社員個々の給料は上げるが、人件費の総額は下げよ。
売上も利益も右肩上がりに伸びていく経済成長期が終焉を迎えたいま、国定費の大部分を占める人件費の増加は、そのまま収益の圧迫につながる。しかし一方で、いくら経営環境が厳しくなるからといって、人件費をただ抑えればよいというものではない。
昨今、「ブラック企業」の話題がマスコミに取り上げられている。経営のコスト要因だけをみて、「使い捨て」と呼ばれるような人の用い方をして利益を追求するやり方が、世間から指弾されているが、私には、そういう会社は一時の繁栄に終わって、数年先の存在も危ういように思われてならない。
そこで社長には、ある意味で単純な、しかも過去のやり方にこだわらない発想が必要となってくる。
その一つの発想は、社員個々の給料は上げるが、会社の人件費は総額で下がる方策を考えられないか、ということである。
「いま100人の社員でやっている仕事を、半分で同じようにできる仕組みをつくれたら」、あるいは「100人でやっている仕事の儲けを倍にできたら」…、このように単純に考えてみることで、「社員の給料を上げ、同時に会社の増益も達成する」という、悩ましい経営課題の明快な解決策が見えてくることがある。
賃金原資の効率的な分配や増員計画だけなら、人事や総務担当長の仕事で同時に、社員の処遇を高めてさらなる増益に結びつける責任者」であり、「固定費としての総人件費の抑制」と「社員一人当たりの人件費の引き上げ」を矛盾なく両立するために、全体の事業計画とリンクさせて、総人件費をコントロールしなければならない。
そのためには、自社の人件費総額の「中身」と「質」について早急に見直し、具体的な手を打つことだ。文字通り、会社の生き残りをかけて「人件費の革新」が迫られているのである。
佐藤肇著「社員の給料は上げるが総人件費は増やさない経営」より
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