欧米型オーナーシップと税制への着眼
所有と経営の分離という欧米型オーナーシップが、近い将来、必ず本格的に日本に入ってくる。
欧米は、資本主義の歴史が日本よりかなり古い。日本では、坂本竜馬が明治維新のときにつくった亀山社中という貿易商社のような船会社が、最初の株式会社だと言われている。それから百三十年ぐらいしかたっていない。
特に、資本主義が資本主義らしくなったのは戦後だから、たかだか五十数年ぐらいのものである。歴史が非常に浅い。それに対して欧米は資本主義の歴史が長いので、いろいろな工夫をしている。政策一つでも、安定した公平感のある税収を得て、また国際競争力を大きくつけるために、経営者の息子が経営者になれるような税制になっている。
遺産相続をはじめ諸々の制度が、資本主義にとって非常にうまくいくように工夫されている。日本の場合は、そうなっていない。潰れるものは、潰れるに任せている。下からあがっていって、上で倒れても、また次が下からあがっていくという成り行き任せ、 一種のアナーキーで経済は活性化できるという、政府の役人の非常に無責任な考え方でやっている。
ところが、アメリカとかヨーロッパの税制は日本とかなり違うことに事業家も目覚め、大きな声で旗を振らなければならなくなってきた。医師は、相続税が非常に安くなっている。宗教法人も、税制で優遇されている。そして、圧力団体を持っている農協も、またしかり。これは、農業経済の名残で、現在、そんなに多くの農民が働いているわけではない……たった二百万人にすぎない。事業で働いている人たちは、六千六百万人もいるのに、「なにやってるか」と、私は声を大にして叫びたい。中小企業の組合も、横の連絡も、何にもない。
政治的圧力が全然ないから、何と言われているか…… 「あいつらは馬鹿だから、働きバチみたいに働かせて、税金をうんと取ってやれ。それでも、コツコツためていくから、ためたやつをみんな、死んだときに相続税で取れば、何も残らない。ざまあみやがれ」と、いくぶん茶化して言えば、こんな嘲笑が聞こえてくる。
私は、本当に腹が立つ。長い間、「馬鹿にするな」と腹に据えかねている。その一つのことが税制である。本当に、もう少し事業家のみんなが力を合わせて、意見を言わないとだめだ。これでは、日本の国力が落ちてしまう。日本の企業の国際競争力が落ちてしまっているのも、税制が一端の原因である。だから、アメリカ化とかヨーロッパ化が、徐々に浸透してくれば非常にいいと思っている。
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