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第 5章嘘のない「見える化」が、銀行の信用につながる

第 5章嘘のない「見える化」が、銀行の信用につながる ①融資を受けられないのは、経営が不透明だから ②経営計画発表会には、金融機関を招待する ③金融機関の方々に「社員のまっすぐな姿勢」を見せる ④経営計画発表会は、「武蔵野時間」で進行する付録門外不出! 小山昇の〝実践〟銀行交渉用語集著者紹介奥付

①融資を受けられないのは、経営が不透明だから銀行には、良いことはもちろん、悪いことも報告する銀行交渉における最良かつ最強の方法は、「定期的に銀行を訪れ、良いことも、悪いことも、包み隠さず報告すること」です。

良いことは言えても、悪いことは言えない社長がじつに多い。

悪いことを言うとしたら、それは「取り返しがつかないほど悪くなったとき」なので、銀行も手の打ちようがない。

私は、良いことも悪いことも、すべて本当のことを言っています。

2009年、『経営の見える化』(中経出版)という本を出版しましたが、一部の社員からは『経営の丸はだ化』と揶揄されるくらいです。

悪いことを報告したからといって、取引がなくなるわけではない。

先行きが良くなる見通しがはっきりしていれば、融資を受けられます。

会社が赤字だからお金を借りられないのではありません。

経営が不透明だから、借りられないのです。

「武蔵野」がクリエイト事業の撤退資金を借入れできたのは( 89ページ)、「撤退すれば赤字がなくなる」ことがわかっていたからです。

株式の相続のときもそう( 77ページ)。

「武蔵野」の株価を 1円にするために、実質 4億 5000万円の赤字になった。

それでも銀行が支援してくれるのは、「武蔵野」の経営が「見える化」されているからです。

支店長に、嘘はつけない銀行に、嘘をついてはいけません。

嘘をついても、すぐにバレます。

前述したように、都銀の支店長は、社長と面会する際、もうひとり行員を同席させて、話した内容をすべて記録させます( 134ページ。

地銀でも優秀な支店長は、お付きの人がいます)。

記録されていることをわかったうえで話をする社長と、わからずに大ボラをふく社長の差は大きい。

ベリー時代に、私はある金融機関に 700万円の融資をお願いしました。

ところが、断られました。

多くの社長は、断られた時点であきらめます。

けれど私は支店に出向き、どうして私の申請を断ったのか、その理由を聞いたのです。

「融資が断られたからといって、その理由を聞きに来た社長は、いままでにいない」と驚かれましたが、それでも支店長は教えてくれた。

「保証人をあと 2人つければ、 2100万円貸せます」。

私は保証人を 2人探し、 700万円の 3倍、 2100万円の融資を受けましたが、このときの決め手になったのは、私が「嘘をつかなかった」ことです。

私は、支店長から事業について聞かれるたびに、良いことも、悪いことも話した。

そして嘘をつかずに、「記録されている内容のとおり、実行していた」。

だから、支店長の信頼を得られた。

入金銀行と出金銀行を2つに分け、透明性を高める私がベリーを興したのは、 29歳のときです(昭和 52年)。

親の援助をあてにせず、ようやく集めた 150万円で会社を設立しました。

事業をはじめた当初は、会社に信用がありません。

当然、都銀は相手にしてくれない。

そこで私は、いちばん小さな信用金庫と取引をした。

売上は毎日、信金に入金しましたが、毎週、第二地銀(当時は相互銀行)にお金を移して、買掛金などの支払いは第二地銀で行なっていました。

つまり、入金銀行(お金が入る銀行)と出金銀行(お金を支払う銀行)を分けていた。

こうすると、入金銀行にも出金銀行にも、同額の売上が通るため、会社が信用されます。

入金した金額と会社の売上(決算書で確認できる)が一致していれば、売上をごまかしていない(架空の売上がない)ことがわかります。

会社が大きくなれば、小さな信用金庫では資金需要に無理が生じます。

そこで次は、出金銀行だった第二地銀を入金銀行に変え、出金銀行を都銀に変える。

私はこのように、入金銀行と出金銀行を分け、会社の成長に合わせてメインバンクを変えてきました。

この話をすると、「お金を移す手間や振り込み手数料がもったいない」と言われますが、もったいないのは、手間や振り込み手数料ではなく、「信用を失うこと」。

細事にこだわるあまり、大事なことを失ってしまう社長が多い。

大事なのは、自社の透明性を高めることです。

②経営計画発表会には、金融機関を招待する支店長は、社長の姿勢と社員の姿勢を観察している「武蔵野」は、会社のルール(規定・規則・方針)と目指すべき数字(事業構想・経営目標・利益計画)を明文化した手帳型の「経営計画書」をつくっています。

そして、毎年5月(当社の期首)に「経営計画発表会」を実施し、今期 1年間の方針を発表する。

経営計画発表会には、社員のみならず、金融機関(支店長クラス)を招待するのが我が社の通例です。

「経営計画発表会」の所要時間は約 3時間。

銀行の支店長を 3時間拘束できるのは、「手形を出している会社が潰れそうなとき」と「経営計画発表会」だけ。

社長が銀行を訪問しても、支店長と話せる時間はせいぜい数十分がいいところです。

都銀の場合、「 20億円以下の会社」と「赤字の会社」に支店長は来ません。

「武蔵野」でも赤字になれば、支店長は来ない。

副支店長や次長が来ます。

都銀は、非常にわかりやすい。

経営計画発表会では、小山昇が、自分の声と自分の言葉で方針を読み上げる。

このとき、私は社員に嘘をつけません。

もし、読み上げる方針が嘘だとしたら、社員は私の話を真剣に聞くわけがない。

「小山は、来賓の前では調子のいいことを言う」と思い、しらけたり、あきれたり、怒ったり、居眠りしたりする。

社長の方針説明に耳を傾けず、居眠りしている社員がいたら、金融機関の方々はどう思うでしょう? お金を貸す気にはならないと思う。

だから社長は、社員の前で嘘をつかない。

嘘をつかないから、社員も真剣に聞く。

支店長は、「社員の前で嘘をつかない社長」と、「社長の話を真剣に聞き、メモをとる社員」を見て、「この会社になら貸しても大丈夫だ」と安心します。

「武蔵野」が最大 16億円も無担保で借りることができたのは、「経営計画書」と「経営計画発表会」と「社長と社員の姿勢」が担保代わりになっているからです。

経営計画発表会で挨拶をしていただく支店長には、いつもこうお願いしています。

「挨拶の内容は、考えてこないでください」なぜかというと、社会情勢だとか銀行を取り巻く状況をお話いただいても、「武蔵野」の社員にはむずかしすぎて理解できないです。

それよりも、経営計画発表会に参加して感じたことを、ストレートにお話いただくほうがいい。

あまり褒めると社員がのぼせ上がるので、「できるだけ辛口で」とお願いします。

金融機関に「経営計画書」を配付する金融機関には、経営計画書をお配りします。

したがって支店は、稟議を上げる際、あらためて資料を集める必要がない。

経営計画書には、「武蔵野」の B/ Sや各行の毎月の借り入れ返済実績、定期預金の実績が付いています。

経営計画書には、銀行の担当者が直接数字を書き入れているのですから( 134ページ)、これに勝る資料はない。

「武蔵野」はかつて、「資金繰り表を出してください」とか「 ○ ○ ○表を出してください」と言われたことがほとんどありません。

もし、経営計画書や経営計画資料以外の提出を求められても、出すつもりはない。

別の資料を要求されたら、「あの銀行は、貸す気がない」と判断するだけです。

「どこまでの資料を要求されるか」によって、「本当に貸したい」のか、それとも「貸したくないのか」がわかることがあります。

③金融機関の方々に「社員のまっすぐな姿勢」を見せる社員には入念なリハーサルを課す経営計画発表会に出席する社員(課長職以上と、半期に A評価を得た優秀な社員のみ)は、入念なリハーサルを積んだうえで、本番に臨みます。

経営計画発表会の宣誓や経営理念の唱和はもとより、「拍手のしかた」まで徹底して練習します。

来賓のみなさまが会場入りした際、会場全員(社員百数十人)の拍手が揃っていたら、どう思いますか? 経営計画書を読むとき、全員の手の高さが揃っていたら、どう思いますか?「武蔵野」の社員の一糸乱れぬ動きを見れば、来賓の方々は、「この会社はすごい!」と感心する。

拍手もまばらで姿勢も乱れていたら、「この会社はだらしない」と思われる。

一度「だらしない」と思われると、そのイメージはなかなか拭えません。

けれど「この会社はすごい!」と思っていただければ、支店長は翌日の朝礼で、「武蔵野」を話題にするかもしれない。

「武蔵野の経営計画発表会は、こうだった。

ああだった」と。

すると支店の全員に「武蔵野」の姿勢が伝わります。

優秀な支店長は、担当者も同席させる経営計画発表会には、取引のある銀行をすべて招待すべきでしょうか? 取引のある銀行が 4行程度なら、すべて招待したほうがいい。

行数が多い場合は、取引金額に応じて、 4、 5行に絞ってもいいでしょう。

なかには、「私だけでなく、担当者も経営計画発表会に出席させたいのですが……」と願い出る支店長もいます。

この支店長は、優秀です。

もちろん私は断りません。

「どうぞ、お越しください」と歓迎します。

融資の稟議を書くのは担当者であり、その人に武蔵野の姿勢をわかってもらう最良の機会だからです。

④経営計画発表会は、「武蔵野時間」で進行する時間どおりに終わるから、参加していただける経営計画発表会は、「武蔵野時間」で進行する。

「武蔵野時間」とは「時間どおりにはじまり、時間どおりに終わる」ことを意味しています。

「武蔵野時間」なら、時間がおすことはありません。

経営計画発表会は、第 1部と第 2部に分かれています。

第 1部は、経営計画発表や社員表彰、幹部の決意表明など、厳粛に進めていきます。

第 2部は、懇親パーティーです。

仮装したり、早食い競争をしたりして、大いに盛り上がります。

第 2部の懇親パーティーは、「 1時間で中締めする」と決めています。

1時間で帰れることがわかっているからこそ、忙しい支店長にも参加していただける。

社員には、「来賓の方がいる前で、料理をガツガツ食べるな。

食べたければ、中締めの後で」と教えています。

パーティー会場の外を見れば、会社の実態がわかる私も、来賓として、他企業の経営計画発表会に招かれることがあります。

第 2部の懇親パーティーがはじまって 30分たったころ、私は必ず「トイレ」に行く。

本当は、トイレに行くのが目的ではありません。

「この会社の実態」を把握するのが目的です。

第 1部でいくら社長が夢を語っても、社員は嘘をつけない。

赤字の会社や、 P/ Lだけで経営をしている会社には、一体感がありません。

パーティーの最中に、社員が会場の外でたむろしています。

たむろしている人数が多い会社は、社長と、幹部と、社員のコミュニケーションがとれていない会社です。

経営計画発表会は、会社を丸見えにします。

方針を共有できている会社であれば、経営計画発表会の重要性を理解している。

社員がつまらなそうにたむろしているわけがありません。

事実だけを丸見えにするから、信頼を得られる数年前、大手都銀が飛び込み営業に来たことがあります。

当時は資金的に余裕があったのですが、 2億円( 5年間の長期借入)の融資を受けました。

利率は 1・ 45%。

個人保証も担保もなし。

初取引としては、申し分のない条件です。

一般的に、初取引の場合は短期が多い。

なぜなら、多くの会社が情報を開示しないからです。

ところが「武蔵野」は、丸見えです。

丸見えだから、好条件を引き出せた。

私は、都銀の担当者に「武蔵野」の政策勉強会(経営計画発表会に参加していないパートやアルバイトを含め、全社員を対象にした勉強会)に参加していただきました。

参加費の 1万円は、担当者の自腹です。

のちに担当者は、次のように述べています。

「世の中に、こんな会社があったのか。

この会社なら、安心だ」開会 5分前には、参加者全員(当時は 450人)が自主的に着席している。

一糸乱れぬ大きな声で経営理念を唱和する。

社長は、嘘もつがず、隠しごともせず方針を発表する。

政策発表会にあるのは、すべて事実です。

事実を丸見えにする「武蔵野」の姿勢が、好条件につながった。

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