本書で繰り返し「社長最大の役割は先を読むこと」と申し上げたが、企業収益を確保する定石として、常に厳しい見方をせよと申し上げたい。とくに、これからは数年前とは比べものにならないほど不透明で、神様でもお釈迦様でもわからないからだ。
こういう経営環境において安定的に、確実に収益をあげていこうとするならば、常に最悪を想定しておいて、それでもどうにかなるように手を打っておくほかない。非常に嫌なことだが、これが収益確保ひいては会社の安定的存続のために重要となるのだ。
というのも、経営において将来を甘く見積もることほど危険なことはないからだ。売上を多めに見積もると、付加価値を多めに見積もることになる。そうすると、当然のことながら経費に対する意識もゆるみ、予定していた売上があがらないと、簡単に赤字が出る体質になってしまう。しかも、 一度増えた経費を再び下げるというのは、至難の業である。さらに言えば、売上を甘く見通して在庫や売掛金を野放図に増やしてしまうと、想定外の売上激減にさらされた際に資金がショートして、倒産という最悪の事態も招きかねない。
よって、経営というのは常に厳しく見通していかなければならないのだ。たとえば、売上の伸び率が今後5年で2%ずつ下がっていくと想定しておけば、売上が落ちても利益を確保するためには、各経費をどの程度に収めねばならないか、具体的な数字を伴った見通しができるようになる。
そうして不況をしのげる体勢をしっかりと築いておけば、予想に反して売上が伸びればその分がまるまる利益の増加につながる。すなわち、企業経営において一番大事な収益確保の定石は、常に厳しい見方をする、そして、「そこまで悪くならなければ儲けもの」というか、言い方はおかしいが、むしろ良く狂ってくれる分には構わないというぐらいに、常に厳し過ぎるくらいの見方をするということが、収益確保の大きな条件である。
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