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手書きのメッセージ②戦略の誤りは戦術ではカバーできない

経営コンサルタントの一倉定先生は、「社長の仕事は高収益型の事業構造をつくることだ」と言っておられました。古田土会計では社長の仕事は「高収益型の事業構造をつくり、社員と家族を幸せにすること」と定義しています。

高収益型とは、毎年高額の経常利益を出し続けられる会社のこと。

どうしたら経常利益を出し続けられるかというと、販売ではなく、商品・サービスで差別化します。

販売力で差別化しても 1年 ~ 3年ですぐ真似されます。高収益は長く続きません。

商品・サービスで差別化すると 5年 ~ 10年、 20年と高収益を維持できます。他者が真似しづらいからです。

では誰が商品・サービスを開発するかというと中小企業では社長です。社長の仕事は、高収益の商品・サービスを開発することです。それ以外の仕事は役員でも、幹部でもできます。

ただし、会社によい商品・サービスを現在もっていない場合は、社長は先頭に立って営業をして、売上と粗利益をアップすべきです。

社長が最高の営業マンだったから現在の売上高があるのですから。

社長が戦力としての商品・サービスの選択を誤れば、また会社の方向性の選択を誤れば、いかに社員が優秀でモチベーションが高くても会社は潰れます。

1つの事例として、シャープはホンハイに買収されました。中小企業の社長は「そんなに簡単に新事業や新商品・サービスが見つかれば苦労しないよ」と言います。

本当に誰にも負けない努力をしているのでしょうか。土曜も休日も 1年中、考えているのでしょうか。同業者でよい経営をしているところがあれば自ら足を運んで教えてもらい、自社に取り入れているのでしょうか。自社の弱みを嘆くのではなく、自社の強みを自覚し、それを商品化して、営業しているのでしょうか。

社長が会社の内部にばかり目を向け、コスト削減や内部組織作りで、給与規程や就業規則等に力を入れても会社の業績はよくなりません。

よく聞く話で「社員が頑張れば報われる会社にしたい」というのがあります。私はこれはおかしいと思っています。会社は社員が頑張っても頑張らなくても、利益の出る会社は利益が出ています。赤字の会社は赤字です。どこの会社の社員も頑張っていない社員はいません。

仕事があればみんな一生懸命働いてくれます。儲かっている会社と儲かっていない会社との違いは社長が正しい戦略をとっているかどうかです。

社長の戦略の誤りは、戦術ではカバーできないのです。

その戦略は、商品・サービスの方向性です。販売にあります。コストや内部体制ではありません。

古田土会計は、去年「頑張る中小企業 300選」に選ばれました。

今年、私は中小企業庁より依頼があり、「はばたく中小企業 300社」の審査委員になりました。委員長は一橋大学副学長の沼上幹先生です。審査委員のほぼ全員が大学教授で一般企業の審査委員は私だけでした。応募した会社のすべてが技術、製品またはサービス・商品の革新性・優位性やビジネスモデルの革新性・優位性が競われます。

すなわち、伸びている会社は、技術、製品、サービス・商品が優れているのです。戦略に革新性と優位性があるわけです。

中小企業の社長に「社長の仕事とは何か」をわかっていただきたいと思っています。

司馬遼太郎の『花神』で大村益次郎は、「戦術のみ知って、戦略を知らざる者は、ついに国家をあやまつ」と言っています。

中小企業の社長も戦略と戦術の違いを知り、戦術のみで仕事をしていては経営を誤り、会社を潰します。

目次

■社員のベクトルを合わせるのに役に立つ

また、理念を含めた経営計画書を作ることは何も社員のためだけではありません。創業者が高齢となった中小企業では、現在、事業承継が大きな問題となっています。

二代目社長にとっても、この理念が重要になるのです。

一般に二代目は創業者ほどのカリスマ性やリーダーシップは持っていません。そういうときにこそ、社員をひとつにして、会社が向かう方向を示し、さらにそれぞれの社員がやるべきことを明確にする経営計画書が一番なのです。

社員のベクトルを合わせることに苦心している経営者にはぜひこの意味を実感してほしいと思います。さらに付け加えれば、二代目社長が就任した直後はあまり劇的に方針を変えないことも大事なことのひとつです。

「自分が就任したのだから、新しいことをやらなければ」という観念にとらわれる必要はありません。方針が変わると社員はついてこないものです。

まずはスムーズな世代交代を考えましょう。やりたいことは会社が新体制で軌道に乗ってから、と心得てください。

■ワークブックを活用する

「経営計画書を作ったことがなく何から始めていいかわからない」という声もよく聞きます。

古田土会計では、古田土会計の経営計画書の方針を真似してもらえるように、古田土会計の方針書を右側にして、お客様の方針を左側に書いていただければ、方針編が完成するように作成しています。

「古田土会計の経営計画書」目次( 6ページ)を見ていただければ、個別方針の内容が一目瞭然です。

書くべき内容は「事業活動」「教育・評価」「雇用」「経理・総務」「組織・内部体制」の5つです。

重要な順番に並べていますので、まずは事業活動から着手しましょう。

「経営計画書の方針を作るコツはノリとハサミ」と言っています。

古田土会計の方針書の中からやっていることとやれそうなことをコピーし、その部分をハサミで切って糊付けし、自分の言葉に書き変えれば完成です。

ポイント解説~中期事業計画~

具体例

  1. 基本
    (1) 新商品・新サービスを開発し、新市場を開拓し続ける。
    (2) 常に会社を変化させ、社員の意識と行動を変えていく。
    (3) 10%以上成長しない。だが毎年成長する。急成長ではなく、安定成長を目指す。
    (4) 掛け算の商品で事業を拡大する。足し算の商品は利益の増加。足し算の商品を掛け算の商品にする工夫をする。
    (5) 社員が幸せになること、お客様に喜ばれ感謝されること、お客様に誠実であることは利益より優先する。利益はあくからついてくる。お客様が先、利益は後。
    (6) 利益と資金を蓄積し、社員と家族を守る。
  2. 事業計画
    会社事業は最高の高収益商品。全国展開する。
  3. 利益計画
    人件費は幸せを求めて働く社員たちの労働の対価、社員とその家族を幸せにするために、毎年社員の数を増やし、一人当たりの給与を上げていく。
  4. 要因計画
  5. 設備計画
  6. 資本金計画

POINT
① 数値計画に沿った内容の解説。
② 5年後の我が社の姿を記載します。
③ 未来に旗を立て、会社の進むべき方向性を明確に。
④ 社長の夢やロマンを具体的に記載します。

Question
5年後の自社の経営環境(人数等)は具体的ですか?

お客様の声①リアルでもネットでも理念を浸透させる。経営計画書があるからコミュニケーションが活発になる株式会社柴田屋酒店(酒販売業)代表取締役柴泰宏

▼社員が50人超えて壁を感じる

弊社は現在47期ですが、古田土会計事務所のもとで経営計画書を初めて作ったのが34期でした。指導は1年半前から受けていました。

当時、どうやって会社をひとつの方向に向かわせていくべきかに悩んでいまして、たまたま流れてきたFAXがきっかけでした。

社長の夢を掲げることと現実を毎月チェックすることの大事さを伝えるセミナーの案内でした。まさに当時の自分が知りたいことだったので、即申し込みをしたことを覚えています。

社員が50人超えると社長のトップダウンでは伝わらなくなると思っていて、仕組みを作りたいと思っていたのです。

スキルを教えていただけることよりも、中小企業を応援してくださるというセミナーでの姿勢がありがたいと思い、すぐに指導をお願いすることにしました。藁をも掴む思いでした。

すぐに経営計画書の作成にとりかかりました。古田土会計事務所の担当の方に聞きながらほとんど真似しながら作った記憶があります。

数字の計画を立てていく中で、それを実現するためにはどこにメスを入れなければならないかと、毎月指導していただきました。

財務面だけでなく、営業、人事、労務にいたるまで相談に乗ってもらいました。決算書ができれば、それをもって、一緒に取引銀行に回ってきていただいたりもしました。

おかげで借り入れもいい条件で取引できていて、本当にありがたいです。こんな会計事務所は今までお会いしたことなかったです。本当に中小企業の応援団長だと思っています。

▼経営理念を「絆」とし社内外との関係も活性化

弊社の経営理念は『柴田屋は、絆を大切にし、社員とお客様の成長と幸せのために、挑戦し、飲食業界の発展に、貢献します』としていますが、理念を社員に浸透させるのは大変でした。

弊社は、絆を深めるためのさまざまな研修を行っています。

会社内で、飲んだり食べたりしながら、経営幹部と社員が意見交換する場もありますし、Facebookページを使ってのコミュニケーションも積極的に行っています。

私からメッセージも意識的にしています。

「社長通信」は、毎月給与明細にメッセージを書き、「週刊社長」はFacebookページで文字どおり、私が毎週発信します。

また年2回「社長アドバイスシート」は、社員が日本一になれるためのアドバイスを社長にするというものです。最初のころは「特になし」が多かったのですが(苦笑)、次第にたくさん書いてくれるようになりました。

年に2回というのは、中間発表もあるからです。1年では間隔が長すぎると思っているのです。

経営計画書を作成するときも合宿を行い幹部と内容を議論します。

「絆」を理念のひとつとしたのは、経営計画書を作る必要に迫られて、作ったのが、きっかけでした。今では社員にもすっかり腹落ちしていて、入社時にもそれを明確に伝えています。コミュニケーションを活発にしているのも「絆」を腹落ちさせるための方法なのです。

今ではこの理念に賛同してもらった人にのみ入社してもらっています。

▼情報開示の重要性を実感

財務の数字はオープンにしています。営業だけでなく、内勤の目標も張り出しています。

それに対しても意見交換があり、情報の開示とコミュニケーションの量は比例すると思っています。

会社は「柴田屋丸」という船だと思っています。行き先も方向も皆で決める。行き先に到達したら、優秀な人から取り分が多いという仕組みです。

柴田屋丸がバラバラにならないのも、経営計画書があるからです。

今後の個人の目標は感動あふれる人生にして、飲食業界の坂本龍馬になること、会社としては自己資本比率を上げることですね。

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