絶対やってはダメな事とは?
さて、ここでは経営者が税理士に対してやってはいけないことについて解説していきたいと思います。
税理士に対してやってはいけないこととして、大きく・対等に見ない・報酬の未払い・必要以上の値切り・よく税理士を変えるの4つがあります。
1つずつ見ていきましょう。
《対等に見ない》これは根本的な話になりますが、そもそも経営者と税理士はビジネス上で対等関係です。
どちらが上、どちらが下ということがあり得てはいけないのです。
会社のお金の流れをすべて見せる相手なわけですから、取引相手ではなくビジネスパートナーとして対等な関係であることが大切になります。
お金を払っていることを考えると、どうしても払った側がお客様になってしまいがちですが、この状態はよくありません。
お金を払っているからサービスを受けるのが当たり前と考えている経営者の場合、稀に平気で月次の打ち合わせを何度もドタキャンする人がいます。
「重要な仕事が入ったから」「今日忙しいから来週にしてくれ」やむを得ない事情の場合は仕方ないとして、経営者側が何度も約束をないがしろにして他を優先していると対等の関係が築けなくなり、結果として経営者と税理士の関係はどんどん悪化していくことになり、最後には税理士から連絡が無くなります。
税理士は時間単価で動いているわけで、その約束をないがしろにするということはそもそも対等に見ていないことになります。
税理士に対して不満があるという経営者の相談を受けることもあるのですが、よくよく両者の話を聞いてみると対等のビジネスパートナーとしてやるべき最低限のこと、・約束を守る・相手の時間を大事にする・相手の仕事に敬意を払うということができていないことも多いものなのです。
また、税理士によっては、最初から税理士の立場が上であるという考えで仕事をすることもあるので注意が必要です。
特に昔ながらの税理士に多いのですが、昔は経営者から頭を下げて「うちの税務処理をお願いします」と頼まれて仕事をすることが多かったのです。
そうやって仕事を受けて、仕事が終わった後に「今回の費用はこれだけの金額になります」と言い値でお金を徴収する、今では考えられないようなシステムが存在していたのです。
でも、これも健全な関係とは言えません。
あくまでも経営者と税理士は対等なビジネスパートナーの関係であること、これを両者が分かっていてこそ、ビジネスがスムーズに進むものと考えましょう。
《報酬の未払い》実は税理士への報酬の未払いが発生することは珍しくありません。
経営状況の悪化が原因で、一時的に払えないことがあるのは分かります。
でも、中には確信犯もいるもので、払わなくて済むのであればそっちのほうがいいやと未払いになったり、平気で支払いを遅らせる経営者が実際にいるのです。
先ほどの「対等の関係」という前提から考えれば、これはおかしな状況であると言わざるを得ません。
実際にあった事例を1つ紹介しましょう。
私が相談を受けた経営者の話なのですが、その方は前の税理士と喧嘩別れになってしまったから新しい税理士を紹介してくれとお問い合わせを頂きまし
た。
面談している経営者の場合は、事前に決算書を拝見し未払費用がある場合はその内訳を確認するのですが、そのお客様は遠方だったこともあり、直接税理士とお会い頂く流れになりました。
私は、前の税理士との関係で変更することになった点が少し気になり、「前の先生への未払いはないですか?」と聞きました。
そうすると「ありません」と答えるので、その経営者の方に新しく税理士を紹介しました。
決算の時期、前期の決算書が必要になったタイミングで問題が起こりました。
前期の決算書がないと言うのです。
税務署への決算書の提出は済んでいたのですが、実は前の税理士への報酬が未払いで、前期の決算書を受け取れていないことが判明したのです。
それも 100万円近くの報酬の未払いが残っていたのです。
決算書には税理士の印鑑が押されているのですが、その押されている印鑑の税理士に問い合わせて未払いが発覚したのでした。
税理士業界は、税理士会という支部ごとのつながりが多く、特に同じ地域の税理士同士のつながりは非常に多くあります。
未払いとなっていると、要注意人物として扱われてしまうことがあり得ることは覚えておいてください。
《必要以上の値切り》相見積もりを取ってそれを基に交渉してとにかく値切ろうとする経営者はよくいます。
もちろん、経営者である以上、かかる費用を削ることに力を入れるのは当然ではありますが、必要以上に値切り交渉をすることはやはりおすすめできません。
そもそも、どんな商品であってもいいものが欲しければそれなりのお金を払うのは当然です。
例えば飲食店で、お腹を膨らませればいいと考えるのか、サービス面も含めた店全体での満足を考えるのかで選ぶ店は違ってくるはずです。
飲食店であれば何を選んでも大きな問題にはならないかもしれませんが、税理士は会社のお金を全部見せる相手ですから、そこはよく考える必要があります。
これは何も高いお金を払いましょうということを言っているのではありません。
相場の料金をしっかりと支払いましょうと言っているのです。
人を雇っている税理士事務所であれば、事務所の家賃や人件費が常に発生する状況にあります。
これを必要以上に値切ってサービスを受けようとするとどうなるでしょうか。
税理士側も赤字にするわけにいきませんから、できる限り労力をかけないでその仕事を終わらせようとすることが考えられます。
税理士だって人間ですから、相場通りのお金を払ってくれていれば、そのお金に見合う、あるいは安いと思ってもらえるだけのサービスを提供しようと考えるものなのです。
ちなみに一昔前、税理士の顧問料は最低でも 5万円がかかりました。
その後、会社法の校正によって資本金が少なくても会社が作れるようになり、売上が少ない会社も増えてきて、結果として低価格でサービスを提供する税理士も増えてきました。
第二章でお話ししたように、年商 1000 ~ 2000であれば安い顧問料の税理士でも問題ないかもしれませんが、年商 5000万円ぐらいの段階になってきたら値切りをするよりも相場の顧問料を支払い、定期的に連絡を取ってくれたり会社のプラスになる資料を提供しようとしてくれたりと、迅速で丁寧なサービスを提供してくれる税理士に依頼することをおすすめします。
「安かろう悪かろう」は税理士業界にも当てはまるもので、値段が極端に安い税理士の場合、すぐに解約されてしまうことが多かったりとそれなりの理由があるケースだって少なくありません。
《よく税理士を変える》たまに、よく税理士を変える経営者がいます。
経営者によっては期ごとに変えているのではないかぐらいに、ころころと税理士を変更する人がいますがこれもおすすめできません。
弊社は税理士紹介を業務としていますが、前提としてそもそも税理士はそんなに変えるべきものではないという考えを持っております。
理想を言えば、 1回紹介させていただいて、その関係がずっと続くのがベストだと考えています。
何度も税理士を変えている場合、「経営者に何か問題があるのではないか」と考えられてしまうこともあります。
そうなると、良好な関係をしっかりと築いてビジネスを進めている優秀な税理士から敬遠されてしまうこともあり得るのです。
これは、お見合いの時に離婚歴があまりにも多いと「何か問題がある人なのでは」と勘繰られてしまうのとよく似ています。
もちろん、ビジネスの状況や会社の規模を考えて、税理士を変更することはあるかもしれませんが、あまりに変更を重ねることは避けるようにしましょう。
以上、税理士に対してやってはいけないこととして・対等に見ない・報酬の未払い・必要以上の値切り・よく税理士を変えるを解説しました。
頼れる税理士は、企業財務のホームドクターという立場からあなたの会社をサポートしてくれます。
よいドクターは適切な処方箋をくれますし、場合によっては専門の医者を紹介してくれることだってあります。
企業を健全に経営していく上でホームドクターに対して紹介した4つのことは避けるべきです。
顧問サービスとは何をしてもらえるのか?
私がよく聞かれる質問として「税理士の顧問料ってなんの意味があるんですか?」というものがあります。
確かに目に見えるものではありませんから、イメージしづらいのは無理もないでしょう。
ただ、顧問料はアドバイス料と考えれば分かりやすいのではないでしょうか。
税理士がやってくれる業務は主に・会計ソフトへの入力代行・会計データのチェックと適切な税務処理・事業計画に対しての適切なアドバイスとなります。
つまり、経営者の知識や経験だけでは不足している税務・財務の部分を補ってもらうサービスと考えられます。
これらは、会社によって状況があまりに違うため、インターネットで調べるのは困難でしょう。
例えば、飲食店を経営してもう 1店舗出したいと考えたとして、それをインターネットで検索しても財務状況や資産状況などが千差万別の企業経営ですから、注意するべきポイントややっておいた方がよいこと、適切なタイミングなどの答えを見つけることは至難の業なのです。
そこで、税理士の顧問サービスが役立つわけです。
今の売上や 1年後の資産状況から逆算して計算して、もう 1店舗出すための戦略を財務面から考えてもらえればどうでしょうか?場合によっては今のまま拡大路線に突き進むのは良くないという結論が出ることだって考えられます。
アドバイスがない月もありますが、顧問料を支払うことで資金計画をトータルで見てくれれば、経営にプラスと言えるでしょう。
また、決算月の 3カ月前あたりから着地予想を出してもらえば、決算申告の時期になりいきなり提示された多額の納税額に焦る必要もなくなります。
ちなみに大企業であれば、まず CFO(最高財務責任者)と呼ばれる人間が社内にいるものです。
でも、中小企業で財務専門の人間を雇い入れるのは必ずしも現実的とは言えないはずです。
毎月の顧問料を優秀な税理士に支払えば、人を雇うよりも安く優秀な CFOを雇うことができると考えられます。
ちなみに、先ほど申し上げたように、税理士はホームドクターのポジションと考えることができます。
そして、優秀な税理士は他の士業のパイプも持っているので、適切な士業の方を紹介してくれます。
例えば、給与計算は税理士ができるのですが、法律上、社会保険の手続きは社会保険労務士しかできません。
そんな時も、すぐに社会保険労務士を紹介してくれる税理士と顧問サービス契約を結んでいればすごく助かるものです。
会計ソフトは何がいいのか?
これは開業間もない方によく聞かれる質問でもあります。
結論から言いますと、開業から年商 2 ~ 3億までは弥生会計で十分です。
シェア率も 6割程度ですから、もし税理士を変えることがあっても弥生会計であればほとんどの事務所が対応可能です。
3万円 ~ 10万円程度で購入でき、追加料金がかかったとしてもバージョンアップの時ぐらいです。
ただ、年商 3億を超えた辺りからは、取引がシンプルな卸売や建設業などはそのままでもいいですが、事業内容や店舗・支店などが多岐にわたる場合や、商品・サービスが多い企業の場合、、弥生会計でも高いプランのプロフェッショナルや勘定奉行、または独自でカスタマイズした会計システムを導入する企業が増えてきます。
部門別に収支を把握する必要が出てきて、会計データが重くなるためです。
弥生会計のプロフェッショナルの場合は 10万円前後、勘定奉行の場合は初期導入で 50万円 ~ 100万円程度かかり、後は毎月の保守で数万円の固定費がかります。
最近では、クラウド会計など新しいサービスも出てきました。
クラウド会計のメリットは、何と言ってもクラウド上に会計データをアップすることで、どこにいても IDとパスワードさえあれば会計データを確認することができることです。
同時に違う場所から入力した会計データも、瞬時に確認することができます。
費用も安価で、銀行通帳を記帳せずとも、システムが銀行取引の履歴を自動で読み込み仕訳までしてくれたり、スキャナーで領収証を読み込めば仕訳に反映されたりと作業効率が格段にアップしました。
仕訳の適用も一度覚えれば、次からは自動で反映されます。
最近では I Tリテラシーが高い I T企業の若手経営者を中心に、クラウド会計を導入する方が増えています。
ただし、自動仕訳と言われていることで大きな勘違いをしている経営者もいるようなので注意が必要です。
自動仕訳とは、あくまでもデータ取得が自動であって、勘定科目の振り分けや仕訳修正まで全てが自動というわけではありません。
一度設定をしてしまえば、あとは人工知能が全ての仕訳をしてくれるわけではなく、会計データのチェックは必要です。
そして、一番心配されているセキュリティ面も時間の経過と共に万全になると思われますからこちらも最後は経営判断になると思われます。
注意点としては、あまり使われていない会計ソフトに慣れてしまうと、後々変更時に大きなストレスを感じる事になるという事です。
そもそも会計ソフトへの入力は誰がすべきか?
会社の会計ソフトへの入力は最終的には社内でやる体制を目指すべきです。
経理処理を税理士に丸投げしたがる経営者は多いものですが、実は事業を拡大する上ではこれには大きなリスクがあるのです。
経理入力を税理士に依頼するとそれがデータとして手元にくるのに時間がかかることになります。
もし経営者が税理士に入力してもらった数字をみて経営判断をしようとしても、実はその時点で既に早くても 2か月前の情報を基に経営判断をしていることになる可能性があるのです。
例えば、 12月末の数字をアウトソースして入力代行をお願いした場合、領収書を取りまとめて数字として経営判断に使える状態になるのが2月になります。
2月の経営判断を 12月のデータを基にするのは、特に成長段階の会社では好ましくなく、できる限りリアルタイムのデータで判断するべきです。
社内でやっていれば、リアルタイムで数字を把握することができますから結果として早い経営判断が可能になるわけです。
以上のように、経理のアウトソースは、担当者の体調に左右されず安定したサービス提供を受けられる、費用面を抑えられるというメリットがありますが、数字を見られるまでに時間がかかるというデメリットがあります。
このデメリットは、特急料金にすることで改善することも可能です。
翌月の 5日前後に会計データを見られるようになります。
ただ、会計データからスピーディーに経営判断を下すことを考えると、会計ソフトへの入力は社内でやる体制を目指すべきで、これを自計化と言います。
ただ、自計化には問題点もあります。
それは、社内の誰にこの仕事を任せるかということです。
社内の売上や給与額などの数字が全部把握できてしまうわけですから、あまり他人には任せたくないところですし、また人を雇うにはお金もかかってしまいます。
社内スタッフが入力をする場合は、常に最新の会計データが見られる状態にあるというメリットがありますが、担当者から情報が漏れるリスクや仕事が無い時は遊んでいる時間が生まれるなどのデメリットもありますので最終的にはメリット、デメリットを踏まえた経営判断になると思います。
また、稀に自社内で会計データとは別に独自で経営状況を把握できている企業は、振込業務などの全てのバックオフィス業務を税理士事務所に丸投げしている場合もあります。
丸投げにもメリットはあります。
一番は何と言ってもコストが安く済むということです。
社内で経理の人間を雇うのはお金がかかりますが、アウトソースで丸投げしてしまえば人を雇うよりは安く済むためです。
以上のことから年商の段階別に、記帳について考えてみましょう。
まず、年商 1000万円ぐらいなら経営者が自らやるとよいでしょう。
費用はそこまでかかりませんし、分からないことがあれば税務署に聞けば教えてくれます。
年商 3000万円ぐらいになると領収書が増えてくるはずなので、数か月分をまとめて入力するようにするか、あるいは忙しければ税理士に頼むという方法があります。
領収書を税理士に送付して後はお願いするという方法です。
そして、年商 5000万円ぐらいになってきたら、社内でやってもらう状況を作ることがおすすめです。
社内の人間に任せる注意点はまだあり、例えば任された人が情報を漏らしてしまうというリスクがあります。
数字をすべて把握できる立場にあるので、少し自分が偉いという勘違いをしてしまうケースは実際に多くあり、これは結構危ないです。
また、横領にも気を付けなければなりません。
正直、経理スタッフの横領は信じられないぐらい多いのです。
そして、横領に気づくのが遅くなればなるほど、会社経営には大きな打撃を与える事態を引き起こす可能性がでてきます。
最初は 1万円の横領が 5万円になり、それが 10万円、 20万円になり、そして長期間それが続いていくと最終的にはとんでもない金額になっていくもので、横領に気がついた時になって初めて「信頼していたのに・・・」となることは避けるべきです。
なお、厳しいことを言うようですが、実は横領が起きた場合、その責任は経営者にもあります。
横領ができない環境にしておくこと、そして、小さい金額であっても早めに気付けるようにしておくことこそが何よりも大切と考えましょう。
ちなみに、経営者の奥さんが入力するケースもよくあります。
これは、これでいいでしょう。
身内であれば信頼できますし、数字がリアルタイムで分かりますので経営判断もスピーディーに行うことが可能となります。
ただし、ここにもリスクはあります。
身内である奥さんに経理を任せると、距離が近すぎるからこその喧嘩、さらには夫婦不仲の原因につながることもあります。
例えば、よく相談されるのが経営者である主人のお金の使い方が理解できずに夫婦喧嘩につながるというものです。
冷静な話し合いができればいいのですが、時には別の喧嘩になるケースがあるようです。
経営者ではないので、奥さんもお金の使うこと自体に抵抗感を感じてしまったり、距離が近すぎるからこそ言い過ぎてしまったり、逆にご主人も距離が近いからこそ何もかも全てを任せっきりで自らが把握することを怠ったりすることも多くあります。
解決策として、社内のスタッフと身内のちょうど中間の距離にあたる派遣スタッフに、週に何回か来てもらい入力を依頼しているところは比較的うまく機能しています。
税理士に問える責任はどこまでか?
経営者が税理士に答えを求めてしまうことがあります。
そして、その結果うまくいかなくなると経営者は税理士の責任でうまくいかなかったと考えてしまうことがあるのですが、これは間違っています。
間違っているどころか経営者の怠慢とも言える状態ではないでしょうか。
会社の経営のうまくいった、いかなかった、その責任はあくまでも経営者がとらなければなりません。
税理士は税務署から指摘されないように税務申告書を作成したり、また、経営が効率的に進むようにアドバイスはしますが、経営の責任をとることまでは求めてはいけないのです。
逆を言うと、経営に対して責任をとれない税理士が決断を下すのも間違いと言えます。
それでも税理士は経営するにあたって未然にリスクを見つけてくれる可能性があるため、積極的に活用することはおすすめします。
ある事業を進めようと考えた場合について、ランニングを例にして考えてみましょう。
そのまま走り続けた場合、・少し怪我をするのか・足が折れてしまう可能性があるのか・それともその道中に地雷があって、致命傷を負ってしまう可能性があるのか良好な関係を築けていて、なおかつ優秀な税理士であれば、事業を進めた場合にどのリスクが眠っているのかを教えてくれる可能性があります。
そうすれば、無駄な失敗はしなくて済みますし、知らずに走り続けた場合に地雷を踏んでしまう危険性を事前に教えてくれることも考えられます。
税理士に経営の責任を問うことはできませんし、最終的な判断は経営者がしなければなりませんが、それでも分かるリスクは教えてもらう必要があります。
そして、このように税理士を活用するために必要なことは、経営者が情報をしっかりと提供することです。
しっかりと情報を提供すれば、税理士はもらった情報を基に潜んでいるリスクを教えてくれることでしょう。
ただ、そうは言っても税理士に責任があるミスも起こりえます。
これを善管注意義務違反というのですが、例えば提出した申告書に明らかな計算間違いがあった場合は税理士の責任となります。
また、必要以上に税金を払ってしまっている場合も善管注意義務違反となります。
これは、公にならないことも多いのですが本来払うべき必要がない税金も支払ってしまっていることがあるのです。
当然ですが、経営者は払う必要がないお金は、払うべきではありません。
税務調査で何もないことがいいとは限らないもので、必要以上にお金を払ってしまっている危険性も実はあるのです。
なぜ税理士は提案してくれない人が多いのか?
不満を持っている経営者から「税理士が何も提案してくれない」という相談を受けることは多いです。
でも、「例えば具体的にどういう提案がして欲しいのですか?」と聞くと言葉を返せなくなる人もまた多いです。
提案してくれないと悩む経営者に話を聞いてみると、そもそも提案が必要な段階でない場合も多いもので、それこそ年収 1000万円から 2000万円規模であれば、税理士からの提案を待つよりも売上を上げることの方が優先順位は高いはずです。
「税理士が提案してくれない」そう思ったらまずはどんな提案をしてほしいのか、また、本当に提案が必要な段階かどうかは一度考えてみて下さい。
もちろん、税理士からの提案が必要なのにやってもらえないというケースも存在します。
例えば、会社の方向性や経営者のやりたいことが決まっていて、借り入れや節税を考えていて税理士に相談したとします。
しっかりと情報開示をしているにもかかわらず、税理士が「へ ~そうなんですね」ぐらいで終わってしまっていたら、これは税理士に問題がある可能性があります。
情報をしっかりと開示した上で相談が明確になっていれば、そして年商 5000万円ぐらいの規模になっていれば「今これをやっておいたほうが良いですよ」「今すぐ必要でなくても先々のために、今お金を融資してもらっておいたほうがいいですよ。
そのほうが融資の枠も広がりますし審査も早いです」「売上を計上するタイミングをずらせるならずらしたほうがいいですよ」といった有意義な提案をしてもらえる税理士を選択すべきと考えられます。
税理士にも色々な人がいるものです。
そして、残念ながら、そもそも顧問料をもらえれば OKという考え方で、その会社がどうなろうとも興味がないという税理士だっています。
いわゆる無関心な税理士です。
何も提案してくれないと不満を抱いている経営者も、実は自社の事業に興味を持ってくれないという意味で言っていることがあります。
数は少ないですが、税理士の中にもコミュニケーションや提案が得意な方はいますが、そもそも税理士になる方は提案が苦手です。
なぜなら、変化が苦手であるからこそ安定した資格を活かした仕事に就こうとしているのです。
人と会うことが好きな営業畑の方に、なぜ税務などの細かい計算や管理が苦手なのかを聞いているようなものです。
企画や戦略を練るのが好きならば、最初から他の仕事を選んでいることでしょう。
このように税理士になる方々の背景を理解すれば、歩み寄り方が見えてくるのではないでしょうか。
これについては第四章で詳しく紹介しますが、ここでは税理士によっては提案すべき時にしてくれない人もいるものだということを覚えておいてください。
税理士を変えると売り上げは上がるのか?
「税理士を変えれば売上は上がりますか」という質問を受けることがあります。
これに対しての答えは「直接的には上がりませんが、売上が上がるきっかけとなることはあります」という返答になります。
ただ、売上が上がるきっかけを作ってくれるのは、かなりいい税理士の場合で、そもそも売上拡大こそが経営者の責任であり役割です。
自社のお客のことを一番よく知っているのは経営者であって税理士ではありません。
はっきり言ってしまえば、売上の拡大は税理士に求めるべきではないということになります。
でも、それでも税理士によっては頼りになる人もいます。
これは、税理士を選ぶ際にも参考にしていただけるといいのですが、そもそも人は自分で経験したことでないと他人に教えることは難しいものです。
一人で経営している税理士であれば人を雇うことを相談しても「やめておいたほうがいい」と言うかもしれませんが、自ら税理士事務所を立ち上げて大きくしてきた税理士であれば、人を雇う際の注意点やいかにして優秀な人を雇うか、またどのようにして人を率いていくのかについては自らの経験を踏まえ相談に乗ってもらえる可能性だってあります。
もちろん、注意点もあります。
それは、人を雇って事務所を拡大している税理士に担当してもらいたいと考えていても、人を雇っている事務所ということは、所長ではなく雇われている税理士が担当になるケースがほとんどということです。
そんな場合は、経営判断の折に所長と話したいという旨を告げてみると時間を空けてくれる所長も多いものです。
年商 2000万円程度なら税理士で差は生まれない?
これまで年商 2000万円程度であれば、税理士によって差が出ることは少ないと強調してきました。
これぐらいの規模だと節約できるお金も少なく、細かいお金の計算を考えるよりも売上を増加させたほうが経営的にも安定しやすいという考えからです。
でも、それでもよい税理士と巡り合うことによって年商 2000万円規模から年商 5000万円規模まで一気に事業を伸ばせるきっかけになるケースも多いです。
この場合のよい税理士とは、社長の孤独と頑張りを理解してくれて、時には励ましてくれ、お金を手元に置いておくような指導をしてくれる税理士です。
また、短期間で売上を伸ばしていくと、意外なほどキャッシュが手元にないケースがあります。
そして、資金繰りが悪化し始めると一気に事業を縮小せざるを得なくなり、倒産まで行き着いてしまうケースも実際に多くあるのです。
今、年商 2000万円規模の経営者に「どんな税理士がいいですか?」と聞かれれば、「話をよく聞いてくれ、時に励ましてくれ、そして、手元にお金を残すことをすすめてくれる税理士」と答えるでしょう。
税理士との上手な付き合い方とは?
この章の最初に申し上げたように、そもそも会社経営の結果責任は経営者にあることは心得ておくべきです。
それを踏まえて税理士と上手に付き合っていくためには、会社経営に関する情報をすべて伝えた上で起こりうるリスクを指摘してもらいながら経営判断をしていくことです。
もちろん、報酬をしっかりと払うことや嘘をつかないこと、約束を守ることは大前提となります。
経営者がやるべきことをしっかりとやった上で、それでもうまく付き合えなければそこで初めて税理士の変更も考える段階となります。
ただ、地域によってはそこまで税理士が多くない地域もあるので、その場合は安易に変更するのではなく、まずは現在の税理士と上手く付き合う方法を考えてみることも大切になります。
ちなみに、毎月会って話をするかどうかについてですが、そこまでは必要でないケースがほとんどです。
税理士によっては、毎月の顧問料が欲しいがために毎月会って、結局は雑談して終わってしまうことも少なくないもので、わざわざ両者の貴重な時間を取ってまで会うならそれ相応の理由が必要です。
メールや電話で済むなら、限りある時間を他に使うことを考えたほうが良いでしょう。
また、経営者の中には税理士と良好な関係を築きながら上手に利用している人はいるものです。
例えば、税理士のブレーンを上手に使っている経営者もいます。
税理士は他の士業と繋がっていることが多く、司法書士や社労士の紹介を担当の税理士にお願いしているケースや事業のパートナーを紹介してもらうケースもあります。
このように経営者によっては上手に税理士を利用して、事業を拡大させていっています。
注意点としては、何も言わなければ教えてくれないもので、頼らずして相手から協力してくれるケースはまずありません。
力を借りたいと考えたときは遠慮なくお願いすること、そして、お願いできる関係を築いていくことを考えるようにしましょう。
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