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第 2章 知っておくべき「離婚原因」

離婚問題で私たちの事務所に相談に来られた人に、「 ○ ○ ○ ○の事情なのですが、私は離婚できるでしょうか?」「 □□□□の事情で妻から離婚を求められていますが、離婚しなければならないのでしょうか?」と聞かれることがあります。

苦しい結婚生活から逃れられるのか、あるいは、理不尽な離婚の要求をはねつけられるのかという、深刻な問題です。ここでは、離婚が認められるための要件 =「離婚原因」について説明しましょう。

目次

1 離婚原因とは?

離婚原因とは、家庭裁判所が判決によって夫婦を離婚させるための要件です。具体的には、不貞行為がある場合や長期間の別居が続いている場合などに、家庭裁判所が「離婚原因がある」と判断すれば「離婚」との判決が出ることになります。

ただし、日本の法律では、当事者双方が同意していれば、民法に定められている離婚原因があるかどうかにかかわらず離婚できるとされています。

さしたる理由がなくても、また周りからみて理解不能な理由であっても、当事者双方の真の同意さえあれば離婚は成立するのです。離婚原因が重要になってくるのは、双方の同意がないケースです。

夫婦のどちらか一方が離婚を望んでいて、他方が離婚を嫌がっている場合、最終的には離婚を望む側が訴訟を起こし、裁判所が「離婚原因があるかどうか」を検討し、あると判断すれば、判決によって離婚が成立します。

つまり、離婚を望む側は、訴訟の場では相手に離婚を納得してもらう前に、まず裁判官に離婚を認めてもらわなくてはならないのです。

そのための要件が離婚原因です。なお、離婚原因が問題となるのは、じつは判決離婚に限りません。協議離婚や調停離婚の際にも条件面などに影響することが多いということを覚えておきましょう。

まとめ

  • 夫婦の一方が離婚を嫌がっている場合でも、離婚原因があれば離婚できる
  • 離婚原因があるかどうかは、裁判所が判断する

2 5つの離婚原因

民法 7 7 0条に規定されている離婚原因は、以下の 5つです。

  • 1号 配偶者に不貞な行為があったとき
  • 2号 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  • 3号 配偶者の生死が 3年以上明らかでないとき
  • 4号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  • 5号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

まずは、それぞれの詳細について説明していきましょう。

1号:不貞とは

不貞とは通常、配偶者以外の異性との肉体関係を指します。メールの交換やデートを繰り返し、何度注意してもやめなかったといった場合でも、肉体関係がなければ不貞は認められません。

ただしこの場合は、 5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」にあてはまることがあります。

不貞行為があったことの証拠となるのは、探偵などの調査報告書、不貞相手とのメール、不貞を疑わせる写真(不貞相手と写っているものなど)や動画などです。

2号:悪意の遺棄とは

悪意の遺棄とは、夫婦の一方が、正当な理由なく夫婦間の相互協力義務・同居義務に違反することをいいます。どちらか一方が他方や子どもを放置して家を出て、生活費の負担もしないような場合がこれにあたります。しかしながら実際には、悪意の遺棄が認められる場合は少ないのが現状です。

「妻(または夫)が一方的に出て行った」ケースの中には、別居について正当な理由がないとはいえないことが多く、それのみで悪意の遺棄と認定するのは困難とされています。

ただし長期間の別居の場合は、それだけで 5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」となることがあります。

3号:夫婦の一方が、生きているのか死んでいるのかわからない状態

夫婦の一方が、生きているのか死んでいるのかわからない状態が 3年以上続く場合です。家を出て現在どこにいるかは不明だが、たまに電話や手紙などで連絡がある場合は該当しません。

3号に該当するには、単に居所がわからない程度では足りず、警察に行方不明者届(捜索願)を出すなど捜す努力をしたにもかかわらず行方が知れないままであるなど、当人が死亡している可能性が、一定程度なければなりません。

4号:強度の精神病に該当する

強度の精神病に該当するかどうかは、医師の診断書をもとにして裁判官が判断します。ただし、妻(または夫)の精神病のみが原因の場合は、離婚後も相手の療養を含む生活の面倒を全面的にみることを約束するなど、相当の方策を講じない限り、裁判所は離婚を認めない傾向にあります。

なぜなら、夫婦は互いに協力扶助義務を負っているため、一方からの離婚請求により、もう一方の配偶者が過酷な状態に陥ることのないようにしなければならないのです。

なお、相手に「強度」でない精神病や精神病以外の病気がある場合は、その状態が次の 5 号に該当するかどうかが問題になります。

5号:婚姻が破綻していて回復の見込みがない

婚姻が破綻していて回復の見込みがない場合をいいます。これに該当するとしてよく主張されるのは、暴力、別居、性格の不一致、精神的暴力(モラルハラスメント)、宗教活動、セックスレスです。

このうち婚姻関係(夫婦関係)が破綻していると比較的認定されやすいのは、「一方的に暴力を振るわれていた」「別居して 5年以上になる」というケースです。

これ以外のものについては、それだけで婚姻関係が破綻しているとは判断されにくく、〝事情によっては認められる可能性がないわけではない〟という程度です。

実際に私たちの事務所が依頼を受けた案件で離婚原因が問題となっているケースでは、一方的な暴力や長期間の別居に該当しない場合のほうが多いです。

なぜなら、暴力などの行為があり証拠もある場合は、最終的な結論が見通しやすく、協議や調停で決着がつくことが多いからです。

一方、性格の不一致などの理由で離婚したい場合は、それによって夫婦関係が「破綻している」ことを、なんとか裁判官に認めてもらう必要があります。個人では太刀打ちできないことも多く、それだけ私たち弁護士の出番も多いのです。

ともかく、こういった理由で離婚するにはたいへんな労力を必要とすることを頭に入れておいてください。

これについては次項で詳しくお話しします。

まとめ

  • 民法に規定されている離婚原因は 5つ
  • 性格の不一致などは、離婚原因として認められにくい

3 「破綻」とはどういう状態?

前項で挙げた離婚原因のひとつに、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」( 5号)、つまり「婚姻関係(夫婦関係)が破綻していて回復の見込みがない場合」というのがあります。

そもそも「夫婦関係が破綻している」とは、いったいどういうことなのでしょうか。

妻との離婚を望んで私たちの事務所に法律相談に来る男性たちは、自分の夫婦関係がいかに破綻しているかということについて、「相手に対して愛情がもてない」「関係が冷え切っている」「自分自身がやり直す気持ちになれないのだから、やり直せるわけがない」などと説明します。しかし裁判官は、そういったあなたの主張をそのまま認めることはありません。

まずはあなたの主張の裏づけとなるさまざまな事実──たとえば性格の不一致、一緒に食事をしないなどの家庭内別居、暴言、セックスレスといったことが、あなたの噓や誇張ではなく、実際に起こっていたかどうかを検討します。

次に、裁判官が本当にあったと認めた事実によって、夫婦関係が修復困難なほどに破綻しているかどうかを判断します。

たとえば、実際に妻が暴言を吐いていたとしても、それは一時的なものであり、そのことによって修復の見込みがないほどの破綻をきたしているとはいえないのではないか、といったことを検討し、判断を下すのです(図 2‐ 1)。

ここまで読んできて、賢明な読者のみなさんはすでにお気づきでしょうが、破綻かどうかを判定する明確な基準は存在せず、すべては裁判官の判断次第といえます。

夫婦や家族のあり方にかかわる個人の考えが強く支配する分野なので、同じ案件でも、別の裁判官が担当したら結果は違ってくる可能性があります。

裁判官によって、その案件に対する考え方が異なるだけでなく、照らして考えるべき「通常の夫婦」像に対するとらえ方も異なります。

そのため、最近では家庭裁判所で破綻を認められずに敗訴してもあきらめず、高等裁判所に控訴して戦う人が増えています。費用や労力はかかっても自分が妥当と思える判決を追求したいのなら、控訴する価値はあると思います。

ところで、みなさんの中には「うちは誰がどうみても破綻している。裁判官もすぐにわかってくれるだろう」と確信している方もいるでしょう。

しかし、私たちの事務所が担当した訴訟の中には「(修復は困難だが)修復の見込みがないとはいえない」ということで、離婚が認められなかったケースもあります。こうした判決をみた依頼者は、口をそろえて「修復できるわけないじゃないか!」と言います。

たしかに心情的にはそうなのですが、判決離婚とは結婚という「契約」を破棄するものであり、それを裁判所が認めるのは、あくまで例外的な場合に限られています。

「修復の見込みがないとはいえない」というのは、「本来守るべき約束を破棄するほどの状況にはない。約束をした以上、修復に向けて努力しなさい」という意味なのです。

まとめ

  • 夫婦関係が破綻しているかどうかを判断する明確な基準はない
  • 裁判所が夫婦関係の破綻を認めるのは、例外的な場合のみと心得る

4 あなたは離婚できるのか?

ここからは、具体的に離婚にいたる道筋を説明します。まず、あなたが離婚を望んでいる場合について考えてみましょう。

◉「破綻」を認めてもらうためには……

あなたが離婚を望み、妻が拒否している場合には、最終的には訴訟となり、裁判官に夫婦関係の「破綻」を認めてもらう必要がある、と前項で説明しました。

裁判官は破綻しているかどうかを客観的な立場から判断すべきもの、とされています。

あなたが離婚したいと思っているといくら繰り返しても、それだけで裁判官に破綻を認めてもらうことは難しいのです。

では、裁判官に破綻を認めてもらうためにはどうすればいいのでしょうか? 一般的には以下の 5つの方法があります。

①暴言・暴力など決定的な事実を明示する

先述の通り、裁判官が「破綻」しているかどうかを判断するにあたっては、具体的な事実の中味と、それが本当にあったのかどうかということが鍵になります。

そのため、弁護士は裁判官に対して、関係が破綻していることを証拠づけるさまざまな事実を提示していきます。その中に、破綻につながる決定的な妻の言動(暴言・暴力など)があり、本人も認めている場合は離婚請求が通りやすくなります。

一方、決定的な言動がない場合は、細かい事実を積み重ねて破綻していることを証明しなければならないため労力がかかり、なおかつ破綻を認められにくい傾向にあります。

②証拠をとっておく

訴訟にまでもつれるケースでは、妻は夫が訴えている事実をそのまま認めないことが多く、その場合は事実関係が争われることがあります。その際には、裁判官という家庭の外の人に、家庭内の出来事が「あった」と認めてもらう必要があります。

たとえば妻から日常的に暴言を吐かれていたとしても、本人に否定されてしまえばそれまでで、あとからそのことを証明するのはきわめて困難です。

いわゆる「言った」「言わない」の水掛け論になってしまうことも多く、裁判官も事実が「あった」と認定しようがありません。

離婚を決意したなら、妻の暴言を ICレコーダーで録音する、暴力を振るわれた場合は裏づけとなる写真を撮る、病院を受診したら診断書をもらっておくなどして、証拠を残す努力をするとよいでしょう。

何らかの証拠があれば、裁判官もその事実が「あった」と認定しやすくなります。

③第三者の証言を得る

あなたの証言に信憑性をもたせるために、第三者の証言が得られれば大きな力となります。

たとえば、同居している父母や子どもなどです。ただし、子どもの場合は自分の意思で証言できる年齢(高校生以上)になっていることが必要です。

さらに、証人になるということは、裁判所に出頭し証言することを覚悟する必要がありますから、子どもへの影響について、十分な配慮が必要です。

また、子どもを夫婦間の争い事に巻き込むことの是非についても、しっかりと考えておくべきでしょう。

④早めに別居する

別居期間が長ければ長いほど、夫婦関係が破綻していると認められやすくなります。現在は、別居期間 5年というのがひとつの分水嶺となっているようです。

ただし、結婚して間もない夫婦は、別居期間が 5年より短くても破綻が認められる場合もあります。

たしかに、結婚して 1ヵ月で別居し、その状態が 3年間続いているというような場合は、夫婦関係が破綻しているといわざるを得ないと思います。

別居に際しては、「悪意の遺棄」(本章 2節)といわれないように注意する必要があります。

⑤話し合いを尽くす

婚姻破綻が認められるためには、夫婦の関係が回復の見込みがない状態になっている必要があります。ですから、まず夫婦間で十分に話し合うことが重要です。

話し合いを尽くすことではじめて、「これだけ話し合ったけれど、やはりダメだった」ということができますし、お互いの気持ちが整理されることにもなるでしょう。

話し合いの過程を経ず、別居後ただちに調停を申し立てたり、訴訟を提起したりすると、「話し合いをすれば、まだ修復の見込みがある」と裁判官に判断されやすくなります。

さらに、別居直後に調停を申し立てた場合は「用意周到に準備して別居した」という心証を裁判官に与えてしまいます。

つまり、「婚姻関係が破綻していたからやむなく別居したわけではなく、本人が離婚したいから別居した」とみなされ、身勝手な行動だと判断される可能性があります。

そうなると、あなたが破綻の原因を作った有責配偶者ということになり、離婚請求がよりいっそう認められにくくなりかねません。

別居した場合もしばらく話し合いを続け、「これだけ妻と話し合ったけれどダメだった」と、堂々と裁判官に訴えられるようにしましょう。

◉離婚原因があるかどうかわからないときは?

これまで述べてきたように、夫婦関係が破綻しているかどうかについては明確な基準があるわけではありません。

そのため、離婚原因となる事実がなく、妻が明らかに離婚を拒絶すると思われる場合、「自分は離婚できないのではないか」と考えてしまう人もいると思います。

しかし、夫婦関係が破綻しているかどうか微妙な場合であっても、弁護士に相談したり、調停・訴訟へと踏み出したりするほうが、メリットは大きいといえます。

なぜなら、妻が離婚を拒絶する理由はさまざまで、単に感情的なものである場合もあれば、経済的な不安だけが問題になっている場合もあります。

協議、調停、訴訟と進んでいく中で、時間の経過や手続きの進展とともに妻の気持ちや問題点が整理され、離婚の条件次第では話し合いがまとまることもあります。

一方、妻がどこまでも拒絶を貫き、判決で離婚が認められない可能性もあります。その場合は、調停や訴訟にかかった費用(弁護士費用、印紙代など)が無駄になるうえに、同じ理由での離婚訴訟はできなくなります。

ただ、そういったケースでも、通常は別居をさらに続けることなどによって、新たな離婚原因が認められることが多いです。

◉「他の女性と恋愛したいから離婚したい」は通らない

ここまで離婚原因の種類をみてきましたが、どんな離婚原因であっても、離婚の原因を作った側( =有責配偶者)からの離婚請求は認められません。

たとえば夫婦関係が破綻する原因となる浮気をした当人が、「婚姻関係が破綻した」として離婚請求をしても認められないということです。

これは考えてみれば当然で、自分が浮気をしておいて、「浮気で離婚原因が生じたから離婚できる」とか、自分の浮気が原因で夫婦関係を破綻させておいて、「婚姻を継続し難い重大な事由があるから離婚できる」なんてことを裁判所が認めたら、ひどいことをすればするほど離婚が認められることになりかねず、法律で離婚原因を定めている意味がありません。

ただ、いかなる場合でも有責配偶者からの離婚請求は認められない、というわけではありません。

たとえば、 10年以上別居していて、その間婚姻費用をきちんと払い続けているような事情があれば、認められることもあります。また、夫婦関係が破綻した後に浮気をしたような場合は、破綻の原因は浮気ではないことになります。

その立証が非常に難しいことは確かですが、これが認められれば、有責配偶者にはならずにすみます。

◉最後まで付き合ってくれる弁護士を探そう

離婚原因があるかどうかはっきりしないケースで破綻を認めてもらうためには、弁護士の手腕が大いに問われます。

弁護士はあなたと打ち合わせを重ねる中で、破綻を証明できる言動をみつけ出し、その証拠とともに裁判所に提出します。

一方、妻側の弁護士は、こちらの主張をすべて否定し、合理的な理由をつけて「破綻していない」と主張するでしょう。

この繰り返しで訴訟は進んでいきます。こういった案件は弁護士としてもかなり労力がいる仕事です。途中であきらめず最後まで付き合ってくれる弁護士を探し、力を合わせて取り組む必要があります。

まとめ

  • 破綻につながる事実を裏づける証拠を残しておく
  • 話し合いを尽くすことで破綻が認められやすくなる
  • 離婚の原因を作った側( =有責配偶者)からの離婚請求は認められない

5 あなたは離婚に応じなければならないのか?

ここまではあなたが離婚を望んでいる場合をみてきましたが、次に、妻が離婚を望んでいる場合について考えてみましょう。

◉離婚原因はあるのか?

あなたの浮気や暴力、長期間の別居といった、離婚原因があると認められやすい典型的な事情がある場合には、あなたが離婚したくないと主張していても、判決で離婚が認められてしまう可能性は高いです。

この場合、あなたとしては離婚に応じて離婚以外の条件(親権、養育費、財産分与など)の協議に移るのか、あくまでも離婚自体を争うのか(あなたの言い分を裁判所に伝えたい場合など)、のいずれかとなります。

逆に、性格の不一致など、離婚原因にあてはまるかどうかが明確でない理由によって妻が離婚を望み、あなたがそれに納得できない場合は、必ずしも離婚に応じる必要はありません。

妻側の離婚したい理由に納得できるか、条件さえ折り合えば離婚してもよいのか、あるいは、あくまでも円満解決(同居)を求めながらも訴訟に応じるのか。

あなたの考え次第で今後の進め方が変わってきます。

ところで、あなたが過去に犯した一度きりの過ちは離婚の理由になり得るのでしょうか? 一方的な暴力や不貞は明確な離婚原因となり、離婚が認められやすいのは事実です。

ただしそれは、暴力や不貞によって夫婦関係が破綻したと、一般的に考えられるからです。しかし、暴力や不貞があっても夫婦関係が破綻していないと主張することができれば、離婚請求は棄却されます。

具体的には、暴力や不貞があったとされる時期以降に妻が子どもを妊娠・出産したような場合や、長期ローンを組んで自宅を購入したような場合です。

このように、円満な夫婦であることを示すエピソードがある場合は、離婚を前提とせずに対応することも考えられます。

◉自分の言い分を訴訟で伝えたい

突然妻から離婚を切り出されたときは、心の整理がつかず、どうしていいかわからないものです。

「自分の何が悪かったのか?」「これからどうすればいいのか?」……今後の人生設計が大きく変わってしまうのですから、頭が混乱するのもしかたがありません。

しかも、調停や訴訟が始まれば、次から次へと相手の言い分や要求があなたに伝えられます。

提出された書面には、あなたがどんなに悪い人間かということが、これでもかと言わんばかりに書き連ねてあります。

「自分も悪かったかもしれないが、妻にも落ち度があったのではないか?」「もう少し自分の言い分も聞いてほしい」「できるならやり直したい」……そんな気持ちのまま、調停や訴訟が進んでしまったという人もいるでしょう。

また、裁判で離婚が認められた場合は、判決書にあなたの悪い点が書き連ねられることもあります。

これが納得できない、判決書に「妻にも悪い点があった」と一文だけでも書いてほしい、という人もいます。誰でも、事実を受け入れるのには時間がかかるものです。「しかたない」と簡単に割り切れるものではありません。

特に、家族として将来にわたって一緒に生活していこうと考えていたのに、子どもと離れ離れになった場合などは、冷静に判断できないことも考えられます。

そんな状況で無理やりに離婚することになった場合、容易に新しい道に踏み出せるとは限りません。

円満な状態に戻ることは難しいとしても自分の言い分を裁判官に伝えたい、納得できるまでは離婚を受け入れられない、という場合は、妻から訴訟を起こされてもひるまずに、徹底的に戦うという選択肢もあるのです。

◉不利な状況でも最後まで付き合ってくれる弁護士を探そう

あなたが自分の言い分を伝えたいと考えて、離婚に同意せずに訴訟を継続した場合、妻側からの書面であなたへの人格攻撃がさらに繰り返されるかもしれません。

また、裁判官や妻の弁護士から、「離婚を認めないという判決が出ても円満解決にはいたらない」と繰り返されたあげく、味方であるはずの自分の弁護士までもが、あなたの言い分にしっかり耳を傾けてくれない場合もあります。

さらに、経済的なメリットを重視して、あなたに対して離婚をすすめてくる弁護士もいるかもしれません。

実際、あなたが妻から離婚訴訟を起こされたものの、幸いにも判決で離婚は認められず、離婚の危機を回避できたとしても、無事解決というわけにはいきません。

なぜなら、判決は離婚請求を認めないというだけで、夫婦関係が円満になるように命じるものではないからです。そのため、別居中の妻や子どもに同居を強要することはできず、妻が応じない場合、一緒には住めません。

さらに、別居期間が長くなれば、結局は離婚が認められてしまうこともあります。また、別居している間は妻に婚姻費用(生活費)を支払い続けなければなりません。

つまり、勝訴してもあなたにはほとんど何のメリットもないということになります。

このように、別居期間が長いなど、夫婦関係がこじれている状態で訴訟の依頼を受けた場合、弁護士の多くは、訴訟の途中で夫に「このまま訴訟を続けてもあなたには何の得もありません。奥さまと和解して離婚に応じたらどうですか?」とすすめます。

また、一審で出た離婚の判決を覆すために控訴したいと言われても、夫に何の利益もない場合は、依頼を断ることもあります。

要するにそれは、誰の目から見ても「過去は忘れて新しい道へ踏み出したほうがいい」という状況なのです。ですから、「とにかく自分の言い分を伝えたい」という場合は、弁護士のサポートがよりいっそう重要になります。

あなたの考えに最後まで付き合ってくれる弁護士を探してください。

まとめ

  • 明確な離婚原因がない場合、必ずしも離婚に応じる必要はない
  • 言い分を伝えて自分が納得するために戦い続ける、という選択肢もある
  • 勝訴しても円満な状態に戻れるとは限らない

6 妻と離婚したいときの基本戦略

ここからは、より具体的な戦略について考えていきましょう。最初はあなたが離婚を望み、妻が応じない場合です。

①離婚原因があるのか、証拠はあるのかを検討する

あなたが離婚をしたいと考えたとき、妻がすぐに離婚に応じてくれれば、離婚原因の有無は関係ありません。

しかし、妻から離婚を拒絶されたり、財産分与や慰謝料で相場以上の要求をされたりしたときには、まず離婚原因があるのかどうか、そして証拠はあるのかどうかを検討してみてください(図 2‐ 2)。

離婚原因があり、なおかつその証拠がある場合は、妻としても最終的に離婚を覚悟する必要があります。

そのため訴訟にいたる以前の協議や調停で離婚に応じてくれることが多く、条件面についても、訴訟になった場合とほぼ同様の結果となることが多いのです。

他方、離婚原因がない、またはその証拠が乏しいようであれば、判決で離婚が認められることは難しくなるので、それ以前の協議や調停の段階で妻に離婚に応じてもらう必要があります。

そのため、妻に対して、相場にいくらか上乗せした額の財産分与や慰謝料(解決金)を提示しなければならないかもしれません。

このように、離婚原因の有無によって、離婚の話の進め方は大きく変わってきます。離婚原因として主張できる事実を裁判官に認めてもらうためには、裏づけとなる証拠の提出が不可欠です。

では、証拠としてどのようなものを準備すればよいでしょうか。

先述のように、家庭内の事情を直接知らない第三者である裁判官に離婚原因を認めさせるには、できる限り客観性の高い証拠を確保することが重要です。妻が浮気をしているのであれば、密会の現場を撮った写真が証拠となります。

暴言や暴力であれば、具体的な暴言の内容を録音したものや、暴力によって負った怪我の状態を撮った写真、そのほか医師の診断書なども証拠となります。

もっとも、離婚に向けて準備をしながら生活することはあまりないでしょうから、客観的な証拠が確保できないこともあります。

そのような場合には、訴訟の際などに、同居している家族などの証言やあなた自身の言い分をまとめた陳述書を提出することになります。

②別居を検討する

では、離婚原因がないか、立証が困難な場合、あなたは一生離婚できないのでしょうか? 同居を継続する限り、妻が応じなければ、離婚することは難しいかもしれません。

しかしそんな状態で妻との生活を続けていれば、あなたが精神的に辛くなり、これ以上の同居には耐えられないと感じることもあるでしょう。

そのようなときには、別居を検討してください。別居が長期間になれば、婚姻関係が破綻していると認められやすくなるメリットがあります。

他方、別居のデメリットは、あなたが妻を「悪意で遺棄」し、夫婦関係が破綻する原因を作った有責配偶者と認定され、離婚請求が認められなくなる可能性があることです。

そこで、悪意の遺棄と認定されないためにも、別居期間中は婚姻費用を負担する必要があります。

③離婚の協議や調停に踏み出す

離婚原因も証拠もある場合は、すぐにでも離婚の協議を始め、話が進まないようであれば調停に踏み出しましょう。離婚原因がないか、あっても証拠が乏しい状況でも、躊躇せずに協議に踏み出したほうがよいでしょう。

離婚の話を切り出さず、問題化しないままでおくと、後で訴訟になったときに、裁判所に「円満で婚姻関係に問題がなかった」と判断される恐れがあります。

また、離婚の意思、離婚したい理由をしっかり妻に伝え、妻が離婚を拒絶するのであれば、どのような理由で拒絶するのかを確認しましょう。

たとえ協議が整わなかったとしても、調停、訴訟とステージが進むことで、調停委員や裁判官などの第三者から妻に、「ここまで来たら離婚するしかありませんね」と言ってもらえる可能性があり、それによって調停離婚や和解離婚が成立することもあります。

もちろん、妻が離婚拒絶を貫き、離婚を認めない判決が下される可能性もあります。

その場合のおもなリスクは、調停や訴訟にかかった費用(自分の弁護士費用や印紙代など)が無駄になることと、同じ理由で離婚訴訟を起こせなくなることです。

まとめ

  • 離婚原因の有無によって、戦略は大きく変わる
  • 別居が長期になれば婚姻関係の破綻は認められやすくなる
  • 離婚原因が乏しくても、協議に踏み出すのが得策

7 妻から離婚を求められたときの基本戦略

次は、妻から離婚を要求され、あなたがこれに応じたくない場合の具体的な戦略について考えてみましょう。

①明らかな離婚原因があるのかどうかを検討する

まず、妻がどのような理由で離婚を要求しているのか確認し、それが「離婚原因」にあてはまるかどうかを検討してみましょう。

もし、明らかに離婚原因にあてはまるのであれば、訴訟で離婚を認める判決が出される可能性があるため、それを前提に考える必要があります。

他方、離婚原因にあてはまるかどうかが明らかでないのであれば、あなたが離婚に応じない限り、離婚が成立しない可能性があります。

そのため、離婚しなければならないことを前提に戦略を練る必要はありません。

しかし、その後の話し合いや調停、訴訟などで妻の考えを聞いていくうちに、今後も一緒に生活を送ることは難しいと考えるようになるかもしれません。

自分にとってのメリット、デメリットを考えながら個々のステージに対応し、最終的にあなたが離婚したいのかどうかを判断してください。ただし、婚姻費用の負担が毎月生じることには、注意が必要です(第 3章)。

②話し合いの機会を得る

妻が離婚を要求してから、別居 →調停 →訴訟と一気に話が進むこともあります。ほとんど話し合う機会がないまま、妻が一方的に離婚したい理由を言い続けるだけということも少なくありません。

あなたとしては、最終的に離婚するかどうかにかかわらず、納得できない部分も多いはずです。

このような場合には夫婦間での話し合いが尽くされていないため、あなたとしても、離婚したほうが家族にとって幸せなのか、離婚しないほうが幸せなのか、判断ができないでしょう。

そこで、調停や訴訟を利用して、積極的に話し合いの場を作るようにしましょう。訴訟になった場合でも、家族の問題は家族で話し合って決めたほうがいいと考える裁判官もいます。

話し合いを尽くしていないことを裁判官に説明して話し合いの場を設けてもらうように働きかけ、できるだけ納得のいく形で進めましょう。

③離婚に応じた場合のメリット、デメリットを考える

あなたが離婚に応じない間は、別居状態であっても妻に婚姻費用を払い続けなければなりません。

そのため、離婚に応じると婚姻費用の負担から逃れられるというメリットはあります(もちろん、離婚の際に取り決めた養育費の負担は続きます)。

一方、離婚に応じるということは円満解決の可能性を閉ざすことになりますし、それ以上の話し合いの機会もなくなります。お金と気持ちのどちらを優先させるべきか。難しい問題ですが、それによって選択肢が変わってきます。

まとめ

  • 妻の主張する離婚理由が「離婚原因」にあてはまるかどうかで戦略が変わる
  • 納得できないことは、調停や訴訟で話し合う努力をする
  • 優先すべきはお金か気持ちかをよく考える

離婚のリアルストーリー [ケース 1]

離婚したくてもできない Aさん :35歳/結婚歴 5年/妻は専業主婦/子どもなし

妻と結婚したのは 5年前。しばらくふたりだけの生活を楽しんで、その後は子どもを作って、という人生設計を思い描いていた。

しかし、妻に対して、「そろそろ子どもを」という話をしても、自分の趣味や友人関係をいままで通り楽しみたいから産みたくない、の一点張り。

妻は専業主婦で、家事は一通りきちんとしてくれているが、私の収入でいろいろ遊び歩いてもいるようだ。表面的には円満に見えるが、いったん喧嘩になると妻は感情的になり、こちらが非を認めるまでは絶対に引き下がらない。

私もいい加減面倒くさくなり、妻の言うことに逆らわないようにしている。仕事で疲れて家に帰ってきても、友人関係の愚痴を聞かされ、その話がすむまでは寝かせてくれない。

そのくせこちらが朝早く出勤するときには、妻は起きてこない。機嫌が悪くなると、「稼ぎが少ない」とか「あなたはスポーツが苦手だからカッコ悪い」とか、私がコンプレックスに感じていることをわざと言ったりする。

正直、妻とかかわればかかわるほど嫌な思いをするだけという気がしてきて、最近は事務的なこと以外は一切話もしなくなり、寝室も別になった。

このままではどうにもならないと、妻に離婚を切り出したが、「離婚は絶対にしない」と言い張るばかり。弁護士に相談したが、「離婚原因がないから、奥さんが拒否する以上、離婚は難しいでしょう」とのこと。

少なくとも 5年は別居しないと離婚は無理だという。5年後といったら自分も 40の大台に乗り、再婚だって思う通りにいかないかもしれない。

このまま子どもを持つこともできないのだろうか。この女のせいで、自分の人生は台無しになってしまうかもしれない。

そんな自暴自棄の気分になったまま数年が経ったころ、悩みの相談に乗ってもらっていた職場の同僚と深い関係になってしまった。しかも、まもなくそれは妻の知るところとなった。

再度弁護士に相談に行ったところ、あなたは有責配偶者だから、いまの状況だと 10年くらい別居して、さらに奥さんに誠意を尽くさないと離婚できないかもしれないとのこと。もうすべてを投げ出して、どこかに行ってしまいたい気分だ。

どうすればよかった?

はじめに離婚を決意した段階で弁護士に離婚の交渉を依頼していたら、違った展開があったのではないでしょうか。今回相談した弁護士のように夫側の離婚交渉に消極的な場合は、別の弁護士に相談し直してもよかったと思います。

この時点では裁判上の離婚原因があるとはいえないので、離婚訴訟になった場合は勝てる可能性が高いとはいえません。

ただ、妻側の離婚拒絶の理由次第では、それ以前の協議段階、調停段階、訴訟になってからの和解段階で離婚が成立する可能性は十分あります。

弁護士費用がかかるとはいえ、ひたすら耐えた末に自暴自棄になるよりは、離婚交渉を進めたほうが納得のいく結果になった可能性もあります。

仮に離婚裁判に負けたとしても、別居して離婚訴訟までした後に浮気をした場合は、同居中に浮気をした場合に比べれば、有責配偶者扱いされて離婚が難しくなる可能性は、はるかに低いといえます。

Aさんの場合は、意に反してどんどん離婚が難しくなってしまっていて、とても残念なケースといわざるを得ません。

[ケース 2]

納得のいかない離婚請求をされた Bさん :47歳/結婚歴 12年/妻は専業主婦/子どもは 1人

先月アメリカでの長い単身海外赴任生活が終わり、やっと日本に帰ってくることができた。これから妻子と落ち着いた暮らしを楽しもうと思っていた矢先、妻が子どもを連れて家を出た。

そして、子どもと会えないまま、あれよあれよという間に調停 →訴訟と離婚話が進んでしまった。俺はいまだに妻がなぜ離婚したがっているのかよくわからない。

調停でも離婚したい理由を何度も尋ねたが、理解できる答えは一度として聞けなかった。小さないさかいはあったが、どの夫婦にもある程度のことだった。いったい俺の何が気に入らないんだろう。

妻からの訴状には、かいつまむと以下の点が記載され、いずれも反論できることばかりだ。

・ 10年間のセックスレス → 10年間、一度もそれについて語ってこなかったじゃないか! いまさらなんでそんなことを言い出すんだ。

・妻が風邪をひいても看病しなかった →俺としてはいたわっていたつもりだった。優しい言葉はかけなかったかもしれないが、家事や育児を代わりにやっていた。そのときは「ありがとう」と言っていたじゃないか。妻への思いやりの欠如じゃない。

・会社が最優先で妻子を放ったらかし →会社から金をもらっているからこそ、妻子を養えるんだ。会社を優先させるのは、妻子を大切にするゆえなんだ。それをわかってもらえないから、いつも口論になるんだよな……。

・暴言によって精神的苦痛を受けたとして 3 0 0万円の慰謝料の請求 →口論になったことはあったが、そんなにひどいことを言ったつもりはない。

妻だって売り言葉に買い言葉で応酬していたはず。お互い様じゃないのか。正直、たいしたことは書かれておらず、離婚の理由として納得がいかない。

こんなことで離婚が認められるのであれば、結婚した意味がないではないか。調停は自分だけで対応したものの、裁判では弁護士に依頼した。

しかし弁護士は、「意地を張っていてもしょうがないから離婚しなさい。意味のない意地を張るのはやめなさい」と強い調子で言うばかり。

俺は意地を張っているのではなく、離婚したい理由をきちんと説明してほしいだけなのに、自分の弁護士すら、俺の気持ちや言い分をまったく理解してくれず、相談に乗ってもらうはずが喧嘩のようになってしまう。

しかも妻から出てくる書面には、俺の人格を攻撃するような内容ばかりが書き連ねてある。いい加減精神的に消耗してしまい、やむなく離婚に応じることにした。

しかも、俺が 1 0 0万円の慰謝料を支払うという内容で。それ以来、いまにいたるまで、子どもとは会えないまま。いったい、結婚とはなんだったのか? 俺が悪かったんだろうか。

そもそも、裁判官や弁護士は誰のためにいるのか? そんな疑問にとりつかれ、新しい一歩を踏み出せずにいる。

どうすればよかった?

家を出て行った妻から離婚訴訟を起こされた場合、あなたが勝訴した(妻の離婚請求が認められなかった)としても、現在の司法の運用を前提にする限り、妻子を家に連れ戻すことはできません。

妻子の生活費である婚姻費用の支払いも続きます。離婚すれば、金銭的負担は子どもの生活費である養育費のみになるので、経済的なメリットはあります。

とはいえ、離婚という大きな人生の節目をそれなりに納得のいく形で進めていくことは、今後の人生を歩んでいくうえでとても大事なことです。

自分の言い分は間違っておらず、離婚要求は妻のわがままにすぎないということを、訴訟において明確にすることを最優先したい場合もあります。

そのような場合は離婚に応じず、妻の離婚請求を裁判所で棄却してもらい、そのうえで再度、今後の人生を落ち着いて考えるほうがよいともいえます。

仮に離婚に応じるとしても、裁判所で話し合いの場を作ってもらうこともできたはずです。家庭裁判所、高等裁判所での話し合いを通して、子どもの面会を含めた形で協議することも可能でした。

また、 Bさんの場合はこちらが慰謝料を支払う必要はありません。

むしろ、妻のわがままによる離婚であることを明確にするために、「妻がこちらに慰謝料(解決金)を払うのであれば別れてもいい」という態度で臨むこともできたはずです。

以上のような可能性があることを前提に、最後までともに戦ってくれる弁護士をみつけていれば、違う展開になっていたのではないでしょうか。

8 もとの鞘に納まりたいときは?

◉弁護士はほとんど役に立たないと心得る

妻が離婚したいと言っている状況で、何とか考え直してもらってもとの鞘に納まるというのは難しいことです。復縁は最終的には当人同士の感情問題もあるため、その点について弁護士が役に立つことはあまりありません。

しかし私たちの事務所で引き受けた案件のうち、離婚の方向で依頼を受けたにもかかわらず、結局よりを戻すことになり、めでたく依頼解消になったことも一度ならずあります。

そうした経験をもとに、参考になると思われることを記しておきます。ここで取り上げるのは、〝妻に弁護士がついて本気で離婚を請求されたが、何とか復縁に持ち込みたい〟という場合の話です。

◉離婚は妻の意思、という認識を持つ

依頼者の中にときどき、「妻はおかしな弁護士にそそのかされて離婚を決意したに違いない」と言う人がいます。最初に断っておきますが、そんなことは実際にはほとんどありません。

夫の暴力によって妻に身の危険が及ぶ可能性がある場合などを除けば、弁護士が妻に離婚をすすめることはあまりないからです。

経済的にみると、離婚は女性にとって不利になることが少なくありません。

そのため弁護士は、離婚した場合に予想される経済的な困窮などのデメリットを依頼者によくよく説明し、それでも離婚したいという場合にだけ依頼を受けます。

不利益だとわかっていても妻の離婚の決意がゆらぐことがないからこそ、弁護士が彼女に代わって離婚を請求してきた可能性が高いのです。

こうしたことを踏まえると、妻が弁護士を立てて離婚を要求してきた場合、「妻と直接話せばわかるはず」というのははかない望みだということがおわかりいただけると思います。

さらに、多くの案件をみてきた経験からいうと、妻が夫に対して「生理的嫌悪感を覚える」「一緒にいるだけでおかしくなりそうだ」という気持ちを抱いている場合には、復縁の説得をするのはかなり困難だという印象があります。

もっとも、弁護士ではなく妻の両親や親族が離婚をそそのかしているというケースは少なからずあります。「あんな男とは別れちゃいなさい」というパターンです。

この場合も、本人が頑なな場合と同様、翻意させるのはなかなか難しい印象があります。

子どもを連れて妻が実家に帰っている状況で、しかも実家が裕福で経済的困難がないとなると、妻に対する愛情を訴え続けるしかないということになりそうです。

◉妻の立場で考えてみる

どうすれば復縁できるのか? その答えは明確ではありません。しかし、少なくとも「うまく復縁できそうもない対応」についてはかなり明確なことがいえます。

あなたが「妻はわがまま放題の末に離婚を言い出した。自分に謝罪すべきだ」と思っているのであれば、望みは薄いと思います。

たしかに、話に聞く限りはわがまま放題の妻です。場合によっては、裁判所もそんな自分勝手な理由での離婚を認めないかもしれません。

しかし、妻の離婚請求が棄却されたからといって、妻が戻ってくることはありません。あなたが理屈で妻を裁くような態度でいる限り、妻がもとの生活に戻りたいと思うことはないでしょう。

おそらくは、その窮屈な生活に嫌気がさして離婚を決意したのでしょうから。

あなたからみれば、いくらわがままなダメ人間だからといって、むしろそういう人間であればこそ、ダメ人間扱いされる環境は苦痛でしかたがないわけです。

こういう場合、一縷の望みがあるとしたら、あなたが一切の悪口や不満を持たず、「すべてを受け入れることができる人間になった」「妻のすべての欠点を受け入れて大事にする」と本気で思い、それを妻に伝えるということかもしれません。

◉いったん離婚に応じて復縁のチャンスを待つ

リスクはありますが、いったん離婚に応じるというのもひとつの手です。仮に離婚訴訟にまでいたってしまうと、互いの関係にしこりが残ることがあります。また、離婚の大変さから再婚に及び腰になり、復縁は難航するかもしれません。

そこで、話が法廷の場に持ち込まれる前に妻の言い分を聞いてすんなり離婚し、関係をむやみに悪化させないようにしておき、復縁へのハードルを下げるという考え方です。

もめにもめた末の判決離婚ともなると、悪口の言い合いになることがあります。

そのまま離婚してしまうのならそれでもいいでしょうが、将来的に関係を修復し、復縁を目指したいのであれば、そうした泥仕合は避けたほうが得策でしょう。

実際、双方に弁護士がついて調停で離婚したものの、後日再婚していたというケースもあります。弁護士をつけるところまでもつれた場合でも、再婚の目がないわけではないのです。

もっとも、離婚後に復縁を求めてしつこくしすぎると、ストーカー規制法にひっかかることもあるので注意は必要です。

まとめ

  • 妻が弁護士を立てて離婚を要求してきた場合、復縁はかなり難しい
  • 妻のすべてを受け入れると本気で思えれば、復縁の可能性も生まれる
  • すんなり離婚に応じたうえで、復縁のチャンスを待つのも手
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