人件費計画の実証作業に入る前に、もうひとつ、読者に整理しておいてもらいたいことが
ある。
それは、賃上げの仕組みについてである。
毎年春闘が終わると、たとえば中小企業は四。三%、大企業は三・七%というような賃上
げ率が発表される。あれは一体どういう意味なのか、意外にはっきりしたことをとらえてい
ない社長をお見受けする。
給料を上げる、あるいは、上がるというときに、いわゆる賃上げのほかに、定期昇給、ベー
スアップという用語が使われている。この定期昇給とベースアップは、まるきり性格の違う
ものなのだが、なんとなく曖味な理解ですませている社長が多いようである。そのような細
かなことは、担当長に任せてある、というわけだ。
しかし、人件費の実証作業をするうえで、賃上げの仕組みについて一応のことを知ってお
かないと、計画のあちこちで矛盾を生じかねない。実はわたしも適当に理解していて、あと
で専門家から教えていただいたクチである。何でもっと早くに知っておかなかったのか、と
いうような次第で、これから述べるようなことは、読者諸氏には常識かもしれない。そのよ
うな方は、本項をとばして次の「実証作業」に移っていただきたい。
さて、賃上げは、定期昇給とベースアップと手当の増額からなる。しかし手当の増額も賃
上げの一部であるが、これはあくまで補足的なものであるから、中心となるものは定期昇給
とベースアップの二つである。
コメント