三、戦術
戦略が決まったら、さらに戦術を決める。戦術とは、戦い方、方法論である。
資本主義は、競争が原理になっている。つまり、必ず敵がいる。なかには、全くそっくりなイミテーションをつくって、自社より安い値段で売るような敵もいるくらいに、非常に激しい競争を強いられている。
特許でヘッジができずに、そっくりそのままの商品を安く売られて、しかも、敵の品質の方が高ければ、自社が負けるに決まっている。
戦術、すなわち戦い方は、「ライバルに向けて、この一年間こうする」ということであるから、戦略に比べると短期的で、しかも、部分的な考え方である。
そして、いろいろな方法論が主体であるから、領域が思想よりも、技術の方に偏っている。戦術、すなわち戦い方には、五つしかない。
その第一は売り方、販売力である。まず、売り方を他社より強くしていく。
販売には、五つの戦い方がある。①店頭販売、②訪問販売、③従来の通信や最新のマルチメディアを用いた媒体販売、④配置販売、⑤展示販売の五つのやり方、つまり戦術がある。
できる限り同業他社と異なった販売方法を採っていくことが大事だ。また、販売の方法を複合化させて、 一つの商品でいろいろな販売をやるような時代に移ってきている。そういうことを、よく知っておく。
明太子で有名な「ふくや」は、売上高百九十億円である。そのうち店頭販売は約百億円で、いま福岡に二十七店舗構えている。これ以上あまり店舗をつくれない。せいぜい五、六十店が限度だと思われる。
そこで、通信の分野を開発し、五十二万件ぐらいのデータベース、要するに顧客リストを持つようになった。そして、お中元、お歳暮の時期になると、そこヘダイレクトメールを一斉に出しただけで、二十七店舗の売上とほぼ同等の売上をあげるようになった。店頭販売業者が通信販売もやっている。そういう時代になっていることを、肝に銘じておいて欲しい。
売り方を複合化するようになった。そういう研究を日々怠らないようにしないと戦いに負けてしまう。
戦い方の方向性を決定するのが戦略だ。方法を実施していくのが戦術である。サントリーでさえ、状況の変化に応じて、新しい販売ネットが必要だという方向性を決定した。
そして、それを戦術の領域へおろして実行していった。最初、自動販売機を置いてくれるところには、機器をすべて無料で提供した。中身だけ売ればいいという考えのもとに、配置販売を強力に推進していったのである。販売力がすぐれている会社は、不況に強い。
コメント