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第二章 経営の本質

事業経営を、いくらのお金を使っていくら儲けたか、という最も単純な形で

考えてみると、経営の本質が見えてくる。

結論からいうと、事業経営の本質は付加価値の分配にあり、と社長は考える

べきである。会社の利益が、売上から経費を差し引いて得られるという考え方

は、経理のものであって社長の考え方ではない。社長は、売上ではなくて、付

加価値を中ミにして経営を考えなければならない。

高付カロ価値経営こそ、これからの経営の主眼である。いかに高い付カロ価値を

生み出すか、そしてその生み出した付加価値を、 一〇の部門に、どうバランス

よく分配するかが、経営の要諦となるのである。

社長業は楽しく簡単でなければならない

事業経営を難しいものにしてはいけない

「社長業というのは全く割りの合わない商売だ」と言う経営者がいる。

一般の人々からは、社長になればおかねが自由になり、立派な車に乗って威張っていられ

るといったように、羨望の念をもって見られがちだが、実際に社長業にたずさわってみれば、

割りが合う仕事じゃないと感じることが結構あるものだ。

たとえば、社長は社員に給料を支払わなければならない。これは立場上当然のことだが、

ただ自分としては精一杯、 一生懸命給料を支払ったつもりでいても、「ケチな社長だ」「ベー

スアップが少ない」などと文句を言われたりする。次の主力事業は何か、夜中に目がさえて

寝床であれこれ考え、まんじりともしなかったことを部下に黙って、彼らの言うことを聞い

ていると、ある幹部は昨夜はゴルフの衛星中継を見たから寝不足だ、またある幹部は接待で

遅くなって寝不足だなどと能天気なことを言っている。俺だって、たまには君たちのように

気楽な立場に回りたい、まったく社長なんて割りに合わない仕事だと。

だが、 一方で、社長ぐらい楽しくてわくわくする仕事はない、と思ったことのない社長も

また、いないはずだ。

事業経営の最高責任者である社長にとって、時には、やり甲斐があってこれほど楽しい仕

事はないと感じてみたり、時には、逆に割りの合わない厳しい仕事だと感じたり、だれでも

この両面をもっているのが現実であろう。わたしとて例外ではない。

しかし、どうせ社長業をやるなら、楽しくてわくわくする時間が多いほうがいいに決まっ

ている。諸々の割りの合わなさを超越して社長業に徹し、自分の夢を実現できたら、それに

越したことはないだろう。

そのためには次の二つのことが重要だ。

一つは、社長の役割をきちっと果たすことである。前章で述べたような社長としての本来

の役割を全うするとき、本物のプライドもやり甲斐も生まれ、社長業ほど楽しく素晴らしい

職業はないと感じられるようになってくる。社長業とはそういうものだ。また、そういうも

のでなければならない。

もう一つは、事業の経営を難しく考えないことだ。社長業とか経営というものはさほど難

しいものではない、経営は簡単なのだと考えるべきだ。

自分のことで言えば、わたしは旧制の中学校しか出ていない。しかも卒業成績は下から数

えたほうが早く、五五人中の四二番であった。たばこを吸って停学になったこともある‥要

するにわたしは、頭もよくなかったし、まじめな学生でもなかった。そのわたしが現在、海

外にある一五の会社を含めて連結で八〇〇億円の売上、社員三〇〇〇人の会社の社長をまが

りなりにも務めている。

わたしがこういうことを書くのは、何も自慢したいためではなく、わたしのように中学し

か出ていない人間にでも事業経営ができるということ、したがって経営とはそれほど難しい

ものではないということを言いたいだけなのだ。

たとえば経営の数字は、小学生以上の算数を使うことはまずない。足し算、引き算、掛け

算、割り算のみである。横文字にからきし弱くても、専門の通訳がいるから海外との取引に

も差し障りがない。

要するに、経営とは決して難しいものではない。また、難しいものにしてはならない。

そのことをまず頭にいれておいていただきたいのである。

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