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企業経営の本質

目次

はじめに

私には2種類の強烈なファンがいます。

ひとつは戦後生まれのベテラン経営者です。

昭和の時代、銀行融資に苦労され、担保確保のため資産所有に勤しみ、資産をもつことが信用だと信じてこられた方々です。そして、バブル経済が崩れて倒産の影に悩まされた時、私の著書『儲かるようにすべてを変える』を読み、オフバランスを実践され、生き延びた経営者です。

もうひとつのグループは私が30数年塾長を務める「後継社長塾」の修了生です。特に、先代経営者がとってきた路線変更のために、激しい先人との争いの中で「たたむ・削る・変える」を実践され、ROA(総資産利益率)を改善なさった若手経営者です。

私は平成11年、商工にっぽんという経済雑誌に、従来の日本式経営からグローバルスタンダード経営の路線に変えるべきだ、との論文を発表しました。

「B/Sの左側、資産の部の中身を精査して、土地は子会社に赤字を出して売却しろ!

流動資産(在庫・売掛金)を縮小せよ!

売上は追うな、人を削れ!

銀行に借入を返し、無借金経営を目指せ!

と、その時代の経営者が行なっている行動をすべて否定したのです。

昭和57年から平成3年は、世の中で株式、土地の価格が上がり、まさに踊り狂っていたバブルの時代でした。そのバブル期の10年前、昭和48年秋には、第一次石油ショックが起きました。

鉄鋼・造船・繊維・ゼネコン・木材など、資産が多く重いビジネスが不況に陥り、原材料、製品が売れず、発行した手形が落ちず倒産していきました。先年に起こったことの反省も知恵も無かったのです。

私が経営コンサルタントとして最初に学んだことは、「収益性」の追求です。

収益性を表す指標は、経常利益十総資産で導き出せます。

この指標は、「なんぼの元手でいくら儲けたか」、つまり「元手の利回りはいくらか」ということを表しています。 一見簡単そうですが、今も私にとっては奥が深い指標です。

昨今、経済界で、外国の物いう株主の出現により、日本の資本効率が悪すぎるとクレームをつけられています。

日本の会社のROE(自己資本利益率)、ROA(投下資産利益率)が低いのです。

特に上場会社では、持ち合い株所有(お付き合いの株)の投資効率のリターンが少なく、「10%もないではないか!」との声も上がるほどです。

外国の投資家は10%〜20%の高配当を経営者に要求する時代です。生

ぬるい環境で経営する日本的経営は、海外から責めを負う時代なのです。

いかに少ない資産でもって大きなリターンを上げられるのかが経営者の力量です。資産をもたないアセットライト、アセットゼロなどと新しいフレーズが叫ばれる時代になってきました。

経営コンサルタントとして、30歳で田辺昇一氏の門下生としてスタートを切って50年、西に東に、また海外にと休みなく365日走り回って、自分で筆をとった出版物としては15冊、そして、それをまとめて経営革新全集10巻として上梓することが出来ました。

書くことが苦手だった私が、書籍を出した時、吉田松陰が残した「未見の我」という言葉が思い浮かびました。この言葉の通り、難しい大問題に逃げることなく挑戦すれば、自分でもわからなかった能力が生まれてくることがあるのです。

若い方もどうか、苦手意識をもたず挑戦してください。

私の仕事は、綺麗ごとではなく、会社内で発生する多重債務、労働争議、商品不足、販売不振、得意先倒産、役員間争議と、毎日毎日、胃の痛くなることばかりでした。

しかし意外にも、平穏な状態よりこんな場面に飛び込むのが好きだったのかもしれません。

編集者は、「井上先生は実際の事例を本当にたくさんおもちで感心します」

と言われるのですが、現地。現場。現品を実際に手に取ってみないといられない性格でした。

多くの経営者が失敗される事例をたくさん見てきて、このまま会社を倒産させてはいけないとの思いが強かったのでしょう。ここに書いたことは自説よりも、失敗を見てきて私が自説にしただけです。

「難しいことを解りやすく書く。優しいことを難しく書いてはならない」

難解な横文字や漢字は使わず、誰にでもわかる文章を書くことに努めましたc

会社経営は難しそうですが、決してそうではありません。この一冊をよく理解して実行していただければ、繁栄の道が約束されています。

令和六年十月吉日

アイシーオーコンサルティング会長井上和弘

1-1 企業経営の本質 経営は環境適応業である。

いつまでも順風満帆に続く企業経営などありえません。どんなに優れたビジネスモデルでもモデルチェンジしなければ、必ず衰退の時期を迎えます。なぜなら、企業を取り巻く環境はめまぐるしく変化するからです。

短期的には季節変動、中期的には景気変動や消費者の生活様式の変化、そして20〜30年の間隔で企業のあり方を根本から覆すような構造変化が訪れます。

小手先の方法では対処しようがありません。

先人がやってきた売りもの、売り先、売り方、やり方をただ守っているだけでは企業が将来も確実に存続していく保証はありません。

環境が変われば、これまでのビジネスモデルも果敢に変えていかなければならないのです。

いかなる経営環境の激変にもびくともしない会社体質、特に強固な財務体質をつくりあげることが大切です。

「後継者の鉄則」より

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