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損益計算書に分配の発想があるか

だが、ここで改めて強調しておかなければならない重要なポイントがある。「経営は分配

である」という思想がなければ、付加価値配分計画は決して生まれないということである。

これに対して、損益計算書はどうだろうか。まず頭に売上高があり、いろいろな勘定科目

を差し引いていって最後に内部留保が残る。分配の発想はどこにもない。つまり、損益計算

書からは、社長の長期経営発想は生まれないのである。

ところが多くの社長は、損益計算書の発想で経常利益を大事にして、利益はいくら出るか、

利益は配当するべきか内部留保にまわすべきか、税金に取られるくらいなら一部を社員に賞

与として還元すべきか、あるいは自分の取り分をいくらにするか、といった年度単位の考え

に終始しがちである。

これに対して、付加価値経営に目覚めた社長は、あえて決算書のことばを使えば、人件費

はもとより、 一般経費、減価償却費、支払利息、各種の引当金、税金等々について、五年先、

一〇年先までの配分を社長の役割として考えていく。これこそが経営というものだろう。わ

たしが付加価値配分にこだわる理由がここにある。

たしかに付加価値の配分先は、結果として損益計算書の勘定科日と重なっていく。だが、

それは最初に損益計算書をつくったからそうなったのではない。社長のポリシーは、付加価

値の配分計画を作成する中で発揮される。こうして社長の夢やポリシーを込めて作成した配

分計画が、結果として自動的に会社の損益計算書になっていく。そのプロセスが大事なので

ある。

もう一度繰り返そう。いきなり損益計算書の発想で利益計画をつくるのは、経理の仕事で

あって、社長の仕事ではない。社長は自分の役割を果たすために、まず付加価値の分配を考

える。分配に対するポリシーを発揮すると、それが自動的に売上計画や利益計画になってい

く。これがわたしのいう付加価値経営の基本的な考え方である。

それはいわば「日標損益計算書」を、社長の役割意識で作成するともいえよう。ここに社

長がつくる長期計画の最大のポイントがあるといっていい。

では、付加価値配分目標計画は実際にどのように作成していくのだろうか。

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