付加価値配分の絶対額を書き入れれば、長期計画の運営基本計画はほぼできたことになる。
残りの空欄は単純な足し算と引き算で埋めていけばいい。それで一通り完成である。
少なくともこの段階までは、長期計画は考えていたよりもはるかに簡単だということが、
ご理解いただけたのではなかろうか。
はじめて長期計画に取り組む場合は、付加価値の配分に社長のポリシーをいかに反映させ
ていくかということで、考えの整理に多少時間をとられるかもしれない。だが、ほかならぬ
自分の野望の実現と自分の会社の将来がかかった問題だ。そのくらいの時間を割いても、ど
うということはないだろう。むしろ、夢を描くことに時間を費やすのだから、社長にとって、
これは楽しい時間といっていい。
大ぎっぱでいいから、社長として、とりあえず将来へ向けての経営ビジョンをまとめてみ
ることだ。そして、付加価値配分の目標を数字にしてみる。今書いたように、初心者は多少
これに時間がかかるかもしれないが、それでも半日もあれば十分だろう。
このとき、計算はすべて社長自らが電卓を片手にやっていただきたい。
実際に電卓をたたいていくと、数字のもつ意味が脳裏に響いてくるからだ。ほんのわずか
なパーセントの違いが、絶対額に直した場合にどれだけの差になって出てくるかを直接肌で
感じることは、経営者としては極めて大事だ。他人の計算した結果としての数字を見るので
はなく、自分で電卓をたたき、次々に弾き出されてくる数字を実際に目にすると、社長の頭
に意外なほど事業の臨場感を与えるものである。
最初は多少の苦労をしながらでも、 一通りつくってみると、次はもっと短時間で計画が立
てられるようになる。慣れてくれば、二〇分くらいでできるようになるだろう。最善の長期
計画を立案していくには、さまざまなケースを想定し、条件を変えた計画を面倒がらずに何
通りもつくってみることだ。
たとえば、最初に社員配分を二五%と決めてみたが、現状をよく考えれば三七%のほうが
妥当なのではないか、と考え直すこともあろう。そのときは社員配分を三七%にした計画を
つくってみる。あるいは、安全を考えて売上総利益を少し下げすぎたと思ったら、修正した
計画を考えてみる。何通りもの計画をシミュレーションしてみることが、後に計画の実現性
をチェックする段階で生きてくるのである。
0乙《ケ‐ススタディ・》D精機の運営基本計画
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