ヒント①自分で「問題」をつくる
覚えたいことを「問題」にする私は学生時代、ノートの中に自作の「問題」を書き込んでいました。
授業を聴いていて「忘れていた」「絶対に覚えておきたい」と思うことが出てきたら、それが〝解答〟となるような問題をつくり、書き込んでいたのです。
問題の答えはノート下の欄外に書いていました。
ノートの本文と区別するため、文字サイズは問題文、答えとも小さめです。
たとえば、ノートをとっていて「検非違使」という漢字を思い出せなかったとしましょう。
その場合は、「けびいし」とひらがなで書き、それを枠で囲んで、「この漢字、どう書く?」という問題になるようにしておくのです。
そして、授業中や授業が終わった直後、あるいはまとめ直しのときに漢字を調べ、欄外に正解を書いておくというわけです。
この方法を行うまでは、わからない漢字が出てきたらすぐに調べて書くようにしていたのですが、それだけだとなかなか記憶に残らないのです。
そこで、このように問題を入れるようにしたところ、効果はテキメン!問題をくり返し見返すことで、わからなかったことが定期的に想起されるようになり、覚えやすくなったのです。
このように、問題の作成は、一度覚えたのに忘れてしまった内容について、特に重点的に行います。
忘れているということは、要するに「記憶に定着していない」ということ。
そこで、問題化することで、将来の自分に「思い出せるようになろう!」というメッセージをしつこく送るのです。
ここでは漢字の例を出しましたが、他にも工夫次第でさまざまなものを問題にできると思います。
皆さんも、ぜひこの習慣を取り入れてみてください。
記憶を定着させるという点で、大いに効果を発揮することと思います。
ヒント②作業手順は「時間順」に並べる
時間順を無視すると正しく理解できないある作業の手順を頭にインプットするために、その流れをノートに書きとめておくことがあります。
たとえば、数学や物理の問題では、「解き方」の手順を書くでしょう。
問題の解き方は、言ってみれば「作業手順」です。
あるいは、特定の職業に就くために必要な資格試験などでも、「作業手順」を知っておかなければならないケースはたくさんあります。
また、日常の仕事においても、流れを覚えるためのマニュアルをつくることがありますが、これも「作業手順」だと言えるでしょう。
こうした作業手順を書くときに、強く意識してほしいのが「時間順」です。
つまり、物事が起きる順にまとめていく。
「最初にこれをやって、次にこれをやって、その次に……」と、時間の流れに沿って順にまとめていくことが重要なのです。
「そんな当たり前のことを……」と思うかもしれませんが、実行できていない人は意外と多いのです。
作業の最後に気をつけるべきことなのに、「忘れないように」と強く思うあまり、最初に大きく書いてしまう人がいます。
でも、最後に注意すべきことが一番最初に書かれていたら混乱しますよね。
結局、最後の段階になって、忘れてしまっているかもしれません。
また、例外的な事例を本来の流れとは関係なく挿入するということも、やりがちです。
これも実際に作業する段階では混乱のもとになります。
このように、時間順を無視した書き方をしてしまうと、頭に入る順序と実行する手順とが異なるために、実行するときに混乱が起きてしまうのです。
十分な余白をとって変更に備える人が作業手順を説明するときには、必ずしも時間順に話すわけではありません。
本人としては、「時間順に話そう」と思っているのでしょうが、よほどそれを強く意識していないと、うまくいきません。
というのも、人はついつい「思いついた順」に話してしまうからです。
本人は作業順に話そうと思っても、「あっ、ついでだからこれも話しておこう」となってしまいがちなのです。
これは人間の頭のしくみにも関係することですから、仕方がありません。
では、聴き手としては、どうやって時間順に書いていけばいいのでしょうか。
ある程度、時間順で話してくれる人であれば、そのまま〝ぶっつけ本番〟で右ページに書けます。
その際のポイントは、「後から付け加える可能性がある」ことを前提に、余白を多めにとりながら書いていくことです。
話し手が、1~2ステップとばしても対応できるくらいの余白を空けておきます。
これなら、後戻りしても対応できます。
また、話し手が順番を間違えて、項目を入れ替えなければいけないこともあるでしょう。
時間に余裕があれば、その場で消して入れ替えられますが、それができないときには、該当箇所に「変更マーク」を入れて、まとめ直しのときに順序を入れ替えます。
説明が前後するときは左ページに走り書き一方、説明があっちにいったりこっちにいったりと、時間順がグチャグチャになる人もいます。
たとえば、仕事で先輩や上司が作業の手順を説明してくれるときなどは、往々にしてこうしたことが起こりがちです。
そのときは、最初から右ページにまとめようと思わずに、左ページに走り書きをしておいたほうがいいと思います。
そして、後から自分で順序を整理して、右ページにまとめ直しておけばいいでしょう。
また、実演しながら手順を説明してくれる場合、見ているだけでわかった気になってしまうため、記入漏れが多くなりがちです。
これでは、後から見返したときに、よくわからなくなってしまいます。
そこで、実演をノートに書きとめるときには、実況中継するような気持ちで、その手順を書いていきましょう。
この場合も、時間に余裕がないと思うので、左ページに走り書きをする形でかまいません。
そして、右ページには必要な言葉だけを抜いてまとめ直していきます。
「例外」は起こり得る場所に作業手順の中には、「例外」が生じることもあります。
「この段階では例外的にこういうことが起こり得る。
その場合は、こうすればいい……」といったケースです。
例外については、すべての手順を書いた後で、「※」などを頭につけて書く人が多いですが、それはおすすめしません。
必ずその例外が発生する部分に書いておきましょう。
あくまでも「時間の流れ」に沿って書いていくのです。
ヒント③「ひらめき」や「アイデア」を書き残しておく
人間は記録しておかないと忘れてしまうノートをとりながら、「ああ、これは、そういう意味なのか!」とわかったり、「これは、××と同じことじゃないか!?」と思いついたりすることがあります。
こうした「ひらめき」も、ノートに書き残しておきます。
自分が思いついた言葉を書きとめておくことは、とても重要です。
なぜなら、自分の頭の中から出てきた言葉は、他で参照しようがないからです。
先生の言葉は機械に録音すれば残すことができます。
また、テキストに載っている言葉はそのテキストを捨てない限り、いつでも見ることができます。
でも、自分が瞬間的に思いついた言葉は、書きとめておかなければ復活させることができません。
「わかった」直後に忘れてしまった小3の経験思いついたことは、書きとめておかなければ忘れてしまう。
私がそれを痛感したのは、小学3年生のときでした。
私は当時、国語の授業になると、教科書に載っている小説を読みながら登場人物たちの「感情」を推測する、ということをやっていました。
多分、授業がつまらなかったのでしょう。
先生の話も聴かず、何度も同じ物語を読み、「どうしてこの人はこんなことを言ったんだろう?」「こう言われたとき、この人はどう感じたのだろう?」と頭の中でグルグル思いを巡らしていました。
するとあるとき、突然、何か「すごいこと」がわかったのです。
思わず、「わかったぞ!」と、大声で叫びたいような気持ちになりました。
ところが次の授業に入ると、自分がどんなことを発見したのか、すっかり忘れてしまったのです。
「わかった」という事実だけは覚えていたのですが、その内容がまったく記憶に残っていない……。
これは、かなりの衝撃でした。
私はそのとき、「何かを思いついたら、その内容をきちんと書き残しておかなければならない」ということに気づきました。
それ以来、私はひらめいたことは、必ずメモするようにしています。
ノートにおいても、書きながら何かを思いついたら、必ずそれを記録しておくようにしているのです。
「自分の考え」マークをつける思いついたことをノートに書くとき、私は「Ken(名前の「賢一」より)」というマークを入れています。
これは、「自分の考え」であることを示すマークです。
このマークをつけないと、後から読み返したときに、自分の考えなのかそうでないのかがわからなくなってしまいます。
そうした混同を避けるためにも、「これは先生やテキストの説明ではない」と、将来の自分に知らせる必要があります。
アクションプランも書いておく「ひらめき」や「思いつき」の中には、自分自身の「アクションプラン」もあるでしょう。
アクションプランとは、将来実行しようと考えている、具体的な行動計画とでも言えばいいでしょうか。
「後でこの単語の意味を調べておこう」とか「家に帰ったら、××の本の引用をここにメモしておこう」というのは、立派なアクションプランです。
私は、こうしたものもノートに書きとめるようにしています。
なぜなら、いったんアクションプランがひらめくと、思考がついそちらに向いてしまい、話に集中できなくなるからです。
特に、「覚えておこう」と思うことで思考のエネルギーが奪われてしまいます。
ところが、ひとたび文字にしてしまえば、思いついたアクションプランを自分の頭の外に出すことができるので、あまり気にならなくなります。
もちろん、書きっぱなしにしてはいけません。
ノートをとり終えた後は、アクションプランを見直す時間を必ず設けてください。
そして、必要に応じて、アクションプランをスケジュール帳に書き落とすところまでやっておけば完璧です。
ヒント④図に書き込む情報は分散させる
重ね描きされた図は「パラパラ漫画」方式で記録する見やすく、わかりやすいノートにするために、図は大いに役立ちます。
ところが、生徒のノートを見ると、図がグチャグチャになっていて、「これ、一体何?」と理解できないものが、ときどきあります。
これではせっかくの図が台なしです。
おそらく、図の周辺や内部に文字を書き込みすぎてしまったため、グチャグチャになってしまったのでしょう。
授業ノートでよくあるのが、黒板に描かれた図に先生が情報をどんどん重ねていったものをそのままノートに写していたら、何が何だかわからなくなってしまった……というケース。
最終的な図しか残っていないので、途中経過が思い出せなくなってしまうのです。
これは、数学の図形問題や、歴史や地理で地図をもとに説明が行われるときなどに起こりがちです。
このように、ひとつの図が書き込み過多になるのを防ぐ方法として、私が生徒にアドバイスしているのが、「パラパラ漫画」方式です。
パラパラ漫画とは、ノートや本の隅に、1枚1枚微妙にズラした絵を描いていき、それを素早くめくっていくと、まるで絵が動いているかのように見える漫画のことです。
皆さんも小学生の頃などにつくりませんでしたか?複雑な図を扱う場合には、この手法を使います。
ノートに同じ図を並べていくでは、具体的にどうすればいいのでしょうか?まず、基本となる図を描きます。
そして、「書き込みが増えてきたな」と思ったら、すぐ下にもう一度図を描いて、続きの説明を書き込んでいく。
そこにまた書き込みが増えてきたら、次の図を下に描き、さらに新たな説明を書き込んでいく……。
これをくり返していくのです。
ですから、「パラパラ漫画」方式といっても、別のページに図を描くわけではなく、同じページにひとつの図を分解して描いていくのです。
こうすることで、板書では重ね描きによってグチャグチャになった図も、ノートの中ではスッキリと表現されます。
ときには、新しい図を描くのが追いつかないときもあるでしょう。
その場合は、左ページに、とりあえず板書通り重ね描きをしておきます。
そして、後で分解するところに番号を振り、説明を書いていく。
この番号を頼りに、最終的に重ね描きしたものを分解していくのです。
ヒント⑤「世界で1冊だけのノート」をつくる
ノートに「名前」をつけてあげようところで皆さんは、ノートの表紙に「タイトル」を書いていますか?たとえば、「古文」や「英文法」、または「民法」「記憶法セミナー」といった感じです。
書いていないという人は、ぜひ今日からタイトルを入れるようにしてください。
自分のノートですから、つけ方に決まりはありません。
「鈴木先生のめちゃくちゃ面白い英文法ノート」とか「目指せ、年間受講20本!自分を200%成長させるセミナーノート」のように、自由につけていいのです。
文字は、太いマジックでしっかり書きます。
私の場合、表紙は黒で書いていますが、何色にするかは皆さんの好みで決めてください。
ただし、きちんと識別できる色を選ぶこと。
何が書いてあるのかわからないような色は避けるべきです。
なぜ、表紙にタイトルを書くのでしょうか?それは、ノートに「名前」をつけてあげるためです。
名前がなければ、いつまでたっても、そのノートはあやふやな存在のまま。
他のノートと見た目が同じであれば、ますます見分けがつかなくなりますよね。
でも、名前をつけてあげれば、世界でたったひとつの「あなただけのノート」になります。
そうすれば、そのノートに愛着がわくでしょう。
ノートに愛着がわくようになれば、自然と読み返したくなるものです。
さらに、愛着を持てるようにするために、表紙にイラストを描いたり、シールを貼ったりと、自分好みにデコレーションしてもいいと思います。
タイトルの文字に凝るのもひとつの方法でしょう。
とにかく、そのノートが特別な存在なのだということを、自分自身に認識させることが重要なのです。
カラーコピーやイラストでノートを飾ろうノートのアレンジは、何も表紙だけに限定する必要はありません。
中身も自分流に変えていきましょう。
たとえば、参考書や教科書の図や写真をコピーして貼り付けてもいいですし、自分でイラストを描いてもいいと思います。
図や写真がカラーの場合は、せっかくですから、カラーコピーを使いましょう。
コピーにせよ、イラストにせよ、ノートをとっているときに、「こんなのを入れたいな」と思ったら、そのスペースを空けておけばいいのです。
そして、まとめ直しのときに、スペースに合わせて貼り付けて(描いて)いく。
このように、ノートを「自己表現」の場にすることも大切です。
もし、勉強が「楽しくない」「苦痛だ」と感じていても、ノートづくりを楽しむことができれば、ノートと向き合うことがさほど苦痛ではなくなるでしょう。
ヒント⑥独習時のノートを使い分ける
わかるノート・覚えるノート・慣れるノート授業を聴くのではなく、自分で学習する、いわゆる「独習」にも、ノートは大いに活用できます。
独習している人たちに私がいつもすすめているのは、次の3種類のノートを活用することです。
◎わかるノート◎覚えるノート◎慣れるノートこれは、成績を伸ばすための3大要素をノートのとり方に対応させたものです。
理解して、暗記して、練習する。
知識を身につけようと思ったら、とにかくこの3つを実行すること。
1000人以上の生徒を教えてきて、私はつくづくそう実感しています。
そして、これらのアクションを確実に行うためには、3つの専用ノートが役に立ちます。
それぞれどんなものなのか、ご説明しましょう。
知識を体系的にまとめた「わかるノート」「わかるノート」は、ひとつの科目について、網羅的、体系的にまとめられたノートです。
授業ノートは、まさに「わかるノート」です。
独習の場合は、テキスト、参考書、本などを「わかるノート」として活用することもできます。
この場合、わざわざ内容を自分でまとめ直す必要はありません。
今は、よくまとめられたテキストや本がたくさん出ています。
自分でノートをまとめ直すより、そうしたものを活用させてもらったほうが、効率的に勉強を進められることも多いです。
自分で書店をまわったり、周りの人の口コミなどを参考にしたりしながら、自分にしっくりくるテキストや本を探しましょう。
「これだ!」という1冊を見つけたら、それを「わかるノート」の代わりにします。
勉強を進めていく際には、これをコア本にして、追加の知識などをどんどん書き加えていくのです。
「覚えるノート」には「覚え方」まで書いておく「覚えるノート」は、暗記すべきことを書き込んでいくノートです。
1科目につき1冊ではなく、勉強、日常生活すべてをひっくるめて1冊にまとめていきます。
覚えることをすべて1冊にまとめることで、復習の抜けがなくなっていくからです。
ですから、「覚えるノート」は常に携行しておくといいと思います。
そして、「あれ、また忘れてるなあ」と気づいたことがあったら、積極的に書き込んでいきましょう(ちなみに、生徒には授業に「覚えるノート」を持ち込むよう指導しています)。
このノートで特にやってほしいのが、「覚え方」を書くことです。
覚え方はできるだけ自分で考えるようにしてください。
自分で考えた覚え方は、他人がつくったものよりはるかに頭に入ります。
語呂合わせにしたり、イメージ化したり、イラストで表現したり、一問一答方式の「問題」にしたり……。
「記憶法」の解説書なども参考にして、自分にとって覚えやすい方法をいろいろ工夫してみましょう。
また、復習することも忘れてはいけません。
頭にしっかりインプットされるまで、覚えるノートはくり返し読むようにします。
問題の解き方は「慣れるノート」で頭に叩き込む最後は「慣れるノート」です。
これは、問題集などから重要な問題をピックアップして、その解法や解答を頭の中に叩き込むためのもの。
解法や解答は、いわば「作業手順」ですから、マニュアルノートと考えていただくといいかもしれません。
なお、手順のまとめ方については、ヒント②を参照してください。
3つのノートのとり方について、だいたいご理解いただけたでしょうか。
「独習」というと、ついつい自分だけがわかればいいと思いがちですが、そういう気持ちでノートをつくってしまうと、後で読み返したときに、わけがわからなくなる可能性が高いのです。
というのも、私たちは、人目がないと物事をいい加減に処理してしまう性質を持っているからです。
独習だからこそ、他人が見てもわかる「アウトプット品質」のノートをつくることを心がけてください。
「質問ノート」で疑問を管理ところで、独習していると、ちょっとした疑問で学習が止まってしまって、時間を浪費してしまうことがあるかもしれません。
そういう人におすすめしたいのが、「質問ノート」です。
このノートには、何か疑問が生じたときに、その疑問を言葉にして、どんどん書いていくのです。
このときも、気をつけるのは、「将来の自分が読んで、意味がわかること」。
いったんノートに書き込んだら、その疑問のことは忘れて学習を再開します。
そして、「調査のための時間」を改めて確保して、その時間に「質問ノート」にたまった内容を調べていくのです。
調査した内容は、主に「わかるノート」の対応箇所に転記します。
もちろん、このノートは、独習のときに限らず、普段の学習や講演・セミナーを聴いているときなどにも使えます。
「疑問」に気をとられて集中力が阻害されるようなら、どんどん「質問ノート」に書き出して、注意を本筋に戻すようにしましょう。
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