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修正計算

いま述べたように、営業外損益すなわち金融費は、ほとんど社長の勘で七九〇〇万円と予

定していた。それが五一〇〇万円で済むと確定されたのである。

したがって、運営基本計画では、営業外損益の欄以下が変わってくる(第19表第二次修正)。

経常利益が一億九〇〇〇万円から二億一八〇〇万円に、税引前利益が一億六四〇〇万円から

一億九二〇〇万円に、当期純利益が八〇〇〇万円から一億八〇〇万円に、そして差引内部留

保が七六〇〇万円から一億四〇〇万円に変わってくる。

ここで問題なのは、税引前利益だ。現在、運営基本計画には税引前利益が一億六四〇〇万

円のままになっているが、前回の税金計算は、それ以前の一億六二〇〇万円の税引前利益を

前提に行っている。ところが、金融費が変わった結果、税引前利益は一億六四〇〇万円から、

さらに一億九二〇〇万円に大幅に変わってしまった。そもそもの前提が変わったのだから、

税金も変わらぎるをえないだろう。はたしてどうなのか。改めて税金の計算をしなおす作業

が必要になってきたのである(第20表第二次修正)。

そこで、税引前利益一億九二〇〇万円を基にもう一度税金計算をしてみると、この

一億九二〇〇万円に当期の事業税引当金三二〇〇万円を足し、直前期の事業税引当金

一八〇〇万円を引いた一億九六〇〇万円が、当期の課税利益ということになる。事業税の税

率を仮に一三・二%とすると、 一億九六〇〇万円に対する事業税額は二六〇〇万円だ。また

法人税等の税率を五〇%と仮定すると、納税充当金は九八〇〇万円となる。三二〇〇万円

と思った事業税が二六〇〇万円に増え、八四〇〇万円を予定した納税充当金が九八〇〇万

円に増えたのである。事業税と納税充当金の合計で、前回一億六〇〇万円だったものが、

一億二四〇〇万円に増えたのだ。そうなると、この新たな数字を基に、運営基本計画をさら

に修正する必要がまた出てきたことになる。

そこで、事業税を二六〇〇万円、納税充当金を九八〇〇万円に修正すると、営業利

益が二億六九〇〇万円から二億六五〇〇万円に、経常利益が二億一八〇〇万円から

二億一四〇〇万円に、そして税引前利益も一億九二〇〇万円が一億八八〇〇万円に変わって

いく(第1

9表第四次修正)。

そうすると、税引前利益が一億九二〇〇万円から一億八八〇〇万円に変わったのだから、

当然、資金運用計画の数字も変わるかもしれない。したがって今度は、この数字を基にさら

に資金運用計画をチェックする必要が出てきたことになるわけだc

このへんまでくると、特にはじめて長期計画に取り組む社長は、さすがにいい加減うんざ

りしてくる。気持ちは分からないわけではない。長期計画の勉強会をやっていても、このヘ

んにさしかかると、たいていの生徒は退屈してしまう。「何でこんな経理のやる細かい仕事

をしなければならないのか」と、鉛筆を投げ出して「もうやめた」となる生徒が多い。それ

くらい細かい作業に感じられるのだろう。だが、実際は全く単純な計算を繰り返すだけなの

である。第二章でわたしは、執念が社長の条件のひとつだと書いたが、こんな計算の繰り返

しには執念というほどのものも要らない。少しの我慢は必要だが、電卓片手にほんの数分の

我慢だ。要領を覚えてしまえば実に簡単で、楽しくさえなる。

要するに、繰り返しに少しは耐えてみることだろう。

税引前利益が変われば資金繰りが変わり、運用預金の残高が変わる。そうなると金融費計

画が変わり、正味の金融費用が変わる。この繰り返しだ。この手順に何とか慣れていただき

たいものである。

さて、資金運用計画のチェックにもどろう(第21表第二次試算)。

当期税引前利益は、前回一億六四〇〇万円だったものが一億八八〇〇万円に変わった。減

価償却費は変わらないが、前回三二〇〇万円だった事業税は二六〇〇万円に変わっている。

したがって、資金支出のない経費の合計は、 一億三二〇〇万円が一億三七〇〇万円に変わっ

た。長期借入金増加は変わらないから、固定資金の源泉の合計は、二八〇〇万円増えて、

九八〇〇万円から一億二六〇〇万円に変わったことになる。

次に固定資金の使途だが、税金支払は前年度の税金を支払うわけだから、当期の利益がど

う変わろうとこれは変わらない。配当金も同じことがいえる。設備投資についても社長のポ

リシーが変わらない限り変わらない。したがって、固定資金の使途の小計一億六六〇〇万円

も変わらない。ただ、資金の源泉の合計が一億二六〇〇万円に変わったことから、資金の使

途の合計も一億二六〇〇万円に変わらなければならない。

その結果、六八〇〇万円のマイナスであった固定資金余裕が、四〇〇〇万円のマイナスで

落ち着くことになったわけである。

運転資金は、固定資金余裕をマイナス四〇〇〇万円に直す以外は、買掛債務の増加も売掛

債権の増加も、あるいは棚卸在庫の増加も手元現預金増加も、すべて変わらない。したがっ

て、固定資金余裕が変わった分だけ運用預金が増え、 一九〇〇万円から四七〇〇万円に変わ

ることになる。

そうなると、当然、受取利息の額も変わっていく。ということは、次に金融費計画を修正

する作業が必要になってくるということだ(第22

表第二次試算)。

そこで今度は、金融費計画を見てみよう。金融費計画では、五八〇〇万円という支払利

息は変わらない。変わるのは、今書いたように受取利息の額である。 一九〇〇万円だっ

た運用預金が四七〇〇万円に増えたからだ。運用預金が二八〇〇万円増えたのだから、

二億五〇〇万円であった運用預金の合計が、二億三二〇〇万円に変わることになる。もちろ

ん、見返り預金は変わらない。見返り預金以外の運用預金、これまで八六〇〇万円だと思っ

ていた運用預金が、 一億一四〇〇万円に変わるのである。結果として、これまで七〇〇万円

しか入らないと思っていた受取利息が八〇〇万円になるわけだ。したがって、支払利息の

五八〇〇万円から受取利息の八〇〇万円を引いた五〇〇〇万円が正味の金融費ということに

なる。これまで五一〇〇万円と思っていた正味の金融費は、実は五〇〇〇万円で済むという

結果になったわけである。

このように金融費計画の数字が変わってくれば、当然第19表「運営基本計画」の数字も変

わってくる。五一〇〇万円のマイナスだと思っていた営業外損益が、五〇〇〇万円のマイナ

スで済むということになれば、その分、経常利益も税引前利益も変わってくるからだ。ちな

みに税引前利益は、 一億八八〇〇万円から一億八九〇〇万円に変わる(第五次修正)。そう

なると、それを基にもう一度、資金運用計画を修正し、税金や金融費もチェックし、修正を

加えていかなければならないわけだが、こうして修正を繰り返した結果、最終的にできた初

年度の運営基本計画が第23

表ということになる。

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