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定石6T付加価値の伸びがGDPの伸びを下回っていれば、その事業は既に斜陽化しているものと考えよ

自社が斜陽産業にいるか、あるいは成長産業にいるかの判断は、GDPの伸び率に対する自社の付加価値の伸び率で計るのが妥当であろう。

GDP (08∽∽∪o日o∽Lo「『aR一)については説明するまでもないだろうが、簡単にいうと、国内で新たに生産されたモノやサービスの合計額から原材料費を差し引いた、付加価値の合計額であり、 一国の経済的国力を示す指標である。

そして前年比や前4半期でどの程度GDPが増えたか減ったかをパーセントで表した伸び率を「経済成長率」といい、いわば、日本にある企業全体の成長率の平均と考えられる。

したがって、たとえば去年のGDPが500兆円で、今年のGDPが550兆円であれば、経済成長率はプラスー0%であり、誰が事業をやっても平均的に10%は伸びるということだ。

にもかかわらず、日本の成長率の平均値を下回っているようなら、どうやら自社の事業が斜陽化しているか、あるいは自社の経営戦略や戦術の悪さで機会損失していることがわかるだろう。

算出の方法は第3表のとおり、分母にGDP経済成長率、分子に自社の付加価値の伸び率を置いて、これが100%以上、すなわち自社の成長率が日本国の成長率を上回っているかどうかで判断していただきたい。これを企業の「成長係数」という。

さて、GDPは4半期ごとに政府から統計データが発表されており、インターネットでも簡単に調べられる。もちろんここで必要なのは、名目GDPであって実質GDPではない。

GDPには物価変動を含んだ名目GDPと、物価変動の影響を排除して推計した実質GDPの2つ――たとえば、実質GDPが3。1%で名目GDPが4・6%というのは、この差の1・5%というのがインフレ率と捉える― ‐があるが、企業の売上というものはインフレ率が当然のことながら加味されるので、企業の成長率が日本の成長率と比べてどうかを計る場合には、名目GDPをみる。

一方、自社の付加価値率は売上高に対する付加価値のパーセンテージであるが、この付加価値については、決算書上の売上高から材料費や外注費などの外部費用を差し引いて算出すればよい。

要するに、「売上高」から「売上原価」を差し引いた「売上総利益」とほとんど同じであるが、たとえば、売上1億円で、仕入原価6,000万円とすると、売上の1億円は便宜上の数字で、余所の力6,000万円を借りて(仕入れて)1億円となっているだけで、売上1億円から仕入額6,000万円を差し引いた4,000万円こそが、自社が稼ぎ出した正味、すなわち付加価値ということだ。

もう少し詳しく言えば、この付加価値は人件費をはじめ、事業経営に係るあらゆる費用の源泉である。

先ほど私は、最も基本的な定石として、「社長は国に対しての役割、事業をしている地域に対しての役割、販売店や金融機関・外注先などの協力会社に対しての役割、社員に対しての役割、株主に対しての役割…など会社を支えてくれる関係者への役割を自覚しなければならない。社長の役割意識に欠けた私利私欲を満たすだけの経営は、つかの間の繁栄はあっても永い繁栄にはならない」と申し上げた。

すなわち、事業経営とは外部からのいろいろな協力によって売上をあげ、付加価値を生み出す。そして、生み出された付加価値は、明日の意欲につながるように付加価値造成に携わった人々や機関等ヘバランスよく分配され、翌年にはさらに大きな付加価値を生み出していく。その繰り返しによって企業は社会貢献とともに永続繁栄していくのだ。

したがって、その会社の永続繁栄の大本たる付加価値を絶えず生み出していくことが重要であり、ゆえに、社長は売上の伸びというよりはむしろ、付加価値が伸びているかどうかを重要視しなければならないのだ。

ところで、自社の付加価値率の推移を計るには、損益計算書の「売上総利益」の数字をそのまま使えばよいのだが、ただ、メーカーの場合は売上総利益よりも付加価値の方が額が大きくなるので注意して欲しい。

というのも、メーカーの場合は損益計算書の売上原価のなかに、製造に係る経費ということで、工場の労務費や経費が含まれているので、これらを売上総利益に加算しなければ付加価値額が算出できないからだ。

若千ややこしい説明になってしまって恐縮だが、「売上高」と「付加価値」と「売上総利益」「売上原価」の関係を第5表にまとめたので、これを一日すればご理解いただけると思う。

つまり、 一般的な決算書では、材料費、外注費、経費、人件費を合算したものを「売上原価」といい、「売上高」から「売上原価」を差し引いたものが「売上総利益」となる。

よってメーカーの場合は、 一般的な損益計算書の「売上原価」のなかに工場の労務費や経費が含まれているので、これらを「売上総利益」に加算したものが「付加価値」となり、先に述べたように製造業以外の流通小売や卸の場合は、損益計算書に計上されている「売上総利益」がイコール「付加価値」となる。

こうして今期と前期の付加価値を計算してみて、その伸び率が経済成長率以下、すなわち成長係数が100%以下ならば斜陽化しているということであり、逆に、たとえば200%の伸びを示しているようなら、その会社あるいはその事業は今後GDP成長率の2倍の伸び率で成長していくことは夢ではないだろう。少なくともそれが可能だということを意味している。

別の見方をすれば、成長係数は、企業の存在意義を考える上での、ひとつの判断の基準ともなる。付加価値の伸びがGDPの伸び以下だとしたら、それは平均以下ということである。GDPが仮に7%伸びれば、付加価値も7%伸びて普通である。それ以下ではおかしい。

したがって、もしそれ以下なら、「誰が経営しても平均してそれくらいは伸びているときに、我が社がそれ以下というのでは恥ずかしい。事業が斜陽化してきた。何とかこれを変えていこう」という発想が経営者としては生まれてこなければならない。そういう発想が経営者には必要なのだ。

もちろん、急激な成長は経営の安全性に支障をきたす。 一般的には、付加価値というものは売上の拡大に伴って年々少しずつ下がっていくのが普通だからである。したがつて、仮にこれまでの成長係数が95%だとしても、それを恥と意識するあまり、 一気にこれを150%に押し上げようなどと軽く考えないほうがいい。そう考えるのではなく、1年ごとに1%ずつでも伸ばしていき、5年後に100%にしよう、といったように考える。このように時間をかけて改善していくというのが現実の経営というものだろう。

いずれにせよ、会社の成長経営は、以上のような捉え方をする。いささか大ざっばな捉え方ではあるが、事業の成長を計る指標として、日本国全体の付加価値を表すGDP成長率を用いることを定石のひとつとして覚えておいていただきたい

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