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技術力の付け方

五つ日は、技術力である。技術は、ライバルと戦う武器である。

技術は、製品開発と結びついていなければ意味がないし、また、その製品が用途につながらないものであれば、最終的には売れないことになる。

技術力を強くするには、三つのことが大切である。

まず第一に、欠点とか不便とか、たとえば大きすぎる、重すぎる、値段が高すぎるといったことに挑戦し続けることである。欠点を取り除き、不便を便利に変えていく技術だ。

第二に、新しい素材、性能、機能……に、挑戦し続ける。

最近、とみに新しい素材が目立つようになってきた。車庫のシャッターなども、金属でガタピシ騒音を出していたものから、新素材でスムーズに開閉できるものが現れてきた。自動車でも、あちこちの部品に強化プラスチックが用いられるようになった。窓枠も、いまだアルミサッシが主流だが、私の指導先の会社では、本を削ったものを樹脂の中に入れて木材と全く同じように見える樹脂サッシを作っている。腐ることがない。寿司屋や和風レストランなどでは、こういう窓にすべきで、アルミサッシでやっているところは、今後、リフォームするに違いない。

第二に、模倣を侮ってはいけない。

優れた技術でありながら、特許が取られていないものが多くある。自社で使える技術なら、迷わず流用すべきである。また、眠ったままの特許も相当ある。

特に、大企業の場合、市場規模が百億円以下だと、その特許に着手しないものだ。超大企業ともなると、 一千億円規模の市場でも見向きもしない。これらの特許は、中堅企業にとっては打ってつけである。

休眠特許については、それを紹介したり売買を斡旋する専門家がいるので、積極的に人脈を結んで欲しい。

これとは逆に、技術力の発揮を阻害する要因についても一言触れておく。

メlヵlにとって、「技術屋」の固定観念が一番恐ろしい。技術屋は、業種を問わず、どこの会社でもマーケットの変化に疎いものである。したがって、工場長や技術のリーダーには、社交的な人物を意識的に選ぶようにすべきだ。

技術屋は、もともと世の中の流れに鋭敏でなければならない。それが、何を狂ったか、社交的でないのが技術屋の専売特許のように思っている。こうした錯誤を正すためにも、ハノーバーのメッセや、ミラノの見本市、シカゴの工作機械見本市、パリ近郊ポルトデュベルサイユの住宅見本市、バーゼルの食品見本市などを見せて勉強させる必要がある。世の中の変化に疎い技術屋など、足を引っ張るだけで、何の役にも立たない。

技術屋のもう一つの欠点は、別の技術を否定する傾向が強いことだ。新しい技術を示唆すると、頭ごなしに馬鹿にする。だから、いつまで経っても、自社に新しい技術が導入されな

こういう人間に対しては、固定観念を脱ぎ捨てるように徹底的に教育する必要がある。技術屋上がりの社長も相当いるだろうが、そういう社長は自らを本当に戒めて欲しい。主義主張の激しい人の欠点は、他人の言うことを聞いたり、新しいものを見た時に、すぐにバリアを張り巡らして頭の中に何も入っていかないようにしてしまう。危険極まりない。

以上のことを留意して、新しい固有技術、新しい設備の追加を永遠にやり続けていく。技術は、積極的な戦う武器であることを決して忘れない。他社と比べられた時に、品質も、コストも、納期も戦う武器であるが、すべて技術によってつくりだされる。あたら技術の大切さを疎かにしないことだ。事業を繁栄させるには、思想と技術の両面が重要であることを肝に銘じて欲しい。

五つの戦術、販売力、企画力、組織力、財務力、技術力について、視点だけを書いてきたが、どれ一つ取っても大切なことばかりである。望むらくは、すべてと言いたいが、差し当たっては、二つか二つでもよいから、際立ってライバルよりも強くしておかなければならない。

売り方がズバ抜けている、常に斬新な企画でリードしている、会社に人材があふれている、潤沢な資金でビクともしない、他社のまねのできないユニークな技術を持っている……

すべて良ければ、これに越したことはないが、少なくとも二つや二つ、戦う武器としてライバルより強いものを保有しておく。そして、五つの戦術を後の世までずっと磨かなければならないことを、後継者に教え続けて欲しい。

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