D精機については、すでに第二章において過去三期分の決算書を分析してみた。その結果
分かったのが、次のような現状の問題点である。
① 売上が順調に伸びているにもかかわらず、税引前利益がしだいに下がり、このまま
では、三年前に一億八〇〇〇万円あった税引前利益は遠からず一億円を割ってしまう
だろう。それは時間の問題である。
② 売上が伸びているという安心感にバブル経済の影響が加わり、人件費を大幅に上げ
てきた。
③ 分不相応な先行投資がなされてきた。
④ それに対して、大事な設備投資を怠ってきた。
⑤ 使い放題を許す放漫経営によって一般経費がどんどん増大してきた。
⑥ 銀行から言われるままに土地投資を目的とした資金を借り入れ、営業外損益の金融
費を増やしてしまった。
以上がD精機の現時点における問題点である。要するに、バブル経済の影響から放漫体質
が身につき、第一に営業経費を増大させ、第二に金融費を増やしてきたことが、利益を圧迫
し、D精機を現在の低収益会社に陥れた大きな要因であった。
D精機の決算書から過去三期分の配分比率を拾い出し、書き入れたのが第4表である。D
社長は、過去の経営を反省した結果、以下の諸点を長期計画のテーマとし、その夢を第4表
に書き入れていくことにした。
① 五年後に高収益会社を築く。
② 社員はこれからも優遇していきたい。
③ バブル時代の放漫経営を修正する。そのために、特に一般経費を徹底的に見直して
いく。
④ どんな環境にもつぶれない会社にするため、無借金経営を目指したい。
これが社長の基本的な考え方である。D社長は、この基本方針をどのような数字に直して
第4表に書き入れただろうか。

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