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第 5章  銀行融資の決め手になる財務管理資料はこうして作る

第 4章で資金繰り表作成の重要性を説きましたが、経営の成績や結果というのは、いかに会社に資金が残っているか、つまりキャッシュフローがどのくらいあるかですから、資金繰り表を作成することの意義は十分理解できたと思います。

資金繰り表は、経営の結果をシミュレーションするものです。企業は、ただ泥縄式に行き当たりばったりの経営をしているわけではありません。

ある程度の経験則とか計画や予定があって経営しています。

その際に必要なものは、その計画なり予定を記した「経営計画」です。いわば経営の設計図ともいうべきものです。

図面があって経営するものと、経営者が漠としてイメージしている考えをもとに経営するのとでは、どちらがよりしっかりしたものになるかは明らかでしょう。

そして、銀行からお金を借りる際に、マストで必要なのがこの経営計画と資金繰り表なのです。

目次

経営計画・損益計画はタラレバで作る:計画はあくまで予想する未来である

経営計画・損益計画は 3 ~ 5年で計画するのがよいでしょう。

しかし現実は、先が読めないからといって、ほとんどの経営者は作成していないのが実状です。

経営計画・損益計画というのは「タラ」「レバ」です。仮定でいい。

自分たちが「なりたい姿」があるはずですから、そこで過去の経営状況を見ながら将来の外部環境がどうなるかを見る。

外部環境を変えることは当然できませんが、起こりうるべき将来に対して、右に行くんだったらどう対応する、左に行くんだったらどう対応するという策を、今のうちから、どんな状況が起きても対応できるような形に整えておくために経営計画・損益計画を作っておくのです。

銀行から「御社は経営計画を作ってますか?」と聞かれて、「そんなものは作ってませんよ」だったり、「しっかりした経営計画はありませんが、数字だけなら、この先 3年の売上、粗利、経常利益なんかの予想損益計画はあります」というレベル、あるいは「はい、作成しています。事業部門別にどういう戦術を展開してどういう収益を上げていくか、おおよその設計図は作成しています」ということを説明できるなど、中小企業の実態はさまざまですが、確実に言えることは,後者になるにしたがい銀行融資は受けやすくなるということです。

将来は現実でないのだから、何がしかの計画は作成しておくべきなのです。

仮に下方にブレてマイナス要因があったらマイナスの修正をしておけばいい。

例えば売上 10億円で計画していたけれど 8億しか行かなかったら、振り返ってその要因を分析して、なぜ 2億円もマイナスになったのかという原因を突き止めることができればいいのです。

経営に最初から正解はありません。答えがないという前提で経営計画を作るのです。

大企業ではないのですから、第三者がその計画の信憑性についてああだこうだと言ってくることはありません。強いて言えば銀行のチェックはあります。

その銀行にしても、銀行員が重箱の隅をつついていろいろ言ってきますが、計画どおりに行っていなくても、計画と現実との乖離とその原因を分析して報告すればいいだけです。

銀行の本音を言えば、「大幅な赤字に陥らなければいい」のです。

予定はあくまで未定ですから。

こうしてタラレバの経営計画を数回作っていくうちに、現実とのブレ幅は次第に狭まっていきます。経営者の経験と感覚がだんだん研ぎ澄まされていくのです。

直近 12か月分の損益計画が決め手になる──銀行は数年先を見ていない経営計画までいかなくても、絶対に作成しておいたほうがいいのは直近 12か月の損益計画です。

じつは銀行は 2 ~ 5年先なんて見ていません。2年から先の計画はお飾りみたいなものです。

今後の 12か月分の損益計画を細分化して、それを 12か月分の資金繰り予定表に連動させ、新規に投入した融資でいくらくらいの売上を上げ、どの程度の利益が出てくるかという明確な根拠を開示できるかどうかがポイントなのです。

これを示していくのに、 SWOT分析とか PEST分析を使うわけです。

今回金融庁が出した「事業性評価」では、「根拠ある経営計画」が必須です。

経営計画の根拠は何なのかが問われるのです。

Check!

  • □経営計画・損益計画は、タラレバでいいので必ず作成する
  • □経営計画には根拠が必要である
  • □計画と現実にブレが出たら、その要因を必ず分析しておく

根拠ある経営計画は 7 W 3 Hで表現する:計画はロジカルに組み立てて検証する

根拠ある経営計画については、私(篠﨑)と SWOT分析の第一人者である嶋田利広氏らとの共著『 SWOT分析を活用した「根拠ある経営計画書」事例集』(マネジメント社、 2020年)の中で具体例を挙げて解説しているので参考にされるとよいでしょう。

「根拠ある経営計画」を作成するには、 7 W 3 Hが必要だと考えています。

who(誰が)、 whom(誰に対して)、 what(何を)、 when(いつ)、 where(どこで)、 why(なぜ)、 which ~ o r(どちらかで)、 how many(どのくらいの数量)、 how mach(どのくらいの価格で)、 how t o(どのような方法で)。

損益計画を作るとき、「誰が =自分の会社、 A事業部が」「誰に = B社に」「何を =新商品を」「いつ =9月から」「どこで = B社の本社で」「どのくらいの数量 = 100個以上」「どのくらいの価格 =単価 5万円」「どのような方法で =デモンストレーション販売とトップ営業で」というイメージです。

予想売上に対して、原価がいくらかかるか、販促費にいくらかけるのか、そして、いくら利益をもたらすのか。

これらを 7 W 3 Hで表現します。

「どのような方法で」には、マーケティングや投入する人材も明らかにしておきます。

さらに、 why「本当にこれでいいのか?なぜそうするのか?」 =「すでに事前説明でいい感触を得ている」、そして最後に選択するものがあったら、 which ~ o r「どちらか =汎用品または特殊品で」というように論理的に構築していきます。

こうして構築されたものであれば「根拠ある経営計画」になっていきます。

このようにロジカルに考え検討できる経営者は、作成された経営計画・損益計画に信憑性があるし、資金繰り表もイメージできるし作成することもできるでしょう。

こういう会社は仮に経営が厳しい状況になっても、どうにか再生できるものです。

Check!

  • □「根拠ある経営計画」は SWOT分析を活用すると作成しやすい
  • □「根拠ある経営計画」のストーリーは 7 W 3 Hで表現する
  • □信憑性ある経営計画を作っている会社は生き残れる

直近 12か月の損益計画 ~資金繰りをシミュレーションする:「入金」と「出金」のタイムラグを見る

直近 12か月分の損益計画ができれば、直近 12か月分の資金繰り表も作成できます。

ただし「損益計画 =資金繰り」ではありません。

多くの経営者には損益のイメージは思い浮かべることができますが、資金繰りのイメージは湧きにくいものです。

売上と経費の計上は多くの場合季節変動がありますし、売上と経費は一定期間のずれで連動しているものです。

私のようなコンサルティング会社だと、例えば3月決算の場合、 12月に広告系の販促コンサルティング会社と打ち合わせをして、そこに 100万円とか 200万円のフェイスブック( FB)広告を出したりします。

この経費は1月 ~2月の支払いです。

経費が先に出ていきます。

なぜ 12月から打ち合わせをしているかというと、キャッシュポイントが一気にピークになるのが1月末だからです。

1月末にお金を払い、たとえ 1 ~2月に売上が下がり始めても、キャッシュがまだ目減りしていないときなので先行投資できます。

そして4月から売上が上がっていき、5月から資金回収していく曲線を描けるから、それで取引の合理性を見極めるわけです。

人件費や家賃、水道光熱費など毎月計上する経費はだいたい一定していますから、固定費はそのまま当月または翌月に記載していきます。

毎月の経費のうち変動要因と言えば税金と保険くらいです。

このほか不定期にくるものは、過去の 3年間を見ていけばだいたいわかります。

過去のトレンドをおさえていれば、何月にどういう経費が発生する、というのがわかります。

ただし、これを 12か月分の平均値で各月に計上してはいけません。

そこに合理性はありません。

過去 3年間にその経費が9月頃に計上されているのであれば、将来の資金繰り表にも同じ9月に計上するのです。

資金繰りは別称「錬金術」などと言われますが、別に難しいことではなく、「入金」と「支払」のタイムラグの調整なのです。

Check!

  • □過去の実績から季節変動を見ていく
  • □資金繰りとは、「入金」と「支払」のタイムラグの調整である

固定費を流動化できるかどうか:フレキシブルな経営が可能になる

令和時代の経営のキーワードは「省エネ」です。

事業経営は生き物です。

損益計画どおりに行くことのほうが少ない。

予想した売上が立たなくても、 2割ダウンして計画の 8割しか行かなくても、どうにかして「出」の時期を先延ばしして、「入」のスピードを早める工夫をしていくことで、会社はなんとか持ちこたえることができます。

これからどの業種も平均的なことをやっていては売上は下がるだけです。

2割ぐらいダウンして赤字になることを想定して、あらかじめ資金繰り表を 3パターンくらい作っておくのです。

売上が増えた場合、そのままの場合、下がった場合とシミュレーションしておけば、どういう状態になるか想定できるし、その対策もまた用意しておくこともできます。

ポイントは固定費の変動費化です。

人件費も変動費化できます。

これからは人材を流動化できる会社のほうが足腰が強いでしょう。

売っている商品の付加価値が高い会社というのは、売上が伸びていくと人は必ずあとからついてきます。

自然といい人材が集まります。

魅力のない会社は、人件費は固定費のままで変動費にすることができません。

こういう会社はだいたい横ばいが続いているし、業績が下がっても社員はそのまま居続けますから固定のままです。

人件費 =固定費という固定観念がありますが、今はさまざまな職種の人やサービスを提供する会社がありますから、これらの会社を活用することも検討しておいたほうがよいでしょう。

本書は会計事務所のことを主題にしていますが、高給を支払って有能かどうかわからない経理パーソンを採用するのではなく、会計事務所に経理伝票の仕訳や入力だけでなく、損益計画や資金繰り表の作成も委託できるようにしておくことも必要でしょう。

各部署でキーマンとなる人材は自社でしっかり確保しておくにしても、外注できる職種は外注して変動費化しておくほうがよいのです。

人材そのものの流動化も考慮していくべきです。

例えば東京ならばいい人材を確保できるといいますが、東京は家賃も人件費も高い。

ウィズ・コロナの時代になって、多くの企業はテレワーク、リモートワークを推進しています。

私の会社では新人のアシスタントに額面で 27万円を支給していますが、九州なら同じ待遇で非常に優秀な人材がたくさん集まります。

そういった人材を月 1回、リモートなどで教育していけばいいわけです。

事務所についても、地代家賃は固定費だと言われますが、私のようなコンサルティング会社は、オフィスは固定費ですが、この部分を半分ぐらいに縮小することも考えています。

セミナールームはそのつど会議室を借りたり、 ZOOMを活用しての会議やセミナーも可能な時代になりました。

そうすると家賃は半分ですみます。

経営にタブーはありません。

本社のオフィスはなく、会議室もなく、必要に応じてレンタルで借り、高級ホテルのティールームを会議室代わりに使い、事務スタッフはリモートで委託し、社員は社長 1人、それで数億円を売り上げているコンサルタント会社や物品販売会社もあるのです。

Check!

  • □固定費が小さいほど経営に自由度が増す
  • □資金繰り表は 3パターンでシミュレーションする
  • □ウィズ・コロナ時代、新しい経営スタイルが出現している

過去の試算表を元に、損益内容を分析する:3年間の実績をグラフ化してみる

経営計画は、経営の三要素、「人」「モノ」「金」でイメージしてみます。

売上と仕入は間違いなくモノですが、経費(販売費及び一般管理費)は、モノと人が混ざっています。

流通業界(卸売業、小売業)の平均でみれば、販売費及び一般管理費のうち、その半分が人件費、つまり人の部分です。

さて、損益計画を策定するに際して、今まで損益計画を策定したことがなかった場合は、まず過去 3 ~ 5年の実績を分析してみます。

3年なら 36か月分、 5年ならば 60か月分の実績です。

これは過去の試算表から見ます。

第 4章では通帳と主要指標による過去の経営を振り返る方法を説明しましたが、試算表の数字のほうがよりはっきりします。

最初は資金ベースではなく、損益ベースの季節変動要因を見ていくのです。

そのデータを棒グラフや円グラフにしていけばいい。

主要な指標は「売上高」「営業利益」「現金・預金」です。

その他、経費について主要な勘定科目を3つ、例えば「仕入」とか「人件費」などの勘定科目をピックアップして、その動きを見ます。

これらを比較して、年度で区切って分析します。

外部の要因に何があったか、経済的要因なのか、法的要因なのか、あるいは社内の要因は何かなどを振り返ります。

PEST分析を使えば、原油価格の高騰なのか、為替相場の変動なのか、政権交代による影響なのか、業界の特殊事情なのか、といった要因分析ができます。

製造業で言えば、大手の取引先との関係で、元請会社とか親会社がどうなったかを見ればいい。

例えば、自動車業界が好調だったとかです。

Check!

  • □過去 3 ~ 5年の「売上」「営業利益」「現金・預金」の推移を見る
  • □「人件費」や「仕入」「販促費」など主要な経費の動きを見る
  • □「内部要因」「外部要因」などの経営環境を分析してみる

部門別に損益計画と資金繰り表を作成する:細分化すると各部門の収益性がわかる

令和時代の経営は「省エネ」ですから、無理・無駄をいかに省けるか、です。

要は選択と集中です。

中小企業にはなかなか強みが見出せませんから、省エネでいくしかない。

SWOT分析で強みや弱みの分析をするといいますが、本当は、中小企業には必要ないかもしれません。

実際には「弱み」が多いし、外部環境は「脅威」ばかりです。

重要なのは「機会」をどうつかむか、です。

年商規模が 50億円ぐらいあるけれども、トヨタの一次下請けをやっているようなところは、強みなどというものがありません。

トヨタの一次下請け自体は強みではありません。

かえって弱みですらあるのです。

トヨタから見れば、その会社には下請けとしての価値があるということでしかない。

その会社に本当に強みがあるのかどうか、これを分析するには、事業部門別の損益計算書を作成してみるとよいでしょう。

同じ商品を扱っていても、例えば卸売と小売ではその収益構造が違います。

卸売は法人対象ですから、主要取引先ごとあるいは商品領域ごとに、例えば人件費などを紐づけて、費用配分を按分しながら、取引先ごとの損益計算はできます。

事業の特性もそうですが、損益から見て部門別の資金繰り表も作れます。

どの事業が資金繰りに貢献しているのかいないのか、これを知ることです。

ダウンサイジングして生き残るためには、事業を細分化してみて、どの事業を残し、どの事業を捨てるか、売却するか、峻別していかなくてはなりません。

この事業は継続して、あの事業もしばらく残して……と逡巡しているうちに機会を逸してしまいます。

実際に収益に貢献している事業だけを残し、あとは自分たちの持っている技術やノウハウ、販売網をラテラルシンキング(水平思考)によって、いかに横展開して別の分野で活用することができるか、いかに差別化を図っていくか、経営分析で出てきたさまざまな特性を見て、そういう発想をしていかなくてはなりません。

Check!

  • □中小企業は事業の選択と集中が必須である(できることは限られている)
  • □部門別の収益構造がわかると選択と集中が可能になる

事業性評価できる損益計画はこうして作る:具体的な根拠のない計画は評価されない

よく、過去 3年間の平均値を出して、例えばそのプラス 3%を損益計画にしているような計画を見ることがあります。

あるいは単純に、前期の 3%プラスにする、というものです。

しかし、これには何ら根拠がありません。

「なぜ、 3%プラスなんですか?」──銀行員に質問されたら、答えようがありません。

経営計画・損益計画はタラレバと述べましたが、根拠があってのタラレバです。

売上 3%アップの根拠とは何か──これは先に述べた 7 W 3 Hで表現されたものです。

第三者が損益計画を見たときに、売上が伸びるだろうということがイメージできるものです。

そこにも信憑性があるかどうかの疑問はついてきますが、少なくとも漠とした思いつきでなく、事業を細分化して検討しているということはわかります。

粗利(売上総利益)の管理ができている会社は資金繰り表はすぐに作れます。

どういう収益構造かというところに目をつけているからです。

部門別の収益性も把握し、自社の付加価値をきちんと計算して振り返りをしていくと、経営はすぐに改善していきます。

「この事業は付加価値が高いものだ」ということが数字でわかれば、そしてそれが根拠のあるものであれば、その事業には付加価値があり、粗利率も高い。

だからキャッシュもきちんと残っていく。

つまり経営の要因分析ができているということです。

粗利率が高いということは、売上が経費をかけている金額よりも大きいからで、こういう場合はキャッシュが残るようになります。

仮にレバレッジをきかせようと思えば、お金を借りても同業他社に比べれば、社員数が少なくて、借入金額も少ない中で売上が跳ね上がって増えている──こうしたストーリーを描くことが、金融庁が銀行に求めている融資先の「事業性評価」というものです。

例として、次ページ以降に SWOT分析から経営計画・損益計画を作成する手順を示しましたので、参考にしてみてください。

Check!

  • □「対前年比〇%アップ」には根拠がない
  • □「なぜそうなるのか」──数字の根拠を明確にする

銀行が求める資金繰り表を会計事務所がなかなか作成できない理由:財務会計と管理会計は違う

損益計算書( PL)と貸借対照表( BS)は、同じ財務会計のカテゴリーです。

ところが資金繰り表は管理会計のカテゴリーです。

そして、会計事務所は経理数値の仕訳によって損益計算書と貸借対照表を作れますが、間に管理会計というお金の流れのものが入ってくるとわからなくなります。

なぜか?頭の中が仕訳中心にできているからです。

だから「資金繰り表を作れます」と言われても、本当なのか?って思ってしまいます。

資金繰り表を会計事務所に作らせるのではなく、自社で作れるようになるために、その方法を教えてくれる会計事務所はありません。

なぜかというと、会計事務所も自分たちを記帳代行屋だと自認しているからです。

会計事務所は財務会計の見地で数字を入力しています。

それで別表を作り税務会計によって納付書を作ります。

財務会計の仕訳と税務会計のものは一緒です。

しかし、時代の流れは管理会計を必要としています。

経理というのは「経営を管理する」という意味でもあるのです。

私はそういうふうに捉えています。

経営を管理するから経理なのです。

このことがわかっていないから、じつは経営者と会計事務所はしっくりいっていない場合が多いのです。

経営者は、当然のように経営を管理する人です。

そのための情報を経理資料という形(損益計算書、貸借対照表など)で提供しているのが会計事務所ですが、「資金繰り表」が欠けてしまっています。

銀行融資でマストな資料である資金繰り表の作成、それを期待できないとなると、経営者は会計事務所をリスペクトしなくなるでしょう。

Check!

  • □会計事務所は財務会計はわかるが、管理会計はわからない
  • □会計事務所の思考は「仕訳」でできている
  • □令和の時代には管理会計が求められる

銀行、信用保証協会が資金繰り表を要求するのはなぜか:融資した資金が機能しているかを見る

平成 3年( 1991年)くらいから日本の経済は悪くなってきていますが、その頃はまだバブル経済の余韻が残っていました。

実態経済が破綻していても、つなぎ融資でなんとか持ちこたえていました。

中小企業も銀行もそれまで売上至上主義で、売上さえ上げていれば、資金が足りなくなったら追加を注入すればいいだろう、売上がある間はいずれ返せるだろう、という前提でやっていました。

具体的には運転資金、売上の 3か月分までは融資 OKというイメージです。

北海道拓殖銀行や日本長期信用銀行が経営破綻した平成 10年( 1998年)頃から企業の突然死が出始め、保証協会がきちんとした資金繰り表を出すように要求してきています。

一度お金を出して、損益計画や資金繰り表も出しているのに、「なぜ資金が回らなくなっているのか」となるわけです。

過去に提出した資金繰り表をいい加減に作っているからこうなります。

その結果、新規融資は貸さないということになります。

半年様子を見るとか、次の決算の結果を見てからと、いわゆる貸し渋りが始まります。

経営者から出てきた資金繰り表と 1年経過して作ったものとのギャップがあれば、それはウソをついている(損益計画が大きくはずれている)ということです。

通帳を見るだけでもだいたいわかります。

月末の残高を月ごとに見ていけばいい。

残高がいくらかということはしっかりおさえておくべき数字です。

私は経営者に「保証協会に出さないと審査が進まないので資金繰り表を作ってください」と言いますが、逆に、経営者は私に「作ってくれ」という。

その場合は「全部の銀行の通帳を出してくれ」と要求します。

すると、粉飾がわかることもあります。

複数の銀行があった場合、どこかに借入を化かしておいて、役員借入金を振り替えて粉飾をするなどです。

現実の数字はウソをつきません。

利益は見解、キャッシュは現実です。

Check!

  • □銀行も保証協会も、経営実態を知るために資金繰り表を求める
  • □通帳(全取引銀行)の月末残高を見ていけば、おおよその経営状況がわかる

返済 1年据え置きは、信憑性あるストーリー次第:銀行は返済の据え置きを嫌う

銀行融資もさることながら、会社を存続させるためには、資金繰り表が読めて、作れて、伝えることができないと生き残っていけません。

これは経営者の運転免許証のようなものです。

令和時代の経営者の必須スキルです。

資金繰り表を作れるということは、経営計画の振り返りができるということでもあるのです。

予想の PL、予想の BSの間にブリッジで入っているのが資金繰り表です。

計画を立てました、それに従い行動します、最終的にお金にどういうふうに反映されます、というストーリーを語れなければならない。

事業融資の場合、銀行からお金を借りて、売上が上がるまでのリードタイムがあります。

そこを短期でいくか長期でいくか、計画を立てます。

実際には中小企業は短期融資は厳しい。

定番商品のルーティンのものか、広告宣伝費をかけなくても売上が上がっていっているものであれば、短期スポットで借りられます。

新製品の開発をしているときは、それが吉と出るか凶と出るかはわかりません。

場合によっては人件費や広告宣伝費が余剰にかかるかもしれません。

そんなことが予想される場合には、返済資金 1年据え置きで借りるようにしなければなりません。

銀行は 1年据え置きとなると、なかなか OKとは言いません。

「運転資金を 1年据え置きするのは前例がない」と銀行は言うでしょう。

「このお金があれば売上が上がるんだ」といっても、銀行は過去実績主義です。

過去にたいした実績を残せていない会社が、今回はこれだけ上がると言っても誰も信じません。

しかし、損益計画で最初の 1年目では資金回収できないというストーリーを描ければ、返済を止めざるをえない。

計画上、投資する新しいビジネスの経常利益が返済原資になっているわけですから、それが 1年目でなく 2年目からであれば、銀行に対して 1年間の据え置きを要求してもいいのです。

お金を借りる段階で交渉すらできないというのは、経営者が真剣にもがいていない、悪あがきをしていない証拠です。

その計画に根拠があり、事業性があり、資金繰り表にもそれが反映されているのであれば、いわば計画全体がしっかり「見える」のであれば、銀行もそれを認めざるを得ないでしょう。

例えば、損益予定表を 3年分( 36か月)作ったとして、収益は 13か月目でないと出てこないとなったら、「この計画だと最初の 1年は収益が上がってこないので、 1年の据え置きは、融資の必須条件です」と言うわけです。

1年据え置きでないと融資の効果がないとなれば、銀行員は黙って考えます。

損益の計画と資金繰りの計画を連動させる、すなわち財務会計と管理会計を融合させていかないと、融資の際のエビデンスとしての信憑性はありません。

お金を借りて、新しいビジネスを模索しながら投資ができるチャンスをうかがうのが経営です。

鉛筆なめなめ電卓弾いて損益計画と資金繰り表ができれば、経営者はもがく(チャレンジする)ことができます。

損益計画と資金繰り表は、経営者がもがくための道具であり、会社の未来について経営者が責任を果たしますという宣言です。

その宣言ができない人が結果を出せるはずがありません。

Check!

  • □銀行は貸倒の心配があるから返済金の据え置きを喜ばない
  • □銀行の査定の基本は過去の実績主義である
  • □ 2年目に収益が生まれることを証明できれば、 1年据え置きは可能

支店長の二大権限

●人事権

●「借入申込書」の決済(概ね 4営業日以内に決済。大型案件はこの限りでない) ⇦支店長の決済後、「貸出申請書」を本部に提出支店長の決済金額メガバンク 1億円までは支店長決済地銀 2000 ~ 5000万円第二地銀 2000 ~ 3000万円信用金庫     ~ 1000万円※支店長に決済権限がない銀行もある※保証協会保証がある場合とプロパー融資では決済金額が違ってくる※金額については各金融機関によって違ってくる

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