56 朝時間は社会や時代と向き合う貴重な時間帯 57 情報ソースの使い分けでより新鮮な情報収集を! 58 ソーシャルメディアの存在感をアップさせるには? 59 SNSで「文章力」と「言葉」が面白いほど磨かれる 60 「朝食会」に参加して新たなコミュニティを構築 61 朝の「勉強会」「読書会」は出逢いのチャンス 62 自ら「朝イベント」の主催者になってみようおわりに
第 7講『朝イチ SNS』活用術で脳が歓喜する情報を入手!
56 朝時間は社会や時代と向き合う貴重な時間帯 朝の時間は、自分のやりたいことや何か新たに挑戦するうえで絶好の時間帯であることは、これまでに述べてきました。
じつは、もう 1つ。
この時間帯を通じて可能になることがあります。
「イチ早く社会とつながる」ことができるのです。
言い換えれば、朝の時間は「社会や時代の情報(トレンド)をどの時間帯よりも早く入手できる時間」とも言えるでしょう。
ビジネスの場で生きる人にとって、情報収集は欠かせません。
ただ、その情報も鮮度が問われます。
つまり、仕事や勉強と同様にスピードが求められるのです。
従来は、朝に新聞を読んだり、ニュースを見たりすることで、今の時代や社会の様相を知り得ることができました。
ですが、情報のスピードの面から考えると、どうしてもワンテンポ遅いことが難点だったと思います。
しかし、時代は大きく変貌を遂げました。
今や SNSのツイッターやフェイスブックを駆使することで、目まぐるしく変化する時代の流れや社会の“表情”をリアルタイムで察知することができます。
また、「時代が何を求めているのか」「世間で今どんなものが流行っているか」といった社会全般における新鮮な情報はもちろん、人々の集団認識や若者の素朴な感情までもが、誰でも、いつでも、簡単に入手できるのです。
朝の時間は、目覚めとともに SNSで即座に社会とつながり、鮮度の良い情報をイチ早く手に入れられる最高の時間帯だと言えるでしょう。
ソーシャルメディアを通じて得られる情報には、面白い特徴があります。
特定の文脈で集められたフラットで単純な情報ではなく、世界各国の人々が、様々な立場で得た情報なので、多くの価値を見出すことができるのです。
こうしたことからも、朝時間にソーシャルメディアを有効活用することを是非オススメします。
きっとあなた自身がその凄さや素晴らしさに驚嘆するはずです。
最近では私も含め、周囲でも朝時間に SNSを活用することを習慣づけている人が増えました。
ツイッターやフェイスブック、またはメールなどで朝から人(社会)とつながることで、脳への報酬を得ているのです。
以下は、私も実践する手軽にできる朝習慣ですが、これから始める人もこうした脳がストレスを感じない簡単な習慣を取り入れるようにしてください。
◎朝、メールを 1通送ることから 1日をスタートさせる ◎朝、ツイッターでひと言つぶやいてから 1日をスタートさせる ◎朝、フェイスブックで「いいね!」ボタンを押すことから 1日をスタートさせる このほかにも、少しだけ早起きして時間をつくり、毎日の出来事や日常での気づき、意見などを日記にまとめて投稿するのもオススメです。
グーグルニュースやヤフートピックスなど、気になる情報について SNS上でたくさんの人と交流したり、アドバイスなどを募るのも良いでしょう。
朝の隙間時間で読んだ本のレビューを投稿して、 SNS上でつながっている人とお互いに読んだ本の感想を書き合うのも面白いかもしれません。
「社会や人とつながることで、脳の報酬系が活性化される」──。
これは脳科学でもわかっています。
この事実は人間の「人から褒められたい」「人に認められたい」「人から愛されたい」といった関係性欲求と関与しており、これらの欲求が満たされることで、脳も喜びを感じ、やる気が高まります。
朝時間においても同様です。
SNSを通じて欲求が満たされ、脳が快感を得られれば、おのずと 1日の好スタートが切れるのです。
そもそも、仕事をすることは社会や人とつながること。
まずは、大切なつながりを朝イチバンに確認してみてください。
多くのビジネスパーソンが「ネガティブ思考を変えたい!」「社外でも信頼できる仲間とつながりたい」と考えているなかで、どうしても上手くいかない人を見ると、自分自身のフィールドが狭いように感じられます。
そのような人こそ、是非とも朝時間に SNSを活用しつつ、お互いに刺激となる関係を構築し、自己成長する喜びを感じて欲しいです。
また、そうした双方にとって良いつながりを持つことで、脳のレバレッジ効果も大いに期待できます。
57 情報ソースの使い分けでより新鮮な情報収集を! 情報ソースは、ツイッターやフェイスブックだけにこだわる必要はありません。
朝時間にインターネットを使うのも脳の“ウォーミングアップ”にはオススメです。
朝のリラックスした時間帯にインターネットを通じて、時代のテーマやニーズを知ることで、脳は刺激を受け、 1日のパフォーマンスにエンジンを掛けます。
ヤフートピックスや新聞のウェブ版でもかまいませんし、「今日何が話題になっているのか」をチェックするだけでも十分な効果が得られます。
これくらいの簡単な情報チェックであれば、何かと忙しい朝時間でもストレスを感じることなく、気軽に始められるはずです。
ちなみに、どうしてもまとまった朝時間が取れないときに私が活用しているのは、ツイッターのトレンドワードです。
これは、ツイート(つぶやき)で今ホットなワード(頻繁に出てくる言葉や用語、キーワード)のことで、私にとって、効率よく情報をフィルタリングするうえで強力なツールになっています。
新聞・雑誌やテレビ、ラジオなども、情報ソースとして活用できますが、それだけでは「何が本当に話題になっているのか」が、どうしてもわかりづらい一面も否めません。
情報のスピードが SNSよりもワンテンポ遅れてしまうからです。
そこで、ツイッターやフェイスブック、インターネットといったリアルタイムに情報が得られるソースと組み合わせて活用するようにしてください。
デジタルとアナログ双方の情報ソースを有効に活用しながら、朝時間に情報収集を行うことで、時代の風向きや温度を正確に察知できます。
また、多くの人が興味・関心を持っている日本を含めた世界中の出来事をキャッチすることも可能でしょう。
58 ソーシャルメディアの存在感をアップさせるには? ソーシャルメディア上の影響力を表す『クラウトスコア』──。
これは、フォロワー数やツイートの内容をもとに、ツイッターやフェイスブックなど、ソーシャルメディア上での個人の影響力を 1 ~ 100のスコアで計測した指標のことです。
実際に調べてみると、私のスコアは 78、ソフトバンクの孫正義社長は 74、大阪市長である橋下徹さんは 77、毒舌お笑い芸人の有吉弘行さんは 73でした。
そのほかにも、レディー・ガガが 93、バラク・オバマ大統領は 99、ダライ・ラマ 14世は 89のスコアを出していました(いずれも 2013年 2月 21日時点)。
自分で言うのも気恥ずかしいのですが……私の存在が世の中の人々に大きな影響力を及ぼしていることにはうれしさを感じています。
もちろん、脳もです。
現在、ソーシャルメディア上の存在感は、個人にとっても、企業にとっても、重要な情報になってきています。
そのような時代なのか、朝の 6時くらいからソーシャルメディア上のタイムラインは活性化しており、例えば“時事ネタ”についてもタイムリーにレスポンスしなければ、すでに時代に乗り遅れている感は否めません。
私の周りにいるクラウトスコアが高い著名人たちに共通するのは、朝の時間を使ってソーシャルメディア上での存在感を持っていることです。
もちろん、これは個人だけの話ではなく、会社のブランディングや PRなどを含め、重要な指針になっています。
では、どのようにクラウトスコアをアップさせ、ソーシャルメディア上の存在感を示していけるのでしょうか。
それは、ツイッターやフェイスブックといった日本のソーシャルメディアの在り方と自分のライフスタイルを合わせることです。
これは日本語圏、または世界中に在住する日本人や日本語に興味・関心を持っている人たちのタイムラインにおいて、日本から発信されるソーシャルメディア上での存在感を上げていくこととも言えるでしょう。
一方、英語圏であれば分散される可能性があります。
アメリカやイギリス、オーストラリアなど広範囲にわたるため、ソーシャルメディア上でのタイムラインにまとまりがないからです。
私は日本語と英語の 2カ国の言語でツイッターをやっているのですが、英語のツイッターにはあまり時間感覚やレスポンスがありません。
ところが、日本語でのツイッターでははっきりとしたレスポンスがあることを感じています。
ツイッターにしても、朝イチバンにツイートすると、その反響が 1日のうちに蓄積されていくので、朝の早い時間帯に実質的な情報を流しておくことは非常に有効です。
ソーシャルメディアをいろいろと実験したい、経験値を上げたい、と考えているのであれば、朝の時間がベストな時間帯だと思います。
みんなの生活リズムに合わせて情報提供をすることでクラウトスコアを上げることが可能になるからです。
ソーシャルメディアには生鮮食品のような部分があり、情報の鮮度が時間とともに変化していきます。
ゆえに、新聞の朝刊や流行を取り上げた雑誌のような役割で情報を発信していくうえでは、朝が最も適していると言えるのです。
もちろん、クラウトスコアを上げるためだけにソーシャルメディアを使っているわけではありません。
ですが、魅力的で、且つ鮮度の良い情報を発信すれば、それだけ多くの人が興味・関心を持って集まってくるのも事実です。
ソフトバンクの孫正義社長や大阪市長である橋下徹さんも朝時間を使ってソーシャルメディアを利用しています。
超多忙な日々を送っている彼らでもあれだけ情報発信ができるのですから、誰もが朝時間を有効に使えば必ずソーシャルメディアでの存在感を示すことは可能だと思います。
59 SNSで「文章力」と「言葉」が面白いほど磨かれる 私が学生だった頃は国語の授業で、よく先生から「文章力を身につけるのは、とても大切なことだ」と教わりました。
この能力を手っ取り早く身につける手段は、膨大な量の本を読むことです。
しかも 1つの分野に固執するのではなく、経済・歴史・ミステリー・ SF・洋書など多種多様な分野の本を読破します。
そうすることで、思考の視野も広がりますし、言葉を知ることで自然と表現力や文章力も磨かれるでしょう。
私自身、子どもの頃から読書が大好きで、なかでも SF童話には目がなく、学校の図書館にあった数十冊の本を読破しました。
シャーロック・ホームズや明智小五郎などの推理小説にも興味があり、シリーズを短期間で読み終えたことも……。
大人になった今でも年間 100 ~ 200冊くらいは平気で読んでおり、読書を通じて得られた文章力は、間違いなく仕事においても大いに貢献しています。
以前は、文章力を身につけるには読書が最も近道で、最適な手段でした。
今の時代は少し変わってきています。
SNSの登場によって、文章力の概念が新しい次元になってきているのです。
SNS上では、自分が書いた文章が「読み手にどのように受け取られるか」ということを超えて、「どれくらい広がっていくのか」「どう誤解されるのか」ということが文章力の指標となっています。
つまり、非常に高度な文章力が要求されているのです。
口で喋るにせよ、手で書くにせよ、言葉というものは文脈から切り離されて流通していきます。
そのことを前提に踏まえて表現していくことで、文章力や言葉がどんどん磨かれていくのです。
私たちは、日常の多くの場面において、自分が発する言葉や文章を無意識に発しています。
つまり、文章力や言葉を磨くことは無意識を磨くことでもあるのです。
脳科学でも「言葉の準備は意識以前に始まるのだ」と考えられています。
自らが発する言葉や文章が脳のなかで編集され、整理されるプロセスを意識的にトレーニングする必要があるということです。
そのためにも、 SNS上における自分の言葉や文章に対して、“手入れ”を怠らないでください。
これは、文脈から切り離されて誤読される場合も視野に入れ、そのときにどんな言葉や文章を発信するかを考え、準備しておくことです。
このトレーニングを繰り返すことで、文章力や言葉が無意識に磨かれていきます。
60 「朝食会」に参加して新たなコミュニティを構築 スマートフォンの普及や SNSの発展によって、朝時間の使い方も「自分中心」の時間から「他人との交流」の時間に変わってきています。
例えば、 SNSを通じて朝時間にイベントを開催することを告知し、参加者を集い、情報交換を行う人や企業も増えてきました。
ただ、参加希望者にとっては不安があるのも事実です。
「どんなイベントなのか」「どんな人が参加するのか」……など。
こういった不安も SNSを利用することで解消されます。
フェイスブックの場合は、参加希望者の職種や趣味などの情報が事前に確認できる(※情報登録は任意)ので、もし自分とフィーリングが合いそうな人が見つかれば、話も盛り上がりますし、有意義な朝時間を過ごすこともできるでしょう。
最近の朝時間のイベントとして人気が高いのは「朝食会」です。
今は、ツイッターやフェイスブックなどですぐに参加できる時代になりました。
ここで具体的な朝食会の有意義さについて少し触れておきましょう。
基本的には、少人数で参加者同士が落ち着いて議論ができるような朝食会が望ましいと思います。
人数が多いと、参加者全員とのコミュニケーションが難しくなるからです。
ただし、「今流行っているから」「出ておかないと取り残されるから」などといった明確な目的も持たずに、なんとなく参加するのは意味がありません。
きちんと“合理性”を突き詰めて、自分にとって有意義な時間になることを前提に参加してください。
61 朝の「勉強会」「読書会」は出逢いのチャンス 朝時間に「勉強会」や「読書会」に参加したいと考えている人も少なくありません。
そのような人のために SNSでは多くの勉強会や読書会の告知を探し出せるようになっています。
朝時間の活動は自分一人でやることも多いのですが、複数人による読書会や勉強会に参加することで、「勉強会に行かなくては!」という意欲がより一層高まるはずです。
これは朝時間の活動を習慣化するうえでも“一役”買っています。
再三述べていますが、しっかりと睡眠を取った翌朝は、脳もフレッシュな状態なのでその活動もフレキシブルに働きます。
つまり、朝時間は集中して勉強をしたり、読書をするうえで絶好の時間帯なのです。
定期的な朝の勉強会や読書会への参加は習慣化しやすく、ほかのことに時間を奪われる心配もありません。
また、これらのイベントに参加することで、自分と同じ価値観や業種の人と出逢うチャンスにも恵まれます。
では、朝時間にどのような勉強会や読書会が行われているのかを少し紹介しましょう。
勉強会によって取り上げるテーマは様々ですが、基本的には、ビジネススキルのアップや英語、起業や投資などが多いと聞きます。
一方、読書会はカフェでお茶を飲みながらビジネス書や文芸書など、あらゆる分野の書籍をテーマに語り合う会として幅広い年齢層から人気があります。
仕事前に共通の意識のもとに集まった人たちと、リラックスした朝時間を過ごすことは、脳と身体のウォーミングアップとしても効果抜群です。
62 自ら「朝イベント」の主催者になってみよう 先ほど、 SNSを活用すれば、誰でも簡単に朝時間のイベントに参加できると述べましたが、一方でイベントの当事者、つまりは自らが主催者になるのもオススメです。
では、主催者になるには何をすれば良いのでしょうか。
朝食会や勉強会、読書会を主催するには、企画力や情報発信力、さらには参加者を集めるための集客力など、様々な能力が必要になると思うかもしれません。
ここで SNSを活用すれば、一気に問題が解決されます。
例えば、フェイスブックを駆使することで、友人・知人はもちろん、会社のメンバーにもすぐに告知が可能です。
フェイスブックを通じて知り合った人を介して新たな参加者を募ることもできるでしょう。
また、ツイッターでも「 ○月 ○日、 ○時から ○ ○にて朝の勉強会を開催します」というようにイベント開催を“つぶやく”ことで、効果的に、且つ簡単に参加者を集められます。
そうしてイベントの回数を重ねるごとに、参加者の輪がどんどん広がっていくサポートをするのが SNSの大きな魅力なのです。
イベントの主催者になることで、さらなるメリットも生まれてきます。
それは、多くの人に触れ合うなかで、自分の得意なことや苦手なことがだんだんと見えてきます。
すると……、「もっと有意義な朝時間のイベントを開催したい」「もっと参加者を増やしたい」 などといった前向きな気持ちがわき起こり、そのための努力を進んでしようとします。
この「努力する」という行為は、脳科学的にもとても大切なことなのです。
前でも述べましたが、今こそ「根拠のない自信」を持って、「努力」というアクションでそれを裏づけて欲しいと思います。
朝時間のイベントに参加することだけに満足するのではなく、自ら主催者となってイベントを開催するという努力──。
これこそが SNSを活用して、朝時間を有意義なものにし、脳のパフォーマンスを最高レベルまでに導く究極の方法だと言えるかもしれません。
【参考文献】『脳を活かす勉強法』茂木健一郎 PHP研究所『脳を活かす仕事術』茂木健一郎 PHP研究所『脳を活かす生活術』茂木健一郎 PHP研究所『脳は 0. 1秒で恋をする「赤い糸」の科学』茂木健一郎 PHP研究所『幸福になる「脳の使い方」』茂木健一郎 PHP新書『アウェー脳を磨け!』茂木健一郎 廣済堂出版『挑戦する脳』茂木健一郎 集英社新書『プレジデント: 2012年 1月 30日号』プレジデント社 『「脳にいいこと」だけをやりなさい!』マーシー・シャイモフ著/茂木健一郎訳 三笠書房『もっと「脳にいいこと」だけをやりなさい!確実に自分を変えていく法』マーシー・シャイモフ著/茂木健一郎訳 三笠書房『頭のいい人が「脳のため」に毎日していること』トッド・カシュダン著/茂木健一郎訳 三笠書房 『「朝がつらい」がなくなる本』梶村尚史 三笠書房『脳が冴える 15の習慣記憶・集中・思考力を高める』築山節 NHK出版生活人新書『あなたの脳が 9割変わる!超「朝活」法』久保田競 ダイヤモンド社『誰でもスグできる!睡眠障害で眠れない夜の不安をみるみる解消する 200%の基本ワザ』井上雄一監修 日東書院『面白いほどよくわかる 脳のしくみ』高島明彦監修 日本文芸社『図解入門よくわかる 最新「脳」の基本としくみ』後藤和宏監修 秀和システム『ぜんぶわかる 脳の事典』坂井建雄・久光正監修 成美堂出版
おわりに 私たちの脳にとって、一見、正反対に思える「飽きる」ことと「習慣化する」ことは極めて近しい存在にあります。
1つの行動を習慣化する過程では、必ず脳に「飽きる」ときが訪れます。
この局面を乗り切るためには、変化をつけたり、成功体験を植えつけたり、と脳に新しい刺激を与え続けなければなりません。
その際、有効なのが初めての体験です。
人生において「初めての体験をする」ことは、とても価値あることだと言えます。
人間の脳にとって、何か新しい体験をするときの 1回目が最もハードルが高く、刺激が強く、そして喜びも深くなっています。
自転車に例えるとわかりやすいかもしれません。
ペダルをこぎ出すときに強い力が必要となり、車輪が回転し始めると、負荷をさほど掛けなくともあとは自然に進んでいく……原理原則はこれと同じです。
習慣化するためには、ときどき新たなことを取り入れてみる。
ひたすら同じことを続けるのではなく、ときには大いなる変化をあえて楽しんでみる──。
これこそが、私たちの行動を習慣化する秘訣でもあったのです。
それから、もう 1つ。
脳は「やらされている」感があると喜ばないので、「積極的にやっている」という意識を持たせるひと工夫を考えてみてください。
すると……たとえ同じことをやっていても面白いことに変えていけるのです。
皆さんは『ゲーミフィケーション』なる言葉をご存じでしょうか。
これは、ゲームの持つ「楽しさ」「人を熱狂させる仕組み」を仕事や勉強に取り入れようという工夫の仕方の 1つです。
マーケティングにも使われていて、企業がお客様を集めるために、ホームページ上などでゲーム的要素の大きい仕掛けをしたりしています。
私自身、過去を振り返ってみると、勉強にしても、遊びにしても、子どもの頃からゲーム化して楽しむ知恵を身につけていたことに改めて気づかされます。
ルールをつくって、それを攻略する“疑似体験”を数多く積むことで、脳も報酬を得られる──こうした工夫が集中力を格段にアップさせ、強化学習プロセスやフロー体験を確立させることができたのだと思います。
日常生活でのゲーム化は、あらゆるところで実行可能です。
例えば、単純な事務処理の作業では「何時までに終わらせたら勝ち」といった時間制限のルールを取り入れたり、勉強においても「今日は 1時間で英単語を 10個覚えられなかったら負け」というようなルールをつくるのも面白いでしょう。
残念ながら、脳は未来を真剣に考えることが苦手です。
何もしないでそのまま放っておけば、目の前にある現実ばかりを追い掛けようとしてしまいます。
したがって、自分でゲームをつくり、ゴールをする喜び(快感)の練習を、是非とも朝のゴールデンタイムに行って、脳を鍛えて欲しいと思います。
最後になりますが、本書がこうしてでき上がるに至り、出版プロデューサーの神原博之さん、素晴らしい装幀を手掛けてくださった福田和雄さん、そしてすばる舎の皆様には大変お世話になりました。
この場を借りて心から御礼を申し上げます。
2013年 2月吉日茂木 健一郎
〈著者紹介〉茂木健一郎(もぎ・けんいちろう) ◎脳科学者。
1962年東京生まれ。
東京大学理学部、法学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。
理学博士。
理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て、現職はソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科特別研究教授。
専門は脳科学、認知科学であり、「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論にも取り組んでいる。
2005年、『脳と仮想』(新潮社)で第 4回小林秀雄賞を受賞。
2009年、『今、ここからすべての場所へ』(筑摩書房)で第 12回桑原武夫学芸賞を受賞。
『脳とクオリア』(日経サイエンス社)、『ひらめき脳』(新潮社)、『脳を活かす勉強法』『脳を活かす仕事術』( PHP研究所)、『挑戦する脳』(集英社新書)のほか、著書多数。
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