社長としての役割意識と付カロ価値配分の戦略的な目標設定は、長期計画の実
践を通して、発展する未来と尊敬される社長という二つの成果をもたらす。
しかしながら、一〇年先までの繁栄を確実なものとするためには、冷静で合
理的な数字の約束ごとだけではなく、人間的な魅力や運や執念といった、極め
て人間くさい要素も決して無視できないと思うのである。
これまで四〇数年の経営人生にあって、わたしが長期計画とともに大事にし
てきた泣長越得をあげ、読者の参考としたい。
世の中に対する役割を自覚せよ
本章で、わたしが常日ごろから大事にしている考え方について触れておきたい。
これから述べることが、すべての会社にあるいはすべての経営者に普遍のものとして、正
しいかどうか本当は分からない。しかし四〇数年間会社を経営してきて、またさまざまな業
種業態数十社の経営の面倒をみてきて、「社長としてこういうことが肝心だな、大切だな」
とつくづく感じ、自戒として心掛けてきたことだけを挙げてみる。
いってみれば、長期計画を企画推進していくうえで、自らの夢を実現させる、社長として
忘れてはいけない「基本心得」である。
そのまず第一は、何といっても「社長の役割を自覚せよ」ということである。
このことは、本書に一貫して流れる最重要な課題であって、改めてここで付け加えること
はない。きれいごとでもなんでもなく、商売を可能とさせてくれる社会に対して、社員に対
して、株主に対して、金融機関に対して、 一体どんな役割を果たしていくべきなのか、これ
は会社を経営するうえでの絶対条件と言ってもよいのではないだろうか。
逆に、社長としての役割を果たしていないと、会社の利益追求を迷わずにはできないとい
うことだ。
何のために儲けるのか、何のために事業を継続させていくのかは、結局、社長の役割意識
なしには、説明がつかないものなのである。
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