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第 6章  金融機関の融資はこうして決まる!

目次

「借入申込書」の存在を知らなければ、銀行融資を語る資格がない:作成しないのは金融庁規定違反になる

銀行の融資は、企業から融資申し込みの話があった場合は、必ずそれを上司に報告しなければなりません。

具体的には「借入申込書」を作成します。

金融庁の規定では、まず借入申込書があり、その次の段階で「貸出申請書」(通称「稟議書」)というものがあります。

借入申込書は支店、貸出申請書は本部の決済(支店長権限は除外)です。

借入の決済は支店長の二大権限の1つとされています。

借入申込書は金融庁が通達しているもので、必ず作らなければならないものです。

その可否権限は支店長が持っています。

例えば 100件の申し込みがあった場合、その可否をすべて日付とともに記録してハンコを押しておかないといけません。

そうでないと、金融庁にトラブル報告が行った際、銀行側が抗弁できません。

つまり、借入の申し込みを受け付けないということは、銀行はできない。

借入申込書、そして保証協会を使うのならば、信用保証委託申込書を信用保証協会に提出します。

銀行はお金を貸すという絶対的な権限を与えられています。

だからエンドユーザー(借り主)に対して公正中立でなければならないと決められています。

このことはほとんどの経営者は知りません。

また、借入申込書の重要性を語れる銀行員も少ない。

融資の相談があった場合は、すべて借入申込書を作って、支店長の決済をもらうというのは、全国すべての銀行、すべての支店に統一的に義務化されていることなのです。

仮に銀行員の判断で、「こんな案件はとても通るものじゃない。

借入申込書を作るまでもない」と、この書類を作成していないとなったら、これは重大な規律違反です。

銀行融資の基本条件とは何か銀行融資のポイントは、第三者にお金を貸すときと同じです。

例えば誰かに「お金を貸してほしい」と言われたら、何を質問しますか?まず借りる理由、なぜ必要なのかということ(借入の必要事由)。

いつ借りたいのか(融資時期)。

いくら借りたいのか(融資金額)。

何に使うのか(資金使途)。

そして、どのようにして返すのか(返済財源)。

返せなかったらどうするのか(保金)。

借入申込書にはこうしたことが記載されています。

銀行融資は美しいものです。

融資という作品を作っていくようなものです。

借入申込書はその第一段階での必須の文書です。

自称銀行員、元銀行員という人がいて、この存在を語れない人がいたら、その人は詐欺師だと思っていいでしょう。

また、各銀行の店格によって支店長の決済金額が違います。

A支店は 1000万円、 B支店は 2000万円まではいいとか、保証協会ならいくらでもいいとか、債務超過だったら保証協会保証付きでも本部申請になるとか、銀行によって細かい規定があります。

仮に借入申込書が OKになって、それが支店長権限の枠内ならば本部は事後に OKを出します。

Check!

  • □銀行は融資案件すべてに「借入申込書」を作成する
  • □銀行は借入の申し込みを必ず受け付けなければならない
  • □「借入申込書」での融資の可否権限は支店長が持っている

「貸出申請書(稟議書)」が通れば、融資は OK:8つのエビデンスがそろっているか

手順としては、「借入申込書」が可となり、保証協会に打診してそれも OKとなったら、「貸出申請書」という稟議を作って本部に上げます。

これが支店長権限という扱いであればすぐに実行できますが、支店長の権限を越えて本部扱いになると、支店長が OK、保証協会で OKとなっても、本部で否決することがあります。

貸出申請書を本部に上げていったときに、融資金額が支店長権限の範囲の案件ならば、そのまま OKになります。

だから担当する銀行員は、「この融資は本部申請が OKにならない」とうかつに言ってはいけない。

前項でも述べた融資の基本条件ですが、整理すると次の8つが明確にエビデンスとしてそろっていれば、銀行融資は 100% OKです。

①借入の必要事由、 ②融資時期、 ③融資金額、 ④資金使途、 ⑤返済財源、 ⑥保全、 ⑦融資期間、 ⑧レート、です。

このうち資金使途、返済財源、保全がしっかりしていれば、 8 ~ 9割は OKが出ます。

返済財源のもととなるのは企業の業績です。

資金の使い道は経営者の性格を表します。

赤字でも返す人、約束を履行する人は絶対に返します。

銀行は、経営者の資産背景や家族構成などを把握しようとします。

万一の場合、経営者個人からどう保全してもらうかを企図しているからです。

また、支店長はロータリークラブなどに入っていて、地域の名士らと親交したりしますが、じつは交流する中で個人の情報を集めているのです。

Aさんは仕事もするが酒も女も好きだとか、週末はよく競馬場に行ったりしているとか、そういうクセはお金の使い方に表れるものです。

つまり、お金を返してくれる経営者なのかそうでないかを見ているのです。

資金使途を聞かれて、それがわからない経営者はお金を使う資格はありません。

「借りたお金、何に使うの?」と聞かれて答えられない、使途、財源、保全を説明できない経営者にはお金を貸しても返ってきません。

Check!

  • □支店で OK、保証協会も OKでも、本部で否決される場合もある
  • □経営者は資金使途と返済財源について説明できなくてはならない

短期借入のほうが資金管理しやすい:長期資金は設備に、短期資金は経費に

本来銀行の貸付は長期(設備資金)と短期(経費)に分けていて、そのほうが融資先を管理しやすいものです。

長期だけで貸していると銀行は楽だから融資先企業の面倒を見なくなります。

関与して審査するのは貸し付けるときだけです。

また、本来なら短期の運転資金でも、実際には長期で貸し付けているケースが多いようです。

短期だけで貸していると定期訪問したり、融資先企業とコミュニケーションをとったり、必要な書類を出してもらったりします。

こうした活動は〝目利きの涵養〟といって、銀行の事業性評価に結び付くのです。

中小企業の融資のキモは、「売掛金」「在庫」「買掛金」です。

例えば、月商 5000万円で年商 6億円の企業。

売掛金が 1億円、在庫が 5000万円、買掛金が 6000万円とすると、 9000万円が経常運転資金です。

つまり常に必要な資金です。

ほとんどの中小企業は経常運転資金だけでなく、じつは 1億 5000万円の運転資金すべてを長期で借入していることが多いのです。

この場合、毎月の元金の返済額は 250万円( 60か月)、年に 3000万円にもなります。

経常運転資金だけを長期で借入したのであれば、毎月の返済額は 150万円です。

事業のサイクルはほぼ 1年以内で回っています。

売掛金の回収、在庫の回転、買掛金の支払をきちんとしていけば、長期でなく、短期継続融資という形が可能になります。

収益(粗利)を管理しようと思ったら、 1年の短期融資にして、年 1回、銀行と交渉しながら継続して短期融資を回したほうがお金は使いやすいし管理しやすいのです。

Check!

  • □中小企業の融資のキモは、「売掛金」「在庫」「買掛金」
  • □経常運転資金 =売掛金 +在庫-買掛金

長期借入の一部を短期にしてみる:短期継続にすれば月々の返済は軽くなる

ここで運転資金 1億 5000万円のうち経常運転資金の 9000万円を短期にすると、この部分だけ月々の元金返済はゼロになります。

残りの 6000万円を 5年の長期で返済するとなったら 60回で割れば月 100万円です。

すると、従来月々 250万円で返済しているものが 100万円に減るわけですから、月々の返済負担が軽くなります。

これが「短期継続融資」と呼ばれるものです。

もちろん、短期も長期も借入金に対する金利負担はありますが、元金返済については、短期をからませたほうが資金繰りは楽なのです。

短期継続融資が可能なのは、売掛、買掛などの取引条件が明確であることです。

単に売上金額だけでなく、売上の内容、例えば販売先(売掛先)もチェックし、回収条件も見ます。

取りっぱぐれがないことを確認するわけです。

一方、仕入先への支払条件も把握します。

こうして、ここの回収条件と支払条件でチェックしていくわけです。

支払条件は自社の支払方法だからいいとして、要は売掛先の中身です。

銀行がこうしたことまで踏み込んでコンサル的発想で見ているかどうか。

これは別にたいしたことではなく、これらのチェックは財務管理をする上での前提条件なのです。

金融庁が事業性評価をさかんに言っているのは、こういうことなのです。

Check!

  • □短期継続融資を組み込めば、資金繰りは楽になる
  • □売掛、買掛などの取引条件が明確であれば、短期継続融資が可能

短期継続融資で回していくと経営は改善する:銀行が短期への切り替えを拒む理由

しっかりした下準備をしないで、長期を短期に切り替えたいと申し入れても、銀行はあまりいい顔をしません。

「うちは短期継続融資はやっていません」と平気で言います。

当座貸越の当座の枠でやってくれと言っても、「うちは当座貸越はやっていません」と言います。

銀行がこういう態度であれば、事業性や収益性の根拠を見せながら、「短期継続融資でやってくれよ」という話をするしかありません。

銀行が短期融資を嫌がるのは、基本的に面倒だからです。

銀行としては長期に借りてもらい、その間金利を払ってくれるほうがいい。

それでも長期の一部を短期にしてもらうためには、前述のように「根拠ある経営計画」を出して、短期が必要であることを説明するしかありません。

「担保がないプロパー融資は格付けを下げる」(金融庁)今まで銀行は、経営の勉強をせず、財務もわからず、保全・実績主義でお金を貸しまくっていたことは否定できないでしょう。

ところが、平成 14年 11月、金融庁からの通達で、「今まで赤字企業に短期で運転資金を貸していたものの中で担保がとれていない場合は信用貸しになる。

担保でカバーできていないところについては、その企業は格付けの評価を 2ランク下げて破綻懸念先にする」としたので銀行は驚きました。

なぜ金融庁がこういうことを言うのか。

事業承継が進まないからです。

企業が借金太りしてしまっているのです。

それに手を貸しているのが銀行だったのです。

短期で回していくときに必要なのは、売掛金、在庫、買掛金が資金としてどう動いているか、それを見るのが資金繰り表なのです。

ビジネスのイロハである売上、粗利、在庫、回収条件、支払条件をきちんと管理することです。

これを社内でしっかりできる中小企業は少ない。

だから会計事務所なのです。

会計事務所が代行して資金管理を行い、経営計画・損益計画、資金繰り表を作成してくれれば、長期融資を長短融資にできるし、資金繰りも楽になります。

これからの会計事務所は、売掛金や在庫などの管理や銀行からの借入のことなどがきちんと理解できていないと、時代の潮流の変化で生き残っていけなくなるでしょう。

全額長期借入は実質的に赤字補填の場合が多い設備資金はその効果が長期にわたるので、当然長期資金として融資されます。

運転資金は基本、短期で回していくものです。

運転資金を借りるときは、売上が主な返済原資になります。

それを仮に長期で借りて使ってもいいのですが、多くの場合、それは実質的に赤字補填が多いのです。

運転資金を長期で借りるということは、どこかで不都合があって、短期では修復できない状況になっているからです。

収益サイクルを健全なものにしようと思ったら短期借入です。

ある一定のサイクルで短期で回していくほうがいい。

借りて返してと、頻繁に運転資金の実行と返済を繰り返していけば、短期資金の融資は増えていきます。

そして、長期と短期、両方で借りていると、まず長期は自然に減っていきます。

だから経営が健全化していくのです。

Check!

  • □短期融資の実行と返済を繰り返していけば、短期の融資は増えていく
  • □短期融資を組み込むと、長期融資は自然に減っていく(経営が健全化する)

長期資金のみの企業は返済原資が足りなくなる:長期間安定して利益を生み出すのは困難

設備資金だと長期資金になりますが、設備投資効果を頭に入れて、例えば設備資金の最大のポイントである買い替え需要なのか新規需要なのかを見ます。

新規需要であれば増産体制に入って売上と利益が上がるイメージがありますが、買い替え需要の場合は売上と利益は横ばいの場合が多いものです。

そんなことを頭に入れ、例えば設備資金を借りたとき、投資効果がどうなるかというところまで見ます。

将来的に新規の収益が上がるイメージがないのになんとなく新規に設備投資するのはナンセンスです。

ところが、そういうところをチェックすべき銀行はそれを見ていませんし、会計事務所もそこまでのアドバイスはしてくれない。

ほとんどの企業は返済財源が不足しています。

例えば、年商 6億円で、 1億 5000万円の長期資金を借りていた場合、キャッシュフローは年間最低 3000万円ないと返すことができません。

その資金には、じつは設備資金も内包されている場合も少なくありません。

この会社の減価償却は 1000万円だとして、経常利益が 3000万円あるとします。

ここから法人税 1000万円を引きます。

これでキャッシュフローは 3000万円です。

返さなければいけないお金が 3000万円。

ギリギリです。

ちょっとでも下振れしたら返せません。

この会社の経常利益率は 5%です。

数字だけ見れば儲かっているのだけれども、 5年間、この数字を上回っていなければならないのです。

これは相当に厳しいことと言えるでしょう。

Check!

  • □買い替え需要の設備資金は経営状態が横ばい
  • □多くの中小企業は、利益-税金 +減価償却 ≒返済財源でギリギリの経営

返済原資不足の場合、銀行は何をチェックするか:経営者の個人資産を銀行は必ず把握する

前述のように計画の数字よりも実績に下振れがあり、返済原資が不足することはよくあることです。

そのとき、銀行は何を見るか──。

経費、それと社長の役員報酬です。

社長の資産背景も確認してきます。

役員の資産は役員報酬から派生して構築されています。

仮に返済財源不足が 600万円あった場合に、社長の個人資産が 2000万円あれば、それを保全として問題は解消できます。

銀行は融資の際、そこまで組み立てていって、法人のお金の流れと個人のお金の流れを合算するのです。

返済原資不足になった場合の保全まで含めて稟議を上げていれば、整合性がありますから、お金を借りることができます。

会計事務所はよく社長個人の確定申告の一部も手伝っています。

いわば社長の個人金融資産を知っているわけです。

会社が銀行からお金を借りるときに、「個人資産があることは有利ですよ」といったことを助言してあげればよいのにと思います。

そうしていないのは、銀行が融資に際して、会社や社長個人の資産をどう見ているかを知らないからでしょう。

保全(担保)不足も同じです。

最終的に銀行が見るのは、返済財源不足のときに役員報酬と役員の資産背景がどうなっているかです。

返済財源不足や保全不足のカバーが十分でなければ、融資が通らないということはあります。

だからこそ、会計事務所が数字の管理をしているのであれば、その存在を教えてあげるべきです。

中小企業はほとんどがオーナー企業ですから、所有と経営が同じです。

返済財源不足は個人の資産背景の改善がいちばん早いでしょう。

また、運転資金を見直す際には、役員報酬など経費の削減など自助努力が必要です。

経費を削減して、そもそものキャッシュフローの改善を図ることが先決です。

こうした努力もせず、保全に個人資産の提供を拒んで融資を受けられないようなら、その経営者は事業をやめたほうがいいでしょう。

Check!

  • □銀行は会社のお金と経営者個人のお金、必ず両方を見る
  • □経営者個人の資産があるほうが融資には有利(銀行は保全として見る)

個人資産を築いた経営者は評価される:個人資産は担保にするわけではない

返済ができなくなったら、連帯保証人である経営者が返済することになります。

それを怖れてか、個人の資産背景は誰も開示したがりません。

実際になぜ開示したがらないのか聞いてみると、「銀行に開示したらケツの毛まで抜かれてしまう」と真顔で言います。

そんなとき、私は〝銀行員の気持ち〟を教えるようにしています。

「銀行員がなぜ教えてくれなかったんですか?教えてくれていれば融資できたのに!と思っていたらどうですか?」と。

すると「いざとなったら全部取られてしまうから」と言います。

そこで私は「では、例えば、〇〇證券の純金積み立てで 300万円やっているとか、 □ □運輸や △ △銀行の株券、現在の株価で換金したら 300 ~ 400万円あるといったところで、差し押さえできると思いますか?質権という担保を設定しない限りできないでしょう。

質権設定を求められても拒否すればいいんです」とアドバイスします。

「逆にあなたが 30年間社長をやってきて、役員報酬を平均 1000万円もらっていました。

総計 3億円の役員報酬をもらっていて、例えば、 1年間で貯金 200万円できたら、 30年で 6000万円くらいあるんじゃないですか?って思っているんですよ。

そのお金がメインバンクになければ、『この会社、何に使っているんだ?』って思われますよ」というふうに説明します。

そして、「この社長はコツコツやってきて 6000万円以上持っていたってことになったら、銀行はどう評価すると思いますか?」と続けます。

すると多くの経営者は納得し、個人資産を開示してくれます。

そして、その資産内容が保全に足ることを知れば、銀行は安心します。

「会社は山あり谷ありだけど、ちゃんと資産を作っている。

立派ですね」となります。

そういう人が連帯保証人ならばお金を貸します。

それが信用というものです。

Check!

  • □銀行には経営者の資産内容を明らかにしたほうがよい
  • □質権設定しない限り、個人資産を担保にされることはない
  • □個人資産があるほうが融資には有利である

金融機関は決算書で会社を査定する:ポイントは貸付金を返せるかどうか

金融機関からの借入──多くの企業において、避けては通れないものです。

ところで、あなたは、取引銀行の頭取や融資部長と知り合いではないと思います。

支店長とも面識のない経営者はたくさんいます。

そういう人が融資の決定をするわけです。

つまり、面識もなく人的信頼関係もない他人にお金を貸すわけですから、当然、融資に足る会社かどうかの判断に慎重になります。

そこで、「お金をキチンと返済してくれるか?」「会社を清算されても貸付金は戻ってくるか?」をまずは決算書で判断します。

金融機関が決算書で重視する点は、会社がどれだけ稼いでいるか(経営成績)を示す損益計算書よりも、「貸したお金がキチンと帰ってくるかどうか」という点、今会社を清算した場合、どれだけ資産余剰があるかを示す貸借対照表のほうを重視します。

ところが、税理士は適正な納税のために決算書を作成するので、貸借対照表よりも損益計算書を重視する傾向にあり、極論すれば脱税にならないのであれば、企業の財政状態を適切に示さない決算書を作成することもあります。

私がこれまでに見た決算書で、税金の計算に関係しない貸借対照表において、こんな決算書がありました。

●決算書に計上された現金が実際よりもはるかに多い ●内容が不明で、実態よりも多額の棚卸資産が計上されている ●社長の身に覚えがない社長貸付金が多額に計上されている ●保険内容を適切に把握せず、本来存在しない保険積立金が計上されている ●金融機関からの借入金と役員からの借入金が長期借入金にまとめて計上されている税務署に対してはこれでよいかもしれませんが、決算書は税務署のみならず金融機関にも提出します。

前述したように、金融機関からの融資は、事業継続・発展のために避けては通れないので、この点にも注意を払って決算書を作成する必要があります。

Check!

  • □銀行は企業が貸付金を返せるかどうかを重視する
  • □決算書は、銀行融資のことも意識して作成する

銀行はこうして融資先を格付けする:融資条件は格付けによって違ってくる

融資の際に、銀行はその企業を格付けしています。

ただ、銀行の格付けというのは、何も特殊なことをやっているわけではありません。

中小企業の会計要領のようなものです。

その基本は、純資産がどれだけあるかということです。

資産と負債があった場合、負債というのは 100%時価評価です。

資産は時価と簿価が混在しています。

だから銀行は、簿価のものを 70%くらいの時価に評価額を引き直して修正します。

まず、売掛金は全額回収できるものかどうか、在庫の評価で粉飾しているのではないか(不良在庫があるのではないか)、不動産でいえば含み損益がある、株などの有価証券株にも含み損益がある、保険に関しては評価の仕方がわからないので簿価で見ます。

貸借対照表で、資産の合計が 1000万円、負債が 800万円、その差額の純資産が 200万円だとします。

しかし、これを時価評価で見ていくと、マイナス 300万円だろうとすると、純資産はマイナス 100万円になります。

減価償却もここで評価し直します。

損益計算書の中に減価償却がなかったら、「粉飾かもしれない」と思うわけです。

減価償却していない場合でも、純資産が 100万円残っていても、減価償却が 70万円になるのであれば、純資産は 30万円とします。

実質の純資産で見るというのが原理原則なのです。

そのときの細かい見方は別に難しくはないのですが、会計事務所は興味すらないのか、こういう点については甘すぎるぐらい無頓着です。

それは一面、企業経営は銀行融資を必要とし、銀行が何を企業に求めているかを知らないからなのです。

融資企業の格付けは点数で表現します。

正常先は例えば 6格までとして、要注意、要管理、破綻懸念、実質破綻、破綻先とそれぞれ点数がついて、全部で 10 ~ 12ランクに分かれます。

お金を貸すのは通常 6格まで、メガバンクは 10まで正常先とします。

債務者区分は、だいたい6つに分かれています。

「正常先」「要注意先」「要管理先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」です。

格付けと債務者区分は直結していて、例えば格付けが 1 ~ 6は正常先、 7 =要注意先、 8 =要管理先、 9 =破綻懸念先、 10 =実質破綻先、 11 ~ 12 =破綻先というふうになっています。

この格付けで、財務コンサルタントが「 4格で優秀だから金利を下げろ」とか、「無担保融資にしないと、他行に乗り換えますよ」と言ったりすると、銀行は「銀行の商売に口を出すな!」と怒ります。

財務コンサルタントはこのことを知っていますし、ウェブ上にもこういう情報はたくさん出ています。

金利や借入期間を決めるなどは、銀行にとってみれば自分たちの裁量でやっていることです。

しかし、「格付けによって融資条件が違ってくる」ということは知っておいたほうがいいでしょう。

担保が要らなくなったり、金利が安くなったりするのですから、交渉しない手はありません。

Check!

  • □銀行は資産の実態を査定する
  • □格付けによって金利や担保の条件が違ってくる

試算表(損益計算書、貸借対照表)は融資の際の必須アイテムです。融資の必要がなくても、経営を振り返る際には試算表を見なくてはなりません。

その試算表は、会計事務所に依頼すれば作ってくれます。

しかし、顧問契約の内容に応じてですから、「年一決算」の場合は試算表は別料金になり、なかなか作ってくれないでしょう。

しかし、実際問題として、年一決算でやりたがる中小企業経営者は多いのも事実です。

産業ロボットの登場で多くの工場労働者が必要なくなりました。

さらに I Tや A Iが進展していくと、いわゆるホワイトカラーにとって代わる仕事をこなしていくでしょう。

企業も人も進化していかなければ生き残っていくことができません。

その際に、会計事務所が財務面でコンサルテーション機能を担ってくれれば、企業にとっては大きな味方になります。

逆に言えば、旧態依然で進化しない会計事務所は代行業者としての存在意義しか見出せないでしょう。

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