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第 3章「ひいてしまった……」正しい医者のかかり方と「あの治し方」のウソ

目次

21「この本の著者」が風邪をひいたら何をするか?——「ひき始め」「いちばん辛いとき」「治りかけ」でやっていること

ここからは、避けられず風邪をひいてしまった「ひき始め」の対処法に移ります。まず、私自身が、風邪をひいてから治るまでにやっていることを紹介します。

ここでは、風邪をひいたあとの段階を、前期・中期・後期の3つに分けて考えます。これは医学的な定義に基づくものではなく、私の感覚的な分類です。前期はいわゆる「ひき始め」。中期は「症状のピーク」。後期は「治りかけ」です。

●私の方法 ①「ひき始めの対策」

ひき始めは、悪化して長引かせないために、もっとも注力すべき時期です。

私の場合は第 2章に書いた超初期症状としての「のどに膜が張ったような感覚」がさらに悪化し、のどの奥がイガイガした痛みに変わってきたときです。

超初期症状が、一般的な風邪の初期症状に悪化してしまった形です。そうなると私は即刻 2日先までスケジュールを確認し、できる限り内勤に変更します。それと同時に、漢方薬の服用を始めます(漢方薬の紹介は第 4章参照)。

また、重ね着したり、室内でもセーターを着るなど、あたたかい服装にします。マスクを着用して、のどの加湿にもつとめます。

さらに水分を意識して多めにとり、早めに帰宅し、いつもより長く寝ます。生活を「風邪モード」にスイッチし、徹底的に早期回復につとめるのです。

そして、「のどの違和感」から悪化することなく、通常の体調に回復してきたら、少しずつスケジュールを戻していきます。

●私の方法 ②「いちばん辛いときの対策」

のどの痛みだけでおさまらず、鼻水やせき、発熱など次の症状が出てきたら、本格的に回復モードにチェンジします。まず意識するのは、徹底的に寝ることです。厳密にいうと、スキあらば身体を横たえるようにします。

立ったり座っているだけで体力を消耗するため、「省エネ」を意識するのです。夜は、枕元に「着替え・スポーツドリンク・タオル」を準備して床に入ります。

熱が高くなって汗が出たら、タオルで拭いて、間髪入れず着替え、水分補給します。吸収されやすく栄養分も豊富なスポーツドリンクを、常温で飲みます。

そして、ひたすら眠り続けます。

食事は、水分多めで胃腸に負担をかけないゼリーやプリン、うどんやおかゆなどを食べます。

どうしても仕事する必要がある場合、メールは打たず、布団の中から電話で対応します。電話では大きい声を出さず、できる限り短い時間で終わらせます。

この時期の最優先事項は、「治すこと」ではなく「悪化させないこと」です。人間の自然治癒力を最大限に活用できる環境を整えることに、頭を切り替えます。

●私の方法 ③「治りかけの対策」

症状のピークを過ぎると、熱は下がり、のどや頭などの痛みも和らいできます。すぐに全開で仕事に復帰したくなる気持ちを抑えて、「ひき始め」と同じような生活を続けます。

病み上がりの身体は、修復過程で大忙しで、まだ体力が回復しきっていません。

少しラクになったからといって、急にバリバリ仕事をしたり、遊びに行ったりすると、別の風邪ウイルスに感染したり、風邪以外の病原体に感染する可能性もあります。

また、とくに意識しているのは、家族や同僚など、自分以外の人に風邪をうつさないことです。

自分自身から常にウイルスが出ているイメージを持ち、マスクの着用や頻繁な手洗いはもちろん、必要以上に人と近づかないようにします。

その後、ひき始めから 1週間くらい経ったころ、ようやく全開モードに戻します。

さて、以上が、私がやっている個人的な方法です。ここからは、医学的根拠に基づいた具体策をお伝えしていきます。みなさんにも、それぞれの「治し方」があると思います。

自分の方法を見直したり、新たに取り入れたりして、ぜひ参考にしてください。まずは、「正しい病院の使い方」から、お伝えしていきます。

22医者が風邪をひいても病院に行きたがらない理由——「病院感染」対策の 5原則

医者が風邪をひいた時、どう治しているのかと聞かれることがあります。

実は、風邪をひいても病院に行きたがらない医者は少なくありません。それには、3つの理由があります。●病院で、別の病気をうつされるリスクが高いから ●風邪は自然治癒することを理解しているから ●余分な体力を消耗したくないから

●冬の病院は「ウイルスの巣窟」

病院内のすべての場所のあらゆるものに、ウイルスが付着していると考えることが基本姿勢です。とくに、風邪のハイシーズンとなる冬の病院は、待合室も満杯です。

多くの患者がゴホゴホとせきをしている状況でしょう。

乾燥して締め切られた待合室は、ウイルスで埋め尽くされている可能性があります。

もしウイルスに真っ赤な色がついていて、それを肉眼で見ることができたとしたら、そこら中に赤い粒がウヨウヨと浮遊している。

そんな状況をイメージしてください。

風邪を治したくて病院に行くのに、他の病気をうつされる可能性が高いのです。

もちろん、だからといって我慢する必要はありません。

どうしても病院に行かなければならない場合、医者が意識している、風邪シーズンでの病院の使い方のポイントは、次の5つです。

①滞在時間を極力短くする

まずは、物理的にウイルスや細菌へさらされる時間をできる限り短くしましょう。

便利なシステムを活用すれば、次のような対策がとれます。

  • ●予約システムがある場合は、できるだけ予約する
  • ●会計システムがある場合は、病院内で待たずに外に出て待つ
  • ●院外対応の処方せんをもらい、病院外の調剤薬局で薬をもらう

②マスクは必須

マスクは、ウイルスが多い場所ほど着用する意味があります。第 2章で紹介した正しい着用法を実践し、必ずマスクをつけて行きましょう。

③病院内のものにはできるだけ手で触れない

特に、多くの人が触る次の場所には、ウイルスが付着している可能性は高いでしょう。

  • ●待合室に置かれている雑誌
  • ●子ども用のおもちゃ
  • ●椅子やソファ
  • ●トイレや診察室のドアノブ
  • ●洗面所の蛇口やトイレなどのボタン

④「 1タッチ 1消毒」を徹底する

とはいえ、何にも触れずに病院内で過ごすことはできません。だからこそ、 ③のようなものに触れたら即消毒、と強く意識してください。

ほとんどの医療機関内には、アルコール消毒剤が設置されています。

すべての病原体をアルコール消毒で撃退できるわけではありませんが、風邪ウイルスには効果的な場合が多いので、 94ページの方法で、ぜひ積極的に活用してください。

⑤帰ったらすぐに手洗い・うがい

診察後に帰宅したり職場に戻ったら、必ず手洗いとうがいをしてください。物理的に、できる限り早く、病原体の数を減らすことを意識してください。

これらの点を踏まえると、たとえば、病院内で本を読むなら、持参したものを読む。診察終了後の待ち時間を利用して、病院内のトイレで手洗い・うがいする。調剤薬局での待ち時間も、トイレで手洗い・うがいする。病院から帰ったらすぐに着替えて洗濯機の中に入れ、そのまま手洗い・うがいする。そういうこまめな行動が有効です。

より速く、より的確な治療を促す「症状メモ」——ベッドで寝ながらスマホで 10分の方法

第 1章で、「超初期症状は、身体からのヘルプサインです」と書きました。言い方を変えると、超初期症状は、身体からのクレームだとも言えます。

ビジネスにおいてクレームが起きたときは、現場の情報と進行状況を元に、クレームが起きた理由と、クレームが起きるまでのアクション対応を検討することが、効率的かつ的確な対処につながります。

医師や看護師は、身体からのクレーム処理のエキスパートです。的確かつタイムリーな情報を伝えることが、早期治療につながります。病院に行くと、最初に「問診」というステップがあります。

「診」の字が含まれているように、症状や経過を問うことは立派な診療の一部なのです。

病院の滞在時間を極力減らすために、医者がより的確に診療するために、左のようなオリジナルのメモを自分で作成して、医者に渡すことをおすすめします。

とくに、風邪やインフルエンザが流行する時期は外来が混雑しますから、医者も、じっくり問診を進められないことも少なくありません。

だから、患者が正確な情報をまとめておいてくれると、医者にとっては非常にありがたく、的確な治療につなげることができるのです。

このメモは、しんどい身体を起こして机に向かう必要はありません。ベッドで寝ながら、スマホのメモ機能で十分です。

●今日までの「症状の変化」を伝えよ!

医師が重視しているのは、過去から今に至る「時系列の情報」です。時系列の情報は、みなさんが思っている以上に、医師の診断に役立ちます。

「鼻水が止まらない」「熱がある」「せきが出る」などは「今」の情報であり、瞬間的な症状を描いた「静止画」のようなものです。

医者はその「静止画」から、これまでの経緯を問診で聞き出しながら、頭の中で患者の症状の変化を「過去から今に至る動画」に変換しようとします。

そして、これまでの時系列の情報を元に、近未来を予想し、診断するのです。

今の症状を伝えるだけだと、診断の確度を医者のコミュニケーション力に委ねることになります。病気の治療は、患者と医療職の二人三脚です。

スムーズで的確な診断を促すために、積極的に医者に情報提供してあげてください。

症状メモのほかにも、痛みや症状の変化を、自分の中で 10段階評価するのも、医者に伝わりやすくする工夫の1つです。「のどの痛みが、昨日は 3くらいだったのが、今日は 8くらいになっているんです」変化率を伝えたいのですから、数値を活用すると有効なのです。

●「様子をみてください」と言われたときの切り返し方

医者が診察の現場で「ちょっと様子をみましょう」と言うことがあります。これは医療用語で「経過観察」と言います。経過を注意深く見て、変化があればすぐに対処するという医者の姿勢を示す言葉です。

前述したように、風邪に似た症状が、別の病気の初期症状である場合もあります。

そのようなリスクを踏まえて「様子を見る」のです。

この「様子を見る」とは医者からすると便利な言葉ですが、患者は一刻も早く治したいわけですから、「そんな悠長なことは言っていられない!」と思う人もいるでしょう。

そういうときは、次のように聞きましょう。

「これから、どのように症状が変化する可能性があるのですか?」「どんな症状が出たら、再受診するべきですか?」「どんなせきが出たら、風邪以外の可能性がありますか?」そうやって具体的に突っ込んでコミュニケーションをとるのです。

●医者への聞き方「良い例」と「悪い例」

あくまで一般論ですが、企業人として働いた経験のある医者はほとんどいません。

休みたくても休めない。代わりがいないから踏ん張らなければならない。休むと評価に響く。数時間でいいからいつも通りのパフォーマンスを発揮したい。

そうしたビジネスパーソンの忙しさや組織内のしがらみなどの事情に配慮して、親身なアドバイスをくれる医者は少数派です。

現実的な対策を踏まえた診断を求める場合は、それも含めて伝える必要があります。

たとえばあなたが、どうしても外せない出張を明日に控えているのに、体調を崩してしまったとしましょう。

「明日出張なんですよね……」と言うだけでは、「そうですか。できるだけ安静にしましょう」と言われてしまう可能性が高いでしょう。

そうではなく、具体的な場面を医者が想像できるように質問するのです。

「明日はどうしても外せない出張があって、できるだけ悪化させたくないんです。新幹線や宿泊先、食事で心がけることはありますか?」そう聞けば、たとえば、次のような具体策を聞き出せる可能性は高まります。

「そうですね。胃や腸に負担をかけないように、うどんなどを食べて、新幹線では必ずマスクをつけて、シートを倒してできる限り身体を横たえる時間を増やしたほうがいいでしょう。

宿泊先では部屋の加湿を意識して、身体を冷やさないように、汗をかいたらこまめに着替えましょう。ただ、症状が悪化するリスクを伴いますから、くれぐれも無理はしないでください」

忙しい中で仕事を中断して病院に行くとき、あなたには切実な理由があるはずです。明日はどうしても出張に行かねばならない。午後からどうしても長時間の会議に出なければならない。明日までにどうしてもプレゼン資料を仕上げなければならない。

そういう抜き差しならない個別の事情は、医者の頭にはありません。医者は基本的に、「じっとおとなしく家で寝て安静にしている場合に、どれくらいで回復するか」というシナリオを描こうとします。

だからこそ、あなたの実情に即した踏み込んだ具体策を聞き出さないと、病院に行くリターンを得られません。

●「過去の病気」「家族の病歴」で医者は何を判断する?

「過去の病気」や「家族の病歴」は、医療機関の問診票でも見かけるでしょう。ここは、「風邪とは関係ないだろう」と思って、詳しく書かない人も多い欄です。しかし、医者にとっては、次のようなことを判断する貴重な情報になります。・遺伝的な病気の可能性がないか?・これから処方する可能性のある薬が、悪影響を及ぼさないか?・大病をしたことで、抵抗力や栄養状態が悪くなっている可能性はないか?

より正確かつ安全な治療を促すためには、できる限り伝えるべき情報なのです。「こんな些細なことは伝えなくてもいいだろう」と自己判断してはいけません。問診票の質問にきちんと答えることが、あなたのためになるのです。

風邪に「抗生物質」は効かない——「不適切な風邪薬」の恐るべき副作用

風邪薬を服用するときの注意点は、「薬は毒になりうる」ということです。不要な薬を飲むと、身体にダメージを与えることになります。

風邪薬は、風邪を「根治する」ものではなく、「症状を緩和する」だけです。適切な時期、適切な内容、適切な量で使って初めて役に立つものです。

●説明なく「抗生物質」を出す医者を信用するな

毒になる可能性が高い薬の代表的な存在が「抗生剤」(抗生物質)です。抗生剤を風邪の特効薬だと思っている人がいますが、非常に危険な考え方です。

そもそも、抗生剤は「細菌」を殺す薬であり、「ウイルス」を殺す薬ではありません。ウイルスを殺す薬は「抗ウイルス剤」です。

風邪の原因の 8割以上はウイルスですから、ほとんどの風邪に抗生剤は効きません。「抗生剤でウイルス性の風邪が早く治った」という確かなデータは、世界中どこを探しても見当たりません。

抗生剤の副作用として代表的なものが、下痢です。お腹の中にたくさんいる腸内細菌という良性の細菌が抗生剤によって殺され、それが原因で下痢が起こります。そのほか、蕁麻疹や肝機能障害などの副作用もあります。

さらに怖いのが、耐性菌の出現です。抗生剤を使うほど、薬に負けじと細菌が強くなり、抗生剤は効きにくくなります。抗生剤を飲んだだけ、体内で着実に細菌が強くなっていくのです。現在、世界中で耐性菌が増えて、抗生剤の効き目が相対的に弱くなっていることが社会問題になっています。

●症状が消えても細菌は生きている

抗生剤が必要なのは、明らかに細菌感染症が疑われるときです。たとえば、のどが真っ赤になり膿がへばりつく細菌性の咽頭炎や扁桃炎は、細菌感染の可能性が高く、抗生剤が必要になります。

また、のどのさらに奥に細菌が入って気管支炎や肺炎を起こした場合など、風邪から二次的に細菌感染がおこったときに、抗生剤は正しく機能します。

いずれの場合も、医師が慎重に診察し、適切な検査を行って処方するべきものです。

細菌感染症が疑われ、抗生剤が処方された場合は、用法と容量、内服日数を必ず守って飲みきってください。抗生剤は、指示通り飲み切ったときに初めて細菌を殺し切れることを前提に、処方されます。

「熱が下がったからまあいいか」などと自己判断で服用を中止したり、飲んだり飲まなかったりすると、あくまでイメージですが、仮死状態のゾンビが生き返るようにして、細菌たちが復活する可能性があるのです。

症状が消えても細菌が生きているケースもありますから、「ダメ押し」するようなつもりで、処方された分量を飲みきることを覚えておいてください。

●「抗ヒスタミン薬」を飲んだら運転は避けるべき

抗生剤だけでなく、風邪薬には副作用があります。たとえば、風邪薬だけでなく、花粉症や鼻炎などのアレルギー治療薬、睡眠改善薬などにも含まれる「抗ヒスタミン薬」は、飲むと眠気が出る場合があります。また、仕事のパフォーマンスを低下させることも、明らかになっています。

抗ヒスタミン薬を投与された健康な成人が、 2時間後に自動車を運転したところ、眠気を感じていないのに蛇行運転の回数が増加した、という恐ろしいデータがあります。

「無自覚でパフォーマンスが低下する」という意味で「インペアード・パフォーマンス」と呼ばれる現象です。

風邪薬を飲んだとき、眠気はないが何か集中できない、ミスが増える、同じことを繰り返してしまうなどの経験がある人は、このインペアード・パフォーマンスが起きている可能性があります。

機械作業、高度な技術を要する職種に従事する人は、非常に危険です。風邪薬を飲んだ後で、電車のホームで「歩きスマホ」をすると転落の恐れもあります。

しかし、風邪薬の副作用は、医者の診療の場面で詳しく説明されることはなかなかありません。そこで次項では、「薬剤師」から薬の知識を得る方法をお伝えします。

25薬局と薬剤師の「使い倒し方」——全国 5万 8000軒の薬局活用法

日本全国に薬局はいくつあると思いますか。答えは約 5万 8000軒です。実に、コンビニエンスストアとほぼ同じ数です。

風邪の予兆を感じた段階で、医療機関ではなく薬局に駆け込む選択は「あり」です。

ビジネスパーソンの男女 620人に対するアンケート調査では、風邪をひいたとき、約 85%が医者に行かずに自分で薬を購入すると答えています。

しかし、その際に薬剤師に相談して風邪薬を購入する割合は約 30%で、自己判断で薬を購入している人が多い傾向があるのです。

感覚的に市販薬を選択すると、無駄な出費につながる可能性が高くなります。薬局に行くなら、ぜひプロである薬剤師をいい意味で使い倒しましょう。

薬剤師は、症状に沿った適切な薬を教えてくれる薬のプロです。

薬局は病院よりも空いていることが多くスムーズに対応してくれますし、これまで私が接してきた経験から言えば、薬剤師は、医師よりも親切な人が多い印象があります。

●薬局の滞在時間を短縮する3つの方法

ただし、風邪が流行する季節は、病院と同じように風邪感染の危険性があります。そんなとき、薬局での滞在時間や待ち時間を短くする方法があります。

①病院から薬を受け取りたい薬局へ処方せんを FAXしてもらう

②処方せんのデータをインターネットで薬局へ送付する

③処方せんを薬局に出して、薬はあとで取りに行く

①に関しては、対応してくれる医療機関や薬局が多いので、確認しましょう。

初めて行く薬局には、何時ころ受け取りに行くか電話連絡をしておくと安心です。

その際、初回問診で聞かれるジェネリック薬(後発薬)の希望や、現在服用中の薬、薬のアレルギーなどについても伝えておくと、到着した際によりスムーズです。

なお、ジェネリック薬は、基本的に先発薬と同じ効果がありますが、添加物が異なっていたり、普段飲んでいる薬と形状が異なる場合があります。添加物によるアレルギー症状などが心配な方は、「希望しない」と伝えましょう。

②は、処方せんをスマートフォンなどで撮影し、その画像をインターネット上で薬局に送付し、薬の準備ができたら連絡が来るシステムです。

このシステムに対応する薬局は、 2017年 12月時点で全国で約 8000店です。普及傾向にありますから、ぜひ確認して活用してください。

③は、薬局に二度行く形ですが、滞在時間の短縮には極めて有効です。自宅が近い場合は、一旦戻って安静にして、少しでも身体を休めましょう。

●「かかりつけ薬局・薬剤師」と「電子お薬手帳」を活用せよ

初めて行く薬局では、初回に問診票を書く必要があり、手間がかかります。現在、国の政策で「かかりつけ薬剤師」制度が進んでいます。行きつけの薬局があると、これまでにどんな薬を飲んだのかなど、個別の視点でより深い相談に乗ってくれます。

仕事の都合でいつもと同じ薬局に行けない場合もあるでしょう。

「おくすり手帳」や「電子お薬手帳」を携帯していると、薬剤師が既往歴や服用歴・副作用歴などを素早く確認できます。お薬手帳も「症状メモ」の一種です。

薬剤師にとって、おくすり手帳は、 122ページでお話しした医者にとっての「動画」と同じ役割を果たします。

「過去の情報だから必要ないだろう」と自己判断しないでください。とくに、現在飲んでいる薬の情報は、薬の飲み合わせの良し悪しを判断する上でとても大切です。

●薬のインペアード・パフォーマンスについて確認する

131ページでお伝えしたように、風邪薬を購入する際や処方してもらうとき、機械作業、高度な技術を要する職種、車や機械を操作する方などは、無自覚でパフォーマンスが低下する「インペアード・パフォーマンス」について薬剤師や医師に確認するようにしてください。

インペアード・パフォーマンスが出にくい薬も開発されています。

26「あの治し方」のウソ 6選——都市伝説にダマされない正しい医学知識

①酒で「アルコール消毒」する

先日、酒席で、ある企業の管理職の方と同席しました。彼は、風邪をひいているのに、無理して飲み会に参加されているようでした。

「身体をアルコール消毒するついでに風邪薬を飲んじゃおう!」彼はそう言って、市販の風邪薬を一錠、ビールでゴクリと流し込んだのです。

その後も、ハイボール、ワインと多くのお酒を飲んでいました。これは、確実に止めるべき行動です。

「風邪薬と酒の関係」は、忙しいビジネスパーソンからよく質問されます。

アルコールには、中枢神経の抑制作用があり、酩酊状態になり、ぼーっとしてろれつが回らなくなりますが、風邪薬で中枢作用の抑制作用が増強される場合があります。また、普段からアルコールをたくさん飲んでいると、薬が正しく作用しないだけでなく、副作用が強くなる場合もあります。

前出の「抗ヒスタミン薬」が代表的で、もともと副作用に眠気や運動機能低下があることに加え、アルコール摂取に伴って眠気・精神運動機能低下などの副作用や、インペアード・パフォーマンスが強く現れる可能性があるのです。

また、多くの薬は肝臓で分解されますが、アルコールも肝臓で分解されます。風邪薬とアルコールのダブルパンチが、疲れた肝臓に過度の負担をかけます。

さらに、アルコールの影響で身体がほてり、暖かくしなければならない状況で薄着になって、体温を奪うような状況を作りかねませんし、アルコールの利尿作用で脱水傾向も強まるなどの悪影響があります。

なお、コンビニなどでも購入できるいわゆる「栄養ドリンク」を好む人もいると思いますが、アルコールが入っている商品は避けるのが賢明でしょう。

また、栄養ドリンクにはカフェインが入っているものが多く、睡眠を妨げることになりかねません。気になる人は、「カフェインレス」と表記されているものを選ぶとよいでしょう。

②人にうつせば風邪は治る

「課長の風邪うつされちゃいましたよ」「ごめんごめん!おかげで俺の風邪はすっかり治ったよ!」こんな会話は、よく耳にするでしょう。なんとなく、本当に「人にうつすと風邪は治る」と思いたくなるかもしれません。

他人にうつして、自分の風邪が治ることは絶対にありません。前述の通り、一般的に風邪の症状のピークから回復までは 3日ほどかかります。ピーク時に誰かと接していれば、 3日後以降に自分の風邪が治り、相手が風邪を発症します。

これを結果だけ見た時に、「人にうつして治った」と見えただけのことです。この迷信は、風邪をひいても無理に出社し、感染源をばら撒く人を増やしかねません。もし、冒頭のような会話を聞くことがあれば、やんわりと否定してあげてください。

③熱い風呂に入れば治る

結論から言いますと、これは「条件付き OK」です。風邪をひいたときに風呂を「控えるべき」と言われる理由は、「湯冷め問題」に起因すると思われます。体を急激に冷やす環境は、風邪状態の人にとって最悪です。

風呂が家庭に普及していなかった時代は、銭湯帰りに湯冷めすることがありました。家の風呂でも、脱衣所が寒かったりドライヤーがないと、湯冷めしやすくなります。入浴自体は、風邪回復に良い効果をもたらすこともあります。のどや鼻の加湿につながり、鼻づまりにも有効です。血行を良くし、身体の新陳代謝も促進します。皮膚を清潔にすることで汗をかきやすくなり、発汗作用もスムーズに機能します。

ただし、次の条件に当てはまる場合は、入浴は NGです。

  • ⅰ体力低下が激しい場合 → 38度以上の高熱、全身倦怠感、嘔吐や下痢で脱水傾向であるときは避けましょう。
  • ⅱ熱い風呂や長時間の入浴 →熱いお湯や長時間の入浴は体力を消耗します。
  • ⅲ入浴環境が寒い →浴室はミスト、脱衣所はヒーターなどで温めておきましょう。
  • ⅳ風呂上がりにダラダラする →風呂上がりはすぐに布団へ。

髪を乾かす時間を省くため、洗髪は見送るのも賢明です。

なお、銭湯、岩盤浴、サウナなどは、先ほどの「湯冷め」する環境を作りやすいですし、何より周囲の方に迷惑をかけることにもなりますから、避けるのが賢明です。

④ビタミン Cで予防・回復できる

現時点では、医学的には、ビタミン Cの風邪予防・回復に対する効果はないと指摘されています。ビタミン Cを多めに摂取しても、健康への影響はほとんどありません。必要以上に摂取しても、尿と一緒に排出されます。反対に、あまりにも多く摂り過ぎると、下痢や胃腸障害を引き起こすこともあります。

もちろんビタミン Cは、コラーゲン生成や傷の治癒、免疫系の強化など、身体にとっては必要ですが、わざわざサプリメントを飲まなくても、食事から十分なビタミン Cを摂取できることがほとんどです。

風邪をひいたときだけビタミン Cを大量補給するのではなく、日ごろからビタミン Cを含めたバランス良い食事を意識することが、一番の風邪予防につながります。

ただし、アスリートなど身体的負荷が高い人にはビタミン Cが有益であるという研究があります。激務が続く肉体労働をされている人の風邪予防には検討の価値はあります。

⑤うがい薬で風邪は予防できる

うがい薬に風邪の予防効果は期待できません。

健康な成人 387人を対象に、水とポビドンヨード(うがい薬)のうがいを 60日間比較試験したところ、 1日 3回以上の水うがいにより、風邪症状が 36%減少し、うがい薬との差異は確認できなかったというデータがあります。

逆からいえば、水うがいだけで 4割も風邪症状の軽減に効果があるのです。

⑥「空間除菌グッズ」を使う

最近発売されている空間除菌グッズなどは、医学的な根拠に乏しく、消費者庁からも公式に警告的な措置命令が出されているものもあります。

過信しすぎないようにお使いください。

●「厚着」がよいとは限らない

風邪をひいたとき「暖かくしなさいね」と言われたことはないでしょうか。

もちろん、寒気がするような時は暖かくしたほうがよいですが、熱が上がって汗が出てきた段階では、過剰な厚着は避けましょう。

体は発汗することで熱を下げようとしますから、アクリルなどの熱がこもりやすい服を重ね着などせず、綿素材など通気性の良い服で、こまめに着替えることが大切です。

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