろうか。この際、思い切って組織を簡素化し、事務所の人員、ホワ

イトカラーの人間をカットし、ダラ幹とも言える役員陣は半分に減らすことを勧めたい。

地方で歴史ある某建設会社は、バブル崩壊不況のさなか、古参役員の三分の二に退陣して

もらい、若手役員を登用したが、全体の役員数も半分に減らした。役員だけでなく、部課長

クラスも三分の二に減らしたうえ、全社員の二〇%を配置転換や移籍でカットした。さらに

年間賞与もゼロという大ナタを振るった結果、その年度は売上げ横ばいながら黒字に転じ、

その次の年度は増収・増益で賞与も過去最高を支払ったという実例がある。

戦後五〇年間ほぼ一貫して続いたインフレ経済に加え、バブル景気の際に、実力以上に、

または投機を当て込んで背負ったお荷物を企業は多く抱えている。固定経費の中身は人件費

が大半を占め、さらに減価償却費、借入金返済、支払金利が続く。

序章で申し上げたように、もう日本的経営とは訣別しなくてはならない。だが、中小企業、

中堅企業ではインフレ経済に慣れ切っているだけでなく、長らく人手不足に悩まされてきた

だけに、欧米式のリストラと称する人員整理をやれない。年輩、社歴の長いパートタイマー

ですら解雇できない始末だ。固定資産の圧縮処分をせずに、減価償却、借入金の返済をし、

金利を支払わなくてはならない。

企業が赤字に陥るということは、固定費を吸収するだけの粗利益高が獲得できないからで

ある。しかも売上げの低下、粗利益率の低下という難問題に直面しているだけに、痛みの伴

う決断と実行は、いまや待ったなしといったところである。

二一世紀は、地球規模での優勝劣敗を賭けた、厳しいワールドリーグである。日本だけの

ナショナルリーグや特定の業界、地域に限られたローカルリーグではないのである。自然淘

汰の哲理に身を任すか、自らの責任で体質を変えるべきかは、トップの考え方いかんである。

知識だけあっても知行一致の行動なくしては、経営はやっていけない。ダイナミックに、時

を失せず、手を打たない限り、待っているのは倒産である。

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