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【1ー10】上場のメリット・デメリット:上場はゴールではない。上場を目指すなら、目的をよく考えよ。

わが社スター精密は1990年に東証一部上場を果たしていることもあり、未上場の経営者から株式公開の是非について質問されることがよくある。

結論から言うと、株式公開には利点と欠点があって、あくまでも経営者各人がどういう経営をしたいかによって、上場したほうが良い場合と悪い場合がある。

上場のメリットとしては、安い資本コストでおカネを集められる。さらに、会社に社会的信用がついて優秀な人材を採用できることや、取引先の拡大や新規ビジネスにつながるなどが挙げられる。

しかし、これから変動はしていくだろうが、昨今の市中金利はゼロであるし、決算書の内容が良ければ、企業が融資の主導権をもつことができる。

さらに、静岡に本社を構えるわが社の実感としては、地方都市の上場企業に東大や京大卒の学生が応募してくることなどめったにない。

若者の価値観はいまや多様化しており、「給料30万円の東証一部企業より、35万円の非上場企業に入りたい」と考える若者もたくさんいる。つまり、上場のメリットというものは、昔ほど大きくないように思う。

一方、上場すれば株主から経営についてあれこれ言われる。社長の一存で思いついたら即実行というわけにはいかず、株主の了承をとらねばならない。なおかつ、M&Aの対象にもなる。

そういう煩わしさを踏まえながら、上場のメリットを重視して経営をしていくか、反対に、上場の締め付けがないなかで、たとえ資本コストが高くなっても未上場のままでいるか。大きく分ければこの2択である。

ただし、どちらを選ぼうと、本来、企業経営の基本は少ない資本で大きく儲ける経営だ。

そのために経営者は派手で楽しいこと、やりたいことを好き勝手にやる経営ではなく、バランスシートの無駄を省き、純資産を増やすべく、やらなくてはならないことをコツコツと、着実にやっていくしかない。

そういう意味では、たとえ未上場であっても、経営者が野放図に好き勝手やる経営では、会社は成長発展していかない。双六の「あがり」のように「ひと財産つくる」ことを目的にIPO(新規公開株)を目指す起業家と違い、私を含め、本書読者の大半は、企業の永続繁栄を使命として経営をやっている。

その大目的の実現のためにそれぞれの会社独自の戦略や戦術があり、株式の公開もまた、目的を果たすために必要かどうか、ということになる。言うまでもなく、上場はゴールではなく手段だ。ゆえに、上場の是非は経営の目的いかんで違ってくる問題である。

佐藤肇「決断の定石」CDより

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