はじめに
社長業は「決断業だ」とよく言われるが、それは違う。会社の存亡をかけるような大決断をしないで済ませる。本来、これが一番良い経営である。
私が大学を卒業し、父・誠一の創業したスター精密に入社してから、およそ半世紀。入社時は売上25億円ほどの典型的な中小企業だったわが社が、ここまで成長発展してこられたのは、経営の根本にこの考え方があるからだ。大方の危機や逆境は、環境の変化に常に目をくばっていれば、相当事前に察知できる。
もちろん、正確に先を見通すことは難しいが、それでも自分なりに仮説を立て、最悪の事態になっても何とかなるよう優先的に策を講じていれば、直前になって場当たり的な大決断をしなくて済むものだ。
厳しい言い方になるが、もし、事あるごとに決断をしているようなら、それは社長の怠慢にほかならない。
社長であるならば、予測でよいから危機を網羅して、窮地に立たないよう備える。それが、私のやってきた「経営の決断」である。
たとえば、事業からの撤退という、経営者にとって避けて通れない決断がある。最も重要で、最優先に取り組むべきことだが、売上を減らす恐怖を本能的にもっている社長にとって、「捨てる経営」は本当に難しいことだ。
よく驚かれるのだが、2009年にリーマンショックの影響で売上が一気に3分の1に落ち込み、85億円の大赤字となったとき、私はこれまでの主力事業の一つであった大型プリンター部門を捨てた経験がある。
大赤字のときに、さらに数十億円の売上を減らす決断に、多くの方は驚かれる。しかし、5年後、10年後の高収益体勢実現のためにやらなければならないと計画していたことで、 一か八かのバクチでは決してないのである。
大型プリンターの事業は長い問稼いでくれた部門だったが、近年は収益率が大幅に落ち、近い将来、会社のお荷物になると予測できた。
使わない設備や売れない在庫を抱えていると、維持するだけでコストがかかるし、そのための人員も必要になる。さらに、その余分な資金を銀行借入で賄うと、さらに金利支払いで利益が喰われる。
結果的にコスト高になって利益が減り、バランスシートが肥大化する。それはいずれ損益計算書にも影響を与えて、さらに損が出ることになる。
そこで、まだ40億円の売上がある2006年時点で、赤字になる前に捨てることを決めていた。そして3年かけて徐々に撤退し、在庫も売り切り、2009年に完全撤退を果たしたのである。
一方で、将来有望なPOS用小型プリンター事業を着々と育て、2008年には40億円の利益を稼ぐまでにしておいた。この事業に撤退部門の人員を配置転換したので、事業撤退にともなうリストラはしていない。
もちろん、85億円の大赤字となってもビクともしない財務体質は、何年も前から築いていた。たとえ、3年売上がゼロになっても日本人全従業員の給与・賞与・退職金を賄える現預金が、会社には150億円ある。
リーマンショック不況の影響範囲については、様々な情報を集めたうえで、会社も社員も守り抜けると確信していたので、何も怖れることなく、毎晩グーグーとよく眠ることができた。
この一例が示すとおり、本書は、「経営の決断」というタイトルから想像されるような、のるかそるかの決断の数々をご披露するものとは違う。
むしろ、綱渡りのような経営をしないために、どう先を読み、会社の方向を定め、計画し、全社一丸で乗り切るか。あるいは、途中で間違えたとき、いかに上手に軌道修正を図るか
様々な難題に、私が大事にしてきた原則や基準を101項に厳選し、決断の急所として解説した。
社長業をやるうえでいちばん覚悟しなければならないことは、孤独になることだ。
会社におけるすべては社長の責任である以上、経営判断を他人に委ねることはできない。
そんな重責を担う経営者の「転ばぬ先の杖」になりますように。
本書に託した、私の唯一の願いはそこにある。
令和三年六月吉日
スター精密代表取締役会長 佐藤肇
【1ー1】身の丈にあわせた成長 絶対に大企業のマネをするな。規模を追わず「身の丈」にあつた経営に徹せよ。
私の経営者人生は、いつも節目節目で逆風が吹いていた。取締役になった1995年は創業以来の赤字、さらに社長に就任した年はリーマンショックの翌年で、85億円の大赤字に見舞われた。
危機に直面し、会社をどう舵取りしていこうかと悩むとき、いつも思い出すのは創業者である父親の教えだ。「いたずらに規模を追わず、身の丈にあった経営に徹せよ」と何度も言われてきたのだ。
「身の文にあった」とは、大企業のように儲かる事業も儲からない事業も抱えて売上をとりにいくのではなく、儲かる事業に経営資源を集中し、自社の財務力に見合ったヒト・モノ・カネで、堅実に成長していく経営のことである。決してイケイケ・ドンドンの派手さはない。しかし、社長の悲願ともいえる「会社を絶対に潰さない」経営法なのである。
佐藤肇「決断の定石」CDより
【1ー2】優良企業とは 健全性が第一、二番目は収益性、これからの時代、成長性は最後。
とっくの音に高度成長が終わり、バブル崩壊から20年以上も経ったというのに、経営者のなかには「売上が伸びれば、世間も銀行も良い会社だと思ってくれる」という錯覚がまだある。
しかし、私は、商品・サービスの「成長性」や「収益性」よりも、財務の「健全性」を最も重視している。好不況に左右されず、絶対に潰れない。これが優良企業たる第一条件と考えている。
もちろん、売上拡大はどうでもよいと言っているのではない。しかし、売上を追えば収益性も健全性もカバーできる時代ではない以上、これからは経営に対する考え方を根本から変えるべきだ。
万一、思ったような売上が出ない場合にも耐えられる体力をつけたうえで、利益の伴わない売上を追わない。健全性第一、収益性二番、成長性は最後である。
佐藤肇著「佐藤式先読み経営」より
【1ー3】売上・利益をあげる「真の目的」 売上・利益の増加は単なる手段であって、真の目的はキャッシュの最大化である。
これまで成長拡大を追ってきた経営者に、念押ししておきたいことがある。それは、「規模拡大」「売上・利益の増大」はあくまでも手段であって、目的ではないということだ。それでは、売上・利益を増やす真の目的とは何か。それは、キャッシュの最大化にほかならない。
なぜなら、赤字でも会社は潰れないが、資金が詰まれば一晩で倒産する。売上も利益もいわば絵にかいた餅で、大事なのは会社におカネを残すことである。
そもそも、売上を伸ばせば、会社のおカネは減っていく。売上を伸ばすためには在庫が増え、売掛債権が増え、ヒトが増え、設備が増え、借金が増え、支払い金利が増え、その分のカネが減る。
売上を増やせばおカネも増えると思っているならば、それは大きな間違いである。
佐藤肇「決断の定石」CDより
【1ー4】小が大に勝つ戦い方 売上規模では敵わなくても、一人当たりの賞与支給額ならトヨタに勝てる。それが中小企業の正しい戦い方である。
売上利益ではなくキャッシュを大事にすることは、従業員を大切にすることにつながる。キャッシュがぁれば会社を潰さず、雇用を安定化できる。さらに賃金の原資であるキャッシュの最大化を狙うことで、従業員に高い給料を払つてやれる。
私としては、従業員を大切にすることの具体的な証として、わが社を日本一給料の高い会社にしたい。とはいぇ、世の中にはとんでもない月給を払うようなIT企業もいて、そういう企業には敵わない。言うまでもなく、人件費は固定費の大部分を占める経費であるから、場当たり的な安っぽい情に流されて安易な賃上げを行えば、総人件費が膨張し、収拾がつかなくなってしまう。人件費倒産などという事態になれば本末転倒だ。
しかし、ボーナスの支給額ならば日本一になれる。わが社のボーナスは業績連動だから、業績が良いときは、まさに青天丼で支給している。
自慢めいた話で恐縮だが、日本経済新聞社が発表している「ボーナス支給額ランキング」で、わが社は上位の常連であり、リーマンショックの翌年2008年も、冬のボーナス支給額平均は127万円と、日本の上場企業で2位だった。
ちなみに、そのときの1位は146万円で任天堂だったが、任天堂は労働組合がないので部課長も含めた平均額である。 一方のスター精密のボーナスは、部課長を除いた係長までの平均金額なので、おそらく純粋な意味での賞与支給額は、わが社が1位であろう。
リーマンショック直後であってもこれだけの賞与を出し、なおかつ85億円の大赤字を出した2009年も、最低保証の年間4カ月のボーナスをしつかりと支払った。もちろん株主にきちんと報いることも必要で、赤字でも配当をストップしたことはない。
わが社は、東証一部企業といえど、売上規模では下から数えたほうが早い。しかし、 一人当たりの賞与支給額ならば天下のトヨタにだって勝てる。それは、中小企業の良さを活かす経営に徹してきたからこその成果であり、小が大に勝つ、正しい戦い方なのである。
佐藤肇「決断の定石」CDより
【1ー5】弱みは強み:「最小の経営資源」で「最大の効果」を上げよ。
中小企業はカネがないのが弱みだ。カネがないから、ヒトもモノも少ない。しかし言い方を変えれば、小さなヒト・モノ・カネで効率的に儲ける経営ができる。皆が一致団結、社長と心を合わせながら少ない原資で多く儲け、少ない人数で多く分けるのが中小企業の良さであり、強みなのだ。
大企業は、在庫も従業員も設備や土地・建物も多く抱えなければならないから総資本が必然的に膨張し、いま儲けが出なくて困っている。
しかし中小企業は、社長の強い意志さえあれば、儲からないものをさっさとやめて、儲けに直結する資産だけをもつことができる。
すなわち、最小の経営資源で最大の効果を上げられる、小さくても強い企業体質を築くことができるのである。
佐藤肇「最小の経営資源で最大の効果を上げる経営」CDより
【1ー6】捨てれば儲かる :「捨てる経営」ができないと儲かる会社にならない。
経営には、「攻める経営」と「守る経営」と「捨てる経営」の3つがあり、経営環境や会社の体力に即して3つをバランスよくやらねばならない。
将来性のある商品はどんどん攻める。ほどほどの商品は守る。しかし、利益率が低下している商品は、たとえ売上が大きくても、早めに捨て去らねばならない。
とくに、「捨てる経営」はいまのように、いつ何時、売上が急減する事態に直面するかわからない時代に重要となる。過剰な在庫、工場、設備などを抱え込んでしまうと損益分岐点が上がってしまい、何かの理由で売上が減るとすぐに赤字になってしまうからだ。
ところが、多くの社長は「捨てる経営」が苦手だ。捨てることは、即、売上を減らすことだからである。「捨てるのはいいが、その分の売上が減る」と、まず捨てない。
しかし、長期のソロバンで損得を考えてみよ。捨てることで出る損を嫌がって、使わない設備や売れない在庫をずっと抱えていると、維持するだけでコストがかかるし、そのための人員も必要になってくる。
さらに、売掛債権や在庫というのはキャッシュが寝ている状態だから、その余分の運転資金が必要となり、それを銀行借入で賄うと、さらに金利支払いで利益が喰われる。
結果的にコスト高になって利益率が減り、バランスシート(B/S)が肥大化する。それはいずれB/Sの問題にとどまらず、損益計算書(P/L)にも影響を与えて、さらに損が出ることになってしまうのである。
とにかく、要らないもの、それを抱え込むとキャッシュが滞るものを社内に抱え込んだら、不良資産化して苦しむということを、経営者は認識しなければならない。
そして、そういうものが出てきたら、さっさと捨てる経営ができるかどうか。これが、儲かる会社にするために、経営者にとって大事なポイントになるだろう。
佐藤肇著「佐藤式先読み経営」より
【1ー7】3つの「創業スピリット」:「3つの創業スピリット」に外れる事業はいっさい手を出さない。
スター精密は精密部品の加工製造業で創業したのであるが、なぜこの商売を選んだかというと、戦後の荒廃のなか、ヒト・モノ・カネのない零細企業が繁栄していくには、次の3つの条件に合う事業でなければならないという考えがあったからだ。
第一に、「材料をたくさん使う仕事はダメ」。わが社の創設は戦争が終わってわずか5年後。当時の日本には石油も鉄もなく、創業にあたり、なるべく材料の少ない商売でなければならなかった。
第二は、「輸送コストのかからない事業」。1950年の日本では高速道路はまだないし、いまのような物流システムもなかった。
静岡という田舎の中都市で事業を行う以上、東京、名古屋、大阪といった大都市に取引先を求めるしかないから、あまり輸送コストがかけられない。
そのため、取り扱う製品はできるだけ小さいものにしようと考えたのだ。そして、これが一番重要であるが、「人を使わない仕事」というのが第二の条件である。
1948年から49年にかけて、全国で労働者の待遇改善のストライキが多発した。その影響で人件費が高騰し、多くの従業員を雇うことはできなかった。創業者は、戦後の復興に伴って、必ずや賃金も飛躍的に高騰すると予見。であるならば、なるべく人を使わないことが有効である。
それから現在まで、精密部品の加工業、次は、自社で作って使っていた部品加工機で工作機械の市場へ進出、そして精密加工技術とエレクトロニクスを融合させた特機事業に進出…と事業を増やしてきたのだが、この「創業の3つのスピリット(精神)」に外れるもの、つまり小資本で高い付加価値を生む事業以外は、たとえ儲かりそうなものでも、いっさい手を出さずにやってきた。
結局、経営の原則を外れた成長拡大は長くは続かない。とくに、人口が減り、需要がどんどん縮んでいくこれからの時代、中小企業こそ、少ないヒト・モノ・カネで効率よく儲ける経営に徹していくことが非常に重要といえる。
この中小企業の良さを活かす経営を忘れて、大企業と同じやり方で規模の拡大を図っていけば、とても生き残ることはできない。このスピリットを肝に銘じているからこそ、わが社はここまで成長発展できたのである。
佐藤肇著「社長が絶対に守るべき経営の定石50項」より
【1ー8】「利益率」× 「回転率」の基本:中小企業が大企業・新興国企業に勝つ唯一の道は、ROA(総資本利益率)を高める経営に徹すること。
現在のように、売上は簡単に増えないしコストも下がらない時代、中小企業が大企業や新興国の企業と伍していく方策のヒントは、ROA(総資本利益率)をいかに高めるかを考えることで見えてくる。
ROAは税引前利益を総資産で割った数値で、つまり、「いかに最小の経営資源で、最大の効果を上げるか」という経営の本質を示すものである。
ROAを高めるには、売上高に対する利益率を高めるか、総資産の回転率を高めるか、もしくはその両方となる。そして、売上高利益率を高めることが容易ではないなか、中小企業は総資産回転率を高めることでROAを高めるのだ。
すなわち、余分な在庫を減らし、不要な設備を売れば、総資産は減ってROAは上がる。さらに、余剰な現預金を投資に回して利益を増やせば、利益率も高まる。とにかく中小企業は、おカネをぐるぐる回す経営に徹することだ。
佐藤肇著「佐藤式先読み経営」より
【1ー9】中小企業だからできること 「買うな、作るな、売るな」は手こぎボートだからできること。
「まさか」と思うような不測の危機に直面したときほど、中小企業の良さ、強さを実感することはない。
たとえば2008年9月のリーマンショックのわずか2カ月後、主力の工作機械の受注が8割減という事態になった。工作機械は高額なので、景気が悪くなると需要が減って売れなくなる。
そこで無理に売ろうとすると、値下げせざるを得ない。しかし、市況が戻った後も簡単には値戻しできないため、それが市場価格になってしまう。そこで、「売るな。売らないのだから作るな、買うな」を徹底した。すべての事業所で金曜も休みにして、週休3日にしたのである。同時に、国内の全工場。全事務所を回り、従業員にこう説明した。
「会社はキャッシュがあれば何とでもなる。わが社には現預金が150億円ある。国内の全従業員の給与。賞与・退職金の3年分だ。だから、仮に3年間売上ゼロでも大丈夫。だから安心して、一緒に危機を乗り越えてほしい」。
結果、作らないから在庫が減り、売らないから売掛債権も減り、売上利益の大激減で赤字額は85億円でも、実際の現預金の減少は6億円にとどめられた。自己資本比率は81%、盤石である。人員整理もしていない。
リーマン・ショックのときにいち早く回復できたのは、買うな、作るな、売るなという指示を早く出せたからだ。そして、社員がそれを迅速に、辛抱強く徹底してくれたから、というのも大きな要因である。
こんなことは、売上が1000億円に満たない会社だからこそできることで、3000億円を超える会社なら、急激に変えることはできないだろう。もしもスター精密が大企業であったら、私はリーマンショックのときに何もできなかったかもしれない。
だから、これは痩せ我慢でも何でもなく、これまで会社を大きくしなかった。何かあったときにすぐに対応できる企業規模でないと、自信をもって経営ができないからだ。
大型客船が進行方向を変えるのは大変だ。でも、遊園地の手こぎボートなら、片側のオールだけですぐに曲がることができる。何かあったときにすぐに対応できるかどうかを決めるのは、会社の規模である。
【1ー10】上場のメリット・デメリット:上場はゴールではない。上場を目指すなら、目的をよく考えよ。
わが社スター精密は1990年に東証一部上場を果たしていることもあり、未上場の経営者から株式公開の是非について質問されることがよくある。
結論から言うと、株式公開には利点と欠点があって、あくまでも経営者各人がどういう経営をしたいかによって、上場したほうが良い場合と悪い場合がある。
上場のメリットとしては、安い資本コストでおカネを集められる。さらに、会社に社会的信用がついて優秀な人材を採用できることや、取引先の拡大や新規ビジネスにつながるなどが挙げられる。
しかし、これから変動はしていくだろうが、昨今の市中金利はゼロであるし、決算書の内容が良ければ、企業が融資の主導権をもつことができる。
さらに、静岡に本社を構えるわが社の実感としては、地方都市の上場企業に東大や京大卒の学生が応募してくることなどめったにない。若者の価値観はいまや多様化しており、「給料30万円の東証一部企業より、35万円の非上場企業に入りたい」と考える若者もたくさんいる。つまり、上場のメリットというものは、昔ほど大きくないように思う。
一方、上場すれば株主から経営についてあれこれ言われる。社長の一存で思いついたら即実行というわけにはいかず、株主の了承をとらねばならない。なおかつ、M&Aの対象にもなる。
そういう煩わしさを踏まえながら、上場のメリットを重視して経営をしていくか、反対に、上場の締め付けがないなかで、たとえ資本コストが高くなっても未上場のままでいるか。大きく分ければこの2択である。
ただし、どちらを選ぼうと、本来、企業経営の基本は少ない資本で大きく儲ける経営だ。そのために経営者は派手で楽しいこと、やりたいことを好き勝手にやる経営ではなく、バランスシートの無駄を省き、純資産を増やすべく、やらなくてはならないことをコツコツと、着実にやっていくしかない。
そういう意味では、たとえ未上場であっても、経営者が野放図に好き勝手やる経営では、会社は成長発展していかない。双六のクあがリクのように「ひと財産つくる」ことを目的にIPO(新規公開株)を目指す起業家と違い、私を含め、本書読者の大半は、企業の永続繁栄を使命として経営をやっている。
その大目的の実現のためにそれぞれの会社独自の戦略や戦術があり、株式の公開もまた、目的を果たすために必要かどうか、ということになる。言うまでもなく、上場はゴールではなく手段だ。ゆえに、上場の是非は経営の目的いかんで違ってくる問題である。
佐藤肇「決断の定石」CDより
コメント