社長は、会社のトップに立つ人なのだから、成せば成る、世の中にできないことは絶対な
いという自信がないと、人を引っ張っていけない。
ところがT万、世の中だれがどうやっても、できないことはできない、ということがある
のも真実だ。この二つのまるきり反対のことを、同時に頭に入れて矛盾を感じない、これは
経営者にとって大事な心得だと思う。
絶対にできる、と言っておきながら、できないものはできないとも言う。実際の経営は、
このような裏腹な言葉の繰り返しの中にあるのではないだろうか。
必ずできると社長自身が思い込まなければ、部下にやれと命令できない。しかし経過をみ
ていて、これは危ないとみて、撤退だと指示できなければ、経営はできない。これは微妙で
難しい問題なのだが、社長なら何となくつかんでいただけることだろう。
生真面目さを大事とする一方で、不真面目でないと発想の幅が広がらないとも言う。何事
も迅速に対応しなさいと言っている一方で、拙速はよくない、なぜもっとじっくり煮詰めて
から実行に移さなかったのだと注意する。ときには情け容赦のない鬼となり、ときには慈悲
にあふれた仏となる。鬼も仏も両方とも頭のなかに共存させていないと、社長の仕事は務ま
らないのだ。
社長のロマンを理詰めで数値化した長期計画を実践するうえで、当初の目的を十分に達成
するためには、矛盾したことを同時に頭に入れて矛盾を感じない、この発想が必要である。
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