MENU

第 七 章 「ゲーム・チェンジャー」奇跡のヴィーガン・アスリート──菜食にしただけで、驚異の新記録!超人選手が続出

・世界に一大衝撃のドキュメント映画・意外!古代人は、ベジタリアンだった・菜食選手が、肉食野郎をボコボコに!・三五四〇キロ完全走破で、新記録達成・肉食信仰〝洗脳〟は一九世紀から・菜食アスリートに金メダリスト続出……・菜食者のたんぱく摂取量は一・七倍と十分・動物食(アニマルフード)で血がにごる・植物の抗酸化物質は、肉類の六四倍!・赤身肉と卵の白身は、健康に〝おすすめか〟? ・「見たか!これがヴィーガンパワーだ」

第七章『ゲーム・チェンジャー』奇跡のヴィーガン・アスリート──菜食にしただけで、驚異の新記録! 超人選手が続出世界に一大衝撃のドキュメント映画「肉食」から「菜食」へ『ゲーム・チェンジャー』というドキュメント映画が、世界的に話題になっています。 副題は「スポーツ栄養学の真実」。チャッチコピーは「衝撃的!革新的!科学」「葛藤と栄光の物語」「……そして世界最強のアスリート」 内容は、「肉食」から「菜食」に転身したアスリートたちの驚異の記録です。 冒頭、あの俳優アーノルド・シュワルツェネッガーが登場するのには驚かされます。 若いころのかれは、ボディビルディングの世界チャンピオンとしても知られる。 なんと、かれはこのドキュメント映画プロデューサーに名を連ねています。 製作総指揮は、 SF大作『アバター』監督ジェームズ・キャメロン。そうそうたる著名人が、このドキュメントを支えているのです。「肉ばっかり食いまくったよ」。シュワルツェネッガーは、若いころをふりかえる。 「CMも言っていた。『ステーキだ!それこそ、男のメニューだ』とね。『真の男は、肉を食べるものだ!』。それは、たんなる宣伝文句で現実ではない(笑)」 このボディビルダー界のレジェンドも「俺はいま九九%ヴィーガンだよ!」と肩をすくめて笑う。 「……自分でも本を読んで調べた。わかったのは、たんぱく質は、別に動物からとる必要がないこと。だから、菜食に切り替えていった。菜食主義者のパンチも悪くないぜ。料理も味にこだわった。すると、菜食のほうが好きになった。コレステロール値も一〇九まで、下がったよ。こんなに下がったのは初めだ。もうすぐ六九歳だが、こんなに元気さ」剣闘士は菜食主義 物語は、かつての総合格闘技チャンピンの独白から始まります。 ジェームス・ウィック氏。かれは二〇〇九年、ウェルター級優勝者。一五年間、格闘技術の指導を行ってきた。あるときケガをした。車椅子を余儀なくされた。かれは、半年間のブランクを活用して、多くの科学論文を読みあさり、栄養とリハビリの勉強に励んだ。そして、一つの論文で、古代の剣闘士のことを知った。 「──剣闘士の多くは、菜食だった!」 古代の競技場の遺跡から、数十体もの剣闘士の人骨が発掘されています。そして、遺骨の成分を科学的に分析した結果は、おどろくべきものでした。 「……剣闘士は、菜食主義者(ベジタリアン)だった!」 だれもが耳を疑う。 しかし、徹底的に科学的な分析は、すべて、その事実を裏付けているのです。 「……当時、かれらは、特別扱いされており、最高の医療も受けられた。その格闘家のプロが菜食主義者だったとは。栄養学の常識とはあいいれない」(研究チーム) 格闘家のジェームス氏も、あぜんとする。 しかし、剣闘士たちの頑健な骨格を形づくったのは、まぎれもなく、かれらが毎日食べた大麦などの菜食だった。 ここでも、肉食主義者がマッチョという固定観念は、打ち破られたのです。意外! 古代人は、ベジタリアンだった完全に誤った肉食説 「……人類の祖先は、肉食だったと結論しがちだが、考古学の評価とちがいます。かれらは〝草食〟だったのです」(ハーバード大学・自然人類学者、リチャード・ランガム医師) これも、古代の剣闘士同様に耳を疑うでしょう。 古代の先住民は、農耕ではなく狩猟で生きていた。われわれは学校でも、そう教えられた。古代人の生活を描いたイラストも男性はみな、槍をもっている。集団でマンモスを狩る光景など、教科書からのイメージは、まさに狩猟の民、肉食者たちだ。 「……肉食説は、二〇世紀前半に、盛んに言われていました。さまざまな古代人の遺跡が発見され、発掘された動物の骨と道具から、肉を処理していた、と考えた。早くから肉食説があったわけだが、事実でありません」(ダートマス大学人類学教授、ナサンシェル・ドミニィ医師) 古代人は、菜食なのに、肉食とかんちがいしてしまった。どうしてか……? 「……道具と動物の骨にばかり注目したからです。考古学の偏見が事実を曲げたのです。〝時間〟が問題です。骨や道具の保存状態にくらべて、植物はすぐ腐敗します。新たな発見は、微細な植物の化石が保存されていたのです。旧石器時代の遺跡でさまざまな植物に出合います」(マックスプランク研究所、考古遺伝学者、クリスティーナ、ワーリナー医師)すべてがつながった 科学的な解析技術の進化のおかげで、古代人の道具や骨、歯の分析が進んでいます。 そして──。 「……なんと、わたしたちの祖先は、草食に近かったのです。理由はかんたんです。遺伝子的にも、身体構造的にも、人間は肉食に向いていません。植物

の消化吸収に適応しているのです。肉食動物にくらべて消化管が体長の五倍と長いので、植物を消化できます。人間はビタミン Cを自分で生成できません。ビタミン Cは植物に含ませているのです。人間が植物を必要とするゆえんです」(ワーリナー医師) 「……われわれの脳はブドウ糖を必死で求めるんだ。唯一のエネルギー源だからね。肉は良い供給源じゃない。別のものを食べないとダメ。効率よく摂取するには糖質がいちばんだ。おまけに霊長類の犬歯は、肉食のためではない。ゴリラのオスは立派な犬歯で、他のオスを威嚇するだけだ。肉食動物の歯はハサミのような形だ。しかし、人間の歯はあまり尖っていない。植物繊維向きなのです。あなたが原始時代に放り出されたとします。尖った槍なんか大して役に立たない。一番必要なのは植物の知識です。食べるためにね」(ロンドン大学、遺伝学者マーク・トーマス博士) ──つまり人類の「歯」が証拠です。肉食にはまったく向いていない。 「……すべてがつながった。動物性食品が問題なのは、体に合ってないからだ。〝まちがった燃料〟なのです」(『ゲーム・チェンジャー』)ガン糖尿病で四〜五倍死ぬ 研究者たちの決定的な証言があいつぎます。 「……動物由来のアミノ酸は、細胞を活性化し、増殖させる傾向があります。チーズなど乳製品由来のたんぱく質を過剰に摂取すると、前立腺ガンのリスクが四〇%も高まるのです。動物性たんぱく質とガンとの関連性は、明らかです。米国立ガン研究所( NCI)も、報告しています(ハーバード大学教授ウォルター・ウィレット博士)。 「……骨粗しょう症は、カルシウム欠乏による?これが真実なら、乳製品を大量に摂取する欧米の骨粗しょう症は、少ないはずです。しかし、カルシウム摂取が多い国ほど、この症状が多発している。グラフ 26は、一〇万人当たりの〝股関節骨折〟人数。カルシウム消費の多いアメリカ、ニュージランド、スウェーデンほど骨折が多い。それにたいして、カルシウム摂取の少ない香港などは骨折率が低い。牛乳飲むほど、チーズを食べるほど、骨粗しょう症になる」(キャンベル博士) 「……つまり乳製品で骨粗しょう症になる。これは、酪農業界の主張と正反対です。動物性たんぱく質で、体液が酸性状態になることを〝メタボリック・シンドローム〟と言います。これを克服するため、体は酸を中和する骨カルシウムを溶出させ、酸は中和され、骨はもろくなるのです」(同博士) CM、業界、政府は敵だ──しかし、現在、地球は肉食者であふれています。 牛乳・チーズも大量消費されています。 なぜか……? (『ゲーム・チェンジャー』の画面は、スーパーマンの格好をした子どもの映像に切り換わる) 外からナレーション。 「……みなさん、スーパーマンの登場です。スーパーマンは肉、食べる?」「うん、そうだよ。強くなるためさ。子どもも食べなきゃ」 子どものころから「強いスーパーマン」「肉を食べるひと」というイメージが刷り込まれている。 「……学校給食で、子どもがお昼の食事を受け取った瞬間に、連邦政府の〝改策〟が機能しているのです。補助金まみれの牛乳でつくったチーズ。野菜や果物はほとんどない。政府と食料生産者とくに食肉業界の癒着が原因です。子どもたちの健康より、巨大企業の経営がすべてなのです」(医療研究者、ニール・バーナード医師) こうして人類は「肉や牛乳は体に良い」という固定観念で〝餌づけ〟されています。 それは、政府と癒着した政界、業界、学界がねつ造したものです。 その背後に〝闇の勢力〟が潜んでいるのは言うまでもない。

菜食選手が、肉食野郎をボコボコに!ベジ格闘家の圧勝 ──肉食 vs.菜食──をめぐる論争が、とある総合格闘技の対決にまで、もちこまれている。 UFC世界チャンピンのマクレガーと対戦相手ディアスの試合です。 マクレガーは朝昼晩、毎日ステーキを食べている。「牛肉なら何でも食うよ」。 これにたいしてディアスは菜食中心。「野菜を食べよう」と周囲に呼びかけている。「相手にならん」と記者会見でマクレガーは言い放つ。「俺はライオンだ。草食のお友達の前で、お前を食ってやるよ」 ところが、試合結果は、マクレガーの惨敗でした。 ここでも菜食パワーは、肉食に勝っていた。 「……どうだ! 実力の差だ。ざまあみろ」(ディアス) 「……最後はスタミナ勝負で、相手が上手だった。試合前、九日間、毎日、肉を大量に食ったがムダだった」とマクレガーは悔しそう。ヴィーガンの世界王者 ネバダ州ラスベガス。ヴィーガンの総合挌闘技(アルティメット・ファイト)世界王者マック・ダンジグがいます。 この競技は筋力、体力、忍耐が必要です。かれはすべてを備えたファイターだ。 かれが菜食に転換した理由を語る。 「……乳製品アレルギーがあったんだ。それで、乳製品を除去した。それまで菜食に踏み切れなかったのは、鶏肉と魚だ。体づくりに必要だと思っていた。アスリートなら、たんぱく質のために鶏肉と魚だけは必要だと信じていた。そんな、あやまった考えが浸透していたよね。だけど、それもやめた。ほとんどのひとが、菜食者は、やせていて、ヒッピー系だろ、と言う。その固定概念を、くつがえしたいのではない。ぼくはヴィーガンを個人的理由でやっているだけ。じつに、いい感じだよ。肉を食べないほうが、力が出る。練習の合間の回復も早い。孤立したいわけじゃない。やりたいようにやっているだけだ。死ぬまで、肉も乳製品も食べないよ」三五四〇キロ完全走破で、新記録達成!ウルトラ・マラソン完勝 菜食主義者アスリートをネットで検索する。 するとまず出てくるのがスコット・ジュレクだ。かれはウルトラマラソンの勝者だ。 一六〇キロもの長距離走で、新記録を樹立している。 ウルトラ・マラソンは、平坦な道を走るのではない。岩山など過酷な地形を長距離走りつづける。ジュレクは、名だたるレースを次々に制覇して名声を築いた。 たとえば、最高気温五四 ℃の灼熱砂漠を二一七キロも走破し優勝している(〝ウェスタン・スティツ 100〟)。 かれは、そのころから菜食に目ざめた。肉を食べるべきかレース直前まで迷っていた。 しかし、菜食に替え、断トツ一位で優勝して七連破を果たした。 やはり、食事だ。まちがいなく菜食が、勝利の原動力となった。 それで、満足するジュレクではなかった。かれは、人生の壁に挑戦しようとしていた。 多くの競技レースを制したかれが目ざした次なる目標は、アパラチア山道の最速踏破記録だった。それは、北米大陸の東側を縦走するアパラチア山脈の尾根を走る、という過酷なものだ。 その距離三五四〇キロ……。おそらく、地球上で最長コースだろう。 ドキュメント映画の取材カメラが、その姿を追う。 目標は、現在の「四六日一時間」の記録を破ること。 まず、平均三三五〇メートルものアップダウンを走破する毎日のトレーニングに励んだ。 未知なる経験だ。菜食だけで、十分なエネルギーが確保できるのか? しかし、それは取り越し苦労だった。ヴィーガンのかれはみごと、アパラチア山脈を縦走し人類未到の新記録を打ち立てたのだ。肉食信仰〝洗脳〟は一九世紀からカップにまで〝牛〟のイラスト 菜食は、筋肉のエネルギーになるのか……? その問いに一人の医師が答える。ジェイムズ・ルーミス氏。かれはアメフトの二つのチームの優勝に、チームドクターとして貢献している。ワールドシリーズとスーパーボウルだ。 「……選手の栄養に関する知識は、時代遅れだった。フットボール選手の夕飯を見れば、一目瞭然です。ステーキやチキン、たんぱく質に偏った食事です。それらが、エネルギー源と信じていた。じっさいは、運動エネルギー源は糖質で筋肉に貯蔵される。糖質を制限して、たんぱく質に偏る食事をすると、結果として、体内は慢性的な糖質不足に陥ります。それか、慢性疲労やスタミナ不足の原因となる」(ルーミス医師)

かれは、著名なスポーツ栄養学者として、断言する。 「……スポーツ栄養学には、誤解があった。『高いパフォーマンスに、植物たんぱくは必要ない』と言われてきた。これはまちがいだ。多くのひとが目をさますときだ」 いつから、こんな誤った〝肉食神話〟が、広まったのだろう? その〝洗脳〟は、すでに一九世紀から行われていた。ある新聞広告は「アスリート向け」と書かれたコーヒーカップのイラスト。牛が自転車をこいでいる……! つまり自転車競技選手は「牛肉がベスト!」という〝洗脳〟だ。リービッヒの深き罪「肉はエネルギー源!」という説を唱えたのが生理学者 J・ V・リービッヒだ。 かれは「筋肉エネルギーの源は、動物性たんぱく質である」と主張した。 さらに「菜食主義者は持久力がない」と論文でこきおろしている。 このリービッヒ説は、産業界などから広く支持され、農務省から、お墨付きまで得た。 ここまで読んだら、ピンとくるだろう。 まさにフォイト栄養学と同じ。ディープステートにより、リービッヒ説も、大衆〝洗脳〟装置として、採用されたのだ。しかし、この珍説は科学的には、完全なまちがいだった。 筋肉を動かすのは植物由来の糖質なのだ。 しかし、科学的真実は〝洗脳〟と〝ビジネス〟の前に、かき消されてしまった。 リービッヒは、ちゃっかり自分の名前を冠した食品会社まで設立している。 そして肉製品を売りまくって荒稼ぎしているのだ。菜食アスリートに金メダリスト続出……持久力差が違う しかし、こんな非科学的なウソに、だまされない賢明なひともいた。 一九〇八年以降、菜食主義の金メダリストが何人も誕生している。 一九二〇年代に金メダル九個を獲得したランナー P・ヌルミ選手。 一九五六〜六〇年に、金メダル四個獲得した水泳の M・ローズ選手。 一九七六〜八四年、 E・モーゼス選手は障害物走で二個の金を得ている。 そして、一九八四年以降、九個もの金メダルを獲得した陸上のカール・ルイスが菜食主義者であったことは、あまりに有名だ。 かれは、三〇歳で食事を菜食に替えて、自己ベスト記録をマークした。 さらに、オリンピック最年長の優勝記録も樹立している。 ヴィーガン・アスリートたちは、現役にも多い。 女子陸上中距離のミッチェル選手は、ぶっちぎりの強さを見せている。 二〇一六年オリンピック、オーストラリア代表。当時、彼女の菜食は疑問視されていた。しかし、体の調子もよく、周囲の予想に反して連戦連勝……。 「……ライバルとは、ちがうことをしたい。栄養状態もよかった。勝つ自信はあったわ。不敗でシーズンを終えるのもカッコいい。大会に勝って色を添えるのもね」(ミッチェル選手) 日ごろの菜食が、後半の持久力の差になった。 レースの最後五〇メートルは筋肉疲労が激しい。だから、持久力の差がものを言う。筋力も二倍アップ ドッシー・バウシュは最年長、金メダリストとなった。 自転車レースで全米チャンピオンを七回達成。パンアメリカンで二連破。彼女も菜食アスリートとして、知られる。トラックレースは、大変なエネルギーを消耗する。トレーニングは週六回のプログラムで行っている。一日四〜五時間、山の上り下りをくりかえす。 「……わたしは肉料理で有名なケンタッキー出身よ。だからヴィーガンに移行するとき、耐えられるかどうか、不安だった。でも、レースは劇的に勝利した。筋肉トレーニングもレッグプレスの重りを一三六キロから二六五キロに二倍アップ。六〇回 ×五セットをクリア。重い物を動かすには筋力も必要でしょ。最初は。菜食で十分なたんぱくが摂取できるか?確信をもてなかったけど……菜食の効果は、わたしを裏切ったわ。始めたばかりで、やる気満々になった。アスリートに回復力は、最重要な要素。選手生活は、ケガと回復のくりかえしだから、人一倍運動して、ケガから回復して一流選手になれる」(バウシュ選手) そして、最高齢での金メダル……! 「……当時三五歳だったわたしは、引退を考えていた。しかし、菜食がわたしを変えた。そしてオリンピック代表に選ばれ〇・〇八秒差で勝った。三九歳でオリンピック表彰台に立った。男女合わせてわたしが最年長です。食事こそ、わたしの最大の武器だった」菜食者のたんぱく摂取量は一・七倍と十分必要十分なたんぱく スポーツ・ドクター、ルーミス医師の解説だ。

「……スポーツ栄養学で最大の〝誤り〟は動物性たんぱく質への過信です。牛肉に含まれるたんぱく質は、牛が食べる植物に由来する。すべてのたんぱく質が植物由来だとは……意外でしょう。牛、豚、ニワトリも、たんなる〝中継ぎ〟なのです。たんぱく質摂取量を比較した研究では、菜食主義者は、必要量を七割も超える十分量を摂取しています。肉食であっても、たんぱくの半分は植物由来なのです」(ルーミス医師) なるほど、アスリートにとってたんぱく質は生命線だ。 それが、必要量の一・七倍という十分量をベジタリアンは、とっている。 たんぱく不足を心配することなど、まったくない。 「……自分の摂取カロリーを基本に計算すると、菜食に替えても、たんぱく質は十分なのです。たとえば、一カップの大豆やビーナッツバター・サンドは、八五グラムの牛肉か、卵三個分に相当します。質的にはどうでしょう? 植物たんぱくは、質が劣るでしょうか? たんぱく質はアミノ酸が結合したものです。体内で合成されない必須アミノ酸です。多くのひとは、動物性たんぱくのほうが完全であり、植物性は不完全である、と思っています。これも誤りです。植物にも、すべての必須アミノ酸が含まれることがわかっています。筋力について言えば、アミノ酸必要量が適量であれば、植物性、動物性かは関係ない、という論文もあります」(ルーミス医師) スポーツ界には菜食ファイターも増えている。 全米ヘビー級ボクシング、タイトル挑戦者ブライフン・メジェミングス。王者グリチコと互角に戦った男だ。 「……肉をやめたのは二〇一二年の終りごろ。昔は野菜なんか、食べない暮らしで、名前を知らない野菜が、沢山あったよ。菜食になると〝たんぱく質はどうする?〟と聞かれるけど、何を食べているかなど気にしなかった」 その体は、菜食者とは思えぬ隆々たる筋肉です。大豆エストロゲンは心配無用! 大豆は、米国政府も「ガンを防ぐ食品」の一位にあげています。 まさに、菜食のトップバッター。しかし、一部のひとは、そこに含まれる成分〝エストロゲン〟を気にしています。これは女性ホルモンに似た物質です。つまり、大豆を食べると〝女性化〟するのでは……という不安です。 ところが「まったく心配ないよ!」とヴィーガン・ボディビルダーは笑う。 「……大豆に含まれているのは、植物エストロゲン。(女性ホルモンの)エストロゲンとは、反対のはたらきをします。さらに、乳製品由来のエストロゲンの過剰生成を防いでくれます、(動物性)エストロゲンは、鶏肉、卵、乳製品などに多く含まれ、ホルモン・レベルに大きく影響します。コップ一杯の牛乳で、エストロゲン・レベルが一時間で二六%も増加、(男性ホルモン)テストステロン・レベルは一八%減少する」(出典『ゲーム・チェンジャー』) あなたは、イライラしたり、落ち着かないときがありませんか? そんなときは、〝ストレス・ホルモン〟のコルチゾールが体内で分泌されています。 この〝ストレス・ホルモン〟分泌も、何を食べたかで、大きくちがいます。コルチゾールの作用はイライラだけではない。 分泌されると「筋肉量は減少、体脂肪は増加」する。 さらに、食事を動物性から炭水化物を中心にシフトすると、コルチゾール・レベルが二七%も減少しています。 つまり、肉食系はイライラだけでなく、筋肉ゲッソリ、お腹はプックリとなるのです。動物食(アニマルフード)で血がにごる植物食と比較する アスリートたちは、ヴィーガンになって、目ざましく成績をあげています。 動物食から植物食にシフト──。 それだけで、どうして運動パフォーマンスがアップするでしょう? ポイントは、血液の〝濁り〟です。植物食と動物食では、血漿の〝透明度〟が決定的にちがうのです。血液の〝濁度〟は食べたもので正直に変化します。 「……選手が競技の直前に食べる食事は、食後六〜七時間は血液に影響をおよぼします。昼はバーガー、夜はステーキだと、一日中、血液が濁ってしまうことになります」(ボーゲル医師、前出) 二四時間、動物性のたんぱくと脂肪で、血液が濁る。すると、どうなるでしょう? 血管の内壁は、内皮という薄い細胞層で覆われています。この内皮の働きは、血流の調整です。筋肉や臓器に必要な血流量に応じて、血管を拡張させています。しかし、血液の濁りは、内皮細胞を弱らせます。内皮層が弱まると血管が拡張しにくくなる。すると、十分な血液が流れなくなる。つまり、血行不良となり、筋肉や骨格が十分に動けなくなる。こうして、アスリートのパフォーマンスは低下します。 これが、肉食系と菜食系の選手の決定的な差となるのです。 ロバート・ホーゲル医師が面白い実験をしています。 かれは、心臓血管の専門家です( NFL循環器系疾患、小委員会)。 「……選手が競技の直前に食べる食事は、パフォーマンスに大きく影響します。食事は血管内皮機能に、相関関係があります。内皮は、うすい細胞の層で、血流を調整しています。筋肉や臓器に必要な血液量に応じて、血管を拡張するわけです。しかし、内皮細胞が弱まると、血管が拡張できず、十分な血液が送れなくなります。したがって、選手はパフォーマンスが落ちる」のです。 ホーゲル医師は、三人の被験者を選んで実験してみせる。全員フットボール選手です。 三人の朝食には、たんぱく質が豊富なブリトーを用意しました。 二人には、各々、牛肉とチキン。それに脂肪ソースで味付け。残る一人、グリフは、四年間、菜食主義なので、二日とも菜食メニューは豆ブリトー。植物由来のたんぱく質と脂肪です。翌日は三人とも菜食の豆ブリトーにした。牛肉、チキンで白濁 「……食材のちがいで、どんな影響が出るかを検証してみます」(ホーゲル医師) 一人は肩をすくめる。

「試合前は、いつもフライドチキン。大好きなんだ」 三人共、毎食二時間後、血液採取して遠心分離器にかける。 赤血球は、底に沈み、血漿は上部に分離される。 「……透明な血漿なら、内皮細胞がうまく働いています」(同医師) その結果──。 植物性ブリトーを食べた直後は、全員、血漿は透明です。 しかし、牛肉、チキンを食べた直後は、血漿が白濁している。 「……動物性たんぱく質と脂肪の影響は大きい。血液が濁ってしまい運動能力も十分に発揮できません」(同医師) 選手の一人がつぶやく。「なんてことだ!フライドチキンはやめよう」 多くの研究が「植物食には、内皮細胞機能を改善し、血液を良くする」と結論づけています。「トレーニング前の一杯のビートジュースで、被験者の運動能力が向上した」という報告すらあるのです。植物の抗酸化物質は、肉類の六四倍! × ×炎は肉食が原因 動物性たんぱく質は、血液を濁らせるだけではない。 牛肉、豚肉、チキン……などは、体内で炎症を加速する。 「……とるたんぱく質は、動物系か植物系かが重要です」(米国ボブスレー連盟、スコット・ストール医師) たとえば牛肉たんぱくと豆たんぱく……。 「……動物由来と植物由来、どちらが炎症やケガの治癒を、早めるでしょうか? 動物性たんぱく質は、『炎症を引き起こす』可能性があるのです。複数の〝炎症物質〟を、含んでいるからです。さらに、動物食品を摂取すると、消化中に腸内フローラ(細菌叢)を変質させます。その結果、炎症を促進し、細菌種がはびこり、炎症ミディエータ(仲介物質)〝 TMAO〟を産生する」(ストール医師)胃炎、盲腸炎、大腸炎…… 消化器系の炎症といえば、胃炎、盲腸炎から大腸炎、さらに痔までが思い浮かぶ。 動物食(アニマルフード)は、それら炎症のひきがねだった……。 「……ハンバーガー一つで、血流を損ねると同時に、炎症の可能性を高める、という報告があります。炎症は、動脈の血液を悪化させ、筋肉や関節の痛みを増加させます。それにたいして、植物食品は、たんぱく源であり、ミネラル、ビタミンも豊富で、抗酸化作用もある。それは、炎症を抑え、腸内環境を整えます。また、血液供給、身体能力も高めてくれる。野菜や果物など植物性食品は、抗酸化物質の〝宝庫〟なのです。レタスですら、サケや卵より、含有量は豊かなのです」(同医師) 抗酸化物質の含有量を比較すると、植物食は動物食の六四倍もある。 「……菜食に切り換えるだけで、三週間で炎症の数値が二九%も減少します」(ストール医師) つまり、菜食アスリートは、それだけケガ、疲労、病気から早く回復する。 ヴィーガン・アスリートが驚異的な回復とスタミナを見せるのもとうぜんです。 「……菜食シフトは、一方で能力に、一方で健康に影響します。慢性炎症もその一つです」(予防医療研究所、ディーン・オーニッシュ医師) さらに、菜食は筋肉強化にも役立つ。 「……菜食は、腱や筋肉の血管を太くし、傷ついた組織を修復し、新しい組織を生成する。免疫力を高め、感染症を撃退する。あらゆるレベルで、『正しい食事』は、自然治癒力を高めてくれます」(同医師)赤身肉と卵の白身は、健康に〝おすすめ〟か?〝ヘム鉄〟に要注意 「……動物食(アニマルフード)を食べると、冠状動脈の内壁に、こびりついたプラーク(コブ)を形成します。これは、動脈の機能を制限するだけでなく、血流をふさいでしまう。体を維持するため、とうぜん、心臓に負担がかかります」(米国心臓病学会、会長キム・ウィリアムズ医師) 「……赤身の肉だけが、心臓病の原点ではない。もっと複雑だ。赤身や脂肪だけではない。それが、〝飽和脂肪酸〟の危険性だ。五〇年近くも飽和脂肪とコレステロールが原因とされ、代わりに、赤身肉や卵の白身が解決策とされてきた」(コロンバス・バティスタ医師)『卵の白身で健康に!』という本まで出版されている。 「……研究によると動物性食品の炎症因子は、回復を損ねるだけでない。心臓病を引き起こすはたらきもします。つまり、動物食(アニマルフード)をやめればいいのです。科学的な根拠はあります。たとえば〝ヘム鉄〟です」(ウィリアムズ医師) 「……〝ヘム鉄〟は、動物由来で、赤身の肉や鶏肉、魚にも含まれています。研究者たちは食事に関する優秀な研究を統合して一三万人以上の患者を調査し、結論にいたった。毎日一ミリグラムの〝ヘム鉄〟摂取で、冠状動脈疾患リスクが二七%高まる。〝ヘム鉄〟は、ハンバーガー一個に二〜三ミリグラム含まれるのです」(血友病専門医、ヘレン・ムーン医師)犯人は動物性たんぱく質 「……問題は、ヘム鉄だけではありません。動物性たんぱく質も問題です。それは個別の食品の問題ではない。摂取自体が問題なのです。摂取した時点で、体内で化学変化が起きる。たんぱく質は加熱または保存されたり、腸内で消化されると、炎症化合物が生成されてしまいます。なぜ、菜食主義者は、心臓病リスクが五五%も低いのか? その理由がわかりました。なぜ、菜食が心臓病の回復につながるかも理解できるでしょう」(バティスタ医師)

「……菜食一か月で、心臓機能は、正常になり、血液も改善したのです。一年後には、冠状動脈の詰まりが減少し、五年後には、さらに改善しました。しかし、赤身肉を減らし、魚とチキンを増やしたグループは、一年後に詰まりが増加し、五年後には、さらに悪化したのです。動物性の高たんぱく食をするひとは、早死にする確率が七五%も高くなります。ガンや糖尿病での死亡率も四〜五倍も高まるのです」(予防医学研究所ディーン・オーニッシュ医師) 「……動物由来のアミノ酸は細胞を活性化し、増殖させる傾向がある。乳製品由来のたんぱく質を過剰に摂取すると、前立腺ガン・リスクが四〇%高まる。ガンとの関連性は明らかです。動物性食品とガンとの関連は、米国立ガン研究所も報告しています」(ハーバード大学教授ウォルター・ウィレット博士) オーニッシュ医師は、こう結論づける。 「……アスリート用、心臓病用、糖尿病用、前立腺ガン用……とか、異なった指針があるわけじゃない。やり方は一つです。動物食を植物食に替えることです」ビタミン 12問題は? 「……結論は、はっきりしています。動物性食品が問題なのは、『体に合っていない』。〝間違った燃料〟なのです。唯一、気になるのは B 12です。動物食品にしか含まれてない、といいます」(『ゲーム・チェンジャー』) じつは、 B 12問題は、肉食者が菜食者を〝攻撃〟するときの格好の標的です。 「…… B 12は、動物にしか含まれてない。動物を食べなければ B 12欠乏症になってしまう。だから、菜食主義はまちがいだ!」(同) この〝攻撃〟にたいして、『ゲーム・チェンジャー』では冷静に解説しています。 「……じつは、 B 12は動物が生成するのではない。それは、土や水の中にいるバクテリアがつくっているのです。ここでも、動物は仲介をするだけです。かつては放し飼いの動物も人間も、野菜についた微量の土や川の水から B 12を摂取してきたのです。しかし、殺虫剤や抗生物質がバクテリアを殺してしまった。だから動物の家畜ですら B 12が必要なのです。人類も三九%もの人が B 12不足です。それは肉食か、菜食かは関係ありません。だから、 B 12の摂取はサプリでとりましょう」(同) 「B 12サプリ」は、自然食品店などでかんたんに手に入る。 殺虫剤や抗生物質に汚染されない自然な大地がよみがえる。 そうなれば、それも必要がなくなるのは、言うまでもありません。「見たか! これがヴィーガン・パワーだ」〝バトル・ロープ〟一時間! ジェームス・ウィック氏の痛快体験……。 一〇分もできなかった〝バトル・ロープ〟が一時間でも平気になった。 これは、一〇メートルほどの太い二本のロープを両手で上下に振って、持久力を競うもの。菜食シフトするとスタミナ、持久力が奇跡的にのびることが証明された。 「……菜食を始めて六週間、ジムで体力の変化を見てみます。手始めに〝バトル・ロープ〟に挑戦しました。一〇分間つづいた者は、壁に名前を書く。少数ですが、二〇分つづくひともいる。わたしは体調の良いときで八分。ところが、いざ始めると……楽勝で一〇分がすぎ、二〇分経過、四五分たった。この調子だと一時間いける。そして、一時間たったので、やめました。〝これくらいかな〟といった感じ。ただ食生活を変えただけで〝新記録〟だろ! まわりは大騒ぎだよ」 これまで、ロープバトルは、八分しかできなかった。 なのに、ヴィーガンに替えたら軽く六〇分もできた。なぜでしょう? 「……選手が競技直前に食べる食事は、パフォーマンスに大きく影響します」( NFL循環器疾患小委員会、ロバート・ボーゲル医師) 「……プロ選手はたんぱく質に関心が強い。問うべきは、その由来です。植物か? 動物か? どちらが炎症やケガの治癒を早めるのでしょうか?」(スコット・ストール医師、米ボブスレー連盟オリンピック・チーム担当) アスリートにとってケガや炎症からの回復は、重大だ。ところが……。 ストール医師は「動物性たんぱく質は、ぎゃくに炎症を引き起こす可能性がある」と警告する。前述のように、動物性たんぱく質は、複数の〝炎症因子〟を含んでいるからです。 炎症を引き起こすのは〝 Neu 5 GC〟や〝ヘム鉄〟などの成分です。重量挙げチャンピオン「菜食主義者は、やせている……」 これも偏見である。ヴィーガンで筋肉隆々の大男もいくらでもいる。 たとえば重量挙げ選手ケンドリック・ファリス選手。試技一回目、一六〇キロを軽々ともち上げる。かれは二度のオリンピックで、アメリカ代表として出場している。頭上まで一〜二秒で一気にもちあげる。瞬発力のある動きだ。 かれはうちあける。 「……俺が菜食に変えたとき。周囲の雑音がうるさくてね。〝草しか食べない?だいじょうぶかい〟って(笑)。俺は、元オリンピック代表だぜ。二度もアメリカ新記録を達成しているんだ。菜食にしたら重量挙げ三度目の代表に選ばれた。アメリカ記録も塗り替えた。二〇九キロをもち上げたんだ。早く菜食にすればよかったぜ」世界最強ヴィーガン さて──。 世界最高の怪力男を紹介しよう。 パトリック・バブーミアン。地上最強の一人と称えられ。数々の怪力世界記録の保持者だ。樽挙げ、ロッグリフトなど、あらゆる怪力競技を制覇してき

た。 「……かれは牛肉や卵をふくむ動物食(アニマルフード)を食べません」(『ゲーム・チェンジャー』) バブーミアンは取材に答える。 「……〝肉を食べないのに、なぜ強い?〟って、聞かれたよ。だから、〝雄牛は肉食かい?〟と答えたんだ(笑)。ヴィーガンになって、一〇五キロだった体重が、いまでは一三〇キロだ。同時に四つの世界記録もつくった。肉をやめてからのほうが、頑強になったよ」 かれは『ゲーム・チェンジャー』取材カメラの前で、五五〇キロの重さを両肩に担いで、一〇メール進む……という競技に挑んだ。 もち上げると棒が肩に食い込み、顔がゆがむ。 一歩、また一歩……と必死に前に進む。 そして、ついに、一〇メートルラインを越えた! かれは舞台の上でガッツポーズの拳を高々と挙げて、吠えた。「見たか! これがヴィーガン・パワーだッ」

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次