なぜ、このままでは企業の腰は弱くなってしまうのか。そのわけは「売上げ至上主義」の蟻
地獄に入ってしまうからである。
私も「利益創出請負業」の経営コンサルタントとして、クライアント企業のなかに入って、
一緒に経営難題に日夜取り組んでいる。目的は「利益創出」である。その手段として売上げ増
大がある。企業目的は、決して売上高を上げることではない。しかし、いかなる時代であろ
うとも、やはり「売上げ増大はすべてを癒してくれる」こともまた真理である。ただダメな経
営者と私との違いは、同じように売上げ増大を願っても打つ手が異なり、各々の企業の持つ
エネルギー(人材。商品・資金)と経営環境をとらまえて、どこへ重点を置いて手を打つか
が異なるのである。
「売上げ」となったとき、ほとんどの方はP/L (損益計算書)を発想されるが、売りたい―
売りたい― が先に立つと、まず品揃えが増え、多品種となる。そのため在庫(原材料、仕掛品、
製品)は膨らむ。そして粗利益率が低下する。回収条件も悪化して、当然、売掛金の回収日
数が長くなり、無理して売れば受取手形も多くなるというB/S (貸借対照表)発想ができ
ず、またその結果、不渡り危険度が発生する。各地に展開するために営業所や出張所などの
拠点が必要となり、営業マン、事務員、車両なども増えて、販売経費が増大していく。
経営者のなかには、意外と売上げ規模ランクを気にされている方々が多い。日では決して
会社の大きさを自慢しようと思っていないとおっしゃるが、その企業の年間売上高、社員数、

営業所数、工場数、建物規模などにこだわっ
ており、資本金や年間利益についてはお話し
になりたがらない。これでは、古い時代の戦
国時代の武将のように、全軍を配して「進め」
の号令をかけ、重い甲冑を身にまとって戦っ
ているのと同じである。
勝ちたい(売りたい)、勝ちたいと思うとき
にはむしろ、自然と勝てる(売れる)方策を打
つべきである。
図表21 2に示したように、時代は市場が
成熟期に入っているのである。「無理して売
る」のではなく、「自然と売れていく」ように
もっていくべきである。競争手段としては、
商品力が優れ、それに比して値ごろ感があっ
て、そうして人間一人ひとりのマンパワーで
勝負するのではなくシステムカ・企画力で勝負すべきである。
したがって各企業における経営のプライオリティ(優先順位)の高さから言えばマーチャ
ンダイジング(商品化)力と情報システムカ、そしてマネジメントカという順になる。
これらを解決するには、その企業に「マーケティングカ」と「イノベーションカ」が備わって
いるか、いないかである。決して難しくは言いたくないが、最新の技術、情報処理技術(コ
ンピュータ)、通信ネットワーク、新販売システムを組み合わせ、他を圧倒するパワーや価
値があれば、必然的に売れていくのである。
私が経営コンサルタントとしてスタートした昭和四七年(一九七二)には、アルミサッシ業
界では日軽金と吉田工業がトップクラスで、三位グループが三協アルミ、不ニサッシであっ
たが、いまやトーヨーサッシ(現リクシルグループ)が圧倒的に強く、トイレタリー業界で
は花王、ライオン、サンスターの三社が上位を占めていたのに、いまでは花王がダントツに
強い。これだけの差がついた理由は、営業マンの技量や販売会社(代理店)の数ではない。す
べてマーケティングカとシステムカの差で、この差がついてしまったのである。
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