収益確保で重要な項目の一つに金融費がある。会社を儲からない体質にしている元凶は、とくに中小企業にとっては営業外損益の金融費だろう。そう考えて間違いない。
金融費がいかに利益の上昇にブレーキをかけているかを知るには、付加価値に対する金融費の割合を考えてみるとよい。
仮に製造業の会社で付加価値が売上に対して40%だとして、金融機関への支払利息と受取利息、手形の割引料、社債を発行している会社は社債の利息の合計、つまり金融費が付加価値に対して3%以上ある会社はかなりの危険水域にある。
だいたい、これまで20年近く、のべ千数百社の決算書を見てきた私の経験として、製造業で付加価値が40%以下かつ金融費が3%以上ある会社は、根本的にバランスシートを直していかない限り倒産の可能性がある。この基準に学術的な裏付けがあるわけではないが、現役の経営者であり、20年近く様々な業種業態の会社の経営指導をしてきた経験上の意見だ。
とにかく、過去5年間でこの金融費の割合が上昇傾向にあるなら、経営者として深く反省しなければならない。毎日一所懸命働いてくれている社員を銀行のために働かせるおつもりカ
あるいは、カネを貸す銀行の方にしても、受取利息が入ってくればそれで良い、というわけでもない。銀行が望む融資先とは、堅実に成長し、長期にわたって安定的に借り入れてくれる会社である。野放図に金融費が増えてくるような会社は、銀行にとっても決して好ましい取引相手ではないだろう。
要するに、会社の金融費が増えて喜ぶ人など誰もいないということだ。したがって社長は、今後ますます資金繰りの改善に注力し、無駄な金融費を払わないようにすることが、収益確保のための大事な定石なのだ。
そもそも、会社は銀行に金利を払うために仕事をするわけでもないし、銀行のために仕事をするわけでもないのは、当たり前のことである。ところが、世の中の好・不況のはざまで、必ず5年も10年も金利を払うためだけに仕事をする会社があとを絶たない。
そのような会社の社長は「強気が裏目に出た」と言い訳をするのが常であるが、決算書、とくにバランスシートをしっかりと読み込んでおけば防げたことも多いはずだ。かつて高度成長時代には「借金も実力のうち」と、借金によって事業を拡大していくことこそが、事業発展の定石のように言われたときもあった。
確かに、大幅なインフレが続くことを前提にすれば、借りたときの1億円は返済時に実質4,000〜5,000万円、借金して整備した土地を購入しておけば、高い金利を払っても十分に元がとれた。おまけに、必ず利益が出ていれば、利子は経費処理できるから、「借金しなければ損だ」とまで公言する経営者も少なくなかった。
しかし、これからはどうだろうか。5年先、10年先を見通したとき、従来のような借金しなければ損、という考え方は捨てなければならないと私は思う。これからは社長として、決算書の要点をはっきりつかんで、資金を効率よく回すことが一層大事になってくる。自分の失敗をインフレ経済が帳消しにしてくれると期待してはいけないのだ。
ゆえに、金融費は極カゼロに近づける努力をして、余計な借金をして儲けを減らさないということを、社長は肝に銘じていただきたい。
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