年商 1000万円 ~ 2000万円までの経営者が考えるべきこと
現在、税理士の数が増え、いわゆるレッドオーシャンになっていますが、特に年商 5000万円ぐらいの規模になってくると税理士の違いが納税額や借入額の違いにつながっていきます。
ただ、そこに達する前の、年商 1000万円から 2000万円規模の会社がやるべきことについて、まずは考えてみましょう。
税務処理について考えると、年商 1000万円 ~ 2000万円までの経営者の場合、言い方が悪いかもしれませんがまだ何が分からないかも分からない段階のケースが多いように感じます。
「税務署に何を届け出ればよいのか分からない」「どの領収書が経費になるか分からない」「税務署から書類が送られてきたけどどうすればよいのか分からない」「役員報酬はいくらにすべきなのか分からない」
これは、年商 1000 ~ 2000万円までぐらいの経営者が感じている、ありがちな悩みです。心当たりがある人も多いのではないでしょうか?
ただ、年商 1000万円 ~ 2000万円までで考えると、実は税理士によって何かが劇的に変わることはありません。
たまに「節税が・・・」という経営者の方もいらっしゃるのですが、これぐらいの規模での利益を考えるとそもそも節税の意味などほとんどありません。
では、この段階で税理士をお願いする場合には、どんな税理士をつけるべきでしょうか。それは、困ったことや悩みがあった時に丁寧に対応して教えてくれる税理士です。
聞いた都度、丁寧に教えてくれる税理士であればそれで問題ないと言えるでしょう。
第四章で解説するレベル 3の税理士がこれに該当します。
この段階の経営者に強調しておきたいこと、それは税理士による変化を求めるのではなく、とにかく売上を立てることです。
税理士に聞いて、いい経営のアドバイスをもらおうとか、 PDCAがどうのこうの言う前に、とにかく DOです。 それこそ PDCAではなく、 DDDDでいいぐらいです。
年商 1000万円 ~ 2000万円までで、社員が一人や二人という規模の場合、 DOを続けて売上を立てないことには、税理士による経営アドバイスも PDCAもあまり効果を発揮できないものなのです。
一つだけ強調しておきたいこととしては、無申告だけはやめましょうということです。
たまに忙しすぎて申告をできていなかったとか、税理士さんにお願いするお金がなくて結果として無申告になってしまったということがあるのですが、申告だけはしっかりやっておく必要があります。
税理士に払うお金がなければ、領収書などの必要書類を持って直接税務署に行って聞いて申告しましょう。会計ソフトもどんどん進化し使いやすくなっています。
最近ではクラウド会計を利用するという手段があり、これによって申告は非常に楽に簡単になっています。
注意点としては税務署に行く場合はできれば1月 ~3月を避けることです。
この期間は税務署が非常に混むためで、とにかく無申告だけは避け、いくら忙しくてもしっかりと申告するように努めましょう。
年商 5000万円は1つの大きな分岐点
年商 1000万円から 2000万円までぐらいは税理士によって大きく状況が変わることはないと申し上げましたが、これが年商 5000万円ぐらいになってくると状況が変わってきます。
まず、年商 5000万円ぐらいの規模になってくると事業が一つの形になっている状況と考えることができます。
そして、税務署は税務調査の対象として見てくるようになります。
この段階になると、経営者は選択をする必要が出てきます。
それは、事業規模は現状で良しとするのか、それともさらなる成長・拡大を目指すのかという選択です。
例えば、飲食店を 1店舗経営していて年商 5000万円になったケースを考えてみましょう。
そこで良しとして、そのまま 1店舗経営を続けるという選択肢もあれば、一方で店舗を増やしたり別業態の飲食店を開く、もしくはまったくの別事業を展開するという選択肢もあります。
もし、 1店舗経営を続けるという選択肢を考えた場合には節税を考えるべきと言えます。
当然、節税に力を入れてくれる税理士に依頼する事が有効な策と考えられるわけです。
一方で店舗を増やすなど、事業を拡大する選択肢をした場合はどうでしょうか?
事業を拡大する選択肢を選ぶと、場合によっては資金がショートしてしまう危険性が出てきます。
資金ショートの危険性をはらんだ事業拡大を選択した場合、財務戦略を間違えると一気に倒産の危機に陥ってしまうことだってあるのです。
また、経営者が事業拡大していくことを目指した場合において、保守的な税理士が担当しているとどうなるでしょうか。
根拠のない不安感から「その事業はやめたほうがいい」といった保守的なアドバイスをしてくる可能性だってあります。
私は経営者から相談を受けることも多いですが、「せっかく事業を拡大したいのに税理士がやめたほうがいいと止めてくる」という相談はよく受けます。
この場合、どちらが悪いわけではなく、経営者と税理士がうまくマッチしていない状態と言えます。
このようなミスマッチが起きている場合、税理士の変更を検討すべきと考えられます。
なお、年商 5000万円から成長を目指すかどうかの選択を考える際には、簡単に言えば収入をそれ以上に増やしたいかどうかで考えるのが一般的です。
節税で手元に残るお金は多少増やせるかもしれませんが、入ってくるお金が増えなければ収入をそれ以上増やすことはできません。
それ以上に収入を増やしたいとなると、やはり売上を拡大させる必要が出てくるわけです。
年商 5000万円を超えてきた際にどんな戦略をとるかによって
- 税理士に必要なスキル
- 税理士の仕事へのスタンス
- 税理士に求められるサービスは異なります。
年商 1000万円 ~ 2000万円まではとにかく DO(行動)をして売上を拡大させることをおすすめしましたが、年商 5000万円規模になってきた際にはその後の展望を一度考えるべき段階と言えるでしょう。
そして、その展望に適した税理士選びが大切になります。
年商が 1億円を超えると予想される混乱と対策
年商が 1億円から 3億円の時期は、バックオフィスが最も混乱する時期でもあります。
社内に経理スタッフを入れても時間を持て余してしまいますし、必要になった時に採用しても機能しないリスクも伴います。では税理士に丸投げすればいいのでしょうか。
管理会計を導入し、誰がその窓口になるのかといった経理業務フローの整備が必要なります。もしこれを怠り事業規模だけが大きくなってしまった場合、気づいた時には会計データはガタガタでどこが間違えているのかさえ分からず修正さえできない、手遅れの状態になっています。
一番の問題は、年商が億を超えてくると会社の資金繰りが厳しい時に個人のお金で建て替えられる規模ではなくなっていると言うことです。
数百万円なら社長のポケットマネーで何とかなったかもしれませんが、数千万円規模になってくると資金ショートは高い確率で倒産を意味する事になります。
経理会計の管理状態がガタガタで黒字倒産という結果になる前に、手を打っておくことをおすすめします。
対策としては、会社の方向性を把握した上でアドバイスをしてもらえる税理士を見つけ、今何をやっておくべきなのかアドバイスをもらいながら事業拡大と同時にバックオフィスの強化をすることです。
バックオフィスの整備は、経営状況の把握と素早い意思決定につながると共に、資金ショートや社内不正の防止、業務効率アップなどにつながります。
また、会社の方向性によって税理士のアドバイスも変わります。
例えば、先々会社を売却したいのか、それとも上場したいのか、もしくは事業承継するのか、自分の代が終わると同時にたたむのかなどが考えられます。
売却や上場を考える場合と、事業承継や自分の代でたたむ場合では決算の組み方や節税対策はまったく違ってきます。
売却や上場の場合は、なるべく内部留保を増やし BS(貸借対照表)の見栄えをよくする必要がありますが、同じ状況だと事業承継の場合は相続税が高くなってしまうだけです。
また自分の代でたたむなら、最大限の節税対策が有効になります。
事業承継などの株価算定業務に関しては、得意とする税理士の数は少なくなりますし、上場を考える場合は後でご紹介するレベル 5の税理士に依頼することで実現の可能性は高くなります。
このように、会社の方向性によって頼む税理士も必要なアドバイスも変わるため、年商が億を超えるとさらに税理士選びが重要になるのです。
コンサルタントを入れてはダメな理由
さて、年商 5000万円からさらに事業を拡大しようと考えた場合に、コンサルタントを入れて新規事業を立ち上げたり、既存事業を拡大しようと考える経営者がいます。
ただ、正直言いまして、この段階でコンサルタントを入れることはおすすめできません。もちろん、コンサルタントを入れたくなる気持ちは分かります。
自分で考えるより楽ですし、それで効果があればありがたいですから。ただ、年商 5000万円ぐらいだとコンサルタントのアイディアを実現するためのリソースが足りないケースがほとんどです。
ヒト・モノ・カネが不足しているのです。
ヒト・モノ・カネがない状況ではアイディアを形にすることができず、ほとんどの場合、絵に描いた餅で終わってしまいます。
もちろん、ヒトが余っていたり、カネが余っていればコンサルタントの意味はあるかもしれませんが、年商 5000万円ぐらいだとまだコンサルタントを入れる段階ではないと考えるべきです。
ちなみに、優秀な税理士に協力してもらえれば売上が上がると考える人もいるかもしれませんがこれも間違いです。いくら税理士が優秀でも売上は上がりません。
税理士は財務のプロであって経営者ではありませんから、売上を上げるためには経営者自身が取り組まなければならないのです。
売上の上昇は、コンサルタントや税理士のような外部に依存しては実現しないもので、経営者が自身のクライアントに真摯に向き合って取り組んでこそ実現するものと私は思います。
節税して納税を減らしてもお金は増えない
手元にお金を残したいと考えれば、納税が前提となります。
これは理解している経営者とそうでない経営者に分かれるところなのですが、節税をし過ぎて、結局手元にお金がない状態となってしまう経営者は実は少なくないのです。
例えば利益が 100万円ある場合について考えてみましょう。
この場合、 30%納税するとなると 30万円を納めなければいけないわけです。
100万円現金があって 30万円納税するわけですから手元には 70万円が残ることになります。
では節税を考えて 100万円の利益を消した場合について考えてみましょう。
この場合、確かに税金として 30万円納めることは回避できているかもしれませんが、手元のお金も無くなってしまっているわけです。
長年、事業を続けている熟練経営者のみなさんは、経験からこの事実を理解されています。
ビジネスにおいて、急用でお金が要ることは日常茶飯事ですし取引先からの入金が遅れることだって考えられます。
年商 5000万円ぐらいの規模の場合、キャッシュの有無は成長のためにも財務安定のための生命線になります。
節税して納める税金を減らすよりも、納税して手元にお金がある状態のほうが望ましいものです。
節税したから手元のお金が増えていると考えてしまう経営者がたまにいますが、節税して手元のお金が減っているケースだって実は多いのです。
また、経営者の中には節税どころか脱税にまで手を出してしまう人がいますが、これだけはだめです。
必ず捕まると考えて下さい。スピード違反と同じで、確かに 50キロオーバーで走っていてたまたま捕まらないこともあるかもしれません。でも、走り続けていれば必ず捕まるものなのです。
そして、捕まった際には売上まるまる持っていかれるケースだってあり得ます。こうなると致命的です。
捕まるのではないかと精神的に追いつめられながら事業を行うのはよくありませんから、脱税だけには手を出さないと強く心に誓っておきましょう。
新規事業のためにいきなり人材は雇わない
年商 5000万円規模になり、さらに事業を拡大していくことを選択した場合、新規事業に取り組むことが考えられます。 ただ、新規事業をやる際に、いきなり人材を雇うことは好ましくありません。
様々な事例を見てきましたが、新しく人材を雇って新規事業を任せたところで、まず失敗するのが関の山です。
新規事業を 0から立ち上げて軌道に乗せる力があれば、そもそも組織の中の従業員という立場にとどまっている必要はないわけですから。例えば飲食業で考えてみましょう。
居酒屋がメインの業態で新規事業としてカフェをオープンしようと考えたとします。
この時に、いきなりカフェの店長を従業員として雇い入れ、すべて任せて始めたとしてもなかなか上手くいかないもで、最初は苦労しながらでも経営者自らが能動的に取り組むべきなのです。
最終的に人に任せる予定だとしても、新規事業は経営者自らが勉強して始め、それを収益が上がる形にして、そこで初めて人材を雇って任せるという手順を取らなければいけません。
0を 1にする、ここだけは人任せにしてはいけないのです。
経営者が自ら新規事業に積極的に携わり、その新規事業のクライアントから声を集め、その事業について理解して経験を深めてからでないとまず成功しようがありません。
ひどいケースだと新規事業を担当している社員に「社長、これどうすればいいですか?」と聞かれて「任せてるから、分からない」なんて応答をしてしまっているなんてケースがありますが、これで成功するほど事業は甘くはないでしょう。
人材を雇って新規事業を任す、これは経営者が楽をしようとし過ぎで、怠慢と考えるべき行動と考えましょう。
まずは覚悟が必要な仕事以外を人に任せる
先ほど、新規事業において 0から 1の仕事は経営者自らが取り組むべきとお伝えしましたが、ただ経営者にはそこまでの時間がない場合がほとんどです。
特に年商 5000万円ぐらいの規模の会社の経営者は本当に激務なのです。
歯がボロボロになってしまっているノコギリで木を切ろうとしていることを考えるとイメージしやすいと思いますが、いくら周りの人間が新しいノコギリに持ち替えたほうがよく切れると伝えたところで、持ち替える余裕がないのです。
結局、年商 5000万円規模の経営者はどうしてもその歯がボロボロのノコギリで木を切ることに汗水流し続けてしまいます。
でも、その状況を続けていては新規事業を立ち上げて 0から 1にする仕事にトライすることは難しいことは明らかですよね。そこでやるべきことは、まず経営者の時間を空けることです。
今の仕事のうち、アウトソースできるものはアウトソースするなり、パートや派遣社員ができる仕事であればパートや派遣社員に任せるのです。そうすることで、経営者に時間ができます。
時間に余裕ができれば新規事業について考える時間もできますし、自身が現場の最前線で 0を 1にする仕事に取り組むことができるようになるのです。
また、ここが大切なのですが、事業を拡大させるために仕事をアウトソースしたり、またパートや派遣に任せると決断した場合には、税理士と話し合って財務面から事前にしっかりとシミュレーションをする必要があります。
アウトソースすると利幅が減る可能性があり、その結果、場合によっては数か月後に資金繰りが厳しくなる可能性があります。
この場合、最初に借り入れをしておく必要性があるかもしれません。財務面の数字が厳しくなってからでは銀行は融資をしてくれない可能性だってあるのです。
ちなみに新規事業など、今後借り入れが必要になる場合は税理士選びが大切になります。
例えば、節税に力を入れる税理士が決算書を作っているケースを考えてみましょう。
節税は利益を圧縮して納税するお金を減らすことになりますが、利益が少ない場合、銀行は融資に対して消極的になってしまいます。
場合によっては、それをやったら借り入れできないとされる決算書の作り方をしてしまっているケースだってあるのです。
以上のように年商 5000万円規模になってきた場合には税理士の選択がかなり重要度を増してくると考えられます。
どのタイミングで人材を採用するのか
ここまで、・新規事業では経営者自らが現場に立つこと・経営者が新規事業に取り組む際にはまずはアウトソースなどで時間を空けること・新規事業に取り組む場合には信頼できる税理士と財務面の計画を練ることなどを紹介してきました。
以上のことを考えると、結局人材を採用するのは、 0から 1を実現した後の段階と言えます。
この方法であれば 0から 1が実現できなければ人材を雇わなければいいわけですから、リスクも抑えることができていると考えられます。
一度人材を採用するとそう簡単に解雇することはできません。
また、人材は教育にも非常に時間がかかるものですし、会社の規模が大きくないうちは、一人の人材の採用がプラスにもマイナスにも大きな影響を及ぼすことが考えられます。
どのタイミングで人材を採用するかは、信頼できる税理士ともよく話し合って決めましょう。
税理士によっては、特に成長企業を数多く担当している税理士の場合は、人材採用に詳しい税理士だっているものです。
また、人材採用に関する助成金の情報を教えてくれることがあるので、やはり事前相談が大切になります。
収入を増やしたいなら借入した方がいい理由
まったく節税をしていない状況であれば、節税することによって長い目で見れば手元に残るお金は増やすことができるかもしれませんが、収入を増やす特効薬は何といっても売上を増やすことです。
既存事業を拡大させるのか、それとも新規事業を立ち上げるのか、いずれにしても売上を増やさない限り収入は増えません。ここで、新規事業に必要なお金をどうするかについて考えてみましょう。
新規事業を開始する、または既存事業を拡大するためには、それなりにまとまった資金が必要になります。
自己資金だけで足りるのであればそれでもいいと考えるかもしれませんが、実は必ずしもそうとは限りません。経営者が考える投資額を既存事業だけで捻出できない場合は、資金ショートを意味します。
新規事業はうまくいくとも限りませんが、だからと言って上手くいかなかったときに倒産してしまってはいけません。 そこで必要になるのが、自己資金があったとしても、あらかじめの保険として借り入れをしておくという考え方です。 勘違いしてはいけませんが、借り入れたお金は投資以外には使ってはいけません。
あくまでも借り入れたお金は使わずに事業を軌道に乗せることを目指さなければなりません。
ただ、あらかじめ保険として借り入れておけば、目の前のチャンスにすぐ投資できますし、もし上手くいかなくてもお金が手元に残るので立て直しできる可能性があります。
借りたいと思っても審査には時間がかかりますし、まずくなってから借りようとしても銀行は本当に困ってからでは貸してくれないもので、一番避けたいのは自己資金を使ってしまって立て直すことができない状況に陥ってしまうことなのです。
さらに、あらかじめ保険として借りた 500万円をきっちり返済していれば、信用が付いて今度は 1000万円貸してくれる可能性だってあります。 以上のように、収入を増やしたいのであれば、新規事業に取り組んだり、既存事業を拡大したりと、リスクをとって売上を作る努力をしなければなりません。
そして、今よりさらに売上を作る際は、自己資金があったとしてもあらかじめ借り入れをする戦略をとるのも有効な方法なのです。
特に、今は金利が安いですし、今後事業規模の拡大を視野に入れた場合、銀行の信用を増やしておくのはとても賢い選択と言えるでしょう。
生命保険は要注意
税理士に生命保険をすすめられた経験のある経営者の人は多いのではないでしょうか。実は、税理士は生命保険に加入してもらえると手数料が入る仕組みになっていることがほとんどです。
販売代理店でなくても、保険会社から手数料を払うので紹介してくださいと言われて紹介することも多いのです。
実際に、私自身が会計コンサルタント時代にお客様に生命保険をすすめることもありましたし、毎月月次を担当している立場の人間からすすめると何の疑問も持たずに加入する経営者がほとんどでした。
多くの場合、節税のためにすすめられるのですが、以前説明したようにそもそも利益を減らす節税の場合、手元のお金が減ることは考慮しなければいけません。
手元に利益が 500万円あって 30%納税した場合、150万円納税して手元に 350万円が残ります。
一方、節税で生命保険を 500万円加入すると、課税対象が減るので納税額を減らすことができますが、一方で手元のお金も無くなってしまうわけです。
単純に節税のみを考えるのは危険で、手元にお金があることのメリットを踏まえてどちらを選択すべきかについてはよく考えることが大切です。
先日も、何の説明もなく税理士にすすめられるまま多額の生命保険に入ってしまい、資金がショートしかけて、個人のお金を会社に貸し付けることになった経営者から相談がありました。
税理士に資金が足りなくなっている原因を聞いても、大丈夫としか言われずまったく説明もない状況が続き、不信感が限界に達したそうです。
まったく月次には来ないのに、決算前の保険の説明だけにはきっちり来るそうで、おそらく、生命保険の手数料が目当てと予想されます。
保険の手数料さえ入れば顧問先が潰れようがお構いなしのようにすら考えているのかもしれません。誤解がないようにお願いしたいのですが、生命保険が悪いのではありません。
ただ、その税理士が生命保険についてしっかりと理解した上で提案してくれ、またリスクについてしっかりと説明してくれているかはよく見ておきましょう。
特に以下の 3点についてしっかりと説明してくれないまま生命保険をすすめられた場合には税理士が手数料目的ですすめている可能性があるので注意が必要になります。《中途解約したら満額返ってこない説明を受けているか》
満期が 10年、 15年の生命保険を考えてみましょう。満期まで持てば満額返ってくる商品であっても、中途で解約すると返戻率が 2割 ~ 3割となってしまうことは多いです。
つまり、節税という名目で生命保険を買うことは、手元の流動資産というメリットを減らして、現金を眠らせてしまうことと同じなのです。
《翌年以降に発生する保険料の説明は受けているか》
保険料は翌年以降も支払わなければならないのが一般的です。 目先の数字だけで生命保険の加入を決め、翌年以降に保険料の支払いに苦労する結果になってしまっては本末転倒です。
《退職のタイミングと保険満期のタイミング》
退職金は税率が安いこともあり、満期のタイミングと退職のタイミングを合わせるというスキームはよく使われます。 ただ、目先の節税ばかりに注目していると合わせるはずの退職のタイミングと保険満期のタイミングがずれているというミスが起こることも実際にあるのです。
以上のように、生命保険は加入して終わりではなく、翌年以降の支払いや中途解約、満期タイミングにどう処理するのかについてもしっかりと説明してもらった上で加入するかどうかを決める必要があるものなのです。
税理士に生命保険を紹介された場合には、以上のことをしっかり説明してくれるかどうかを見極め、現金を眠らせてしまったり、結果的に納税するよりも手元のお金が減ってしまうことに後悔するという事態に陥らないように注意しましょう。
取引先が一社という大きなリスク
年商 5000万円規模の会社の場合、取引先がほぼ 1社というケースがあります。逆に言えば、優良な取引先があると 1社だけでも年商 5000万円を実現できるということになるのですが、実はこれはかなり危険です。
これまでに取引先が 1社の会社をいくつも見てきましたが、ほぼ例外なく 10年持たずして経営が傾くという事態が発生してしまっているように感じます。
特に建設業や印刷業、不動産業などに多いのですが、 1社からの下請けだけを主な仕事にしていて、「担当者が変わったから」「社長が変わって、コスト削減することになったから」という理由であっさり他社に取引をもっていかれてしまうことは決して珍しい話ではありません。
仮に血縁関係で強固な結びつきがあったとしても、企業間における取引がこの先ずっと続くとは限らないわけです。 特に、技術力ではなく人間関係で取引をしていただいている状況であれば危険性はなおさら高いと考えられます。
大きな売上が上がる取引先があることはありがたいことですが、 1社に頼った経営はとても危険な状況と言わざるを得ません。
どうしても、大切なその 1社のフォローばかりに力を入れてしまいがちですが、売上があるうちに経営者の時間を確保して 0から 1の仕事をしたり、新しいクライアントを開拓するという仕事に力を入れておくべきです。
毛利元就の 3本の矢の話と同じで、取引先や業態を増やすことは会社の守りを固めることにつながるのです。
年商 5000万円の分岐点と税理士
ここまで述べてきたように、年商 5000万円ぐらいの規模は1つの分岐点となることが想定されます。
年商 1000 ~ 2000万円ぐらいから 5000万円を実現するまでは、ほぼ一人で行動して売上を作ってきたとしても、そこから先はアウトソースしたり、と外部の力を利用する工夫も必要となるケースが増えてくることでしょう。
また、年商 5000万円以上になってくると、どんな税理士に依頼するのかによって会社経営の成否に影響を及ぼしやすくなります。
信頼できて、経営者と円滑なコミュニケーションが取れる税理士であればきっとスムーズに事業を拡大していけることでしょう。
また、ここでは詳しくは紹介しませんが、年商 5000万円以上になってくると人材の採用や教育についての悩みが増えてきます。
弊社に登録いただいているどの税理士に聞いても、ほとんどの経営者に税務よりも人材の悩みを相談されることの方が多いと言います。
採用活動にはお金がかかりますし、お金をかけたからといっていい人材を採用できるわけではありません。 だからと言って縁故採用で親戚の子を採用したら全然仕事ができない子で困ったという事例もありますし、一度採用したら容易に解雇することはできません。
税理士の中には採用に関する助成金に詳しい先生もいますし、経営に関する情報を定期的に配信してくれる勉強熱心な先生もいます。
すべての問題を税理士に丸投げするわけではありませんが、円滑な会社経営のために活用できるものは活用していく姿勢も経営者にとっては必要と考えましょう。
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