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第7章 ウソつきや詐欺師に騙されないために

こんな人は騙されやすい 騙されないためにどうするか? 自分の直感を信じること 断る理由は明確に 知識を増やして自己防衛する 悪いウソを見抜くスキルを高めよう 人に興味を持つ

電車内の人間観察 カードゲーム「人狼」 ウソつき、詐欺師の特徴 危ない会社(人)には「 3点離脱法」 刑事の雑談 「本庁と所轄は揉めごとが多い?」 おわりに 本文イラスト キムラみのる 編集協力 金本智

私は長いこと知能犯担当刑事をしていましたので、騙す側と騙される側、両方の話を聞く機会がありました。私の経験から、こんな方が騙されやすいと思います。「私は大丈夫だ」と思っている人「私は過去に騙されたことがあるから大丈夫」「私に限って騙されることはない」「私はそもそもお金がないから騙されない」などと、根拠のない自信を口に出す方がいます。 しかし、過去に一度でも騙された方はそもそも騙されやすいのです。私に限って騙されないということも絶対にありません。今、手元にお金がなくても、本当に困ったら、借りてでも払ってしまうものです。つまり油断大敵です。 騙された方が警察にくると、「私に限って騙されるとは思わなかった」と口を揃えて言います。私に言わせれば、だから騙されてしまうのです。 もしあなたが「私は大丈夫」、そう思っていたとしたら、そんな考えは一刻も早く捨ててください。変な自信が邪魔になり、いつかきっと騙されます。舞い上がってしまう人 人間には欲があります。その欲を満たす話を持ってくるのが詐欺師です。 その欲が満たされると思ったら、夢の世界に染まって舞い上がってしまう方がいます。現実の問題を無視して、優雅な未来ばかりに目がいってしまうのです。 世の中に、そうそううまい話はありません。「あなただけに特別なお話があります」……なぜ見ず知らずのあなたが私だけに特別な話をしてくれるの?「ここだけの話ですけどね」……隣の家でもここだけの話をしていませんか? おいしい話を信じて舞い上がると、冷静な判断ができなくなります。 欲を満たした未来はあとで考えることにして、とにかく冷静に、頭を冷やして、場合によっては時間をおいてから再度話を聞いてみるといいでしょう。優柔不断な人 騙される人の性格を簡単に言うと「優柔不断」の方が多いです。右へ行くか、左へ行くか、迷いに迷って結局どちらも決められず相手に任せたりします。 とにかく自分に軸がないため、言いなりで騙されてしまうケースが多いのです。 必要な話は聞く、必要じゃなければ買わないなど、意思をしっかり持つこと。そして他人に決定を委ねず、自分でよく考えて決めるようにしましょう。 そのためには、よくわからない状態で決めないこと。 詐欺師はいろいろな情報を与えて正常な判断ができないようにします。 聞いていないことも答えたり、質問を誤魔化してなんとなくわかった状態にするのです。そして契約を迫ったりします。 たとえば、投資話で「どうしてそんなに運用益が出るのですか?」と質問します。すると「 ○ ○という開発途上国ではさまざまな開発プロジェクトが進んでおり、近い将来、大きく経済成長します。その国の通貨を安価な今のうちに買っておき、経済成長に応じて値上がりしたところで売れば儲かるからです。先日勧めた私の知人は 10%の運用益をすでに受け取っています。数千万円も儲かったんでハワイに別荘を建てると喜んでいました。ハワイの別荘は貸してもいいし、所有していればそれも金になりますよ。 ○ ○さんの車はベンツでしたっけ。ベンツの調子はどうですか? 渋谷にある外車専門の中古車買い取りの社長をよく知ってますから、新車を購入されるなら高く買わせますよ。そうだ、今度ゴルフどうですか? 伊東で会員になりましてね……」、このようになんとなく質問に答えますが、矢継ぎ早にいろいろな情報を与えて、話の矛先も変え、わかったような気にさせるのが手なのです。 ですから質問に明確に答えてくれなかったり、聞いても内容がよくわからないときには、納得できるまで契約してはいけません。学習意識の低い人 オレオレ詐欺に遭った高齢女性が被害の届け出にきて、「あのー、実は私、前にもひっかかったことがあって今回で 2回目なんです……」「えー、 2回目?」なんてことがよくあります。詐欺師の嗅覚は鋭いのです。 昔、流行った「原野商法」という詐欺があります。北海道の原野で二束三文の土地を「今後、開発により高くなる」と売りさばく商法です。そのあと、騙された方の名簿が出回り「当時の被害を回復する方法があるから」と誘われて、また騙されたりするわけです。 痛い目に遭ったら忘れないように。失敗から学んだことを次に活かしましょう。友達が少ない人 詐欺やおいしい話にひっかかる人には足りないものがあります。それは親しい「友人」や「知人」です。まわりに相談できる人がいないので、自分の独断で判断して騙されるわけです。 独居老人がいい例です。親しい友人や知人がいたら「これどう思う?」と聞くことができます。そうしたら「それおかしいよ」とアドバイスしてくれることもあるかもしれません。 詐欺師は「旦那さんに相談しないようにね」「他人に言わないでね」「内緒の話だから」と、他人への相談を口止めする者もいます。口止めされたら余計に疑わないといけません。

自分の直感を信じること 詐欺の被害者が、警察に届け出にくると必ず言うことがあります。「あのとき、おかしいと思ったんだよ」 つまり騙されながらも、どこかで「おかしい」と気づいているのです。 気づいているのになぜ騙されるのか。 それはせっかく直感が働いてアンテナが立ったのに、自分なりに解釈して、アンテナをたたんでしまうからです。「やっぱりこの人いい人だし」「せっかく時間かけてもらっているし」「儲かるかもしれないし」……そうやってアンテナをたたんで、警戒心を解いてしまうのです。 人間の直感は鋭いものがあります。「何かおかしい」と感じたら、そのアンテナを立たせたまま、交渉していきましょう。それが怪しい人物に騙されないコツです。 断る理由は明確に 騙されないためには、「常に断る理由を明確に考えておくこと」です。 もちろんいろいろな詐欺のパターンはありますが、自分にとって利益のあるような話がきたときにはこれが使えます。 たとえば、最近私にもネットワークビジネスとか、資産運用話とか、投資話とかよくわからない話をしてくる人がいます。そんなとき、私はこう断っています。「私は元刑事です。そのお話は私にとっていい話なのかもしれませんし、何ら問題のないことなのかもしれません。しかし、仮におかしな話だとします。それに私が首をつっ込むと一瞬で信頼を失います。皆さん、私が元警察官ということで信用してくださっている方もたくさんいます。その信頼が私のブランドでもあるのです。ですから、そういったお話には一切関わらないようにしています。申し訳ありませんがお断りします。ごめんなさい」 つまり断る理由はいつも同じです。 言ってみれば自分ブランドの保持です。理由を明確にしてきっぱりと断るのです。そこに迷いはありません。ですから相手も引き下がるのです。 ここで私が優柔不断に対応したらどうなるでしょうか。 相手はまた話をしにくるでしょう。そのうち断り切れなくなり、契約に至るでしょう。 人間というのは、回数を重ねるごとに情が湧いて親近感を持ちますし、会う回数が多ければ多いほど断りにくくなります。その分、時間も投資するからです。 ですから悪い虫が寄ってきたときのために、明確に断る理由を常に考えておくこと。そして、なるべく早い段階で明確に断ることが騙されないコツでもあるのです。 知識を増やして自己防衛する 実際のところ、詐欺師のウソはそうそう見抜けません。そこで、知識を増やすことをオススメします。「こんな詐欺の話をどっかで聞いたことがあるぞ」「最近、こんな詐欺が流行だとニュースで見たぞ」とひっかかれば騙されることはありません。ですから「詐欺師の特徴」そして「詐欺の手口」を知識として増やしてください。

ここまでウソの見抜き方をお話ししてきましたが、では、どうしたらウソを見抜くスキルを高めることができるでしょうか。あなたでもできるいくつかの方法を紹介します。 人に興味を持つ そもそもウソをつくのは人間ですから、人間に興味を持たないといけません。 人間が嫌いだったり、人間に興味がないと、ウソを見抜くことができないのです。 人は、年齢、性別、出生地、居住地、職種、役職、家族構成、趣味など、本当に千差万別です。そこで、たくさんの方と接し、たくさん話をして、思考や行動原理を学びましょう。 ちなみに私は、警察時代から今までに数万人と会っています。これだけの人間と接すると、人をタイプ(性格)別に分類できるようになります。 つまり、「この人はあの人に似ているから、きっと性格も細かくて、約束にもうるさいタイプだろう」と、ある程度の特徴を先読みして、コミュニケーションを図れるようになるのです。一種のプロファイリングと言えるでしょう。 では、私がどのように対応するか。たとえば、会社に営業マンが飛び込みできた場合でお話しします。 まずは、外見から分析します。年齢は 40代半ばくらいで、ワイシャツはよれよれ。髭が少し伸びて、日焼けした顔。不潔というほどではないが、清潔感はなく、どちらかというと好感の持てるタイプではない。 私は過去のリストから「あの人かな?」「いやあの人に似てるかな?」と一致するような人物を引っ張り出して照合していきます。 少し話をしていくと、さらに分析が進み、「たぶんルーズな人だな?」「約束を守れるタイプでもないな?」などと、先読みしていけるわけです。 これができると、人間関係で同じ失敗をしなくて済みますし、踏み込むところを間違うこともありません。 もちろん事前に想像したタイプと違う場合もありますが、ほぼ読み通りのことが多いです。 まずはたくさんの人間と会って話をして、数々の情報をインプットすることをオススメします。 電車内の人間観察 刑事はいろんな場面で人間心理を読むトレーニングをしています。その一つが電車内の人間観察です。 電車に乗るといろいろな人がいます。スマホをいじるサラリーマン、子連れの主婦、ジャニーズの話題で盛り上がる女子高生、資格試験の参考書で勉強する中年男性……。 電車内の席が埋まっていたら、人間観察をして誰が一番先に降りるかを推測するトレーニングをしてみましょう。 まずは乗客の服装、持ち物から推測してみます。 少し先の駅に大きなビジネス街があれば、あなたの前にいるサラリーマン風の男性はその駅で降りる可能性があります。 また作業服を着て大きなバッグを抱えている男性は、大規模開発をしている場所がある隣の駅で降りるかもしれません。 仕草や態度にも注目することが大事です。 椅子に浅く座っている主婦は次の駅で降りるかもしれません。椅子にゆったり座り、眠りこけているサラリーマンは終点まで行くのかもしれません。 推理するヒントはいろんなところにあります。そうやって洞察力や観察力を磨き、人の行動原理を知り、心理を読む訓練をするのです。 先日、電車の中である人に注目していると、窓の外ばかり気にしていました。 今日はこれから雨の予報です。他の乗客を見るとほとんどの方が傘を持っていました。そして窓の外を見ているその人を見ると手に傘は持っていません。もしかするとこれから外回りをするので「雨が降らないといいな」とか「傘をどうしようかな」と考えているのではないかと推測しました。 つまり、目の動きとその他周囲の情報を合わせると、そのときの感情が推察できるのです。 そのあと、ポツポツと雨が窓に当たる音が聞こえてきました。するとその方はひと言つぶやきました。「あー最悪」。 このように人間の仕草、動作には次の行動や、そのときの気持ちを物語るヒントがたくさん隠されているわけです。ですから、よく注目して観察すると、人間の心理は推察できます。 ただし、あまり見すぎて怖いお兄さんに怒られたり、女性に通報されないように気をつけてくださいね。 カードゲーム「人狼」「人狼」という実際にウソを見抜くカードゲームがあります。 人狼は、ヨーロッパで生まれた伝統的なゲームです。世界中に広がり、欧米などでルールや対象が変化して、現在も行われています。日本でも深夜番組で放送され、ブレイクしました。 このゲームは実際にウソをつく場面を作り出して、プレイヤー同士がコミュニケーションをとり、心理を見抜いていきます。ですから、実際にウソを見抜くトレーニングになります。 実は私、以前から大手婚活会社の婚活パーティで、人狼のファシリテーターをしています。つまり人狼のプロの司会者なのです。ゲーム数も千回以上はこなしています。また、このゲームをワークとした企業研修も行っています。

人狼を知らない方のために、簡単にルールを説明します。 プレイヤーはそれぞれが「村人」と「村人に化けた人狼」となり、自分自身の正体がばれないように他のプレイヤーと交渉して正体を探ります。 ゲームは半日単位で進行し、昼のターンは、全プレイヤーの投票の多数決で人狼だと思われるプレイヤーが一人決まり、処刑されます。夜のターンは、人狼が村人の一人を指定して襲撃します。 村人が人狼を見つけ出して処刑すれば、村は平和になるので村人の勝ち、村人が人狼を見つけ出せないと、村人は全員襲撃されてしまうので人狼の勝ちとなります。 プレイヤーは人狼容疑者に、「あなたが人狼じゃないの?」「いやあなたの態度はおかしいからやっぱり人狼でしょ?」などと質問し、全員がコミュニケーションをとりながらゲームは進行します。 このゲームをすると、コミュニケーションが人が生活していく上での潤滑油だということがよくわかります。ゲームを通してプレイヤー同士がとっても仲良くなりますし、その人の人間性も垣間見えたりするのです。 このゲームを傍から見ていると、プレイヤーのこんなことがわかります。・頭の回転の良さ(逆に悪さもわかる)・コミュニケーション能力・素直さや腹黒さ・記憶力・協調性 私が行っている研修ではこの人狼を使い、ウソを見抜くためのワークとして活用しています。 また、人狼のルール、効果を教え、ファシリテーターを育てるための研修も行っています。会社にファシリテーターが一人いれば、研修後に職場などで継続的に行うことができます。 会社内で行うと参加者はコミュニケーションをとることの重要性がわかりますし、同僚の今まで見たことのない素顔を見ることもでき、親近感が湧きます。 私はなるべく社長や幹部にもゲームに参加してもらって、社員に素顔を見てもらうことをオススメしています。社員が社長に親近感を持ち、人間性を知ってくれると仕事もスムーズに進むからです。 部下とのコミュニケーションに悩む方は、部下と一緒に人狼を体験するといいでしょう。

私は刑事時代にいろんな詐欺師を取調べしました。年齢もさまざまですし、手口も保険金詐欺、寸借詐欺、無銭飲食、職権詐欺などさまざまです。実はウソつきや詐欺師には、特有の特徴があります。 口がうまい 饒舌です。口から生まれたのではないかと思うくらい、とにかくよく話すのが詐欺師です。よく話す人がいたら注意してください。 しゃべりが早い、理屈っぽい テンポより早口で話します。相手に冷静に考えさせないためです。また会話をしていても、何か理屈っぽい感じがするのが特徴です。 コミュニケーション能力が高い 人を騙すにはコミュニケーション能力が秀でていないと不可能です。人の信頼を得るために気さくに、優しく、フレンドリーに接します。 「絶対」「必ず」を多用する「絶対に儲かります」「必ず儲けさせますよ」と結果を強調するのは、常套手段です。何の不安も抱かせないように自信満々で答えるので信用してしまうのです。 エサを与えてその気にさせる おいしい話(エサ)を目の前にぶら下げてその気にさせておいて、違う投資話などで騙します。 期限を決めて結論を急かす「今日中に契約していただければ間違いないです」「早めにハンコを押してください」と期限を決めて結論を急かすのも手口です。お得感を出して期限内の契約を勧めます。 これらが特徴ですが、特に覚えておいて欲しいのは「よく話す」ということです。 黙っている時間よりも、話している時間が圧倒的に長いのです。そして黙って聞いていると、何の話をしているのかわからないくらい、話がコロコロ変わったりします。 なぜかというと、相手に冷静に考える時間を与えないためです。相手が考え始めると不審な点や矛盾点に気づくかもしれません。だから、話し続け、途中で質問してもすぐに答えずに誤魔化します。 さらに、「もう話が終わらないかな」と思い始めても、相手は話し続けます。そんなふうに話を聞かされ続けると、だんだん正確な判断能力が失われていきます。そうすると、なんとなくわかった情報だけで判断することになり、そして騙されるのです。 だいぶ前の話ですが、あるビジネスをしている方に呼ばれてお話を聞きにいきました。「森さんにいいと思いますよ」と私のメリットになるような投資話でしたので、とりあえず会って聞くことにしたのです。 その方とは久々にお会いしたのですが、会うなりとにかくよく話します。自分のこと、人のこと、本題に入るまでが長いのです。 やっと本題に入ったと思ったら、そこからもいろいろ話すわけです。途中の私の質問には明確には答えません。私としてはモヤモヤした気分だけが残ります。 話を聞いていると結局、私のメリットよりも相手のメリットのほうが大きいということがわかってきました。 私は話の本質を見抜きながら黙って聞いていたので、そんな判断をしたのです。 たくさん与えられる情報の中で、どこに話の本質があるのかを考えながら聞くと、騙されません。 逆に私がいろいろと質問していくと、答えに詰まるようになり、「いやね、森さんね、本当のことを言うとね……」と話し始めたのです。「本当のことを言うと」、これは話の信用性を高めるための言動のウソのサインです。「じゃあ今までの話は本当の話ではなかったのか?」と思いましたが、黙って聞き続け、最終的にはお断りしたのです。 知っている方なのでまさか私を騙すことはないと思いましたが、詐欺師のテクニックにとても似ていました。 これは苦笑いの出来事でしたが、とにかくよく話す人には注意が必要です。

ビジネスをする上で相手に「違和感」を感じることがあると思います。その違和感を大事にすることが騙されないコツでもあります。 それは業種によっても違うと思いますし、ビジネス経験によっても変わってくるはずです。しかし、人間は生まれながら直感が働きますから「何かおかしいな」と感じたら危険を回避しましょう。 違和感を 1点(カ所)感じたら「注意」、 2点感じたら「要注意」、 3点感じたら「離脱」です。 離脱する際には、相手に気づかれずにうまく取引をやめることが大事です。 では、違和感とは何でしょうか? 私が言う「違和感」をいくつか紹介します。 礼儀がない 私はビジネスに友人関係は持ち込まないようにしています。 つまり、ビジネスで親しくなっても、友達にはならないということです。「親しき仲にも礼儀あり」と言います。つまり親しくなりすぎると、礼儀がなくなる可能性があるのです。それは仕事にも影響します。ビジネスではきっちりした線引きが必要で、なぁなぁではできません。 また、私も経営者ですので、それなりの扱われ方や受けるべき礼儀もあると思うのです。当然ですが、私も相手に失礼のない対応をすることを心がけています。 ですから、友達でもないのに友達のような要求をされたり、無理を言われたり、変に馴れ馴れしくされたりすると違和感を感じます。 常識がない人 社会人としての常識に乏しい人がいます。 たとえば、セミナーに参加申し込みをしながら連絡もなく欠席する人。当日キャンセルはできないと書いてあるのに、仕事を理由に勝手にキャンセルする人。そもそも仕事は入るものではなく、「入れるもの」です。自分の都合で周りの迷惑を考えないのは、いかがなものでしょうか。 約束を守らない人 時間を守らない人がいます。時間になってもこない。遅れるとの連絡もない。おまけに遅れてきても謝りもしない。遅れた理由ばかり言い訳している。こんな方がいたら違和感を感じずにはいられません。 時間を守るということは、社会人としての最低限のマナーだからです。 お金にルーズな人 お金で人の信用は簡単に失います。その重要性を知っていたら、お金の扱いには注意すると思うのです。 特にお金を管理したり、扱う商売をしている人、たとえば、税理士、会計士、銀行員の職業の方でもお金にルーズな人がいます。こんな方を信用できないのは当然です。 支払期日をしっかり守る、借りたお金は小さい金でも忘れずに返す、そんな当たり前のことができない人には違和感を感じます。 公然と人の悪口を平気で言う人 ビジネスには人脈が必要です。実は刑事時代には、人脈をそれほど意識したことはありませんでした。今考えると警察は法に定められた手続きを踏めば、知りたい情報を知ることができます。ですから、そこまで人脈に飢えていなかったのかもしれません。 しかし、民間では「誰と出会うか」によって仕事は大きく変わります。ですから人脈を大事にしている方が非常に多いし、コミュニケーション術も優れた方が多いように思います。「人の悪口を平気で言う人」はまわりに敵が多いと思います。もしかすると、他で自分の悪口も言われている可能性があります。悪口は回り回って自分に返ってきます。つまり、悪口ばかり言う人は、ビジネスにおいて人脈の重要性に気づいていない人であるとも言えます。これは、大きな違和感です。 私はこの「 3点離脱法」を使って、離脱したケースがあります。 その方は、ある商売を個人でしている方でした。あることがきっかけで知り合い、そのあとにお仕事を一緒にすることになったのです。 打ち合わせをしていたときのことです。雑談の中で突然、私が知っている社長の悪口を言い出したのです。「あの人は裏で何かおかしなことをしている」という話でした。たまたま私がよく知っている人でしたので「そんなことをする人じゃないけどな……」と思いましたが、そのときは反論せずに聞いていました。これが最初の違和感でした。 そのあと、おつき合いしていく中で、2つ目の違和感がありました。 今度は前回とは違う社長の悪口を言い出したのです。この時点で私は「この人は要注意だな」と感じていました。 そしてしばらくして決定的なことが起こりました。「ある会社を紹介して欲しい」と頼まれたので、そこの営業マンを紹介したのです。私としてはその方に良かれと思い、善意で紹介したのですが、結果としては大失敗でした。 紹介した営業マンとたまたま別件で電話をしていて、その方の話を聞いたところ、「無理難題を言われて困っている」ということがわかったのです。「これはしまった、紹介すべきでなかった」と思い、営業マンにはひたすら謝罪しました。 そのあと、その本人に電話をしたところ、「あの営業マンは使えない。紹介した責任があるんだから社長を紹介してくれ」と言われたのです。これには私も驚きました。当然ながらこんな方を社長に紹介することなどできません。丁重にお断りし、そのあとは仕事が忙しいことを理由にやんわりとおつき合いをやめることにしたのです。 まさに 3点離脱法を活用した事例でした。なぜ 3点で離脱すべきか? それはつき合いが長くなればなるほど離脱が困難になるからです。 このような人や会社と一緒に仕事をしても楽しくありませんし、いつか必ず痛い目に遭います。裏切られたり、騙されたりすることもあるでしょう。 ですから、違和感を感じたら、早め早めに見切りをつけることが大事です。

刑事ドラマでよくあるシーン。「所轄ごときが何言ってるんだ! お前らどんな仕事してるんだ!」と本庁の刑事が所轄の刑事と揉める場面があります。 あれって実際にあると思いますか? 答えは、まったくないとは言いませんが、基本的にはないです。 刑事には、警察署の刑事課の刑事である通称「所轄」、道府県警察本部(東京は警視庁)の刑事である通称「本庁」に分かれます。 所轄の刑事は、警察署管内で日々発生する事件を捜査します。しかし、大きな事件が発生すると所轄の刑事だけでは解決できないので、本庁の専門部隊が乗り込んでくるのです。 殺人事件であれば捜査一課、大型詐欺事件であれば捜査二課という感じですかね。刑事ドラマではそこで所轄と本庁のひと悶着があるというストーリーになっています。 通常、応援をもらう側の所轄は会議室を空け、布団を手配したり、仕事をやりやすい環境作りをします。ところが気の利かない所轄もあるので、そこで「おいおい所轄、どうなってんだ?」というイザコザがあるケースもあります。 つまり、捜査方針云々で揉めることより、待遇面で揉めることのほうが多いのです。 とはいえ、所轄の刑事も本庁の刑事も顔見知りが多いので、実際には深刻に揉めるケースは少ないと思います

おわりに 最後までお読みいただきましてありがとうございました。 私が 3・ 11の震災を契機に警察官から独立して早いもので 11年になろうとしています。そして処女作として書き上げたのが『元刑事が教えるウソと心理の見抜き方』でした。そして今回、三笠書房様から文庫化のお話をいただき、一部を編集して完成したのがこちらの本です。 世の中は数年続いた新型コロナウイルスによって在宅勤務、オンライン会議の導入などで働き方が変わりました。また飲み会や旅行、イベントなど人と交わる機会もなくなり、会社でも家庭でも、コミュニケーションをとる機会が減りました。しかし、それによってコミュニケーションの重要性が改めて再認識されたようにも思います。やはり、人は人と交わることが必要なのです。 そして世の中は急激に情報化社会になりました。あらゆる情報がインターネットなどを通じて手に入ります。詐欺も多発しており、誤った情報に騙されないようにしないと自らを守ることができない時代なのです。 ウソの見抜き方というスキルはちょっと特殊なコミュニケーションスキルです。 普段何気なく、人のウソを感じてコミュニケーションをとっているものの、明確に「ウソをついてる」と断言できない人がほとんどです。だから世の中、詐欺被害が後を絶ちません。また、それは本当にウソを見抜かなければいけない職業である警察官や刑事、国税調査官、税関職員などもそうなのです。 その状況を変えたい、少しでもウソを感じて見抜けるようになってもらいたい、そして悪いウソに騙されないで欲しい、という思いから書いたのがこの本でもあります。 また、私はウソの見抜き方を研修、講演という形でもお伝えしておりますが、昨今は国税庁税務大学校、財務省税関研修所、国土交通省、国土交通大学校からご依頼をいただき、警視庁、青森県警察などでも登壇するようになりました。 ちなみにどの研修でも必ずアンケートをとっていますが、警察ではどの所属でも最高の評価をいただいています。研修後の質問も止むことがありません。まさにウソを見抜く技術が必要な組織だからでしょう。 後輩の警察官がこの技術を習得してウソが見抜けるようになれば治安は良くなります。そうすることが、私を育ててくれた警察組織への恩返しになると思っています。これからも警察だけではなく、必要とされる人たちに届けていきたいと思っています。 さて、この本の文庫化にあたり、友人でもあり、作家の吉田幸弘さん、フリー編集者の金本智恵さんには大変お世話になりました。心より感謝致します。 ウソのない平和な世の中にすることは現役の警察官にお任せし、私は悪いウソを見抜くことで安心、安全な世の中になるように、これからも頑張っていきたいと思っています。 読者のあなたも悪いウソに騙されないように! どこかでお会いできる機会を楽しみにしております。森 透

参考文献『マンウォッチング』デズモンド・モリス著 藤田統訳(小学館)『しぐさと表情の心理分析』工藤力著(福村出版)『交渉に使える CIA流 噓を見抜くテクニック』 P・ヒューストン M・フロイド S・カルニセロ D・テナント著 中里京子訳(創元社) 『FBIトレーナーが教える相手の嘘を 99%見抜く方法』ジャニーン・ドライヴァーマリスカ・ヴァン・アールスト著 川添節子訳(宝島社)『性犯罪者の頭の中』鈴木伸元著(幻冬舎)『営業と詐欺のあいだ』坂口孝則著(幻冬舎)『なぜ、詐欺師の話に耳を傾けてしまうのか?』多田文明著(彩図社)

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