決算書は必ず、最初のページから順に開いて読むこと。
私が佐藤塾という勉強会で長期経営計画づくりを指南するときは、必ず決算書を持ってきてもらい、最初のページから順に開いてもらう。
どこの会社でも間違いなく、P/L (損益計算書)よりB/S (貸借対照表)が先に載っているからだ。
つまり、それだけB/Sを大事に経営しているということだ。
一般に、「P/Lは見るがB/S には無関心」という経営者が大半であるが、P/Lはわずか1年間の経営の結果を表したものにすぎない。
つまり、この1年間でどれだけ儲けたか、あるいは損したかを示しているのがP/Lである。
しかし、景気が悪くなると、原則的に売上利益は減っていくものだ。景気が回復すれば、それはすぐもとへ戻る。このような簡単に変わりやすい数値がP/Lの数値である。
また、時と場合によっては損が出てもいいケースすらある。その損が将来のために意義のあるものなら、意図的に損を出すこともありえよう。
要するに、経営にとっては目先の損得が問題なのではない。わずか1年間の損益など、決して無視していいとは言わないが、社長はそんなことでいちいち一喜一憂する必要はないのだ。
これに対してB/Sには、創業以来10年も20年もかけて蓄積してきた会社の力量、会社が現在有している体力のすべてが示されている。そこには、
「売上の割に、在庫を多くもつ体質」だとか「安易に借り入れをしてしまうクセ」だとか、要するに、会社の体質、体力、もっと言えば社長の性格、経営のやり方そのものが表れる。
こういう経営体質は、絶対に直していかなければならない。ある程度の時間も必要だろうが、直した体質は、それ以後の会社の確実な発展のベースになっていくからだ。
つまり、B/Sの体質が良くなったのかどうか、経営としてはそれが重要である。
今期、利益は出たが健全性や収益性はガタガタというのでは、好不況にかかわりなく成長し続ける会社にはならない。
である以上、自社の体質を強くしていくのは、社長の意思、社長の戦略として将来のB/Sをどうつくり上げていくかにかかっていると言ってもよい。
いわゆる目標B/Sをきちっとつくって、それに向かってどうすればいいのかを考える。P/LよりもB/Sを重要視した経営をする。
これこそが、社長の果たすべき役割なのだ。
佐藤肇「決断の定石」CDより
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