一般的に税務署が税務調査に来るのを好む経営者はいない。どちらかというと、敵というか、憎らしいところだという感情を持っておられるのではないか。その感情の元をたどれば、いかにして税金を安くするか、あるいは税金をごまかすかというような心理によるものだと思う。
しかし、結論から申し上げると、税務署がわからなくて自分だけがわかるごまかし方などない、ということである。というのも、税務署を編すためには、まず記帳からごまかしていかなければならないからだ。
いろいろな経費を分けてみたり、あるいは勘定科目を変えてみたり、取引先を変えてみたり、いろんなことをしながら、やはり記帳そのものをごまかさないことには、税務署はごまかされない。
だが、そうやって記帳をごまかすと、後々自分自身がその帳面を見たときに、「一体これはどういう費用だったんだろう」「どういう利益だったんだろう」と、結局は自分もわからなくなる。
本書冒頭から繰り返し述べているとおり、会社の状態を正確に把握して、その上で悪いところを直し、良いところを伸ばしていく。これが企業経営の定石である。すなわち、社長は会社の実態をよく理解しないことには話にならないということだ。
よって、少しでも利益を増やすために税務署をごまかそうとして、会社の実態をわからなくすることは本末転倒、結局は企業経営そのものを間違うような結果になりかねないということを、まずは税務署に対する大切な定石として挙げておきたいのだ。
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