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【1ー7】3つの「創業スピリット」:「3つの創業スピリット」に外れる事業はいっさい手を出さない。

スター精密は精密部品の加工製造業で創業したのであるが、なぜこの商売を選んだかというと、戦後の荒廃のなか、ヒト・モノ・カネのない零細企業が繁栄していくには、次の3つの条件に合う事業でなければならないという考えがあったからだ。

第一に、「材料をたくさん使う仕事はダメ」。わが社の創設は戦争が終わってわずか5年後。当時の日本には石油も鉄もなく、創業にあたり、なるべく材料の少ない商売でなければならなかった。

第二は、「輸送コストのかからない事業」。1950年の日本では高速道路はまだないし、いまのような物流システムもなかった。

静岡という田舎の中都市で事業を行う以上、東京、名古屋、大阪といった大都市に取引先を求めるしかないから、あまり輸送コストがかけられない。

そのため、取り扱う製品はできるだけ小さいものにしようと考えたのだ。

そして、これが一番重要であるが、「人を使わない仕事」というのが第二の条件である。

1948年から49年にかけて、全国で労働者の待遇改善のストライキが多発した。その影響で人件費が高騰し、多くの従業員を雇うことはできなかった。

創業者は、戦後の復興に伴って、必ずや賃金も飛躍的に高騰すると予見。であるならば、なるべく人を使わないことが有効である。

それから現在まで、精密部品の加工業、次は、自社で作って使っていた部品加工機で工作機械の市場へ進出、そして精密加工技術とエレクトロニクスを融合させた特機事業に進出…と事業を増やしてきたのだが、この「創業の3つのスピリット(精神)」に外れるもの、つまり小資本で高い付加価値を生む事業以外は、たとえ儲かりそうなものでも、いっさい手を出さずにやってきた。

結局、経営の原則を外れた成長拡大は長くは続かない。

とくに、人口が減り、需要がどんどん縮んでいくこれからの時代、中小企業こそ、少ないヒト・モノ・カネで効率よく儲ける経営に徹していくことが非常に重要といえる。

この中小企業の良さを活かす経営を忘れて、大企業と同じやり方で規模の拡大を図っていけば、とても生き残ることはできない。このスピリットを肝に銘じているからこそ、わが社はここまで成長発展できたのである。

佐藤肇著「社長が絶対に守るべき経営の定石50項」より

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