はじめに
「使命」と「経営理念」を達成するのが経営計画書
古田土会計の使命は「日本中の中小企業を元気にすること」です。経営理念は、「社員の幸せを追求し、人間性を高めること」です。
会社は何のために存在するのかと考えると使命感を実現し、社員を幸せにすることだと思っています。
この2つの目的を実現するための道具として経営計画書は絶対になくてはならないものです。
古田土会計は日本中の中小企業を元気にし、そこで働く社員と家族に幸せになってもらうために古田土式経営計画書を日本中に広めたいと思っています。
古田土式と書きましたが、その基本となっているのは、故一倉定先生の考え方です。
経営計画書といっても様々なものがあります。税理士さんの指導で作ったものは数字のみで方針書がありません。何のために経営計画書を作るかという方針が示されていないため、利益計画中心の計画書になり、社員の協力は得られていません。
作っただけの利益計画書では利用したとしても事業計画書として銀行に提出するくらいです。ほとんど経営の役に立っていないのが現実です。
経営コンサルタントが指導して作る経営計画書は方針書が中心です。長い時間と多額のコンサル料を払って作ります。方針書は立派なものが出来上がりますが、数字の部分が弱く運用がうまくいっていません。
「経営方針書」と「利益計画書」がうまくつながっているか
一番いいのは、経営コンサルタントの作る経営方針書と公認会計士の数字の知識を兼ね備えた利益計画書です。
古田土会計の経営計画書は、現役の社長である古田圡が経営コンサルタントとしての力量で方針書を作り、方針を実現するための利益計画書は公認会計士としての数字の作り方をしています。
古田土会計は約400社の中小企業に経営計画書を作ってもらっていますが、お客様からお金は一切頂いておりません。すべて月次顧問料の中で指導しています。
経営計画書のみを希望されるお客様には、別途料金になっています。
多くの会社で方針書と数字の関係があいまいになり、社長自身が方針書の意味や数字である利益計画は誰が作るべきものか明確になっていません。
経営計画は全社員で作るべきというコンサルタントもいます。全社員で経営理念や経営方針書、利益計画書を作成したら、膨大な時間とコンサルタント料がかかります。多くの中小企業では経営計画書が作れなくなります。
ひとりでも多くの社長が経営計画書という道具を使って、会社で働いてくれている社員と家族を幸せにしてほしいと願っています。
2017年2月古田圡満第1部では、経営計画の全体像と社長が作るべきところ、社長と社員で作るべきところを明確に区分して経営計画書が作れるようにしています。
第2部では「初心者でも作れる経営計画書」の観点で短期利益計画である「月別利益計画」「商品別販売計画」「得意先別販売計画」の作り方を書いています。
著者の名前は「古田圡」ですが、会計事務所等の法人名称は「古田土」と表記されているので、本書はそれにしたがっています。
※次ページ以降目次までは、立体的に理解できるように、同じ色の部分は共通した内容を意味しています。例赤は「理念・志」を、緑は「表・数字」を表しています
●古田土式経営計画書構成図

●古田土会計の経営計画書目次

●「誰が」「何をつくるか」――社長と社員との分業

●自社の定義をする

第1章 経営計画書の基本を押さえる
■経営計画書は3つから構成されている
「経営計画書は何か」と聞かれると、多くの社長は「利益計画や事業計画のことですね」と答えますが、それらは経営計画書の一部でしかありません。
私がお伝えしている経営計画書は3つから構成されています。
まず全体像を説明します。
ひとつは「短期利益計画」です。
今年度の売上目標や予定される経費などを記し、毎月、計画と実績を対比する形で作成するものです。
通常、月次の計画と毎月の実績を当月と累計で対比します。これが予実管理と言われるものです。
経営計画書というと、この計画を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか(この作り方については第2部で詳しく説明いたします)。

ただ利益計画書だけでは、経営計画書として十分ではありません。
ほかの2つは何かというと、「中期事業計画」と「長期事業構想」です。
短期計画の「利益計画」と合わせて、会社を、短期(1年)、中期(5年)、長期(5~10年)の視点から計画するのが本当の経営計画書なのです。
この2つを作成するにあたり、もっとも重要なことがあります。
それは社長の「使命感」と「経営理念」を経営計画書の中に表明するということです。これがないと、中期事業計画と長期事業構想は書けません。
■つくるのは社長だが社員が理解できるものにする
社長が、「この会社を通して実現したいことは何なのか」「この事業で誰のお役に立ちたいのか」「それは働く人たちにとってどんな意味があるのか」などを明文化することが大事なのです。
口頭だけで社員には浸透しません。
文字にして、日々その文章に触れることによって、少しずつ社員に伝わっていくものなのです。
社員の働きによって売上は達成されるものなのです。社員が理解できて、社員が行動できるものでなくてはなりません。
経営計画書は、使命感や理念を示した「方針」と売り上げや利益を計画した「数字」の両方があって初めて完成することをまず肝に銘じてほしいと思います。
■中期計画では5年先の会社の未来を描く
短期の利益計画の次は「中期事業計画」です。
中期事業計画にはこの先5カ年の年間の数字計画と事業計画・利益計画等の中期の方針を書きます。
古田土会計の中期事業計画を紹介します。
このような数字に加え、次ページ以降では以下の中期事業計画を実行するうえでの理念を記入します。
この基本をもとに、以下、事業計画、利益計画、要員計画、設備計画、資本金計画、生産性計画、採算性をこの中期事業計画に入れています。


以下がテキストの書き出しです:
- 基本
(1) 締り込み。当社は商品を絞り込み、客層を絞り込む。地域とか価格は絞り込まない。お客様のニーズは、より深く深くなる。
(2) 3~5年に1つ社を立ち上げ新商品を開発し、新市場を開拓し続ける。急成長ではなく、安定成長を目指す。急成長は社員のレベルを落とす。お客様に対するサービスの質を落とさないようにするために10%以上の成長は目指さない。成長拡大よりも、膨張拡大をしてはいけない。
(3) 掛け算の商品で事業を拡大する。足し算の商品は利益の増加。そして足し算の商品を掛け算の商品にする工夫をする。
(4) 常に会社を変化させ、社員の意識と行動を変えていく。
(5) 社員が幸せになること、お客様に喜ばれ感謝されること、お客様に誠実であることは利益より優先する。利益はあくからついてくる。
(6) 利益と資金を蓄積し、社員と家族を守る。 - 事業計画
(1) 会社事業は最高の高収益商品で掛け算の商品なので、深掘りする。月次決算書と経営計画書を全ての中小企業に必要な商品による拡大なので市場は日本中にある。事業計画は全国展開する。
(2) 人事コンサル事業は、会社計事業2,000社のうち220社しか取引していないので成長の幅が大きい。未来のため採用と人財育成に重点を置く。
(3) 保険事業は、お客様の保険証書をチェックし、見直すことにより、お客様に無駄な支出をなくしてもらう。保険の見直しは使命である。新規のお客様は必ずデビューする。
(4) 経営コンサル事業は、中期的に最重要戦略商品とする。
(5) 会計事務所の支援業を中心にして、会計事務所から月次決算書と経営計画書で日本中の中小企業を元気にする。
(6) 経営計画書作成コンサルティングを開始する。日本中の中小企業、会計事務所に対して経営計画作成のみのコンサルを期間限定で行う。コンサルタント会社は決して弱く、いわゆる事務所では計算指導できない。
(7) 経営計画書作成コンサルは2年以内に20人にする。今は約12人。
(8) 相続・事業承継事業は、古巣中小企業のお客様中心に競争相手がいないため、少ない市場場所で戦う。相続の時に事業承継業務売上の他に相続対策事業の提案による売上拡大をする。またM&Aに積極的に取り組む。
(9) 新規事業は常に考える。事業化するために人財と人材を育成しておく。

以下がテキストの書き出しです:
- 利益計画
(1) 総売上高は2021年に20億円になる。次の目標は30億円。
(2) 内部費用
① 人件費は幸せを求めて働く社員たちの労働の対価、より多くの社員とその家族を幸せにするために、毎年社員の数を少しずつ増やし、一人当たりの給料を上げていく。労働分配率を60%にする。会計業界NO1の給与水準を目指す。
② 社員の働く環境をよくするため、労働時間の短縮、福利厚生の充実、働き方の多様化に取り組む。労働時間の短縮は最優先とし、能率や合理化のための投資は積極的に行う。
(3) 給与を上げるために人件費以外の経費は最少化を目指す。
(4) 1人当たりの人件費を高くする。
新卒を増やしていくので、平均的な人件費は高くならないが、大卒で30歳で年棒550万円が目安。サブリーダーになれば600万円を超え、リーダーになれば800万円を超える。やがて部長になると1000万円以上になり、役員は1200万円以上に。時短に取り組みながら労働生産性を高める。全社員が創造性を発揮して粗利益(MQ)を高める。 - 要員計画
(1) 中小企業の社会貢献は納税より雇用などで新卒を中心に、今年末には170名にする。2020年には正社員180名、パートさん50名の230人にする。
(2) 障がい者雇用に取り組む。法定雇用率の200%を目指す。平成26年東京都障がい者雇用優良企業、平成27年厚生労働省精神障がい者等雇用促進企業の認定を受ける。
(3) 社員の帰宅時間を早くするため及びお客様に質の高いサービスを提供するために、担当者のレベルアップとプロの補助者の採用と育成、2人担当のために人員を大幅に増やす。
(4) 経営計画を自計通りに実現できるかどうかは、管理職(部長・リーダー・サブリーダー)の育成にかかっている。管理職に勉強と挑戦の機会を与える。管理職は自己啓発をしに自分の判断でセミナーに参加したり、自分でセミナーを開いていく。費用は全額会社が負担する。まず何でもやってみる。

以下がテキストの書き出しです:
- 設備計画
(1) 設備は賃貸とリースによる投資をする。土地・建物は買わない。借金をする投資はしない、持たない経営をする。
(2) 社員の働く環境をよくすること、時短、仕事の合理化、商品開発には積極的に投資する。平成27年には160坪の増床と1億2千万の投資をしました。
(3) ネットサーチエンジン率(総資本に占める現金の割合)は最低60%以上で10億円は維持し、社員の幸せとお客様へのサービスの向上に投資する。
(4) 社員の地元に新店・子会社を設立していく。 - 資本計画
(1) 事業承継は円滑にするため、(株)古田田経営の増資はしない。
(2) 内部留保が計画的に増すので、毎年確実に純資産額を増やす。自己資本比率90%は維持する。無借金経営を貫く。2020年には22億円を超える。 - 生産性計画
売上高ではなく、1人当たりの粗利益と経常利益を高める。中期事業計画で毎年減少しているのは、社員数を増やし、生産性を上げながら時短に取り組むためです。経常利益額が毎年増加していれば問題ありません。 - 採算性
会計事務所、社会保険労務士事務所は粗利益率100%なので売上高経常利益率は経営安全率と同じです。古田田会計は20%以上を目指す。ただし高すぎてはいけない可能性があるということで、未来への投資、特に人への投資が十分できなくなっていく。担当利益点決率が80%弱になるように粗利益と固定費のバランスが取れた経営をする。
■長期計画では会社の未来を総合的に描く
対して長期事業構想は、5年先、10年先の社員や事業のビジョンを文章で描いたものです。これも古田土会計の長期事業構想の一部を紹介します。冒頭に書いているのは以下の言葉です。
「経営計画書は、社長の戦略書です。長期事業構想を含む基本方針は、5年先、10年先、20年先に我が社はこうあるべきだという未来をデザインしたものです。夢ある我が社の未来を築くために、今何をしなければならないか、という現在の決定こそ長期計画の真の目的です。」
これを書くのは、たとえ日々の仕事に追われていても会社の方向性を見失わないためです。
頭の中だけで考えたことは、すぐに忘れますし、そのときの都合のいいように考えるし、なにより社員と共有しているという緊張感が生まれないのです。
私はこの文章の次に、「基本方針」「社員と家族が幸せになる経営」「尊徳の経営」を続けています。

「現在の決定」こそ長期計画の真の目的
長期事業構想
経営計画書は、社長の戦略書です。長期事業構想を含む基本方針は、5年先、10年先、20年先に我が社がこうあるべきだという未来をデザインしているのです。夢のある我が社の未来を築くために、今何をしなければならないか、という現在の決定こそ長期計画の真の目的です。
未来像
未来像を実現するために長期事業構想があります。経営者の使命感を土台にした未来像のないところに経営はなく、繁栄はない。優れた企業は必ず優れた未来像を持っている。
- 基本方針
よい社風をつくる
社員の幸せ。お客様の幸せ。社会貢献。この3つを同時に実現する。
(1) 社員がやりがいと生きがいを持てる会社になる。
(2) 社員と家族を大切にする会社になる。
(3) お客様に誠実に、感謝される会社になる。お客様が先、利益は後。 - 社員と家族が幸せになる経営
(1) 豊かな生活が送れる会社にする。
年1度は家族旅行ができる高給与を実現する。10年勤務していたら持ち家(マンション)のある生活、貯金のある生活。
(2) 家族のために社員が早く帰れる会社にする。
全社員がPM8:00に帰る。Bコースの社員はPM6:00。利益より家族重視、夕食を子供と一緒に食べられるようにする。 - 尊徳の経営
自分の会社以外の多くの人のために役に立つ
儲かるから儲かるという損得の経営ではなく人様に喜ばれる、感謝されるといった「尊徳の経営」を実践。協力会社と社員の幸せを感じられる会社にしたい。
◆事業
(1) 古田田土日:次期計算書は日本中に広がり、日本の中小企業を元気にすることにより、会計事務所から日本を元気にする。
(2) 経営計画書の方針の実施により、毎年少しずつ成長し、笑顔に溢れて楽しく元気な会社になり、多くの人が見学に訪れる中小企業のモデル企業になる。

以下がテキストの書き出しです:
会社は社員を大事に、社員は家族を守る
社員の未来像
古田田会計グループの中で、仕事と人生に夢と希望を持ち夢を実現させましょう。会社は社員と家族を大切に守ります。社員は家族を守り、仲間を大切にして下さい。たった1度の人生です。最幸の人生になるようにみんなで支援し合いましょう。
- 社員の処遇
社員と家族を幸せにする日本的経営をする。
一生を通しての社員の生活の安定と向上をはかる。
(1) 高給与を実現する。
東京の同業者の10%高を目安とする。1,000万円以上の給与をとれる社員を多くする。新入社員で30歳550万円、中途入社3年経過500万円、サブリーダー600万円、リーダー800万円、部長1,000万円、役員1,200万円以上が目安。
(2) 時短をする。
全社員が遅くともPM8:00までに退社する。女性はPM6:00、男性社員も週1日はPM6:00に退社する。目的は、家族との時間を大切にする。自己啓発をする。そのためにIT投資は惜しまない。
(3) 終身雇用制とする。
世の中の流れがどうあれ、我が社は、この方針を貫く。このために利益を出し善積する。会社の都合で社員を解雇しない。利益は社員を守るためにお金で善積している。
(4) 給与は年功・生活・家族重視、賞与は実力主義。
生活の向上のために賞与で稼ぎ、上を目指して下さい。
(5) 定年は65歳とする。

長く安心して働ける職場環境こそが最高の福利厚生。
(6) 第2の人生
定年後は嘱託として1年契約で70歳まで勤務可能、給与は現役の6割ないし500万円が目安になります。残業はしない。貸与あり。
70歳を過ぎたらパート嘱託で80歳まで勤務可能、月給は15万~20万円で賞与なし。月10日~15日くらい働いてもらう。
月給20万以上で働く人は、月給30万円が目安。またパート嘱託は、選択により65歳より80歳まで1年契約で勤務可能。
人は必要とされるから生きるのが楽しくなる。
(7) 持ち家貸付制度
家庭を持ち、家を持つと生活が安定します。退職金の範囲内。
(8) 全社員に社長・役員・株主になるチャンスを与える。
社長、役員になり、仕事のやりがいと1,200万円以上の給与をとって下さい。給与に対して常に前向きな不満を持ち続けて下さい。
分社と社員の未来の夢を実現するためです。同族でなくても株主、役員、社長になれます。
(9) 社員の福利厚生
毎年社員旅行をする。2年に1度は海外旅行。国内旅行は家族(子供)招待。5年に1度は家族を呼んでの感謝の集い。毎年4月2日は家族同伴ディズニランド、バーベキュー大会・運動会等職場環境を常に改善していく。
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