コンサルタント「月商の三カ月分も在庫をかかえているなんて、まったくこれはひどい」
経営責任者「先生、そうなんですよ、もっと大きな声で言ってください」
コンサルタント「いったい、誰に言うのです」
経理「営業にですよ。何度口をすっぱくして言っても在庫を売ってこないのですよ」
営業「冗談じゃないよ。価格は高い、性能は悪い、自分たちだけでいきがっていい製品だ
と言ってつくっても、 一つも売れっこない」
生産「価格が高いだと。だいたいわが社の経理は下請け先に支払いが悪い。それにあの製
品を企画したのは現場を知らない開発企画担当だろうが」
開発企画「あんなものをと言うが、言わしてもらえばそもそも社長があれをつくれとおっ
しゃったのですよ」
コンサルタント「……いやはや」
ほとんどの中小企業では、会議となるとこうしたやりとり、責任のなすりあいを多く見聞
きする。そしてこういう会社ほど在庫を多くかかえているにもかかわらず、その対策が立て
られず、当然ながら低い収益性に悩んでいる。
収益性の悪い、弱い会社の共通点は、
①正確な月次実地棚卸しがされていない。
②月次在庫表がなく、あっても不正確。(毎日でもよいが)
③倉庫部門は、どの部門でも不合格だった人材の吹きだまり場。
④商品に伝票が付いておらず、伝票がなくても商品が動くずさんな管理。
⑤棚卸しの結果、デッドストック(死)、スリーピングストック(寝)、ランニングストッ
ク(生)の区分けがなく、状況対策もなし。
⑥仕入れのための発注部門・購買担当が不明確。
業種や業態によって、在庫管理はどの役職が行なうのか。この役職が、誰が、という決め
られたセオリーはないが、絶対に責任を不明確にしてはならないことだけは確かである。で
は、この問題の解決をどのようにしたらいいのか、次にそのために必ず守らなければならな
い、必須条件をあげよう。
●経営管理部門者は、企業の資産管理の責任者として毎月末に実施する棚卸しには必ず
立ち会い、正確な数値を把握する責任がある。
●製造(仕入れ)責任者は、つくったもの、仕入れたものが、その後どのようになってい
るかという、後のフォローをする責任がある。生みっぱなし、つくりっぱなしにはし
ないで、それが売れて実際に「お金」となる資金化まで見届ける責任がある。また、売
れないものはつくらない、売れるものだけをつくることを心掛けなければならない。
そのためには、つねに、何が売れているか、そしてその理由はなぜか、ということま
で調べることが必要である。これを怠れば、何をつくり、何を仕入れたらいいのかわ
かるはずがない。
●営業責任者は、いったん「売る」と決めた限りは「売り切る」責任がある。もし、当初の
当てが外れ、製品がスリーピング化←デッド化するようであれば、製造・仕入れ担当
者に直ちに報告・連絡・相談(ほう。れん。そう)をし、 一刻も早く次善策を打ち出す
責任がある。
●倉庫管理責任者は、製品、商品の人気、凋落、不人気傾向などは、倉庫、物流、管理
をまじめにしていれば、日でわかり体でわかり、実感できるはずである。売れっ子は
ほったらかしておいてもどんどん売れていく。問題は不人気商品で、これをどうする
か。ほったらかし行為は人間として、また自分の会社でつくり、仕入れた商品なのに
愛情がなさすぎる。倉庫にいつまでも眠らさずに早く出してやる工夫が必要だし、倉
庫スペースの回転を上げる責任がある。
どんな優良会社でも、不良商品、不良原料、不良仕掛品は出る。ただ、優良会社が他の収
益性の悪い会社と違うところは「何が不良品で、何がよく売れるか」という情報が社内のコ
ミュニケーション・パイプを通していち早く伝わる点である。だからつねに、早め、早めに
手を打つことができる。
これに対して弱い会社ほど、規模こそ大きくなっても肝心の情報のコミュニケーションが
詰まったり切れたりしているので、経営はマヒ状態に陥り、市場の反応にも鈍感で、手当て
して直さなければならない箇所、痛いところがどこか、という正確な情報が、トップをはじ
め必要な部署に伝わらず、ついにはウミを持ち、悪性のガンになるまで気づかないのである。

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