【6ー1】朝令暮改とブレない軸:ちょうれいばかい 「ブレない」朝令暮改、おおいに結構!
先行き不透明なこの時代において、少しの状況変化でも「現状のままでは失敗する」と思えば、すぐに前言を撤回して新たな方針を打ち出す姿勢を、社長にはもっていただきたい。「朝令暮改だ!」との社員の反応を気にしているようでは、変化が激しいビジネスの世界では生き残っていけない。
ただし、同じようなケースで判断が現状維持だったり方向転換だったりすると、「社長は思いつきで経営している」「どうせまた変わるかもしれない」と、社員の動きはどんどん鈍くなってしまう。
大事なことは、「あるべき理想」「目標とするゴール」をあらかじめ社員に明示したうえで、戦略を修正する際には、常に自らが定めたロジックに従い、指示を出すことだ。そうすれば、どんな朝令暮改でも社員は前向きに捉えてくれる。変化に柔軟であるためには、変化しない「ブレない軸」が必要なのである。
佐藤肇「決断の定石」CDより
【6ー2】失敗を隠すな:社長は自らの失敗をさらけ出す勇気をもとう。
多くの社長は、自分の失敗を認めたくない。社長は完全無欠だと装いたい。そうでないと部下に示しがつかない、と考えている。しかし、これは大きな間違いだ。社長は、自分の失敗をさらけ出す勇気をもつべきである。
とくに一寸先は間と言われるいまの時代は、間違ったとわかったらすぐに前言を撤回し、軌道修正できる力量が社長には必要だ。間違ったとわかったら●●という理由で最適と思った決断だったけど、やってみたら間違っていた。ごめん!」と部下に謝り、新たな決断と実行を繰り返せばよいのである。トップが潔く失敗を認め、謝る姿勢は、必ず社員にプラスの影響を与える。
「組織風土はトップの言動がつくる」とはよく言われることだが、失敗を恐れずにチャレンジする社風、ミスを隠さず認め合い、リカバリーする健全な自己治癒的組織力が備わってくるのである。
佐藤肇「決断の定石」CDより
【6ー3】経営は「365歩のマーチ」:6割の勝算があれば挑戦する
私は部下によく、「6割OKだと思ったら、もうアクションしなさい、行動しなさい。あとは工夫次第で何とかなるから」と言っている。
もちろん、 一か八かのバクチ経営は許されるものでないが、不確実性の時代において、どんなにきちっとデータを集め予測しても、100%確実というところまでやるのは、そうそう無理な話である。
それよりもアクションしながら軌道修正を入れる、朝令暮改が入るという前提のもとに、とにかく挑戦することのほうがはるかに重要であり、そう思ったらアクションもしやすくなる。
経営は「365歩のマーチ」だ。止まらずに3歩歩けば、2歩下がっても1歩は前進している。どんなに視界が悪くとも、社長ならば常に歩きながら考える姿勢を、崩してはならないのだ。
佐藤肇「決断の定石」CDより
【6ー4】最悪を想定すると会社は良くなる:人間は性善説で、経営は性悪説で。
経営を性悪説で、つまり悪く見通しておくと、人を性善説で捉えられる。
たとえば新規事業にしても、担当者が「4年で1億円の利益が出ます」と言ったら、「いや、利益は半分でいいよ」「そんな焦らずやれ」と必ず返している。
社長が良い結果しか想定しないと、100点以下の結果の場合、「70しかできなかったじゃないか」と部下を追い詰め、叱ることになってしまう。最終的に、誰もチャレンジしなくなり、会社は衰退していく。
しかし、社長が常に経営を性悪説で考えていれば、「50でいいと言ったのに20も日標を上回ってくれたな、頑張ったね」と、部下を誉めてやれる。つまり、結果は同じ70でも、経営を性悪説で見て50でよいと考えていた社長は社員を誉め、成長を支援することができる。部下の欠点ばかりに焦点を当てるリーダーに、人はついてこないのだ。
佐藤肇「決断の定石」CDより
【6ー5】先を予測する理由:計画は外れるからこそ意味がある。
儲かる会社になる第一歩は、社長が明確な経営ビジョンをもつことである。5年後、10年後の会社のあるべき姿を描き、その姿に少しでも近づくように、いま何ができるかを考えて確実に手を打つ、これが大事なことだ。
そうすることなしに、その日その日のなりゆき経営では、儲かる会社になるわけがない。こう申し上げると、「来年の為替も読めないのに、5年先の経営計画など無意味だ」と思われるかもしれないが、それは違う。
5年先までの計画をもつからこそ、うまくいっているかいないか、予測とのギャップがわかり、その差を埋めるための有効な策をいち早く講じられる。
とくに、不確実性の時代は最も厳しい計画を作成して、日頃から緊急時の対応を考えておく必要がある。状況が変わってから準備を始めたのでは遅い。計画は外れるからこそ意味があると捉え、常に準備をしておくことだ。
佐藤肇「決断の定石」CDより
【6ー6】孤独になる覚悟:自分の会社のことは自分で決めろ。相談者に求めるべきは、ヒントだけ。
社長業をやるうえでいちばん覚悟しなければならないことは、孤独になることだ。会社におけるすべては社長の責任である以上、経営判断を他人に委ねることはできないからだ。
ゆえに私は、経営については誰にも相談せず、すべて自分で決めてきた。
数冊の著書を上梓し、佐藤塾という経営勉強会の塾頭を務めている身でありながら、こんなことを言うのもナンだが、どんな立派な経営者の意見でも、業界も年齢も置かれた状況もすべて違ううえでの、その方の意見にすぎない。ゆえに、他人の意見は参考程度にとどめるのがいちばん良いと思っている。
本音を言えば、誰かの意見に従って失敗したときに、相談した相手のせいにしたくないのである。私は自分がデキた人間ではないとわかっているから、決断を他人に委ねない。後悔しないように、そう決めているのだ。
佐藤肇「決断の定石」CDより
【6ー7】自らの勘を信じる:数字ではじくコンピューターと、経験や直感で判断するクカン(勘)ピュータークを同時に駆使する。
経営計画はとことん悲観的に考えるのが、私の危機管理術と前述したが、しかし何を根拠に最悪の事態を予測するのかと問われると、これはもう長年の勘としか言いようがない。
ただ、どんなに客観的な数値を集め徹底的に分析しても、確実な決断というものはない。よって経営者は、客観的な数字をもとに論理的に考え抜きながらも、最後は己の勘を信じて決断を下すことが大事なのではないか。
大事なことは「楽観的に考えないこと」、そして「どんなに先行き不透明でもとにかく自分なりに決断すること」の2つだ。この2つを守りながら経験を積んでいけば、自然と頭のなかのカンピューターの精度は上がっていくはずである。
佐藤肇「決断の定石」CDより
【6ー8】先憂後楽の心:「やらなくてはいけないこと、嫌なこと」を先にやりなさい。
嫌な情報こそ大事にして、優先的に取り組むことができるかどうかは、社長が将来を的確に読むために欠かせない心得のひとつである。
わが社の週休二日制導入は1970年。さらに、55歳から60歳へと定年制の延長を実施したのも、1980年前半だ。これは60歳定年制が大企業で施行される5年以上前であり、非上場企業ではおそらく一番乗りである。
週休二日制も定年延長も、収益の面から見ればやりたくないというのが、経営者としては正直なところだ。稼働日が減り、労務費が上がるのだから、生産性を上げなければならない。難しい課題であるから、先延ばしにしたくなる。
しかし、どうせ避けて通れぬのならば、いち早く着手すれば時間に余裕をもって策を講じられる。経営者は「先に苦労しておけば、後は楽しいことばかり」という心持ちで、嫌なことに先んじて取り組んでいってもらいたい。
佐藤肇「決断の定石」CDより
【6ー9】情報への接し方:経営者が、情報やデータを鵜呑みにするほど怖いものはない。
これまで通用していた前例が通用しない事態が増えている昨今、社長は「自分の頭で考える」ことを面倒くさがってはならない。
私は提供された情報をそのまま鵜呑みにしたり、多数派の意見に流されることを避けるために、「必ず情報を深掘りする」、そして「提供された情報よりも悪くなると予測する」ことを常に意識している。
たとえば、景気の現状と先行きを予測する日銀短観に、「これから景気は10落ちる」と書かれていても、「10落ちるといっても業種の差があるから、内訳はどうなっているのか」と調べたり、「他の情報も総合的に見て、20落ちても大丈夫な計画を立てよう」という具合に、提供された情報をもとに考え抜く。
自分の頭で考える労力を惜しむと、結局は「あっちのニュース、こっちのデータ」と右往左往し、挙句は前例踏襲しかできない経営者となり果てるからだ。
佐藤肇「決断の定石」CDより
【6ー10】現場に無理を強いるなかれ:自分のできないことを部下に押し付けてはならない。
社長が自分のできないことを部下に押し付けると、不思議なことにそれは天に唾を吐くように、自社に悪い結果をもたらすことになる。
たとえば、リーマンショックやコロナショック時のように、急激に市況が悪化したときに「とにかく売上を確保してこい」と、社長が現場に無理を強いたとする。
需要が急減しているにも関わらず売上を上げろと追い詰められた営業員は、客先に出向いてこう言うはずだ。「社長が予算必達しろとうるさいので、2割引きにするので買ってください」、「本当なら90日手形ですが、180日手形で結構です」。決算月なら、「来月、返品してくれて結構ですから」…。売上は上がるだろうが、肝心の利益は削られ、キャッシュフローは悪化する。現場に無理をさせると、結局は、自分の首を絞めることになるのだ。
佐藤肇「決断の定石」CDより
【6ー11】数字を用いる効用:自分の考えを常に数値化する習慣をもて。
社長は、自分の考えを数値化するクセをつけるべきだ。このことは、社長の壮大な夢や野望を確実に実現するために、どうしても必要なことである。
数字は、社長の夢と現実との差を明らかにし、実現可能な裏付けをもった「計算された未来ビジョン」へと変えてくれる。もっと儲かるように、絶対に潰れない会社にしたいと願うなら、自社のROA、現金比率、在庫回転率、売掛債権の回収率と買掛債務の支払率などを把握し、さらに数値を改善する具体策を理解していないと、無借金も高収益体質も単なる願望か寝言ということになる。
あるいは、社長の経営方針を全社員に正しく理解させるためにも、数字は必要となる。「売上を上げるように頑張ってくれ」という方針と、「売上は12%増とする」という方針の明確さの違いは、説明するまでもないだろう。
佐藤肇著「社長が絶対に守るべき経営の定石50項」より
さて、ここで読者にプレゼントがある。
会社の方向性を見誤る決断をしないため、経営者が押さえるべき「自社の決算書から求められる10の経営分析表」を、希望者にご提供する。わが社は儲かる体質か、儲からない体質なのか。万一のときにどの程度の抵抗力があるのか、虚弱体質なのか。その要因は何か。
これら自社の実態を正確につかむために「収益性」「健全性」「成長性」「生産性」、「資金調達」「運転資金」「付加価値の配分」「人件費」の適正を分析する方法と、佐藤式経営オリジナルの分析表である。
ご興味のある方は、左記の専用サイトURLからデータをダウンロードして、ご利用いただきたい。
次のURLにアクセスしてご請求ください。折り返し、ダウンロードに必要なIDとパスワードをメールでお送りします。ダウンロードは、スマホではなくPCをご利用くださいますようお願いします。
【6ー12】会社の「アクセル」と「ブレーキ」:「やろう」はみんなが言えるが、「やめよう」を言えるのは社長だけ。
会社にはアクセルとブレーキがあり、アクセルはたくさんあって社員全員が同時にふかすことができる。景気が良くなって注文がたくさん入ってくると、「さあ作れ、さあ売れ」とみんながいっせいに頑張ることは、それほど難しいことではない。
一方、売れなくなったときに踏むべきブレーキは一つしかない。なぜなら、踏めるのはトップ一人だけであるからだ。100売れると計画して、ヒトもモノもカネもつぎ込んだものが60しか売れないと予測できた段階で、「やめる」と決断することは最終責任者である社長にしかできないことだ。現在のようにパイが小さくなり需要が縮む時代には、自社の何を捨てるか、
それをいつ実行するかが非常に重要になる。ブレーキをかける意思決定は嫌なものだが、それをやることこそ大事な経営者の仕事なのである。
佐藤肇「決断の定石」CDより
【6ー13】価格と需要・供給の関係:商売は常に、裏と表の両面で考えよ。
商売を平面的に、ある一面からしか見ないと、経営判断を間違えることがある。その最たるものが、売り手と買い手、需要と供給の関係である。
リーマンショックの影響で、世界中が突然不況に陥ったときに、多くの会社で売上が急減した。わが社も例外ではなく、リーマンブラザーズ破綻のわずか2カ月後、主力の工作機械が8割減という事態となった。
しかし、需要がないにもかかわらず、ここで無理に売ろうとすれば、価格を下げなければ売れない。需要が戻ったら値戻しすればよいと考えるかもしれないが、一過性では済まず、それが市場価格になってしまう。だから私は「作らず、売らず」で、需要が回復するまで決して無理に売ることをしなかった。商売は需要と供給、売り手と買い手の天秤が釣り合ったときに初めて、双方の欲求が満たされる。裏と表の両面で考えなければならないのだ。
佐藤肇「社長の決断と全社統率」CDより
【6ー14】社長は環境整備係:社長の「知りたがり」と「やりたがり」は百害あって一利なし。
中小企業の社長に見られる良くないケースの一つに、何もできないのに全部を知りたがり、「俺が、俺が」とやりたがるタイプがいる。これでは部下がヤル気を損ない、業務も滞る。でしゃばる社長は百害あって一利なしだ。謙虚さをなくし、権力をふりかざして社内を混乱させている社長は、 一度じっくりと、「社長の仕事とは何か」を考え抜いてみればよい。そうすれば、「自分にできることは驚くほど少ない」ということにおのずと気づくはずだ。
社長にできることは限られている。売上を左右する肝心のお客様に、社長は直接的には何もできない。社長がお客様一人一人に会って営業することはできないし、商品をつくることもできない。
それではお客様に影響を与えられるのは誰かといえば、それは社員にほかならない。お客様と直接に接しているのも社員だし、良い商品をつくるのも、良い接客をするのも、逆に悪い印象を与えるのも、働く社員たちである。
だから、社長がお客様を大事にしたかったら、お客様に接する社員を大事にするしかないのである。すると、良い循環が起こる。社長が社員にいい影響を与えると、社員はすばらしい商品をつくったリサービスを提供してお客様に良い影響を与える。
その働きかけにより、お客様は自社の製品を買ってくれたリサービスを利用してくれて、会社の売上利益に良い影響が出る。上場している会社であれば株価が上がり株主が喜ぶ。そして株主は社長に良い影響を与えるという循環である。
そういう良い循環をつくり、業績を上げていくことが社長の仕事であり、そのために社長が徹すべきは、会社の「環境整備」係となることだ。
唯一、お客様に影響を与えられる社員の処遇をできるだけ高め、だからといって甘やかさずに、 一所懸命教育する。それが環境整備係の仕事である。リーダーは権力をふりかぎして「俺が、俺が」と主役になろうとしてはいけない。むしろ、組織を下から支えるものというのが私の考えである。
佐藤肇「決断の定石」CDより
【6ー15】信念より執念をもて:たとえお化けになってもやり遂げるという「執念」が社長には必要だ。
私は「信念」という言葉よりも「執念」という言葉を大事にしている。
私に言わせれば、信念は尊敬している偉い人から説得されると簡単に変わってしまう、頼りないものである。 一方、執念はお化けになっても変えない、変わらないものだ。何やらおどろおどろしい言葉であるが、困難にもあきらめず挑戦し、社員の心をとらえ、必ずやり遂げるためには、たとえお化けになってもやり遂げるという、執念こそが大事なのである。
ただし社長には、執念だけでは危ないという面もある。思い込んだら一念、あらゆる妥協を許さずやり抜く心と、しかし経過をみて、「これは危ない」と判断したら即座に撤退を指示できなければ、経営はできない。
これは口で言うほど簡単ではない。しかし社長には、矛盾した2つのことを頭に入れて矛盾を感じない、老練でしたたかな対応もまた必須なのである。
佐藤肇著「社長が絶対に守るべき経営の定石50項」よ
【6ー16】社風こそ社長自らつくるもの:社長の「器」以上に、会社は立派にならない。
社風というものは社長がつくる。とくに中小企業は、社長の一挙手一投足が社風をつくるというのが、疑いもない事実である。
その最たるものが、社長のカネの使い方だ。たとえば、社長が平日の昼間から毎週のようにゴルフに興じ、その領収書を経費で落とすような公私混同を日頃から行っていれば、それを見ている部長は月に2回は同じことをするし、その部長を見ている課長は月に1回…と、五月雨式に社長と同じことをするのは当然である。
しかし、これがそのまま社風になったらとんでもないことだ。社長がやるなら私もオレもで、あそこの会社はちょっと問題だね、などと得意先や仕入先の噂となり、会社の信用はガタガタに落ちてしまう。会社は社長の生き写しであり、社長の器以上に、会社は立派にはならないのだ。
佐藤肇著「社長が絶対に守るべき経営の定石50項」より
【6ー17】経営者が求めるべき「道」:人の道に通ずる、経営の「道」を自らに築け。
昔の剣術は、現在まで剣道として残っている。柔術も柔道として、弓術も弓道として残っている。 一方、忍術は忍道として残らずに廃れた。その違いは一体なんだろう。
私はこう考える。現在に残っているものはすべて、達人たちのたゆまぬ精進によって、人の道に通じるところまで切磋琢磨されたからだ。 一方の忍術は、邪の心に支配され、それゆえ忍道にまで昇華できず廃れたのだろう。経営もまた同様である。社長が、経営というものを単なるカネ儲けのツールと捉えて手練手管に溺れると、会社を永続させることは到底できない。
世のため、従業員のためと、社長が人として正しいことをやっていくことで、会社は自ずL良いものになっていく。社長が自らの器を磨かぬかぎり、会社というものも決して発展してゆかないのだ。
佐藤肇著「社長が絶対に守るべき経営の定石50項」より
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