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第 2章社長には言えない「銀行の本音」

第 2章社長には言えない「銀行の本音」

①支店では、支店長が絶対的な存在である ②かつて銀行には、「侍」がいた ③銀行員の体質を知らない社長は、損をする ④「頭取銘柄」に選ばれたら、倒産しない ⑤銀行は敵ではない。ビジネスパートナーです ⑥「都銀 1、地銀 1、信金 1、政府系 1」が取引の基本 ⑦メインバンクには、決裁権の大きい支店を選ぶ ⑧担保をとられるのは、社長が信用されていないから ⑨支払手形は、「待った」がきかない ⑩支払手形を発行しなければ、会社は倒産しない

①支店では、支店長が絶対的な存在である貸す、貸さないの決定権は、支店長が握っているかつて「武蔵野」は「支店長のやきもち」によって、 1年 10カ月もの間、融資を受けられませんでした( 32ページ)。貸し渋りにあうのも、あわないのも、支店長の判断ひとつ。貸すほうにとっても借りるほうにとっても、支店長は絶対的な存在です。銀行の組織体質は、支店長で決まります。お金を貸すのも、貸さないのも、支店長のさじ加減ひとつ。最終的には本店が判断するにせよ、実質的な融資の決定権は支店長にあります。支店長が貸すと決めたら、よほどのことがないかぎり、本店も NOとは言わない。もしも融資を断られ、その理由が「本店に断られた」のだとしたら、それは支店長(担当者)の言い訳です。実態は違う。本店が断ったのではなくて、「支店長が貸さないと決めた」のです。小さな支店は、支店長の決済金額が低いため、本店の決済を求められる場合があります。かつて「武蔵野」が取引をしていた S銀行では、武蔵境支店の決済金額は 5000万円。一方で吉祥寺支店は 1億円。 7000万円借りるとするなら、武蔵境支店よりも、吉祥寺支店とつき合っていたほうが有利だとわかります。では支店長は、融資の可否をどのように判断しているのか。ひとつは会社の業績。会社が赤字で返済能力がないときに、追加融資を決める支店長はいません。それから、会社の返済実績も可否の判断材料です。他行を含めた年間返済金額は、会社の返済能力を示しているため、「その金額までは貸してもいい」とわかります。支店長は、倍倍ゲームで伸びている会社に融資をしない銀行にとって、いちばん儲かるのは、格付け( 70ページ)が 6〜 8の会社。金利が高く貸せるからです。本店の審査部は、安全性を考慮して 3〜 5の会社に偏りがちですが、 3〜 5の会社は安定している分、金利が低い。格付け 6〜 8の会社の中で、これから伸びていきそうな会社に融資すれば、銀行の収益力は上がるでしょう。ましてや、無知な社長は背に腹はかえられないから、担保は提供するわ、個人保証もする。ただし、「格付け 7以下の会社が、 3年連続 125%以上の増収増益になる」と、支店長は、「この会社は危険信号だ」と判断し、融資を控えます。なぜなら、やがて資金繰りが追いつかなくなり、資金ショートするからです。増収増益を手放しで喜ぶ社長は、 B/ Sを知らない社長です。経常利益が 100出ると、 50が税金、 25が予定納税。残った 25は在庫と売掛金に変わります。つまり、利益が出てもお金が残らない。そのうえ「借入金の返済」が回ってきて、お金が足りなくなる。だから社長は、返済する財源の手当てに苦労する。私がベリーの社長のとき、毎年増収増益でも、いつも資金繰りに追われていました。けれど、「利益が出れば、来年はきっと楽になるなあ〜」なんてトンマなことを考えていた。「会社が大きくなるほど、苦しくなる」ことがわからなかった。一般的に、 115%が適正な数字です(役務の会社は除く)。支店長にとって倍倍ゲームで伸びていく会社は、危険そのもの。相当な利益が出ていなければ、貸し渋る支店長がまともです。前任の支店長の決定ではなく、現在の支店長の決定が優先される社長は、前任の支店長が融資を約束したからといって、安心してはいけない。現在の支店長が「やはり貸さない」と一言言えば、それで終わり。融資は下りない。銀行では、現支店長の決定が絶対です。ここも、多くの社長がわかっていないところです。秋田県でスーパーチェーンを展開している、有限会社中央市場の金沢社長は、新店舗出店のための資金の融資を、メインバンクの支店長に相談しました。支店長は内諾をし、金沢社長は土地を購入。出店計画は順風満帆のように見えた。しかし、本店での審査前に支店長が交代し、状況は一変しました。土地の地ならしがはじまったころ、金沢社長はヨーロッパに視察旅行に行くため上京。成田空港に向かおうとしたまさにそのとき、携帯電話が鳴りました。「メインバンクの担当者から『本店の審査が通りませんでした』と会社に連絡が入ったのです。融資が下りることを前提に土地を買っていたので、このままでは資金がショートし倒産。海外気分が一気に吹っ飛びました」と金沢社長。旅行用の服しかなかったので、東京でスーツを買った金沢社長は、急いで着替えて、秋田にとんぼ返り。奥さんだけをスイス行きの飛行機に乗せた。そして、銀行へ向かったが、支店長は「不在」。そこで前支店長にも連絡をとって、一緒に本店の審査部にも駆け込みましたが、「一回下りた決定は、覆らない」。つまり、これは現在の支店長が「貸さない」と決めた証拠です。実はこれも現支店長の「嫉妬」だということが、あとでわかった。どんなに前の支店長が融資に前向きでも、融資の決定を下す時点の支店長が貸さないと決めたら、本店は貸さない。これが銀行の現実です。社長は、こういったリスクがあることも、肝に銘じておかなければなりません。どう頑張っても、メインバンクから借りられないことがわかった金沢社長は、他の取引銀行に泣きついた。すると、支店長が二つ返事で「わかりました。融資します」。金沢社長は九死に一生を得た。なぜ、二つ返事で融資が下りたか。それは、金沢社長が、複数の金融機関と取引をし( 101ページ)、定期的に訪問し(第 3章)、経営計画発表会に支店長を招待していたから(第 5章)。いまでは、二つ返事で貸してくれた支店が、同社のメインバンクになっています。

②かつて銀行には、「侍」がいた小山昇が認めた 4人の支店長私はこれまで、さまざまな支店長を見てきましたが、優秀な支店長は、みな同様に「決定のスピードが速い」という共通点があります。また、「お客様をお出迎えする姿勢」が身についています。銀行が開店する朝 9時に、お客様を出迎えている支店長は、良い支店長です。私は以前、お客様をお出迎えしない支店長に向かって「お客様に対して、失礼ではありませんか?」と意見したことがあります。その後、私が銀行訪問をするときだけ出迎えるようになりましたが、それ以外はしなかった。ようするに、あぐらをかいていた。この支店長は、やがて銀行を辞めていきました。自ら現場に出向く支店長も、優秀な支店長です。現場に出るのは、部下とのコミュニケーションが良い証拠。いつも銀行にいる支店長は、現場を知らない。現場を知らないから、融資先の実態をつかめない。上辺の情報だけで「格付けが低いから貸すのをやめよう」と貸し渋るタイプといえます。小山昇が認めた支店長 ベスト 4第 4位 S銀行 O支店長 2000年度の日本経営品質賞を受賞したとき、すぐに「武蔵野」の融資状況を調べ、追加融資を支店に指示してくれた本店営業部長です。 O支店長が転勤するとき、彼は私にこう言って、背中を押してくれました。「小山社長はいろいろと勉強をされているから、銀行の言いなりにならず、自分の思うとおりにしてください」第 3位 M銀行 O支店長銀行は、実績主義の側面を持っており、提出した目標と実績の差が開きすぎると、不信を抱きます。そのため、達成率よりも額を重視する私の方針は、ときに理解を得にくい。現在の売上が 100で、 102%の計画を立てたとします。達成率が 100%なら、売上は 102。無謀にも 200%の計画を立てて、 60%しか達成できないと、銀行は、達成率の低さに目を向ける。ですが私の考えは違います。達成率は 60%でも、売上は 120になる。労働率分配率が高くても、原価率が高くても、「額」がなければ経営は成り立ちません。「経営は、率ではなく額」という私の方針に理解を示し、応援してくれたのが O支店長です。第 2位 F銀行 I支店長 1991年に「クリエイト」という事業を進めていましたが、 2億 8000万円の投資に対して、売上が 3000万円。毎月 400万円の赤字だったため、「この事業を撤退したいので、撤退資金を貸してください」とお願いした。すると I支店長は「それは良いことです」と言って、撤退資金を 3000万円貸してくれました。また、こんなこともありました。かつて「武蔵野」は、経営計画発表会を「5月 5日」に開催していました。メインバンクをはじめ、取引のある銀行の支店長をお招きしていたのですが、この日は国民の休日。 I支店長から、こう言われました。「5月 5日に経営計画発表会を催すのは問題がありますから、検討してください」そこで私は、翌年から経営計画発表会を5月 6日に変更した。 I支店長は、お客様に必要なことを、きっちりと言える支店長でした。第 1位 H銀行 H支店長バブルが弾けた 1992年の9月上旬、私の妻が「家を買いたい」と言いました。当時私は、荻窪の公会堂のそばに建つ賃貸マンションに住んでおり、引っ越すつもりはなかった。けれど、「買わない」と突き返せば夫婦喧嘩は必至。そこで妻に無理難題を出した。「いまのマンションよりも駅に近いところで、土地つきの家があったら買ってあげる」私は、「駅の近くの商業地域に、土地つきの一戸建てなどあるわけはない」と高をくくっていました。ところが、女性の執念は恐ろしいもの。青梅街道から 30メートルほど入った閑静な住宅地に、 25坪の家を探してきた。当初 2億円で売りに出されていましたが、買い手がつかなかったのか、 1億 8500万円、 1億 6000万円、 1億 4500万円と少しずつ値下がりしており、私はしかたなく、不動産会社の営業担当者と会うことにしました。営業担当者に私が最初に尋ねたのは、「御社の決算はいつですか?」。すると「9月です」という返事。私は内心思いました。「いまからなら、間に合うな」。 1年半以上物件を持っていると、儲けが出ません。少々値引きをしてもこの物件を手放して資金化したほうが、会社にとって健全です。「損をしなければ、手放す」。私にはそのことがわかっていました。これは値引きのチャンスだと思い、「 1億 2500万円なら現金で買う」と言った。担当者は「それは無理」と反論したので、「決めるのはあなたではありませんよ。会社に戻って報告してください」と伝えた。すると翌日、「売ります」と返事が届きました。とはいえ、 1億 2500万円の現金を持っていたわけではありません。私は H銀行の新小金井支店に出向いて、 H支店長に「家を買いたいので、お金を借りたい」と申し出た。支店長は「わかりました。当行で用意しましょう。ところで頭金はいくら用意されていますか?」と聞く。私が片手を広げて見せると、 「5000万円ですか?」。「いいえ」。 「500万円ですか?」。「いいえ」。「まさか 50万円ですか?」。「ピンポーン! 正解」。 H支店長は、あきれながらも本店に稟議を上げてくれました。結果は、「ダメ」。けれど私は、それで引き下がるほどお人好しではありません。「では、自分で説明をしたいので、本店審査部にアポを取ってほしい」とお願いした。 H支店長は、再び仰天です。そんな要求をした人物は、これまでいなかったから。

H支店長は、それでも取りはからってくれました。私は「小山昇が家を買うことは、我が社の取締役全員が承認している」と説明して議事録を提出。無事に融資を受けることができた。それから 15年、この支店は、「武蔵野」のメイン銀行になりました。 10年後、他行から「安い金利で融資するので、私どもをメインバンクにしてほしい」という申し出がありました。しかし私は断った。 H支店長に恩義を感じていたので、家のローンが残っている間は、どれほどの好条件でも、替えるつもりはなかった。 H支店長は常務取締役にまで出世した。

③銀行員の体質を知らない社長は、損をする失点を怖れるサラリーマンタイプの支店長が多いかつて銀行には、前述した 4人のように、「この会社は伸びるから、力を注いで育てていこう」という気概を持つ「侍」のような支店長がいました。そして「侍」たちに助けられ、指導を受け、いまの「武蔵野」があります。支店長にもいろいろなタイプがいます。保守的な人もいれば、積極的な人もいる。馬があった人も、あわなかった人もいる。調子がいいだけの支店長もいたし、うまくのせられて痛い目にあったこともあります。けれどそれは、のせた支店長が「私よりも一枚上だった」だけのこと。現在の銀行に、「侍」は少なくなりました。本部に言われたことしかやらない、サラリーマン的な支店長が増えたように思います。目先の利益を追うサラリーマンのほうが、出世しやすい。「侍」のままでは出世しにくい構造なのかもしれません。融資先が倒産したら、支店長の失点です。失点しないためには、「返してくれない会社には貸さない」と考える支店長がまともです。支店には、本店から予算が割り当てられています。その予算を達成すれば、支店は、 S、 A、 B、 C、 Dと評価される。 Cや Dをとった支店長は出世をあきらめるしかない。だから、 Sや Aをとることが仕事の目的になっている。ほとんどの支店長が、定年を迎えることなく、外に出されます。外に出されても、就職先には困らない。なぜかといえば、銀行は「お金を貸している会社」を転職先に斡旋するからです。お金を借りている会社は、再就職の受け入れを断れると思いますか? 銀行から「会社を建て直すために、人を送りたい」と言われたら、受け入れるしかない。ところが、送り込まれた元支店長は、経営をやったことがありません。したがって、コスト削減や資金の回収はできても、売上を伸ばすことができない。だからほとんどの場合、会社は立ち直れない。では、受け入れを断るにはどうするか。経営体質を改善するしかない。経営計画をつくり、実行し、利益を出していくしかありません。優秀な担当者は、スピード感がある銀行の担当者も、支店長がそうであったように、優秀な人ほどスピード感があります。見たらすぐ、聞いたらすぐに反応できる。「こういう案件があります」、「こういう資金が必要です」とわかったら、その日のうちに電話をかけてくる担当者は、心強い。メモを取ったり、わからないことはその場で質問してくる担当者であれば、安心です。反対に、反応が遅く、ずっと押し黙っているような担当者は、力がない。借換え、貸出が終わろうという時期に、次の案件を持って来ないようでは、担当者失格です。

④「頭取銘柄」に選ばれたら、倒産しない頭取が訪ねて来る会社は、地域ナンバーワンの証拠銀行は、専務や常務といった各役員がブロックに分かれて、お客様を訪問します。そのとき、数年に一度、頭取がお見えになることがある。頭取が支店に来ると、支店長が「この管轄でナンバーワンの会社」と認めた会社に訪問を勧める。そして、「頭取が訪問した会社は倒産させない」という暗黙のルールがあり、これを「頭取銘柄」といいます。数年前、「武蔵野」にも頭取をお迎えするチャンスがありました。ところが私は、千載一遇のチャンスを逸してしまった。どうしても日程を動かせないセミナーの予定が入っていた。本当に残念なことをしました。頭取が来ることがわかったら、社長はできるかぎりお迎えしたほうがいい。アポロ管財株式会社(橋本真紀夫社長)は 2年前「頭取銘柄」となりました。社長からどのように迎えたらよいか聞かれたので、環境整備の行き届いた会社をそのまま見ていただくのが一番と答えた。銀行の人事異動は、政策転換を意味するいままでは積極的に融資をしていたのに、「これからは貸さない」と方針転換するとき、銀行は、支店長(あるいは担当者)を異動させます。異動するから、案件がストップする。新任者は、前任者の責任にして、「その貸出については、報告を受けてないので、これ以上進められない」とか「記録が残っていない。これからは、きっちり引き継ぐように気をつける」と答える。けれど、この答弁は嘘。銀行にはすべて記録が残されているので、「報告を受けていない」はずがありません。ようするに人事異動は、政策を転換するうえで「有効な手立て」です。支店長や担当者を交代させることで、案件を一度分断できる。着任して短い支店長の人事異動は、銀行の政策が変わるとき。社長は、「攻めの体制に変わるのか、それとも守りの体制に変わるのか」に注意を払うべきです。

⑤銀行は敵ではない。ビジネスパートナーです銀行に腹を立てても意味がない銀行は、中小企業にとって「敵」なのでしょうか? 「味方」なのでしょうか。「敵」だと考えて喧嘩を売り、「武蔵野」のように支店長に嫌われでもしたら、融資は受けられない。融資を受けられなければ、規模の拡大はままならず、会社は伸びません。かといって「味方」と考え、銀行に頼ってばかりいては、経営が甘くなります。「敵か味方か」というよりも、「ビジネスパートナー」と考えたほうが健全です。金貸しの歴史は 4000年。銀行を敵に回したところで、向こうのほうが一枚も二枚も、三枚も四枚も上。勝てるわけがありません。私も過去、銀行に腹を立てたことがある。理不尽な思いをさせられたこともある。けれど担当者だってサラリーマンですから、支店長や頭取の方針にしたがわざるを得ない。だから社長は、理不尽なことがあっても、貸し渋りや貸し剥がしにあっても、困らないように対策を練っておくべきです。銀行に腹を立てるのは筋違い。悪いのは銀行ではなく、むしろ対策を講じなかった社長自身です。もし私が無知・無策のままでいたら、「武蔵野」はとっくに潰れていた。「武蔵野? 小山社長は案外いい人だったね」と、過去の人になっていたでしょう。銀行と中小企業は、 WIN-WINであるべき銀行を「敵」と見なしてしまうのは、社長が努力をしていないから。目先のことだけにとらわれているからです。自社を良くしようと思っていない社長に、銀行はお金を貸しません。もちろん、社長はみな「自社を良くしたい」と思っている。でも現実的にはどうか。「痛み」をともなうほど真剣に変革する社長は、少ない。銀行に見放されたら、会社は潰れます。資金調達できなくなり、手形を出している会社は、確実に潰れます。ライバル会社が潰れるまで安売りを続け、最後の最後まで生き残るしかない。でもこの方法は、「どちらが先に潰れるか」を競う体力勝負なので、中小企業にはむずかしい。銀行の支援なくして、経営は成り立ちません。銀行もまた、融資先の成長なくして収益は上がりません。銀行と中小企業はビジネスパートナーですから、 WIN-WINの関係を築くことが大切です。

⑥「都銀 1、地銀 1、信金 1、政府系 1」が取引の基本無理して都銀とつき合わなくてもいいいまから 20年ほど前、私は A社(大分県)の社長に、次のように注意をしたことがあります。「社長、一行主義はやめたほうがいいですよ。一行だけでなく、いくつかの銀行と取引したほうがいいですよ」当時 A社は、 □ □銀行とだけしか取引をしていませんでした。社長は「 □ □銀行とはずっと長く取引をしているので、何があっても困ることはない」と耳を貸さなかった。その結果どうなったか。バブル後、 A社は資金繰りがショートして倒産しました。 A社は、他行との融資・返済実績がなかった。だから他行は、貸してくれなかった。 □ □銀行から融資を断られたとたん、資金調達ができなくなった。売上が 5億円以下の中小企業が、都銀としかつき合っていなかったら、その会社の社長は、無知そのものです。「都銀は金利が安い」という理由で、都銀とつき合う社長もいます。しかし、都銀は、「中小企業を支えていく」という感覚が薄い。大切なのは目先の金利ではなく、借りられる額。都銀は、 5億円以下の中小企業をそれなりにしか思っていないのが実態です。経営計画発表会を開催したとき、 5億円の会社に支店長は来ない。支店長が出席するとしたら、売上が 10億円以上の会社です。 H社(長野県)は、長野県では優良な会社です。 H社の社長は、「三井銀行(当時)の本店と取引している」と言うので、私は「いくらあなたの会社が地元で優良でも、三井銀行はなんとも思っていない」と忠告した。 3年後、私が忠告したとおり、 H社と三井銀行の取引はなくなりました。融資を受けるなら、「自分の身の丈にあった銀行」を探したほうがいい。自社の実力に応じて、バランス良く銀行とつき合う銀行との取引は、一行だけに絞ってはいけません。地銀や信金、政府系も含めてバランスよく取引をする。「武蔵野」は 11行と取引があったため( 8、 9行に絞り込む予定)、 4億 3460万円の貸し剥がしにも耐えることができた。都銀の貸し渋りにあっても、地銀や信金から借りて対応できた。もし一行しか取引がなかったら、「武蔵野」は倒産しています。中小企業の場合「都市銀行 1、地方銀行 1、信用金庫 1、政府系金融機関 1」が基本です。あとは、自社の規模や地域における金融機関の数に応じて、都銀を増やしたり、地銀を増やしたり、信金を増やしていけばいい。売上が 5億円以下の会社なら、都銀は一行でいい。売上が 1〜 2億円の会社であれば、無理して都銀とつき合わず、地銀がメイン銀行のほうが座りがいい。 3行から融資を受けるなら、一行からたくさん借りない。バランス良く借入れる。 1億円借りるのに、 A銀行 9000万円、 B銀行 500万円、 C銀行 500万円の割合で借りてしまうと、一行( A銀行)から借りたのと変わりません。メインバンクからの借入を、全体の 55%以内に留めるようにします(私の経験上、適正は、 35%です)。基本的には、ひとつの案件につき、一行から借りるほうがいい。ただし、会社の業績が悪いと、一行からの借入が、「満額」に満たない場合があります。 1億円借りたくても「 5000万円しか貸せませんね」と断られる。満額に届かないときは、他行から借りて不足を補う必要があるので、「一行主義」では対応しきれません。マーケットには、お客様とライバルしかいません。市場の変化は、会社の都合を待ってくれない。マーケットの変化に迅速に対応するには、資金を潤沢にして、ライバルより先に投資をする必要がある。そのためには、つき合う銀行は多いほうがいい。

⑦メインバンクには、決裁権の大きい支店を選ぶ支店には「格」があるインターネットがいまほど普及していないとき、メインバンクの条件は「会社の近くにあること」でした。振込や入金などの作業を考えれば、近いほうが便利です。しかしいまは、自社のコンピュータが銀行と接続されている時代。「本社の近く」よりも、「決済権が上の支店」を選ぶべきです(「武蔵野」では、日常の取引はすべてファームバンキング等のオンラインで行ない、支店に行くのは記帳のみ)。銀行は、店舗によって役割が違います。お金を集めることを主とした店舗もあれば、お金を貸すことを主とした店舗もある。支店ごとに決済枠も違う。私は、支店の性格を無視することはありません。 5000万円の決済権より、 1億円の決済権を持つ支店のほうが資金を調達しやすい。「武蔵野」が最寄り駅にある支店ではなく、駅が離れた支店と取引をしているのも、「格」が違うからです。多くの社長は、「給与振込の口座がある銀行」や「売上入金用の口座のある銀行」をメインバンクととらえがちですが、それは違う。メインバンクの役割は、「大きな投資に対応してくれること」。会社が存続の危機に陥ったときに支えてくれる銀行こそ、メインバンクです。私は各銀行の支店長に、「わが社のメインバンクは、プロパーで一番お金を貸してくださるところです。しかも個人保証をしない。担保をつけないのが条件」と明言しています。では、支店の格は、どうすればわかるのか。方法は簡単です。支店長に「前はどこの支店にいたのか」を聞けばいい。「武蔵野」が取引する S銀行の吉祥寺支店は、他の支店長を経験した人が着任します。一方、本社に近い武蔵境支店は、副支店長から昇進して着任する。吉祥寺支店のほうが、「格が上」だとわかります(絶対にそうだ、と言い切ることはできませんが、その可能性が大きい)。「格上がいい」のであれば、「はじめから、本店と取引すればいい」と思うかもしれませんが、現実的には、それはムリ。本店は、 500億円、 1000億円の大企業と取引するのが一般的。増収増益を続ける「武蔵野」でさえ、残念ながらゴミのようなものです。なお、一度、支店を選んでしまうと、その銀行の中で支店の変更はききません。もし、格下の支店を選んでしまったら、そこでナンバーワンの取引先になるしか道はない。支店選びは、念には念を入れて行なうべきです。メインバンクは、頻繁に変えないほうがいいメインバンクは、「頻繁に変えない」のが基本です。もちろん商取引なので、変えても構わない。メインバンクには、金利や手数料など、それなりの対価を払っているから、銀行と会社はフィフティー・フィフティー。いつも蕎麦屋で食事をしていた人が、カレー屋に行ったからといって、蕎麦屋から訴えられることはありません。銀行取引もそれと同じで、自社の規模に応じて、軸足を変える(取引する銀行のバランスを変える)必要があります。ですが、それは長期的な展望に立って行なうべきで、「 A銀行が気に入らないから B銀行」、「今日はこの銀行、明日はこの銀行」と、頻繁に変えない。銀行と会社は、「 WIN-WIN」であることを忘れてはいけません。また、社長の個人的な口座は、メインバンクをはじめ、取引のある銀行には置かないほうがいい。私は、「武蔵野」と取引のない銀行に口座があります。なぜか。社長の資産が丸見えになってしまうからです。

⑧担保をとられるのは、社長が信用されていないから担保をとるのは「保全」のため会社は赤字なのに、決算書を粉飾する社長がいる。税務調査が入って会社の実態が明らかになった社長もいる。情報を正しく開示しない社長に対して、銀行は慎重にならざるを得えません。会社の実態を把握しない。数字も知ろうともしない。それなのに「無担保で借りたい」社長は、虫がよすぎる。会社のことがわかっていない社長に銀行が担保をとるのは、「保全のため」であり、当り前です。銀行は、数字を使って話のできる社長を評価する。数字はそれだけで言葉です。数字のことがわかっていない社長にかぎって、「銀行は敵。お金を貸してくれない銀行は、悪者」と主張する。けれど私が裁判官なら、「銀行は無罪」と判決を下します。罰せられるべきは、会社のことを知らない社長です。気心の知れた親友に「 10万円貸してほしい」と頼まれたら、気軽に貸す。けれど、名も知らない通りすがりの人に「 10万円貸しほしい」と頼まれたら、あなたはお金を貸しますか? 貸しませんよね。「どこに住んでいるのか」、「何の仕事をしているのか」、「実家が保証人になってくれるのか」、「本当に返してくれるのか」……、情報を明かしてくれない人に、あるいは嘘をついているかもしれない人に、お金を貸さないのがまともです。担保の価値は、銀行によって変わる土地と建物を合わせて 1億 5000万円(土地 1億円:建物 5000万円)で購入したとします。このとき、建物の担保価値は 0円です。なぜなら、売れないから。銀行は、減価償却費としての価値は認めても、転売するときの価値としては認めていません。社長は、「建物にも 5000万円の価値がある」と考えますが、それはあくまで会社の都合であって、銀行はそうは思っていない。土地は、時価総額で転売できるので、路線価格などから担保価値を計算し、その金額に応じて貸出をします。担保価値は、銀行によって変わります。このことを、多くの社長は知らない。 1億円の土地の担保価値は、平均すると、都銀で 7000万円( 0・ 7倍)、地銀は 1億 5000万円( 1・ 5倍)、第二地銀や信金は 2億円( 2倍)まで貸してくれる。しかし、金利は高くなる。中小零細企業が、都銀に軸足をおいて経営をすると、担保価値から考えても得策ではない。金利は高くても、額を借りられる銀行を優先すべきです。銀行は「社長の奥さん」にまで個人保証をつけるある会社に 1億円融資した。土地の担保価値が 8000万円だった。万が一返済してもらえなかったら、銀行は 2000万円損してしまう。そこで銀行は社長と社長の奥さんに個人保証をつけて「残りの 2000万円」を回収します。では、どうして「社長の奥さん」にまで個人保証をつけるのでしょう?会社が倒産する 3日前に社長と奥さんが離婚します。財産の半分は奥さんのものになるので、社長からしか銀行は取り立てできない。ところが奥さんにも個人保証をつけておけば、たとえ離婚しても、双方から取り立てできます。銀行が奥さんにまで個人保証をつけるのは、離婚をしても、貸したお金を回収するためです。定期預金は、何本かに分けておく借入の反対側にあるのが、定期預金です。 1億円を定期預金にするとき、「 1億円を 1本の定期預金」にまとめる社長が多い。しかも長期で預けている。なぜかというと、利息がいいから。でもこの考えは、大きな間違いです。 2500万円借りるのに「 1億円の定期預金」を担保に差し出した。社長は、「根抵当権」のときと同じ過ちをおかし( 53、 59ページ)、「あと 7500万円借りられる」と考えます。けれど、この 1億円は銀行に拘束されているため、業績が悪いときは 2500万円の担保価値しかない( 7500万円借りることができない)。だから定期預金は、「 1億円 1本」ではなく、「 2500万円 × 4本」、そして定期預金の期日を、1月、4月、7月、 10月とに分けたほうが安全です(それぞれ「 1年定期」にしたほうがいい)。 1本を担保に差し出しても、残りの 3本は拘束されていないので自由に使えるし、追加で資金が必要になったら、残りの定期預金を担保にしてお金を借りることができる。また、 2500万円の定期預金担保にすれば、 6000万円くらいまで借りることができる。最悪のときは解約して資金として使える。このように、定期預金ひとつとっても、無知な社長は損をします。

⑨支払手形は、「待った」がきかない「手形貸付」よりも「証書貸付」で借り入れる銀行の借入には「手形貸付」と「証書貸付」があります。無知な社長は、「印紙税を安くしたい」との理由で、「手形貸付」にする。ところが約束手形は、期日がきて取り立てに回されると、不渡りになります。手形貸付は、「手形用紙に金額を書いて、判子を押せば資金になる」ため資金調達は容易ですが、そのかわり「待った」がきかない。一方、証書貸付は手形ではないので、支払い期日に現金がなくても会社は潰れない。期日をすぎても返す気持ちがあれば「待った」がきく。支払利子が足りなければ「利子分だけ貸してください! ○日には入金があります!」と借りることもできます。そのかわり印紙税は高い。 B/ Sの負債の部で、もっとも上位にあるのが「支払手形」です。この欄に「 0」以外の数字が書かれた会社は、たとえ黒字経営であっても、倒産の危険をはらんでいます。 X社の例です。 X社は、 12月 28日から1月 6日まで年末年始の休暇です。 X社は、 12月 31日決済の支払手形を発行しましたが、取引先の Y社に「ジャンプ」(支払いの期日を延ばしてもらうこと)を依頼した。 X社は黒字経営であり、 X社と Y社は良好な関係が続いています。「年末年始の休暇なら、しかたがない」。 Y社の社長は「ジャンプ」を快諾しました。ところが Y社の社長は、経理担当者にそのことを伝え忘れた。経理担当者は手形を取り立てに回し、手形は手形交換所(各金融機関が持ち寄った手形を決済する施設)へ。 12月 31日、 X社の当座預金の残高は不足していました。銀行は慌てて X社に連絡を入れましたが、会社は正月休み。誰も電話に出ません。1月 4日に社長の自宅に電話しても「海外旅行中」でつながらない。 X社は不渡りを出し、倒産です。たった一度のうっかりミスが、黒字の会社を倒産に追い込んだ。会社は赤字でも倒産しませんが、手形を落とさなければ、黒字でも倒産します。「融手」は、連鎖倒産を招く「超劇薬」かつて「武蔵野」には当座預金がありました。いまは、ありません。当座預金を開設していると、苦しいときに手形を振り出したり、先付小切手(実際に振り出す日よりも先の日付を振出日として記載した小切手)を出してしまう。けれど当座預金がなければ、手形や小切手を振り出せない。当座貸越(銀行が当座預金残高を越えて、一定限度内で小切手の振り出しを認めること)もできません。会社を危機にさらすことは、あらかじめ避けておく。そして、「厳しい経営」に注力するほうが身の安全につながります。支払手形を発行していると、社長は資金繰りに忙殺され、事業に専念できません。マーケットにいるライバルやお客様を置き去りにして、お金のことばかり考える。私も手形を発行して支払いに追われた経験があります。融通手形を切り、崖っぷちに立たされたこともある。私は、ベリーを経営していたとき、「融通手形(融手)」を切りました。融通手形は、資金繰りに困った会社同士が同額の手形を交換し、それぞれ割引して資金化する方法です。資金力の弱い会社が資金繰り操作のために利用するための手形(商業手形と見せかけて振り出される手形)であり、不渡りになる危険性が非常に高い。融通手形を発行した会社は、ほとんど倒産します。私の知るかぎり、融手を切って生き延びたのは、私を含めて 2人だけ。交換した会社が倒産すると、自社も連鎖倒産する「超劇薬」です。受取手形は「じっと持っておく」のが正しい「武蔵野」は、支払手形がありません。基本的に受取手形も受け取りません。以前、お客様から「 30万円以上は手形で」と要求されたときも、お断りしました。お客様は「わが社の支払手形が信用できないのか」と腹を立て、その場で取引停止です。「会社は信用できても、支払手形が信用できない」が私の持論。取引停止から 3年後、その会社は倒産しました。受取手形を受け取ると、銀行で割引をします。割引するには、担保を差し出さなければなりません。そしてもし、手形の振出人が倒産すると、手形を割引いてもらった側が、手形を買い戻さなければいけません。受取手形をもらったときに、いちばん安全なのは、「そのままじっと持っている」ことです。そして期日になったら銀行に回収してもらう。振出人が倒産しても、割引いていなければ買い戻さなくてもいい。また、回し手形(受け取った手形を、自分の仕入先などへの支払に充てるために裏書譲渡する)にもできます。「武蔵野」は、正確には 8年前まで 1社から受取手形をもらっていましたが、その手形は割引かず、銀行に取り立てを依頼するだけ。割引かないのは、万が一その会社が倒産したときに買い戻す力がないからです。

⑩支払手形を発行しなければ、会社は倒産しない努力次第で手形はゼロになる名古屋眼鏡株式会社(愛知県)の小林成年社長は、 5億 4000万円あった支払手形をゼロにして、商機を広げた 2代目社長です。ライバル会社の倒産を受け、名古屋眼鏡株式会社には、小売店からの注文が殺到した時期があります。小林社長は、メーカーからの仕入を増やすにあたり、支払手形を発行した。売上が増えているときは、支払手形でも決済できます。ですが、小売店が他の会社にも注文を振り分けるようになると、小林社長はしだいに焦りはじめた。売上が下がれば、支払いに回すお金が不足するからです。経常利益は 5000万円前後あるのに、期日に支払うお金がない。短期借入を繰り返して切り抜けるしか手立てはなく、銀行からの借入回数は合計 38回におよびました( 2000年から 2003年までの 4年間)。「倒産しない会社をつくるには、支払手形の発行をやめること」。小山昇の話を聞いた小林社長は、「手形をやめる」と決心した。そして、「 5年間で、支払手形残高( 5億 4000万円)をゼロにする」方針を打ち立てた。名古屋眼鏡は、銀行から長期借入をし、支払先に金利の割り戻しをして支払手形の発行をやめた。仕入先への支払いは、すべて現金払い。その結果、計画よりも 1年早く、支払手形残高はゼロになった。現金取引をすれば、仕入先は「支払値引」にも応じてくれます。支払値引は、年間で 2500万円になった。支払手形がゼロになれば、不渡りの恐れもない。そこで小林社長は、赤字部門(コンタクトレンズ事業)の撤退を決断します。コンタクトレンズ事業は、営業利益率は低かったものの、全売上の 15%を占めていた。撤退して売上が下がれば、資金繰りができず、不渡りになるかもしれない。支払手形を発行しているかぎり、安易に撤退できない。撤退による売上減は、約 4億円。それでも「手形をなくし経営体質が改善され、粗利益額は上がった」と言います。精密板金加工メーカーの株式会社小川製作所(宮城県)は、「有手形無借金」の会社です。業界の慣習で手形を発行していましたが、小川製作所の自己資本比率は 92%。手形に依存しなくても、資金繰りに困りません。「手形にするメリットがない」と判断した小川雅之社長は、リーマンショック以降、支払手形の発行をやめています。業界によっては、支払手形による取引慣行がある。その場合は、受取手形に対応する金額だけ発行して、あとは長期借入で対応する。経営を安定させるには、取引慣行に甘んじるのではなく、支払手形を「できるかぎりゼロに近づける」努力が必要です。現金払いを認めさせるには、相手のメリットも考える自社にとって、支払手形をやめるメリットは大きい。では、取引先はどうか。手形であれば、回し手形として使える。けれど現金取引では、回収できる保証がありません。現金払いを受け入れてもらうには、取引先のメリットになる条件を提示すべきです。現金払いを受けてもらうには、支払いサイトを短くするのが一般的です。締め後 90日の支払手形を「現金払いで 30日」にすれば、取引先は売掛金を早く回収できます。ただし、支払サイトを短くすれば、それだけ資金繰りが厳しくなる。できれば、手形と同サイトの現金払いが望ましい。製紙業に携わる鶴見製紙株式会社(里和永一社長)は、約 3億 5000万円分の支払手形を発行しており(締め後 105日と 135日が期日の支払手形)、現金払いへの移行にあたって、取引先各社に、次のようなアンケートをとりました。「期日据え置きの現金払いがいいか。それとも、現金で締め後 30日払い・支払割引 2%のどちらがいいか」もっとも多かったのは「どちらもでもなく、現状の支払手形を望む」という答え。「 2%の支払割引は認められない」と言うのです。社長から相談を受けた私は、「支払割引 2%にこだわらないこと。アンケートの結果をバカ正直に公表しないこと」と助言した。社長が、各社に「期日据え置きの現金払いがいいという意見が多かった」と伝えたところ、多くの会社が「他の会社がそういうなら、うちもしたがう」、「支払割引 2%を受け入れるよりはいい」と言いはじめ、社長の思惑どおりとなった。 2005年1月には、鶴見製紙の支払手形はゼロになっています。無手形無借金だと、バイタリティーがなくなるおそれも宮城県にある株式会社アオバヤ(高橋亙社長)は、「無手形無借金」の会社です。この会社は、自己資金を使って設備投資をしています。借入金はありません。アオバヤは、いくつかの県にまたがって複数の会社を持っているため、内部留保がある。ひとつの会社が設備投資をするとなれば、各会社から現金を借りて対応しています。それぞれの会社の利益を一カ所に集めるやり方で「無借金」を実現しています。アオバヤのように、いくつかの会社の内部留保で設備投資できれば「無手形無借金」も可能ですが、一社ではむずかしい。一社で「無借金」に固執すると、大きな設備投資がかないません。また、借金がなくなると、不思議と会社のバイタリティーがなくなります。「借入金がないから、我が社は安心だ」という甘えが育ちはじめる。この甘えが会社を弱くします。銀行は、過去の実績を重んじるため、「無手形無借金」でも、「有手形無借金」でも、「有手形有借金」でもなく、「無手形有借金」がもっとも信用を得やすい。

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