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機械は二四時間三六五日稼働させろ

静岡市に「三ケチ」と呼ばれている企業がある。その二つのケチ会社とは、静岡銀行、シャンソン化粧品、それとスター精密である。

スター精密は、株式を一部上場している時計のリューズ、ネジ、歯車などの部品をつくっている会社で、なんと世界の七五%ものシェアを誇る優良企業である。しかも昭和二四年(一九四九)の創業以来五〇年近くも製品単価を上げたことがないということで、それによって世界の七五%ものシェアを獲得したのである

この工場へ行くと誰でもびっくりする。ここでは一日二四時間三六五日、 一年中休みなしに全自動無人機械で製品をつくっている。

精密機械で極小のネジやリューズを自動生産している。人ひとりいない工場で数百台の機械が整然と動き、ネジを生産している光景に私は感動した。

工場には機械だけがズラーッと並んでいるので、よっぽど注意しないと、どこで極小のネジが出来上がっているのかわからない。よく見ると機械の内側に茶こしのようなもの

があり、そこにコトン、コトンとネジが落ちてくる仕組みになっている。

スター精密の工場は、他の工場より三倍動いているので、減価償却費は三倍も多く、それだけ早く償却できる。こんな税法があるなんて初めて知った。

土地は減価償却できない。建物・機械に対して認められている。だから、固定資産のなかでも私が最も重視する機械が、他社の三倍のスピードで減価償却できる。

私は、とくに素晴らしい機械が好きである。そもそも機械は、人間と違って裏切らないし、文句を言わない。それでいて減価償却はキチンとできるのだから、大好きだ。

業種・業態によって、設備、内装、雰囲気など利益を生み出す程度にそれぞれ差があるので、一概に何がよくて、何が悪いというようなことは申し上げにくいが、人間の労働、額に汗する労働はできるだけ機械などの設備投資で行なえるよう、経営を変えていく工夫が大切である。

もう一つ例をあげよう。長崎市に本拠を置く「浜勝」というとんかつ屋さんがある。現在ではリンガーハットという長崎チャンポンの会社のほうで有名で、こちらは大証二部に上場するほどの大企業にまで成長した。昭和四九年(一九七四)に長崎の繁華街。思案橋にラーメン屋を一軒、新規事業としてスタートさせた。ところが、いつまでやってもいまひとつ売上げが上がらない。

とくに投資金額(保証金、内装費、設備)の割に予想した売上げがどうしても上がらず、伸びない。しかも家賃が高いので、当時の売上げでは、商売も青息吐息。

思い余ってあるとき、閉店後の午後一〇時以降から明け方まで他人に店を貸した。固定費の家賃負担を少しでも軽減しようという苦肉の策であった。

貸した店舗が深夜営業を始めたところ、客数は深夜のほうが多いことがわかった。そこで同社は、二号店からは二四時間営業に切り替えた。

以後、土地、建物の安い郊外で二四時間営業の店舗を積極的に展開し始めた。当時は、長崎で深夜などに働く従業員が集まるだろうかと心配したが、翌昭和五〇年に長崎県が見舞われた造船不況もあって、従業員は集まり、郊外店舗の展開は軌道に乗り、スピードを上げていった。

その当時、私はリンガーハットの経営指導をしていたが、郊外店舗の展開を始めたのはそのころからであった。私の経営手法の大切な一つの柱として「工場でも、店舗でも、二四時間三六五日稼働すれば資金回収は早い」という確信のあるセオリーが出来上がったのは、私にとっては貴重な経験でもあり、またヒントにもなった。

どうせ、工場を建てるのならば二四時間フル操業で動かさなければならないということである。

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