付加価値率(売上総利益率)を予測する実務ポイントは、年々下がる可能性が高いという
ことを前提に計画することである。
まず、ご自分の会社の付加価値率を過去三年間にわたってチェックしてみていただきたい。
三年間の付加価値率の推移を見て、もしこれが上がっていたら、むしろ稀な会社といったほ
うがいいだろう。 一般には、売上の拡大に伴って年々少しずつ下がってきているのが普通な
のである。
あるいは、極端に付加価値率が上がったり、逆に極端に下がったりしている会社もあるか
もしれない。そういう場合は、必ず社長の心に思い当たる大きな原因があるはずだ。そうし
た大きな原因がなければ、急激な変化は起こりえないというのが経営の原則である。
自社の過去を振り返ってみれば、たとえばある商品が大ヒットして、売上や利益を急激に
押し上げた、あるいは大国契約がようやくまとまって量産効果がでて利益率が改善されたと
いったような、ラッキーな経験をおもちの社長は多いと思う。同じようなことが、将来にも
起こるかもしれない。たとえば二年後に新規事業が当たって、売上や利益が飛躍的に伸びる。
そういうことも十分に考えられよう。世の中には、このような幸運なケースが少なくはない。
だが、そういう幸運は、必ず訪れてくるという保証は何もない。訪れてくるかもしれないが、
訪れてこないかもしれない。むしろ訪れてこない確率のほうが高いだろう。だとしたら、幸
運を当てにしたような甘―、計画は立てるべきではない。
第四章でも述べたことだが、そもそも長期計画というものは、何かの場合の危険率を見込
み、内輪に抑えておくべきものなのだ。ある程度低めに抑えた計画を立て、実行に移した段
階で計画以上の結果が出たら、それこそ儲けものというのが、実務家としての社長が考える
べき計画であり、経営の鉄則なのである。
そうでなくても、これからは売上の伸びも利益の伸びもあまり期待できない時代に入ると
覚悟すべきだ。
したがって、今後五年間の売上総利益率を予測する場合も、付加価値率は若千下がる傾向
にあるということを考慮に入れ、その伸び率をやや低めに抑えて想定したほうがいい。それ
が経営の定石というものであり、今では大方の了解事項なのではなかろうか。
もちろん、だからといって伸び率を抑えすぎ、付加価値率をどんどん下げていったら、今
度は会社の経営が成り立たなくなってしまう。社長としては、多少のジレンマを感じつつ、
過去の数字と相談しながら、伸び率の低下を最小限度に抑えるよう工夫しなければならない
だろうc
こうして想定された売上総利益率(付加価値率)を、運営基本計画の該当欄に記入してい
く。売上高と売上総利益率さえ決まれば、売上総利益の算出は簡単だ。売上総利益率を、先
に算出した売上高に掛ければ、売上総利益が出る。そこで各年度ごとに売上総利益を弾き出
し、これを売上総利益の項目欄に書き入れていく。また、売上高から売上総利益を引けば売
上原価が出る。これも各年度ごとに計算して書き入れていく。これで運営基本計画の上欄の
二つの項目が、すべて必要な数字で埋められたわけである。
コメント