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第 1章 文明病

この本の目的は、あなたの日々の不満や不調を根こそぎ解決し、あなたが生まれ持つ最大のパフォーマンスを引き出すお手伝いをすることです。

はじめに 日々の不調や不満には様々なレベルがあります。

たんに朝起きれないという人もいれば、仕事の集中力が続かなくて作業が進まないという人もいるでしょう。

さらには、怒りや不安がコントロールできずに人生が上手くいかない人、つねに体調不良に襲われている人、毎日の暮らしに張り合いがなく空虚な気持ちのまま暮らしている人など、症状や問題の深刻さには個人差があるはずです。

通常、これらの問題は別々に取り扱われます。

やる気がない人には「自己啓発本」、仕事の効率が悪ければ「ビジネス書」、感情のコントロールができない人には「心理学書」、体の不調には「家庭の医学書」といった具合です。

これはこれで効率的なアプローチですが、いっぽうでデメリットも存在します。

それぞれの問題が、あたかも別々の現象であるかのように見えてしまうため、どうしてもその場しのぎの解決策になりがちなのです。

風邪を引いたら風邪薬を飲み、関節が腫れたら軟膏を塗り、頭痛が起きたら痛み止めを手に取る。

これらの対処法は間違いではないものの、あくまで表面に現れた症状をやわらげているに過ぎません。

症状の奥にある本当の原因を突き止めない限り、今後も同じ問題は起き続けるはずです。

そこで、本書では、より総合的なアプローチを取ります。

まずは現代人が抱える問題の「共通項」をあぶりだし、そのうえで、すべてを柔軟に解決する汎用的なフレームワークを提供するのが最終的なゴールです。

鬱病、肥満、散漫な集中力、慢性疲労、モチベーションの低下、不眠、弱い意志力など、一見バラバラのように見える問題も、根っこまで下りてみれば実は同じもの。

すべては一本の線でつながっています。

そして、その線の正体を暴くカギが、「文明病」という考え方なのです。

詳しいことは、科学的根拠のもと、実践的に解説していきます。

ぜひ本書を読んで、文明病から脱却し、本来の自分を取り戻していただけたら幸いです。

最高の体調 もくじはじめに

第 1章 文明病

1 「文明病」が心と体を蝕んでいく 2 かつてないレベルのカロリーを摂取している 3 古代ではあり得ない「肥満」という現象 4 都市部の若者とヒンバ族では集中力に大差が! 5 豊かになればなるほど鬱病が増えるのはなぜ? 6 旧石器時代の食事法で健康を取り戻した 7 「炎症」と「不安」――現代人の不調の原因を取除く

プロローグ本書の内容を実践した結果、ある変化が…… 本書で紹介するテクニックとアイデアは、すべて進化論をベースにしています。

どれも科学者たちの地道な実験で効果が確認され、人類学者たちの丹念なフィールドワークによって妥当性が裏付けられてきたものばかり。

細かいアップデートは続きながらも、進化論にもとづくヒトの理解については、今後も大きく変わらないでしょう。

が、古代ローマの碩学プリニウスも言うとおり、習得した知識を実践に移さずに保有することは難しいものです。

筆者も本書の知識を実践しつづけ、その結果、人生を良い方向に変えてきました。

最初に手をつけたのは体調不良の改善です。

狩猟採集民の食事に近づくべくジャンクフードやスナック菓子のような加工食品をやめ、パンや白米といった精製穀物の量もできるだけ削減。

代わりに野菜と魚の量を増やし、間食はゆで卵で代用し、食物繊維が豊富なサツマイモを主食にしました。

すると、 2ヶ月ほどでビールと酒で肥えた腹は引き締まり、それまで昼過ぎには睡魔に襲われていたのが、夕方過ぎまで集中力が保つようになったから驚きです。

生来のハウスダストアレルギーも改善し、 QOLは大きく改善しました。

気を良くした私は、さらに運動を取り入れました。

1日に最低 1時間は早歩きのウォーキングを始め、心肺機能が改善したたところで筋トレもスタート。

現在は自然のなかで 1日 2 ~ 3万歩のウォーキングを目標にしつつ、週 3のペースで筋トレを続けています。

運動がもたらした変化も、また劇的でした。

腹はうっすらと6つに割れ、いくら寝ても取れなかった疲労感が消え、血液検査ではコレステロールの改善が確認され、仕事の生産性も向上したのです。

そして、続いて取り組んだのがメンタルの改善でした。

というのも、私は生まれつきの心配症で、頼みを断られるのが怖くて人に話しかけられなかったり、夜中に将来が不安になって眠れなくなったりと、まさに豆腐のようなメンタルだったからです。

ここでもまた、進化論の考え方が役に立ちました。

ヒトの進化の観点から知識を編み直し、マインドフルネス、メタ認知、タスク管理などのテクニックを使い始めたのです。

効果はすぐに現れました。

詳しくは後述しますが、価値にもとづくプロジェクトで迷いを消し、インターバルとメタ認知で心配を減らし、もし不安に襲われても「観察モード」でやりすごす……。

やがて夜もぐっすり眠れるようになり、いままでの人生でもっともリラックスした時間を過ごせています。

実はそれまでも似たようなことはしていたものの、個々のテクニックは頭のなかにバラバラに存在していました。

そのせいで何をやってもしっくりいかず、いろいろ試しては別の手法に手を出すサイクルのくり返しだったのです。

いま思えば、自分のなかに明確な土台がなかったため、テクニックの表層をつまみ食いするだけの状態だったのでしょう。

ハンドルやブレーキの扱い方がわかっても、すべてをまとめて使えなければ車は動かないようなものです。

ところが、そこに進化論の背景が加わったおかげで、事態は好転しました。

もしうまくいかないことがあっても、「ヒトはどう進化してきたのか?」と問いかければ迷子にならずにすむからです。

もちろん、これは個人的な体験であり、人により対策ごとの効果は異なると思います。

私のケースでも、実際は食事の改善だけで十分だったかもしれません。

ただ確かなのは、科学の裏づけがあるアイデアを愚直に試した結果、人生が良くなったという事実です。

第 1章 文明病1「文明病」が心と体を蝕んでいく 1995年、ワシントン州の牧師、ボブ・ムーアヘッド氏は、「現代の矛盾」というエッセイを発表しました。

『私たち人間は、長大なビルを作りあげたが、いっぽうで気は短くなった。

道路を広くしたわりに、視野は狭くなった。

お金を使っても身につくものはなく、ものを買っても楽しみは少ない。

家は大きくなったが、家族との関わりは小さい。

便利になったのに、時間はない。

専門家が増えても、それ以上に問題も増えた。

薬は増えたのに、健康な人は減った。

私たちは、酒を飲みすぎ、タバコを吸いすぎ、時間をムダに過ごし、少ししか笑わず、毎日を急ぎすぎ、怒りすぎ、夜更けまで起きすぎ、目覚めたらすでに疲れている』(一部を抜粋して要約) この文章に共感する人は多いでしょう。

実際、これだけ文明が発達したにも関わらず、現代の日本人は幸福からほど遠い場所にいます。

朝起きてもどこか体調が悪く、重い足取りで会社に向かい、デスクについてもやる気が起きず、適当な食事で腹を満たしたら、疲れ切って家に帰り眠る……。

自分の暮らしは上手くいってないのではないか?自分の人生はこんなはずではなかったのではないか?そんな疑問をお持ちの方も少なくないでしょう。

なによりも問題なのは、多くの人が、そんな自分を責めていることです。

仕事でミスが多いのは自分が不注意な人間だからだ。

太った体は自分の意志が弱いからだ。

作業が終わらないのは自分がノロマだからだ。

夜、不安で眠れないのは自分が気弱だからだ。

その結果、日ごとに自己を否定する気持ちが強くなり、少しずつ心と体は蝕まれていきます。

なんとも悲劇的な状況です。

しかし、本書では、「悪いのは自分だ」という考え方を採用しません。

この思考法は現実的な解決をさまたげるどころか、シンプルに仮説として誤っています。

なぜなら、あなたが抱える問題の大半は、現代人に特有の「文明病」が原因だからです。

2かつてないレベルのカロリーを摂取している「文明病」とは、近代社会の変化によって引き起こされる、現代に特有の病気や症状を意味します。

もっとも典型的な例は「肥満」です。

アメリカ疾病管理予防センターによれば、 1950年代の肥満率は 1
0%を下回るレベルだったのが、 2010年代には 35%まではね上がっています。

さらに 1890年代までさかのぼれば、この時代は肥満そのものが珍しかったため、相撲取りなら小結ぐらいの体型でも「異常者」として扱われ、見世物小屋で働かされたとの記録もあるほどです。

ここまで肥満が普通になった理由は、もちろん社会が豊かになったからに他なりません。

食料の大量生産と価格の低下により、現代人はかつてないレベルのカロリーを摂取しています。

この点に疑問の余地はないでしょう。

しかし、ここで思考を止めてしまえば問題は解決しません。

「食べ過ぎは止めよう」や「運動でカロリーを使おう」といった、月並みの対処法にたどりつくだけです。

そこで使うべきが、「進化医学」の補助線です。

これは、進化論をベースにしながら人間の病気の正体を考えていく学問のことです。

ダーウィンが生み出した進化論と最新医学のデータを組み合わせたもので、「ダーウィニアンメディスン」とも呼ばれています。

最新の研究によれば、現在の人類の基礎が形作られたのはおよそ 680 ~ 700万年前のこと。

現代人と猿人の中間的な存在であるヒト亜科が生まれた時代で、ここから人類は独自の進化コースに入っていきました。

そこから人類は少しずつ進化を続け、 1 ~ 2万年前にようやく石器時代から農耕生活に移動します。

つまり、少なく見ても、人類は 600万年にわたって狩猟採集生活を続けてきたわけです。

この壮大なタイムスパンを見れば、人類は進化の過程で古代の環境に最適化してきたと考えるのが自然でしょう。

自然のなかで獲物を追い、太陽の運行とともに暮らし、少数の仲間と語り合う。

ヒトの脳と体は、そんな環境のなかでこそ最高のパフォーマンスを発揮するように進化してきたのです。

3古代ではあり得ない「肥満」という現象 進化医学から見ると、「肥満」は次のような解釈になります。

第一に、古代の環境には食料の保存や流通のシステムがないため、カロリーはもっとも貴重な資源です。

そのなかで進化した人類は、自然と高カロリーな食事を好むように脳を作り変えてきました。

肥満研究の第一人者であるブルース・キング教授は、 2013年のレビュー論文にこう記しています。

「人間の消化器系・感覚(味覚と嗅覚)・脳の食欲中枢は、およそ 200万年前に発達した。

これらの機能は、古代の狩猟採集民たちが暮らした環境に適応している。

ほとんどカロリーが低い食品しかなく、食事にありつけないことも多かった時代だ。

そのため、私たちの脳の報酬系は、できるだけカロリーの高い食べ物を探すように進化した。

ところが、現代の先進国に住む人間は、食料の豊富な『肥満環境』に生きている」 人類に備わった生存システムが現代の豊かな環境ではうまく働かず、古代ではあり得なかった「肥満」という現象が現れた、というわけです。

この人類の進化と現代のミスマッチが進化医学の根幹になります。

残念ながら、この知見から「肥満」の明確な解決策が生まれるわけではありません。

しかし、もともとヒトはハイカロリーな食事を好むように設計された生物なのですから、少なくとも意志の力だけで「肥満」に立ち向かうのが時間のムダだということはハッキリするでしょう。

「肥満環境」をどのように変えるかは各自の判断によりますが、正しい方向を目指すコンパスにはなるはずです。

4都市部の若者とヒンバ族では集中力に大差が!「進化医学」の射程距離は、たんに肥満の謎解きだけにとどまりません。

体の不調だけでなく、心のトラブルや脳のパフォーマンス低下も、やはり進化のミスマッチが原因だと考えられるからです。

2013年、ロンドン大学のカリーナ・リンネル博士は、アフリカのナミビアでおもしろい実験を行いました。

現地のヒンバ族に協力を依頼し、ロンドンの都市部で暮らす若者たちと集中力の比較を行ったのです。

実験に参加したヒンバ族は、いまも狩猟採集の暮らしを送る伝統的な部族です。

2000年前からライフスタイルが変わっておらず、牛の放牧や根菜類の収穫をしながら生活しています。

リンネル博士がチェックしたのは、集中力と認知コントロール能力の2つ。

心理学の実験では定番の「フランカー課題」などを使い、いかに不要な情報に気を取られることなく、ひとつの対象に意識を向け続けられるかを調べたのです。

その結果は、長らくナミビアで調査を続けてきたリンネル博士も驚くほどでした。

ヒンバ族の集中力は、ロンドンの若者にくらべて約 4
0%も高かったのです。

心理学の集中力テストで、ここまでの差が出るケースは多くありません。

その理由についてリンネル博士は、「都市に住む者は扁桃体が過敏になるからだろう」と推測しています。

扁桃体はヒトの脳に備わった警戒システムで、身の回りに危険が迫ると活性化し、緊急事態に備えるよう体に指令を出します。

緊張やストレスのせいで神経が過敏になるのは、扁桃体のアラーム機能によるものです。

この警戒システムは、およそ 600万年前のサバンナで形作られました。

遠くから聞こえる猛獣の声、目の前の茂みに潜む謎の生物、他の部族による不意の襲撃など、古代の環境に特有の危機に対応するために進化してきた年代物のシステムです。

おかげで私たちの扁桃体は、しょっちゅう誤作動を起こします。

サバンナにはなかった高層建築やテクノロジーにおびえ、夜も輝き続ける灯りにとまどいを覚え、狩猟採集の暮らしではあり得ない大量の情報に混乱を起こす……。

現代人の扁桃体はつねにスイッチがオンの状態であり、その結果として、どうしても集中力は分散してしまいます。

その代表的な例が、 2017年にテキサス大学が行った実験です。

研究チームは 520人の学生に単純な作業を命じると同時に、目の前に電源を切ったスマホを置いたグループと、スマホを視界から遠ざけたグループの2つにわけ、どちらのほうが集中力が持続するかを確かめました。

結果は、スマホを近くに置いたグループの惨敗でした。

完全にスマホの電源は切った状態だったにも関わらず、もうひとつのグループにくらべて、学生の集中力は半分に減ってしまったのです。

研究チームは言います。

「デジタルデバイスが近くにあるだけで、認知機能は大きく低下する。

デバイスの存在を近くに感じた時点で、目の前の作業に使える認知のリソースは減ってしまうのだ」 スマホは現代人の生活を大きく変えましたが、そのいっぽうで古代に生まれた脳は技術の発達に追いつけず、限りある認知のリソースをムダに消費しています。

その点で、現代人の集中力の低下も立派な文明病のひとつなのです。

5豊かになればなるほど鬱病が増えるのはなぜ?

もうひとつ「鬱病」について考えてみましょう。

いま鬱病は世界中で増え続けており、年間で 100人の命を奪う社会問題になっています。

日本でもおよそ 1
0人にひとりが鬱病とされ、厚労省の統計では、平成 8年に 43・ 3万人だった患者数は平成 23年に 95・ 8万人まで急増しました。

鬱病は人生を破壊する病です。

日中の活力は消え、夜は眠れなくなり、人生の喜びを味わう能力まで消えてしまいます。

そこまで行かずとも、なんとなく毎日が空っぽに感じられたり、いつも気分が沈みがちだったりと、軽い鬱の症状に悩む人は少なくないでしょう。

よく考えてみれば不思議な話です。

100年前にくらべて、現代人の環境は大きく向上してきました。

日々の食事に悩むことはなくなり、蛇口をひねれば清潔な水が飲め、瞬時に誰とでもコミュニケーションを取ることができる。

それなのになぜ、精神を病む人の数は世界レベルで増え続けているのでしょうか?まさに現代の矛盾です。

1976年、人類学者のエドワード・シエフェリン氏が、驚くべきデータを発表しました。

パプアニューギニアで暮らす 2000人のカルリ族に調査を行ったところ、鬱病に悩む者の数はほぼゼロだったというのです。

シエフェリン博士は、数十年にわたってカルリ族のフィールドワークを続けてきた人物です。

カルリ族は野生動物の狩りと植物の採集だけで生活する部族で、そのライフスタイルは 200万年前の旧石器時代と同じだと考えられています。

リサーチの結果によれば、カルリ族の鬱病の発症率は先進国の 100分の 1。

自殺をする者はひとりもおらず、「絶望」を意味する言葉すら確認できませんでした。

メンタルの健康に関しては、現代人は狩猟採集民よりもかなり遅れを取っているようです。

この傾向は、近年の研究でも確認されています。

たとえば 2006年にダートマス大学が行った横断研究では、ナイジェリア郊外やアメリカ都市部で 657人の女性を調べたところ、近代化された都市に住む者ほど鬱病にかかりやすくなる傾向が確認されました。

ナイジェリアの田舎町にくらべて、アメリカ都市部の住人は 2倍も心を病みやすかったようです。

さらに香港中文大学が行った観察研究によれば、 1966年より後に生まれた中国人は、 1937年以前に生まれた中国人にくらべて鬱病の発症率がなんと 22・ 4倍だったとか。

中国は世界でも近代化のスピードが速いエリアだったため、文明病の悪影響が出やすかったのでしょう。

鬱病の原因はまだ解明されておらず、近代化の何が悪いのかははっきりしていません。

ひとつだけ確かなのは、現代人の心のトラブルの多くにも、進化のミスマッチが関わっているという事実です。

6旧石器時代の食事法で健康を取り戻した 私が初めて進化医学を意識したのは、 2003年にミシガン大学のランドルフ・ネシー博士による有名な論文「いかにダーウィニアン医学は使えるか?」を読んでからです。

この論文は、 1990年代から研究が盛んになった進化医学のポイントをまとめたもので、現代病と進化論の関係が手際よく解説されていました。

刺激を受けた私は、自分の体で進化医学のアイデアを試そうと思いつきます。

その最終目標は、自分の遺伝子が持つポテンシャルを最大まで引き出すこと。

ちょっと体重を減らしたり肝臓の数値を良くするだけでなく、脳と体を最適化するのが最終的なゴールでした。

そんな野望を抱いた理由は他でもありません。

当時の自分は、心も体も病みまくっていたからです。

そのころの私は、とある出版社の社員として、ほぼ不眠不休の暮らしをしていました。

月の残業は 100時間を超え、家には週 1で帰れれば良いレベル。

会社に寝袋を持ち込んで明け方まで作業を続け、近所のコンビニで店屋物を食べながら 3
0代に入ります。

当然ながら体はブクブクで、体調も仕事のパフォーマンスも下がっていくばかり。

年収が 200万円台まで下がったうえに、生まれつきのアレルギーも悪化を続け、月に一度は高熱で病院のお世話になっていました。

この時に何もしなければ、いまごろはジリ貧状態だったでしょう。

が、ここから私は進化医学をもとにライフスタイルを変えていきました。

ここでベースになったのは「パレオダイエット」です。

パレオダイエットは「旧石器時代の食事法」という意味で、進化医学のアイデアを使ってライフスタイルを組み替えていくテクニックです。

近年ではプロバスケの世界などで実践者が増えた以外にも、ミーガン・フォックスのようなハリウッドスターやビル・クリントンのような政治家にまで裾野が広がっています。

パレオダイエットを実践し始めた私は、すぐにその変化に驚くことになります。

まずは半年も経たずに体重が 13 k g減り、体脂肪が 35%から 12%に落ちました。

パンパンだった二重あごは消え、逆に筋肉が 6 kgも増えたせいで腹にはうっすらと筋肉のラインが浮き上がっています。

無意識のうちに肥満体の自分が当たり前になっていたため、正直この変化には目を疑いました。

さらに、何よりもありがたかったのは集中力と生産性の改善です。

それまでは 1日に 5000 ~ 1万字の原稿が書ければ良いほうで、年に 6冊程度のブックライティングを行うのがやっとだったのが、いまでは年に 12冊ずつの本を出し、同時に月 5 ~ 6本のコラムを書いています。

1日の原稿量は 2万 ~ 4万字に増え、単純計算で生産性が 4倍になったわけです。

7「炎症」と「不安」―現代人の不調の原因を取除く かつての私と似たような悩みをお持ちの方は多いのでしょう。

筆者のブログにも、毎日のように体調や生産性に関する相談が寄せられています。

これらの悩みに万能の解決策は提案できませんが、「文明病」のアイデアを使って、あなたの悩みを解くためのロードマップを示すことは可能です。

問題の根っこさえ探り出せば、解決へのショートカットは格段に容易になるでしょう。

煎じつめれば、問題解決へのステップはシンプルです。

①自分が抱える問題について、どこに遺伝のミスマッチがあるのかを特定する ②ミスマッチを起こしている環境を、遺伝に沿うように修正する この 2段階を着実にこなせば、ほとんどの問題は解決します。

しかし、ひとことで「遺伝と環境のミスマッチを探すべし」と言われても、範囲が広すぎてどうしていいのかわからないでしょう。

悩みの原因を特定するためには、より詳しいナビゲーターが必要なはずです。

そこで本書では、現代人にありがちな不調の原因を、まずは大きく2つの要素に分類し、そこからさらに個別の対処法を見ていきます。

まず、文明病を引き起こすひとつめの要素が「炎症」です。

これは、ヒトの細胞レベルで起きる火事のようなもので、多くの研究により、鬱や肥満、糖尿病といった様々な不調の原因だと考えられています。

第 2章からは、いかに「炎症」があらゆる問題を引き起こすのかを解説します。

さらに、もうひとつ現代人にとって重要なのが「不安」の問題です。

「不安」は古代から存在してきた感情ですが、実は現代人が抱く「不安」は、古代人や狩猟採集民が感じていたものとは全く性質が異なります。

その食い違いのせいで、どれだけ現代人の生産性が低下しているのかを、これも第 2章から具体的に紹介します。

さらに第 3 ~ 5章では、「炎症」の問題を解決するための基本的なガイドラインを提示します。

「腸」「環境」「ストレス」の3つを修正して、あなたの体と脳を根本からリセットしていきましょう。

同じく第 6 ~ 8章では、「不安」の問題を解決するために、「価値」「死」「遊び」の 3点に焦点を当て、現代人が陥りがちな心理的トラップを逃れる方法を考えていきます。

すべてをやりこなすのは難しいでしょうが、どれかひとつをクリアするだけでもあなたの脳と体は原始の状態にリセットされ、本来のパフォーマンスを大幅に取り戻すはずです。

では、始めましょう。

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