次に、付加価値配分目標計画に書き入れた配分比率を転記する。
そして売上総利益に配分比率を掛けると、自動的に各科目の絶対額が算出できることにな
る。それらの数値を運営基本計画の該当科目欄にすべて転記していく。
たとえば五年度の売上総利益が一〇億円で、人件費への配分比率が二五%であれば、
一〇億円×○ 。二五=二億五〇〇〇万円がその年度の人件費であるというように、自動的に
算出されていく。
ここではじめて、社長の配分のポリシーが具体的な金額となるのだ。
この二億五〇〇〇万円という人件費は、現状から五年後には多分このくらいになるだ
ろうといった、あやふやな判断から弾き出された金額ではない。社員への配分を二五%
にするという、配分に対する社長のポリシーが先にあり、その基本方針から結果として
二億五〇〇〇万円という金額が導き出されてきた。これが大事なのである。
付加価値配分の過去三年間の比率は、損益計算書から拾い上げた。その数字をにらみなが
ら今後五年間の配分比率を決め、付加価値配分目標計画を立てた。そこに書き入れられた今
後五年間の配分比率を、今度は損益計算書の項目を並べてつくった運営基本計画の表に落としこんでいく。
ご面倒でも、もう一度第五図(一五三頁)をご覧いただきたい。最初は、この図の矢印の
方向を、図の矢印のように左から右へ向けて過去三年間の数字を引き入れてきた。今度は矢
印の方向を逆に右から左へ向けて今後五年間の数字を落とし込んでいく。こうすることで、
配分に対する社長のポリシーが確実に投影された運営基本計画ができていくのだということ
を、ここで改めてご確認いただきたい。
要するに、社長のポリシー、ビジョンを最初に明確に打ち出すことが重要なのだ。 一つひ
とつの数字は、最終的に決定した数字と比べれば、まだラフであるかもしれないし、おぼろ
げであるかもしれない。それでいいのである。だが、数字の一つひとつはたとえまだラフで
あっても、すべての数字にわたって自分のポリシーが反映されているということが重要なの
である。ラフでもいいから、付加価値造成にかかわる科目の配分に一つも落ちがない。これ
が大事なのだ。
ところで配分比率を転記していくうえで一つだけ問題なのは、社会配分である。社会配分
とは、いうまでもなく税金への配分だが、税金には事業税のように経費として認められる税
金と、地方税や法人税のように益金から支払う税金の二種類がある。したがって、これを転
記するときは、事業税引当の欄と納税充当金の欄の二つに分けて記入しなければならないわ
けだが、問題はその分け方だ。
もちろん、これには方法がある。各都道府県によって税率が若千異なっているので、 一概
にはいえないのだが、大体全国を平均してみた場合、税金の合計を一〇〇%とすると、事業
税がほぼ二〇〜二五%、地方税と法人税でほぼ七五〜八〇%となっている。したがつて、二
種類の税金をその比率で分ければ、おおむね間違いはない。つまり、仮に社会配分が一〇%
だとしたら、そのうちの二〇%、すなわち二%を事業税に、残りの八%を納税充当金に回し、
その数字をそれぞれの項目欄に仮に書き入れていくのである。
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