【急所27】見えないモノを見えるようにする方法:かたち形だけでもやってみる。見えないモノが見えるようになる。
目に見えないことを、正しく予測したり把握することは難しい。しかし、形だけでもやってみると、色々なことが見えるようになる。
つく
新しい製品を造るとき様々な問題が起きやすいが、取り掛かってから対応するより、事前に形だけでも作業してみることだ。大きなモノなら段ボールをつなぎ合わせて実際の大きさをイメージしてみる。設備でも新しくレイアウトするとき、ただ図面を見て議論するのではなく、新聞紙でいいので床の上に設備の実物大を敷いてみることだ。
作業時の動きを恰好だけでよいので行ない、モノづくりに関わるすべての人で動きを観察すれば、通路幅や配列、置き場所など、必ず事前の改善点が見えてくる。設備は据え付けてしまうと、修正の労力も大きくかかる。見えないものを見えるようにする効果は大きいのだ。
【急所28】工場内を誰にも分かりやすくする方法:工場内のあらゆる場所に住所を付けよ。
郵便や電話は、たくさんの量があっても特定の住所や番号が決められているので、スムーズにつながるが、もし手がかりが「鈴木さん」など普通
めいし
名詞だけなら大混乱する。
工場内には材料、部材、工具と、たくさんのモノがあるが、漠然と置かれていることが多い。そして綺麗に並べてもすぐに散らかってしまう。その最大の理由は、置き場所が決められていないからだ。
まず置き場所を決め、そしてそこに住所を付けることだ。そうすれば、今日初めて来たアルバイトに対しても、「3丁目2番4号の場所」と言うだけで伝わる。清掃でも電球の交換でも、住所があれば特定できるし、不良が出たときでもすぐに駆けつけられる。
【急所29】活動を広めるコツ:活動にオリジナルのる前を付けよ。
モノづくりは、日で見えるので分かりやすい。しかし、モノや作業は見えても流れや考えは見えない。だから、それらを誰にでも分かるようにするには、言葉にすることだ。言葉にすることで初めて、人から人に伝わるようになり、活動が広まっていく。
トヨタ生産システムは、世界に誇る日本製の改善。経営手法であるが、世に広まった背景には具体的な呼び名があった。例えば手段は「カンバ
じどうか しそう
ン」や「自働化」であり、思想は「ジャストインタイム」というようにである。
改善活動には自社ならではの名前を付けることだ。オリジナルの呼び名を付けることで、抽象概念が具体的になり、皆に意識されて変わりだすのだ。
【急所30】品質をあげるコツ:作業現場ごとにゴミ箱ビを用意せよ。
品質不良で特に多いものの一つに、選別しておいた不良品を間違って出荷してしまう、あるいは発生したゴミが製品に付いたまま送ってしまうという実にバカバカしいものがある。その最大の原因は、発生した不良品を
かくり あかばこ
隔離する赤箱や出たゴミを捨てるゴミ箱が作業者の身近になく、後で処理しようとその場に仮置きしたことによるものだ。
捨てる場所が近くになければ、後でと思うのは当然だ。作業者の問題と考えず、全社をあげて現場をチェックすることだ。すると、作業現場ごとに意外とゴミ箱が配置されていないことに気づくはずだ。
ゴミ箱が遠ければ、ゴミを拾うのも掃除も少しずつ面倒になる。それが全社で積もれば汚い工場になり、製品の品質も下がる。不良を減らし、環
きれい たも
境を綺麗に保つには、まず現場ごとにゴミ箱を配置することだ。
【急所31】問題に対する最大の対策手段:本当に自分の眼で見たことと、そうでないことを区別せよ。
ボルトが緩む瞬間を見た人はまずいない。不良品を造る瞬間ですら見るのは難しい。しかし我々は、実際に自分の眼で見ていないにもかかわらず、そのことについてあたかも分かっているように振舞ってしまうことがある。その結果、見ればすぐ分かることでも間違った判断を下したり、解決を遠回りさせたりする。自分の眼で見たかどうか、まず見ることだ。
不良が出続けているとき、正確な状況判断ができていないまま対症療法を取り続けていることがある。自分の眼で見ようとせず、対策だけ行なおうとするからだが、実は簡単に解決できる事が原因だったりする。
管理では「見ること」を補うことはできないのだ。しかし、もしそれらを自分の眼で見れば、正確に瞬時に対策を打つことができるだろう。現場を見ることは最大の対策手段なのだ。
【急所32】チェックの方法:チェックは、違う方法で二重に。
工場では、正しい数値や、正しい量、正しい品質になっているかをチェックする作業は非常に多い。
出荷時に、担当者が正しい数かどうかを数えるために、厳重に二回数えて「合っている」とするチェック方法を、よく見かける。最初に数えた数と三度目に数えた数が合っていればOKで、もし二度目に数えた数が違えばもう一度数えるというよく見る方法だ。
一見、二重チェックのようだが、同じ方法で三度行なっても精度は上がらないしムダが多い。「重さと数量」「残部と出来た数」「シールの数と稼ガ〓, 動時間」など、全然違うモノを組み合わせて数えれば、 一人で行なっても
げんじゅう
厳重かつ速くなる。タテからとヨコからのように、チェックは、違う方法で二重化する方法を考えることだ。
【急所33】見えない問題をみつける方法:一つだけだと問題は見えないが、一か所に集めると問題は顕在化する。
会社の中には、たくさんのムダや改善すべきことがあるが、その多くは見えていないために「問題」として認識されていないことが多い。例えば二〇人の作業者がいるとする。各々の作業者の環境や使用道具を個別に見ていても問題は見えてこない。
しかし、二〇人の作業者の道具を一か所に集めてみると、たまにしか使わない高価な道具がほぼ人数分出てきたりする。使用頻度と効率を考えれば、全体に一つか二つで十分であってもだ。
見えないものを見るには集めてみることだ。現場の人やモノを一か所に集めてみると問題は顕在化する。 一か所の在庫は少なくても、集めてみると全体では山になったり、設計や調達あるいは営業のやり方まで、不具が見えてくる。
【急所34】工場をもっと使う:床や壁も使え。
長年にわたり工場にいると、工場の建屋をフルに活用し尽くしていると思いがちだ。しかし、探してみると工場内で利用できるのにしていないスペースはまだまだたくさんある。
例えば壁や床だ。まったく手つかずのままの工場が多い。それどころか、床はデコボコ、壁はキズだらけで汚いまま放置されていることさえある。床がこれでは生産性も品質も上がらず、壁も見た目が良くなく暗いので新規顧客を取れそうな魅力を発信できないだろう。
なお うんばん ろめん けいろ ひなん
床のデコボコはすぐ直し運搬をスムーズにし、路面には運搬経路や避難経路などを描き機能性をアピールする。そして壁はスクリーンとしてプロジェクターで生産状況や各種情報を表示したりして、スペースを有効に利用してみてはいかがだろう。
【急所35】記録の活用:かんかく間隔のあく仕事には、「思い出アルバム」をつくれ。
食品業界の年中行事にお中元とお歳暮がある。短期間に比較的高額の商品がまとまって売れるのだから、かなり儲かるように思うのだが、意外に生産性が上がらず、利益にならなかったりする。
大きな理由に「不慣れ」がある。立ち上がりはバタバタで、ょぅゃく慣れた頃には終わりということを毎回繰り返しているからだ。これを防ぐには、前回の最も良かった仕事の記録を分かりやすく残すことが必要だ。
いくら半年ぶりでも前回の繰り返しだ。作業を写真やメモで失敗談、成功談も含めて「思い出アルバム」として残しておけば、前回のレイアウト、人員配置でベストな状態から再開できる。毎日や毎週のことなら覚えていても、三カ月も経つとすっかり忘れてしまうのが人間なのだから、間隔のあく仕事はベストの状況をすぐに思い出せるようアルバム化することだ。
【急所36】指示書の流し方:作業指示言には、叉ず最終形を示‐して情報を流せ。
モノづくりでは、設計図や組み立て図はとても重要である。しかし、何を組み立てるのか、出来上がりはどんな色や形になるのかといった、最終形を分かりやすく示しておくことは、もっと重要である。
プラモデルでも、組み立て図は重要だが、説明書だけを見て作業していると、どの部分を造っているのか分からなくなり、作業がはかどらなくなる場合がある。ところが、箱に描かれている完成形の絵や写真を見れば、全体像がイメージでき、説明書がなくても組み立てられたりする。
各工程ごとに流す情報は、最終的に何を造っているのかという、出荷する際の完成形の写真等が主で、これに部分的な細かい図や指示を合わせて流すことだ。現在どこの何を造っているのか…。作業者の工程全体に対する認識も深まり、色々なチエも出るようになる。
【急所37】後工程はお客様の実行:あとこうてい「後工程はお客様」を一〇〇口唱えるより、実際に次の工程を見よ。
「お客様第一」とか「後工程はお客様」といった言葉はどこでも聞く。
しかし、それをきちんと実行している工場は極めて少ない。作業者が次の工程となる後工程を実際に見ていないからだ。
溶接の工程の人が、後工程となる塗装の工程のところに行ってみると、溶接の油残りで塗装に苦労しているのを発見したりする。塗装の工程の人も次の組み立ての工程に行き、組み立ての人たちがネジ面にかかった塗装を苦労して取り除いているのを見たりする。眼で次の工程で何が行なわれているかを見ればすぐに工夫や改善ができる。
「後工程はお客様」を一〇〇回唱えるより、実際に後工程を見ることだ。次の工程、その先、またその先、最終が本当のお客様であり、そこにつながっていることを意識させるのが経営者の仕事である。
【急所38】工程間の運搬方法:持っていくな、取りに行け。
モノの動かし方には「押す方法」と「引く方法」とがある。前者はこちらの都合やタイミングで持って行くやり方で、売り方で言えば押し売りだ。 一方、引く方法とは、後工程の都合やタイミングで持っていってもらう方法だ。注文に応じて造る受注生産の方法と言える。工場で造るあらゆる製品は、あくまで売れたり注文があったものを造っている。売れないモノは、たとえ一つでもムダづくりなのだ。
うんぱん
取りに行く運搬とは、お客様からの注文情報を工場内で上流に向けて発信し続ける動きの現れである。必要な時に必要なだけ取りに行くモノづくりでなければ、儲かる工場にはならない。工程間の運搬とは、合理的なモノづくりと、お客様への流れを完成させる工場内必須の実務なのだ。
【急所39】見える化の意味:問題は、見えるようにした時点で入割解決する。
問題が起きたとき、実態が見えない間は、まさに暗中模索で対策を見出せないものだ。だが実態が見えた途端、皆のアイデアを集めることもできるし、具体的な対策を取ることができる。
問題が起きたら、まず見えるようにすることから始める。見にくい場所なら見えやすい位置に置いてみる。速いモノであれば超高速ビデオで撮影してスローで見る。小さければプロジェクターで拡大する。狭いところはスコープで、内部の構造物ならX線で、遠くの問題は通信回線で見えるよ
しんぼ
うにする。以前なら無理なことでも、技術の進歩で簡単にできるようになつた。見えれば原因が分かる。原因が分かれば対策に集中できる。 一度見えれば、問題を未然に防止することさえできるのだ。
【急所40】製造作業の見える化:たひんじゅしょうりょうせいさん多口”種少量生産の肝は、製造作業の見える化にあり。
いつも造っている製品なら、工具や部品の配置も工夫してスムーズに生産できるのに、三カ月に一度の少量品の製造になった途端、設計図を見ながら、まるで素人集団のようになってしまう工場が多い。
「もう一度生産する」ことを前提に、製造作業を見える化していないことが原因だ。たとえ、数年前に一度だけ造ったことがあるという製品でも、同じ製品なら前回のやり方を繰り返せば造れるはずだ。だから、 一度目の生産の時に「ベストなやり方」を時間をかけてでも見つけ出し、記録してデータ化しておくことだ。
組み立て順に部品を並べる入れ物を造ったり、工程を写真で記録したり、実物大で部品の位置を形跡表示したテーブルクロスを造ったりして、次回に活かすことだ。少量品の製造にこそ、モノづくりの実力が現れる。
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